No.464730

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 242

soranoさん

第242話



ここでかかる戦闘BGMはVERITAの”宿業”、戦闘後のBGMは”真実の記憶”だと思って下さい♪

2012-08-04 08:58:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1344   閲覧ユーザー数:1208

リウイ達とルシオラ達の戦い。それは戦闘とは思えないほど、あまりにも一方的すぎる戦いだった。

 

~ミストヴァルト・セルべの大樹~

 

「ふふっ……私は大きいのを相手してあげるわ。貴女は小さいのを片付けなさい!」

「……了解……しました……」

戦闘開始直後セオビットは凶悪な笑みを浮かべてマーリオンに指示した後、魔剣を一体の巨大な霧魔にふるった!

「ハアッ!!」

セオビットによって、攻撃された敵は一刀両断され、消滅した!

「う、嘘……!」

「俺達が協力して倒した奴をたった一人で一撃かよ……し、信じられねえ………」

その様子を見ていたエステルやアガットは驚いた。

「ふふっ……消えなさい!ヴォア・ラクテ!!」

さらにセオビットは魔術を放って、残りの敵達を消滅させた!

「……水よ……行けっ……!!」

一方マーリオンは自分が相手をする敵達にそれぞれ水の弾を放って、ダメージを与え、そして

「荒ぶる水よ……溺水………!!」

止めに魔術を放って、敵達を倒した!

 

「それっ!」

一方リウイと戦い始めたルシオラは持っていた鉄扇をリウイに投げたが

「フッ!」

リウイが震ったレイピアによって、鉄扇は弾き飛ばされた!そしてリウイはレイピアを構え一瞬でルシオラに詰め寄り、クラフトを放った!

「フェヒテンケニヒ!!」

「っつ!?なっ!髪が……!」

リウイのクラフトを間一髪で回避したルシオラだったが、回避した際、一つにくくって纏めていた部分の髪が斬られ、驚いた後リウイを睨んだ。

「よくも私の髪を……!幻惑の鈴よ見せておやりなさい………奥義・火炎地獄!!」

リウイを睨んだルシオラは鈴の音を響き渡らせ、リウイに自分が巨大化した幻覚を見せた!

「…………………」

一方ルシオラの術中に嵌ったであろうリウイは何も反応せず、レイピアを構えていた。

「さあ、燃え尽きなさい!!」

そして巨大化したルシオラは口から炎を吐いて、リウイに攻撃した!

「……燃え尽きるのは貴様の方だ。フレインバル!!」

しかしリウイが放った炎の魔法剣がルシオラが吐いた炎ごと呑みこみ、ルシオラを襲った!

「!?キャアアアアッ!?」

リウイの攻撃を受けたルシオラは悲鳴をあげ、そして術を解除した。するとそこには所々火傷をしたルシオラがいた。

「クッ……!花は散ってこそ花…………旋風よ、砕き散らしなさい!奥義、華散風魔の舞!」

ルシオラは自分のSクラフト――幻術・火炎地獄が効かなかった事に顔を歪めた後、もう一つのSクラフト――華散風魔の舞を放った!ルシオラが放ったSクラフトは竜巻となり、リウイを襲った!しかし

「風よ!ウィンディング!!」

リウイが放った風の魔法剣により、ルシオラのSクラフトは相殺された!

「そんな……!クッ、出でよ、魔槍……!」

自分のSクラフトが全く効かない事に信じられない表情をしたルシオラは今度は魔術を放とうとしたが

「……フェヒテンアルザ!!」

「ああっ!?」

リウイが放ったクラフトによって、詠唱は中断され、さらに身体のいくつかの場所に斬り傷が出来た。

 

「ふふっ……父様の敵は私の敵!ハアッ!!」

さらにそこにセオビットが魔剣でルシオラの背中を斬った!

「キャアッ!?」

背中を斬られたルシオラは斬られた部分から大量の血を流しながら倒れようとした所を

「水よ……我が敵を切り裂け……!水刃……!」

「ガッ!?」

マーリオンが放った魔術による水の刃を腹の部分が斬られ、そこからも大量の血が流れだした所を

「フッ!」

「ゴフッ!?」

リウイが闘気と魔力を込めた拳で切り裂かれた腹の傷の広さを広げるかのようにルシオラの腹を思い切り殴り、殴られたルシオラは口から血を吐きながら吹き飛ばされ、そして『ゴスペル』を装着していた大樹に叩きつけられた!

「ガハッ!?………………」

そして大樹に叩きつけられたルシオラは口から大量の血を吐くと同時に呻いた後、地面に倒れて動かなくなり、ルシオラが倒れている所はルシオラから溢れて来る血によって血溜まりになった!

「な、なんて奴らだ……『執行者』相手に圧倒的だなんて………俺達とは次元が違いすぎる………あの仮面の少尉とも比べ物にならねぇ………」

「けど、あの人、昨日会った時と違ってなんか怖いよ…………」

リウイ達の圧倒的な強さにアガットは呆然とし、ミントはリウイがさらけ出す雰囲気を怖がった。そしてリウイはレイピアを持って、ゆっくりとルシオラへと近づいて行った。

「!?まさか、止めを刺すつもりなのですか、陛下!」

「……………………」

その様子を見たクロ―ゼは血相を変えて、リウイに尋ねたがリウイは何も答えず、ルシオラへと近づいて行った。

「おい、シェラザード!いいのか!?あの女………殺されちまうぞ!」

「そうだよ!あの人、シェラお姉さんの大事な人なんでしょ!?」

「………………………っつ!!」

アガットとミントに言われたシェラザードだったが、辛そうな表情で目を伏せ、倒れているルシオラから目を逸らして何も答えなかった。

 

「………ただでは死なさん。が、まずは逃げられないよう、その手足から斬り落とさせてもらおうか。」

「ひっ…………!」

レイピアを持ちゆっくりと近づいて来るリウイを見て、ルシオラが悲鳴を上げたその時!

「ダメ――――――!!」

なんと、エステルがルシオラを庇うがごとく、両手を広げて、リウイの前に出た!

「ママ!?」

「エステル!?」

「エステルさん!?」

「下がれ、エステル!下手したらお前も巻き込まれるぞ!」

エステルの行動にミントやシェラザード、クロ―ゼは驚き、アガットは警告した。

「エステルさん……お願いですから……どいて……下さい………このままだと……貴女も……」

「へえ………今の父様相手によくあんな行動ができるわね。」

一方マーリオンは心配そうな表情でエステルに呼びかけ、セオビットは感心した表情でエステルを見ていた。

「………何のつもりだ?どけ。」

「嫌よ!ルシオラさんを殺すつもりなんでしょ?そんなの絶対、許さない!」

リウイに睨まれたエステルだったが、怯まずリウイを睨んで言い返した。

「……俺の障害になるというのなら例え誰であろうと滅するのみ。死にたいのか、貴様……!」

リウイは最大限の怒気と闘気を身体中に纏わせ、エステルにレイピアの切っ先を向けた!

 

「(………ラピス、リン。力を貸して!あたしだけじゃ止められない!)………憎しみに囚われるな、陛下!」

リウイにレイピアの切っ先を向けられたエステルは突如金髪と紫紺の瞳になって、記憶にあるリンの口調でリウイに叫んだ!

「!?」

突如変貌したエステルを見て驚いたリウイは目を見開いた!

「マ、ママ!?」

「エ、エステル!?」

一方ミント達も突如変貌したエステルに驚いた。

「……今の貴方は憎しみに囚われ、相手を殺す事しか考えていないただの殺戮者だ!それが私やラピスお姉様を娶った男のする事か!」

「なっ………ま、まさかお前は……!」

金髪のエステルに怒鳴られたリウイはレイピアの切っ先をエステルに向けるのをやめて手を降ろし、声を震わせながらエステルを見た。そして金髪のエステルは目を閉じた後、今度は黒髪と翡翠の瞳になり、そしてリンと同じように受け継いだ記憶の中にあるラピスの口調で言った。

「……どうかその剣を収め、元の優しい陛下に戻って下さい。」

「………ラピス……………だが、そいつは”あいつ”を………!」

黒髪のエステルを見て、リウイは一瞬辛そうな表情をした後、すぐに怒りの表情になって言った。

「……陛下。誰よりもイリーナ様を知る貴方がイリーナ様がこのような事をお望みとお思いですか?」

「!!」

黒髪のエステルに静かに見つめられ、問いかけられたリウイは目を見開いた。

「……クッ……何が何だかわからないけど、助かったわ、おチビちゃん………」

「姉さん!」

そしてその隙を狙って、ルシオラが鈴の音が響き渡らせ、その場から消え、その様子を見たシェラザードは驚いて声をあげた。

 

「………お願い。2人が……そしてイリーナ様が愛した元の貴方に戻って、リウイ。眠らされたプリネやそして………今は貴方の傍にいないイリーナ様も絶対そう思っている。」

ルシオラが消えた後、エステルは元の姿になり、凛とした表情でリウイを見て言った。

「……………………………………………………………」

エステルの願いに答えたのか、リウイは少しの間目を閉じて黙った後、レイピアを鞘に戻した。

「リウイ様!」

そこに慌てた様子のルースがリウイに近付いて来た。

「………ルースか。どうした。」

「ハッ!ペテレーネ殿より火急のお知らせです!眠らされたお2人の意識が戻り、ただちに戻って来て欲しいとの事です!」

「………そうか。2人が目覚めた以上、もうここに用はない。兵達を引き揚げさせろ。」

「ハッ!」

リウイの指示に敬礼して答えたルースはその場から去った。そしてリウイはエステルを見て静かに言った。

「………………”魔”に堕ちようとした俺を止めてくれた事……感謝する。この礼は近い内、必ずする………」

エステルにお礼を言ったリウイは外套を翻し、エステル達から去って行った。

(チッ!後少しでリウイが闇の魔王となれたものを……!あの小娘が………人間の分際で……!)

一連の流れを赤髪と茶色の瞳を持つワイスマンはエステルを憎そうな表情で見ていたその時

「!?何者!ティルワンの闇界!!」

「………水よ、行けっ!」

ワイスマンの気配に気付いたセオビットとマーリオンがそれぞれ魔術をワイスマンが隠れている場所に放った!

「チッ!」

攻撃に気付いたワイスマンは舌打ちをして、その場から転移して消えた。

「………逃げられたわね。まあ、いいわ。もうここには用はないし、父様達を追うわよ。」

「はい。……エステルさん……ご主人様を止めてくれて……本当に………ありがとうございました……」

そしてセオビットとマーリオンも去って行ったリウイを追い、その場から去った。

 

その後エステル達は報告の為にギルドに戻った。ロレントに戻ると既に霧は晴れ、昏睡していた市民達も眼を覚ました…………

 

 

 

 


 
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