No.464654

IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第5話

Lさん

第5話です。
今回の話は一夏に関する改変が非常に多いです。

プロローグ
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2012-08-04 02:11:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:12108   閲覧ユーザー数:11733

時間が経って、今は一時間目。

入学式直後の授業は真耶が受け持ち、千冬は窓際に置いてある椅子にキラ達は生徒たちの後ろから様子を見ていた。

この授業はこれまでに習ったISの復習みたいなモノであり、大切な授業である。

一夏は女子達と混ざって余裕にノートを取っている。

 

「はい! ではここまでで何か質問は無いですか~?」

 

一旦説明を終え、真耶は皆がついて行けたのかを確認するが誰も手を挙げなかった。

 

「織斑君? 何処か解らない所は有りますか?」

「いえ、ありません……」

 

入学前に貰った参考書を読破しているため授業に着いていけるのであった。

 

「そうですか、解らない所があれば遠慮なく手を挙げてくださいね」

「はい」

 

そう言うと真耶は再び授業が再開した。

 

休み時間、キラ達は千冬と一緒に職員室に戻っていた。

一夏は先ほど行っていた授業の内容を忘れないように復習を行っていた時だった、金髪のロングヘアーをした少女が、一夏に話し掛けてきた。

 

「ちょっとよろしくて?」

「俺か?」

 

可愛らしい声に、返事を返すが、少女はその反応が気に食わなかったのか、少し驚いた声で返す。

 

「まぁ! 何なんですの!? その反応! 折角わたくしに話し掛けられているだけでも光栄なのですから、相応の態度がおありでしょうが!」

「だから、何だよ? イギリス代表候補セシリア・オルコットさん」

「あら、私の事を知っているのなら、少しはISの事も知っているようですわね、まあ、所詮は男ですから、たかが知れていますけど」

 

一夏は気づいていたセシリアのもう一つの感情である『女尊男卑』がある事に。

ISを動かせるから強い、ISは女性にしか動かせない、そういった感情が今の世界を覆っている。

セシリアの態度はまさにそれを小さく縮小したようなモノだった。

さらにセシリアは傲慢を吐き続ける。

 

「ISの事で解らない点があれば、まぁ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ、何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

「悪いが俺も教官を倒したぞ」

「はぁ!?」

 

教官を倒したのは自分だけと思っていたセシリアは唖然とする。

因みに一夏が相手した教官は真耶である。

もちろん、真耶は手加減をしてはいたが、箒と別れてからも続けていた剣道のお蔭で、格闘戦で真耶を追い詰め、僅差ではあったが一夏が勝利した。

 

「わたくしだけと聞いていますが」

「女子の中ではっていう話だろ」

 

一夏の皮肉にピシ……と氷に皹が入る音が響いた様な気がした。

 

「貴方も教官を倒したっていうの!?」

「少しは落ち着けよ」

「こ、これが落ち着いていられるものですか!!」

 

激昂するセシリアだが、直ぐに、三時間目の授業が始まるチャイムが鳴り響いた。

 

「っ……続きはまた改めて! 宜しいですわね!?」

 

何処かの悪役に似た台詞を吐きながら去っていくセシリアの後ろ姿を見送る事無く、次の授業の準備する一夏であった。

 

 

再び時間は進み、放課後。

放課後の茜色に染まった教室にいるのは、一夏だけである。

一夏はこれから暮らす事になる寮の鍵を貰うため待っていた、そこへ真耶が教室に入ってきた。

 

「織斑君、待たせてすみません」

「いえ、それで俺の部屋は?」

「あ、その事なんですが……」

 

真耶は何故か言いにくそうな顔をする。

何があったんだろうと首を傾げる一夏、そこにキラが教室に入ってきた。

 

「あれ、一夏、どうしたの?」

「ああ、俺の部屋の事を聞いたんだが山田先生が」

 

キラは真耶の方を見ると言いにくそうな顔をしていた。

それを見たキラは真耶の変わりに答える。

 

「実は一夏の部屋は相部屋なんだ」

「相部屋!? もしかして、誰か俺と一緒に住む人が居るのか?」

「うん、相手は篠ノ之さんだよ」

「箒が俺と相部屋!?」

 

まさか、箒と同じ部屋で住む事になるとはさすがの一夏も驚きを隠せない。

 

「本当にごめんなさい、織斑君、こちらで部屋の都合がつかなかったので織斑君と篠ノ之さんには大変申し訳ないと思ったのですが、織斑先生から"2人は幼なじみだからある程度の期間なら大丈夫だろう"と言われましたので、同室になってもらいました、一ヶ月すれば個室が用意出来ますので暫く相部屋で我慢して下さい」

 

真耶が相部屋になった経緯を説明する。

確かに一夏は小学生頃、箒の家に泊まったり一緒に風呂に入った事もあるが、今は一夏も思春期の15歳、幼なじみではあるが、一緒に女性と生活するのはとっても酷である。

 

「分かりました、それで箒はこの事は?」

「もう既に伝えてあります」

「そうですか」

「では時間を見て部屋に行って下さいね、夕食は六時から七時、寮の一年生食堂でお願いします、各部屋にシャワーがありますが大浴場もあります、学年毎に使える時間も違いますけど、織斑君は今の所使えません」

「分かってます」

 

IS学園は言い換えれば女子校である。

女子校の大浴場に入ったりでもしたら即刻独房行き間違いなしだ。

 

「それじゃ、僕達は会議があるからこれで失礼するよ」

「織斑君、ちゃんと寮に帰るんですよ、道草食っちゃダメですよ」

 

校舎から寮まで僅か五十メートルしかないのにどうやって道草を食えと言うのか。

キラと真耶が教室から出ていくのを見送ると、一夏は寮に帰っていった。

 

 

翌日、教師であるキラ達は職員会議に出る為、早く起きる必要がある。

だが、起きる時間が4時と早く、シンとルナマリアはまだ眠そうにしていた。

そこでキラは二人の眠気を覚ます為に簡易キッチンに向かい、バルトフェルドから教えてもらった直伝の珈琲を煎れる。

因みにキラの煎れる珈琲はシンとルナマリアには好評なのだが、バルトフェルドが煎れる珈琲は不評であった。

同じ作り方なのに、何故かキラとバルトフェルドが煎れたものでは二人の反応が違うのである。

キラお手製の珈琲を飲んだシンとルナマリアは眠気がなくなり朝の職員会議に向かうのであった。

 

 

時が進んで朝のSHL。

先日は真耶が立っていた教壇に、今は千冬が立っている。

窓際にはキラ、シン、ルナマリア、真耶が立ちながらクラスの様子を見ていた。

 

「これからクラス対抗戦に出る代表者を決める、クラス代表者、というのは読んで字の如くだ、対抗戦だけではなくて生徒会の会議や委員会への出席等……まぁ、クラス長と捉えても良い、クラス対抗戦は入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ、現時点では大した差は無いが、競争は向上心を産む、自薦、他薦は問わないが一度決まると一年間変更は無い、その積もりでな」

 

生徒全員がざわめいていく、それも当然である、明らかに面倒な役回りだからだ。

実戦経験を積めるのは良いとしても、生徒会や委員会の会議の出席だとどうも遠慮してしまうのが生徒達の本音である。

 

「はいっ、織斑君を推薦します!」

「いっ!?」

「あ、私も織斑君に!」

「私も!」

 

瞬く間に一夏が推薦に選ばれてしまった。

皆男がクラス代表になる事で注目と情報を集めようとしている。

千冬の方はそれを理解しているらしく、辞めさせようとはしない。

だが、それを覆す者がいた。

 

「納得がいきませんわ!」

 

皆一様にその声の方を向く。

そこには先日一夏を見下していたセシリアが怒りで顔を赤くしながら立っていた。

 

「そのような選出は認められません! 大体、クラス代表が男なんて良い恥さらしですわ!!」

 

また始まった男への見下しに、一夏は腹を立て始めていた。

だがセシリアはそれに気付かずに、傲慢を吐き続けていく。

 

「このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間受けろとおっしゃるのですか!?」

 

思い上がりと女尊男卑もここまで来ると甚だしいものだ。

 

「実力から言えば、わたくしがクラス代表になるのは必然! それを極東の島国の猿にされては困ります! 大体、文化としても後進的な国で過ごさなければならないという事自体、耐え難い苦痛で」

 

遂に日本への侮辱が始まった時、一夏が切れて席を立ち上がった。

 

「イギリスだって島国だろ、それに大したお国自慢ないだろ世界一まずい料理で何年覇者だよ!」

「なっ……! あっ、あっ、あなたねえ! わたくしの祖国を馬鹿にしますの!?」

 

言われて一夏が言い返そうとしたとき、キラがそれを止めに入る。

一夏はそれをみて驚き発言を止めた。

そして、キラはセシリアに向けて静かに力強く言った。

 

「君のその偏ったものの見方ではいつか自分の身を滅ぼす事になるよ」

 

キラの声に場の空気が一気に変わり、静かにそして重い空気になった。

この場では適切な言葉ではないはずだがキラの言葉にとてつもない重みが感じられたゆえに静まったのだった。

 

「で……どうするんだ?」

 

一夏はセシリアに聞いた、そうするとセシリアは指を一夏に刺しながら高らかに宣言した。

 

「決闘ですわ!」

 

セシリアはかなりご立腹でまた一夏も覚悟を決めた顔をしている。

決闘を受ける気なんだろうとキラ達は悟った。

そして一夏は負けじと言い放つ。

 

「おお、いいぜ。四の五の言うより解りやすい」

 

セシリアはズカズカと歩み寄り一夏の前で止まる。

 

「もし、勝負に手を抜いたら小間使い! いいえ、奴隷にして差し上げますわ!!」

「侮るなよ、真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない!」

「そう? 何せよちょうどいいですわ、イギリス代表候補生のわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」

 

一夏とセシリアの間にはバチバチと火花が散っていた。

 

「ならば一週間後の放課後、第三アリーナで織斑とオルコット、そして勝った方がクラス代表だ、オルコットと織斑はそれぞれ用意をしておくように」

 

結局、SHLはこれで終わったが、セシリアの一夏を見る目が今まで以上に見下していた。


 
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