No.464119

IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第3話

Lさん

第3話です。

プロローグ
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2012-08-03 01:18:22 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:13910   閲覧ユーザー数:13502

キラ達を部屋に案内した千冬と真耶はそのままIS学園地下五十メートルの所にある最高機密室に向かった。

最高機密室はレベル4権限を持つ者しか入る事が許されない部屋である。

そこで、真耶がキラ達から預かった待機状態のISが解析が行われていた。

 

「……あれ? おかしい……また……」

 

解析をしていた真耶が困惑の声を出す。

投影された解析画面には"解析不能"の四文字が映し出されていた。

 

「……どういう事だ? 何故、解析出来ないんだ……」

「解析出来たのはストライクフリーダムとデスティニー、インパルスという名前だけですね……」

 

名前しか解析出来ないIS。

IS学園はISに関してはかなり高い技術と知識を持っているが、機体の名前しか解析が出来ない事は一度も無かった。

 

「彼等に聞いてみた方が良いな」

「そうですね……彼らなら何か知っているかもしれませんね」

 

千冬と真耶は、ペンダントとブレスレット、イヤーカフスを取ると部屋から出て行った。

 

 

部屋で休んでいるキラ達それぞれ身体を休めていた。

シンはベットの上に横になって眠り、ルナマリアはシャワー室で汗を流していた、そして、キラは部屋に備え付けられているパソコンでこの世界について調べていた。

 

(ISが普及を始めたのは白騎士事件が発端か……)

 

白騎士事件……篠ノ之 束によってISの存在が発表されてから1カ月後に起きた。日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射されるも、その約半数を搭乗者不明のIS"白騎士"が迎撃した、それを見て各国は"白騎士"を捕獲もしくは撃破しようと大量の軍事兵器を投入するが、その殆んどが無力化された事件。この事件以降、ISとその驚異的な戦闘能力に関心が高まることになった。

 

(白騎士事件は、篠ノ之 束の仕業で間違いなさそうだな……)

 

つまり、この事件はISが"現行兵器全てを凌駕する"ことを世界に認めさせるために篠ノ之 束が起こした事件だとキラは確信した。

だが何故そのような事をしたのだろうか、ISを認めさせる事が目的なら他にも方法はあったはずだ。

それに死者こそはでなかったが、下手をすれば関係ない民間人にまで被害が及んでいた可能性だってあった。

 

(篠ノ之 束を批判する資格は……僕にはない……)

 

そうキラ自身もかつて篠ノ之 束と同じ事をしているので篠ノ之 束を批判する事が出来ない。

だが、それでも篠ノ之 束の起こした事を認める気はないキラであった。

白騎士事件について調べ終わった、同時に部屋の扉からノック音聞こえた。

 

(織斑だ、君達のISについてちょっと話がある)

 

扉の外から聞こえる千冬の声にキラが扉を開け千冬と真耶を部屋に招きいれた。

丁度、シンも目を覚まし、ルナマリアもシャワー室から出てきた。

 

「それで、何か分かったんですか?」

「此方が解析したのだが、解析不能だった」

「解析不能!?」

「一体何が原因なんですか?」

「それは此方の方が知りたい、それで唯一解析出来たのはストライクフリーダム、デスティニー、インパルスという名前だけだ」

「その名前、僕達の乗っているMSの名前です!」

「何!?」

 

ISの機体名がMSと同じだとは思ってもいなかったキラ達は驚きを隠せなかった。

 

「名前もMSと同じなら、もしかして」

「機体性能も一緒の可能性があるね」

「でも、何でISが私達のMSと同じなんでしょう?」

 

ルナマリアの疑問はもっともである。

その疑問にキラが答える。

 

「おそらく、この世界に飛ばされた時に何らかの影響を受けて僕達のMSを元にISが現れたのかもしれない」

「異世界から転移してきたのだから何が起こっても不思議ではないだろう」

 

千冬もキラと同じ考えに至ったようだ。

 

「そこで、君達にこのISを起動してもらいたい」

「でも、私はともかく男のシンとキラさんがISを動かせないのでは?」

 

その疑問は最もである、女であるルナマリアはISを動かせるが、男であるシンとキラがISを起動出来るかどうかは分からない。

 

「確かにそうだがモノには例外がある」

「例の男性操縦者ですか?」

「そうだ、それに私の感ではあるが、君達のISは君達にしか使えないと思っている」

「その根拠は?」

「ISを見つけた場所が君達のMSの中、さらにMSと同じ名前、これらの事を考えればMSのパイロットである君達がこのISを動かせる可能がある」

「分かりました、起動テストを引き受けます」

「引き受けていただき感謝する、それとこれを君達に渡しておく」

 

千冬が取り出したのは何らかのIDカードであった。

 

「このIDカードは地下格納庫に行くのに必要な物だ、もちろんIDカードは君達の他に私と山田君しか持っていない」

「何から何まで、ありがとうございます」

 

千冬から手渡されたIDカードを受け取ったキラ達。

 

「起動テストは明日に行うから君達はゆっくり休みたまえ」

「ありがとうございます」

 

 

翌日、千冬と真耶は起動テストを行うためキラ達を迎えに行った。

そして、キラ達が連れてこられたのは、MSが落下した場所である第三アリーナであった。

そこでキラ達は真耶から預けていたISを返してもらい起動テストを行おうとしていた。

 

『これよりISの起動を行います、装着する時は、念じるようにすれば自動的に装着されます、ではお願いします』

 

管制室にいる真耶が通信でキラ達に指示を出した。

三人は目を閉じ、念じてみると脳裏に情報が流れ込んできた。

 

「やっぱりこれはフリーダムだ……」

「こっちも同じですね……MSと同じ兵装が搭載されています」

「こっちもインパルスと変わっていませんけど、何故か各シルエットに換装が出来る見たいですけど……」

 

キラとシンのISはMSと同じだが、ルナマリアのISは何故かシルエットの換装が出来るという能力が付いていた。

そして、三人の体は光に包まれた。

体が軽くなるような感覚を覚え、各センサーが意識と繋がり世界が広がっていくように感じた。

瞬きするだけの時間、それだけの時間に三人の体は顔面だけを残した鉄灰色の装甲に覆われていた。

 

「本当に起動出来てしまいましたね……」

「ああ、これは厄介な事になるな」

 

千冬と真耶はキラとシンが本当にISを起動出来てしまった事に驚くと共にもし世界がキラとシンがISを動かせる事を知れば、あの手やこの手でキラとシンを手に入れようとするはずだ、そうなれば異世界から来た事がばれかねない。

 

「山田先生、次の指示を」

「あ、はい!」

 

真耶はキラ達に次の指示を与えるために通信を送る。

 

『次に武装のデータを取りますので、ホログラムのターゲットドローンを20機出しますので、全て撃墜して下さい。なお、ターゲットドローンはランダムに回避運動と反撃行動をします。反撃の実体ダメージはありませんけど気をつけて下さい』

『了解』

『まずはホークさんから取りますので準備をお願いします』

「了解」

 

ピットに備え付けられているカタパルトまで歩きルナマリアは歩いた。

カタパルトに到着したルナマリアはインパルスの両脚部をカタパルトにセットする。

 

「準備が整いました」

『分かりました、これよりインパルスの起動テストを行います』

 

ルナマリアが管制室に通信を送ると真耶から返事が届く。

 

『進路クリアー、システムオールグリーン、カタパルトの権限をホークさんに譲渡、ホークさん、発進どうぞ!』

「ルナマリア・ホーク、インパルス、出るわよ!」

 

カタパルトがルナマリアの体を押し出し、インパルスを纏ったルナマリアはアリーナへ躍り出た、それと同時にVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲を展開、機体の色を白、青に変化させた。

初めてのISでの空中飛行だが、少しふらつきながらもMSの経験が活かせているのか、それ程ひどいものでは無かった。

しばらくアリーナの中を回って飛行感覚をつかみ始めたルナマリアに麻耶から再び通信が入る。

 

『ホークさん、これよりドローンを出します、準備はいいですか?』

「あ、はい、大丈夫です」

『ではドローンを出します』

 

アリーナの所々にターゲットドローンが投影される。それを確認したルナマリアは右手にビームライフルを展開させドローンの中に突っ込んでいた。

 

 

その後、キラとシンの起動テストも終わりキラ達は管制室に集まっていた。

 

「では、ISはMSと同じ機体性能を持っている事は間違いは無いのだな?」

「はい、間違いありません」

 

先ほど行った起動テストではISにはMSと同じ性能を持っていることが判明した。

 

「ビーム兵器に誘導兵器、換装システム、さらには実弾を無効化するVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲ときたものだ、これは第三世代のISを超える性能だ」

「武器についてですが、ISに合わせてリミッターが掛かって出力は抑えられていますが、リミッターを解除すればMSと同等の威力は出ます」

 

次々から判明する問題に千冬は頭を悩ませる。

第三世代を超えた機体性能にさらにまだ企画段階も行っていない武装なども沢山ある。

ましてや、キラ達のISはMSの同等の力を持っている。

世界に知られれば、血眼になって手に入れるはずだ。

下手をすればそれこそ戦争になりかねない。

どうすれば良いのかと千冬が悩んでいるとキラが千冬に声をかけた。

 

「僕達のISについて考えがあるのですが?」

「言ってみろ」

 

キラは一つの考えを千冬と真耶に話し始めた。

 

「なるほど、その手があったな!」

「これなら、各国も手が出せですね!」

 

それはキラ達のISはIS学園内で開発された機体にする事であった。

IS学園はありとあらゆる国家・組織・団体に介入されない中立の立場に近い、つまりIS学園内で開発された機体は、データ開示を求められてもIS学園側が拒否する事で国家・組織・団体の介入を防ぐ事ができる。

 

「となると君達のその機体を手に入れるシナリオも用意しないといけない」

「でも、それ以前に俺達、戸籍なんか持っていませんよ」

「そうですね、まずは戸籍を用意しないと始まりませんね……」

 

この世界に転移したキラ達には戸籍がない。

そこにキラがとんでもない事を言い出した。

 

「許可を頂けるのでしたら、僕がハッキングを施し、戸籍を偽造します」

 

さすがの千冬もキラの発言には驚いてしまった。

だが、他に選択肢は無かった。

政府関係者にいる千冬の知り合いに頼めば戸籍を作る事は出来る、しかし、そのような事をすればそこからキラ達の正体に気付かれる可能性もある。

千冬はハッキングの許可を出した。

キラはすぐさま、持ち前の技術でハッキングを施し、3人の戸籍を日本国籍で偽造した。

そして、キラ達の用意されたシナリオはキラ達はIS学園内で行われているIS開発チームに所属しているメンバーでキラはチームリーダー、シンはキラの補佐役、ルナマリアはISのテストパイロットとして働いているという設定、そこで開発していたISがキラとシンに反応するというシナリオであった。

 

そして、その二日後には世界中にISを使うことができる男『キラ・ヤマト』と『シン・アスカ』の名が知れ渡ったるのであった。

次はいよいよ一夏達の登場です。


 
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