No.463073

乱世を歩む武人~第二十一話~

RINさん

ついになろうが恋姫を認めましたね・・・こっちどうしようかな。

2012-07-31 22:33:13 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:5004   閲覧ユーザー数:4268

~一刀 side~

 

一刀

「ん~いい天気だな~」

 

今は丁度昼頃だ。街は活気づいておりまるで俺を誘いかのようにいい匂いをさせている。

 

一刀

「今日はどうするか・・・お腹は空いているが食べたいものが決まっていないぞ・・・?」

 

肉まん、ラーメン、麻婆このあたりはなんでも揃っているので非常に迷うところだ。

 

一刀

「チャーシュー丼なんかもいいよな。ああ、そういえばビーフシチューなんてものあったんだよなぁ・・・なんでこの世界にあるんだろう?」

 

桂花

「・・・何一人で陰気臭くブツブツと呟いてるの?頭おかしくなった?」

 

俺が昼のメニューを考えていたら桂花が現れた。・・・しまった。口に出ていたか。

 

一刀

「独り言を言ってたのはみとめるけどいきなりそれかよ・・・」

 

桂花

「こっちとしてはおかしくなったのなら華琳さまに処分を申し出られるから楽なんだけど」

 

・・・相変わらず歩み寄る余地がない。弟の桂枝はあんなにいいやつだっていうのに。本当に姉弟かこいつら?

 

桂花

「まぁあなたが頭のおかしい女となれば見境なしのケダモノ以下なのは今に始まったことじゃないものね。それよりそのケダモノ以下としてのあなたならわかると思うんだけど・・・」

 

一刀

「そんな無茶苦茶いわなくても・・・」

 

桂花

「風と桂枝をしらない?稟はみつけることができたのだけどあの二人が見当たらないのよ。」

 

一刀

「いや、知らないけど・・・荀攸までいないのか。ってことは昼飯か?」

 

桂花

「馬鹿ね。あの子は三歩進んだらすぐに忘れる鳥頭以下なアンタじゃないんだから。ちゃんと用意していったわよ。」

 

・・・さすがだなあいつ。ってかその所作は完全に弟というか母親のそれじゃないか?

 

一刀

「ってことは仕事か・・・珍しいな。桂花が二人に仕事を頼むなんて。」

 

俺が見た感じだと桂花はあの二人のこと煙たがっていたと思ったんだけど・・・

 

桂花

「あの二人は華琳さまが私達の負担を軽くするためにつけて下さったのよ?それに、あの鼻血癖が治らないうちは稟は相手にならないし、風は華琳さまにそういう感情をもっていなそうだわ。」

 

・・・かなり意識してるじゃん。

 

桂花

「あとちょっと・・・桂枝に対する目がきになるけどね。」

 

一刀

「ん?なにか言ったか?」

 

桂花

「なんでもないわ。それよりあの二人を見つけたら城に戻るように言っておいて。いいわね。」

 

一刀

「ああ、わかったよ。」

 

そういってさっさと行ってしまった。

 

一刀

「さて・・・あの二人か。なんか珍しい組み合わせに聞こえるなぁ。」

 

そもそも桂花以外の人といる荀攸というのが珍しい。季衣や流琉にはなつかれているみたいだがそれでもあまり一緒にいるイメージはない。

 

「にゃー」

 

気がついたら一匹の猫が現れてこちらを見上げていた。

 

一刀

「ん?猫か・・・なぁ。お前は知ってるか?お前みたいなヤツともう一人。」

 

「・・・にゃ?」

 

まぁ答えられるわけすらないわな。

 

「にゃー」

 

一刀

「って、おい・・・」

 

そう思っていたらまるで俺の言葉がわかるかのように猫が前を走りだして・・・

 

一刀

「どこいった・・・?」

 

と細い道を覗いてみた。すると・・・

 

「おぉ、桂枝さんはいつの間にこんな特技を手に入れたので?」

 

桂枝

「さて・・・いつだったかなぁ。忘れてしまったよ。」

 

数匹の猫に乗られて困り顔の桂枝と風がそこにいた。

 

 

 

 

 

 

「にゃー」

 

猫1

「・・・にゃーっ」

 

「おぉ、機嫌を損ねてしまったのです。失敬失敬」

 

猫2

「フシャーッ!」

 

桂枝

「・・・なんかコッチも怒ってるな。たってる爪が痛い。」

 

「おおぅ。風は悲しいのです。何故こんなにも差がついてしまったのか。風は、猫の嫌いな匂いでも出ているのですか・・・?」

 

そういって手を嗅いでみたり。桂枝は膝の上にいる猫三匹に戸惑っている様子。・・・なんだか奇妙な組み合わせから奇妙な空気がでている。

 

猫3

「・・・ふにゃ?」

 

「むむむ・・・糸口をみつけたり。この子なら陥落できるかもしれないのです。」

 

桂枝

「いやぁ・・・眠いだけなんじゃないかなぁと思うぞ俺は」

 

だがその空気がなんだか面白いのでこのまま放置して見ることにした。

 

「とにかくやってみるのです・・・にゃーっ?」

 

猫3

「・・・zzz」

 

猫2

「ふーーーっ!」

 

桂枝

「寝ちゃったぞ・・・?おいそっち、爪。爪痛いから立てるなって」

 

「・・・そういえばにゃーとは声なのですか?」

 

桂枝

「・・・どうなんだろうな。わからん。」

 

「鳴き声というからには声なのだと思っていたのですが・・・はてさて」

 

何やら言いながら納得した様子で寝ている猫にずいっと顔を近づける。

 

「にゃーお、にゃーお、」

 

猫1

「うにゃーっ!」

 

「おおぅ・・・びっくりしたのです。」

 

桂枝

「そうか。俺はさっきからお前の行動にびっくりしっぱなしだ。」

 

・・・アレで驚いてたのか?荀攸の言葉に非常に同意したくなる俺がいる。

 

「考えてみれば言葉であったとしても猫語を解さぬ風がいたずらににゃあと声をかけてみるのも危険な試み。桂枝さん。ちょっとやってみてはいただけませんか?」

 

桂枝

「・・・何をだ?」

 

「ですからちょっと猫語でその膝にいる猫たちに話しかけてみてくださいということなのですよ。」

 

桂枝

「・・・本気で?」

 

「大真面目なのです。」

 

じっとみること数秒。やがて荀攸ははぁ、と溜息を吐き出し。

 

桂枝

「まぁやるだけならいいか・・・にゃ・・・にゃあ?」

 

猫1

「にゃー」

 

「・・・なんと」

 

荀攸が照れを残しつつにゃあと言ったところなんと風を警戒していた猫が荀攸のお腹らへんにすりよってきた。

 

「むむむ・・・一体桂枝さんはなんといったのですか?」

 

桂枝

「いや・・・「そろそろどいてくれないか。」という思いを一応込めたんだけど。」

 

「なるほど・・・それがこの子には「こいよ。いい夢を見させてやるぜ」とでも聞こえたんですかねー。」

 

桂枝

「知らんよ・・・」

 

そういいつつも猫をなでてやる荀攸。

 

「むむむ・・・考えてみれば桂枝さんは桂花ちゃんのような気難しい雌猫にもなつかれているじゃないですか。この猫たらし。」

 

桂枝

「いや、猫たらしってなんだよ・・・確かに猫はよく寄ってくるけどさ。」

 

「しかし桂枝さんの魅力に堕落しきったこの子ならばいけるかもしれないのです・・・!」

 

そういってゆっくりと手を伸ばす風そしてもう少しで手が触れると思ったその時・・・

 

猫1

「ふしゃ!」

 

一刀

「あっ!」

 

先ほどまで喜んでいた顔を一転。風をひっかくと爪を走らせた。

 

桂枝

「おっと」

 

それを猫のひっかきよりなお早く風の手と猫の手の間に手を挟み風への攻撃を防いだ。

 

「おぉ!・・・本当にびっくりしたのです。腕は大丈夫ですか?桂枝さん。」

 

桂枝

「ああ。問題ないよ。こら、ダメだぞ。俺の大事な人なんだから。」

 

ほら、いったいった。と猫を軽く叩いて起こし膝の上からどかす。

 

猫たちはゆっくりとその場を離れていった。・・・なんか遠くにもわらわらと猫がいた気がしたが今はそんな事どうでもいい。

 

「・・・桂枝さん。そっちの隠した方の手を「荀攸!大丈夫か?」」

 

風が何か言おうしていたそれも遮り俺は荀攸に声をかけた。もし傷を負ったのならば猫の爪には雑菌が多い。早く消毒してやらないと手がひどいことになる。

 

桂枝

「ん?ああ・・・さっきから誰か居ると思ったらお前か。」

 

ようやく気づいたかのように荀攸がこちらを向いてきた。相変わらず手は隠したままだ。

 

「お兄さんじゃないですか。ちょっと今は忙しいので後にしてもらえませんかね。桂枝さん。そっちの隠した方の手、見せていただけないでしょうか?」

 

さきほどまでのまったりした空気ではなく真面目な声で話しかける風。

 

桂枝

「・・・見苦しい思って隠したのだがね。」

 

そう言いいながら外套から伸ばしたその手首の奥には新しくできたと思われる線のような傷が3つ。

 

ちょど爪あとみたいになっているしじんわりとだが血も出ているし間違い無くコレだろう。しかし・・・

 

「血があまり出てませんね・・・」

 

一刀

「これ・・・だよな?なんで血が少ししか出てないんだ?」

 

そう、血が出なさすぎだ。普通こんなに脈の近くをやられたら相当量の血がでるはずなんだけど・・・

 

桂枝

「氣で無理やり止めてるんだ。しばらくはこのままにできるよ。そういう意味合いで問題ないといったんだ。」

 

一刀

「・・・氣ってすげぇんだな。」

 

そんなふうに感心していた俺だが・・・風の目付きは全然変わっていない。

 

「桂枝さん・・・風に嘘をついてはいませんね?」

 

桂枝

「ああ。ついていないけど・・・それが?」

 

「なら言い方を変えさせてもらうのです。桂枝さん。「腕の傷」は大丈夫なのですか?」

 

桂枝

「・・・」

 

荀攸はついっと目をそらした。どういうことだ?腕の傷は大丈夫・・・あ、そうか。

 

一刀

「それって・・・もしかして血は止められても傷自体は特に何も変わってないってことか?」

 

桂枝

「・・・ああ。そうだな。」

 

あいかわらず目をそらしながらも荀攸はそう答えた。

 

「やっぱり・・・さて、ごめんなさいお兄さん。風はこれからやることができたのでもう行かなければならないのです。おおかた桂花ちゃんあたりが呼んでいたってところでしょうか?」

 

一刀

「ああ、そうだ。桂花がお前たちのこと呼んでたんだ。」

 

「わかりましたのです。次にあったら風は桂枝さんを医務室に連れて行ってからそっちに行くと伝えておいてください。」

 

桂枝

「おい風。俺一人で大丈夫だって」

 

「信用できませんねー。さて行きましょう桂枝さん。早く治療しないと腫れて大変なことになるんですからね。」

 

そういって傷を負った手とは逆側の手をとり荀攸を引っ張るような形で二人は城に向かっていった。

 

一刀

「・・・大丈夫かな。後で様子聞きに行くか。」

 

とりあえず俺にできることはここまでだろう・・・そう思って遅めの昼食を適当に取りに行く事にしたのだった。

 

~一刀 side out~

 

 

 

 

 

 

 

桂枝

「おい、引っ張るなって」

 

「ダメですよー。ちゃんと手当しないと腫れあがるのです。」

 

結局城の医務室まで引っ張られてしまった。ちょうど担当医はいないようだ。

 

仕方ないので自分で布を用意し傷の消毒用の薬草を取り出した。

 

桂枝

「・・・ちょっと目を逸らしてろ」

 

ここで氣を解除したらかなりの血が流れることが予想される。見せるべきものじゃない。

 

「嫌です。」

 

即答。その目はじっと傷口を見ていた。

 

桂枝

「ほら、血がかなり出るからさ。」

 

布に粉状にした薬草を水に溶かして染み込ませる。別に濡れた布を用意し傷口を洗う準備をすすめる。

 

「わかってて言ってるのです。」

 

桂枝

(こうなると聞かないからな・・・)

 

普段は掴みどころのないくせに変なところで意思が固い。

 

仕方なしに氣を解除。想像通り流れる大量の血。

 

このまま止血してしまいたかったが一度傷口を晒し出さないと爪にあった汚れも洗い落とせないからだ。

 

そのまま濡れた布を使い傷口を拭き始めた。・・・結構痛い。

 

「貸すのです。」

 

そういって私の布をとりさり私の傷を拭きはじめた。

 

桂枝

「返せ風。自分でやらないと痛いからさ・・・血も付くし。」

 

「痛みは我慢するのです。血は気にならないのです。いいから風にやらせて欲しいのですよ。」

 

あいかわらず意思を曲げないその瞳。もう何を言っても聞かないだろう。

 

しばらく後血もある程度止まったのを見計らい薬草を染み込ませた布を巻きつけ縛った。これで大丈夫だろう。

 

桂枝

「おし、これで処置は終わりだ。ありがとうな。風」

 

「・・・桂枝さんはいつもそうなのです。」

 

桂枝

「・・・む?」

 

「一緒に益州に向かった時もそうでした。夜、風達が寝ていれば起こさずに寝ずの番を1人でずっとしているし、賊がいたら安全な場所に風達を隠して1人で倒しに行っちゃうし・・・」

 

桂枝

「それが護衛を頼まれた者の役割だろう?」

 

「でも・・・それならそうといって欲しいのですよ。戦ったと。番をしたと。さり気なく誘導して気づかないうちにいつも終わらせようとしている。そして今回のようにその傷を隠そうとする。

 

知ってるんですよ。稟ちゃんも、風も、その体中には無数の傷がついていること。そのほとんどが私達の護衛の時についたことも・・・」

 

上手く隠していたつもりだったんだがな・・・

 

「ねぇ桂枝さん。どうしてそこまでしてくれるんですか?ただご飯をあげてちょっと医者に見せただけの風達にたいして何故当たり前のように体を張ってくれるんですか?」

 

真っ直ぐな瞳のまま風はこちらを見つめ続けている。

 

桂枝

「・・・真名」

 

「え?」

 

桂枝

「俺の真名。呼んでくれるだろ?風達は。初対面でいきなり預けたっていうのにだぜ?ただそういう矜持があると教えただけでだ。」

 

「最初から悪人には見えませんでしたから。」

 

桂枝

「それでも、だよ。俺さ・・・全く関係のない他人相手に預けたのって風達が初めてだったんだぜ?」

 

「・・・そうだったのですか?」

 

桂枝

「ああ。その数日後にこれから一緒に旅をするからってお前らの真名を預けてくれたじゃん。・・・嬉しかったんだよ、すごく。「人に信用してもらえる」ってことが。「家族以外の人の役に立てる」ってことが。

 

ーーーーだから俺は決めているんだ。俺が真名を交換した人・・・身内が俺の手の届く範囲にいたら絶対に守るって。でもそんなのお前らには関係無いだろう?俺の勝手でやってることだし。だからなるべく俺の行動は見せないようにしてるんだよ。それでお礼を言われても恥ずかしいしな。」

 

大切な人を守ることはあくまで私の自分本位な行動。わざわざお礼を言われる筋合いもないので見えないところでやれるならばそれでいい。

 

風は話の間もじっと私の目をみていた。

 

話を聴き終わって数秒の沈黙。すると何を思ったのか風はこちらによってきて・・・

 

「よいしょっと。」

 

膝に乗っかってきた。

 

「・・・桂枝さんは変人なのです。」

 

桂枝

「自覚はしているつもりだ。ってか風にそれを言われるのかよ。」

 

お前だって相当変な部類だろうに。というのはあえて口には出さない。

 

「でも・・・優しいのです。」

 

桂枝

「・・・身内にだけな」

 

「ならば身内である風にとっては優しい変人であることには変わりないのですよ。」

 

桂枝

「いや、優しい変人って・・・」

 

なんだか嫌な名称だなおい。

 

「でも・・・そんな変人が気に入ってる風も変わり者なのです」

 

風が小さくボソっと何かを呟いた。それこそ背中越しにもわかないほど小さな声で。

 

桂枝

「ん?なにか言ったか?」

 

「この膝は落ち着くいい膝だなーといっただけなのですよ。ほら・・・こんな風に・・・ぐー」

 

そういってこちらに体を預けて寝始めてしまった。

 

桂枝

「おい、風。起きろって。姉貴に呼ばれてるんだからさ。」

 

そういって体を揺らしてみるが・・・

 

「・・・ぐー」

 

全く起きる気配がなかった。

 

桂枝

「・・・仕方ない。しばらくこうしてるしかないか。」

 

私は起こすことを早々に放棄しとりあえず手の届く範囲にあるものだけ片付けた後ぼーっとして過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく後、北郷から話を聞いたという姉が駆けつけ。この光景をみてこっぴどく怒られた。

 

その間も風はずっと安らいだ表情で寝ていた。

 


 
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