No.462947

英雄伝説~光と闇の軌跡~  外伝~工匠都市防衛戦~前篇

soranoさん

外伝~工匠都市防衛戦~前篇

2012-07-31 19:34:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:896   閲覧ユーザー数:855

~工匠都市ユイドラ・城壁上~

 

「なっ……………!」

敵襲の知らせを聞いたウィルは蟻のように群がっている魔族の軍を見て、信じられない表情をした。

「な、何よあれ~!?多すぎじゃない!!」

「どうやって、あんなに集めたんだよ~。」

「………総力戦と言った所か。」

「敵もそれだけ必死と言う訳ですね………」

あまりにも多い敵の数を見たエミリッタとシャルティは信じられない表情をし、ユエラとメロディアーナは冷静な表情で答えた。

(くっ………水那達は間に合わなかったか……!もっと早くに頼んでおけば、こんな事には……!)

ウィルは自分の判断不足を心の中で呪った。

「どれだけ来ようと………ウィルやユエラ達の敵は殺す………!」

ラグスムエナは大鎌を構えて、戦闘態勢に入った。

「ウィル!今までのように討って出るのは危険過ぎます!」

「わかっている!裏門を防衛しているレグナー達に通達!門を堅く閉じて、敵の侵入を食い止めろ!空を飛んで侵入してくる敵を優先的に撃退!絶対に街に入らせるな!」

セラウィの忠告に頷いたウィルはユイドラ兵達に伝令をした。

「「「「ハッ!」」」」

伝令に頷いた兵士達は報告に向かった。

「ルリエンよ………我等に勝利を………」

「軍神の戦士として、この命、果てるまで戦い抜きます。」

「………この私がいる限り、ロカ様は殺させません。」

フォーチュラは戦闘前の祈りをし、ロカは静かに槍を構え、イルザーブも剣を構えた。

 

「フフ………腕がなるわね♪」

「フン。雑魚がいくら群がろうが無駄な事を。」

カーリアンやファーミシルスは敵の大群を見て、不敵に笑っていた。

「キャハッ♪一杯遊べそう♪」

「余達がいるのだ!敵がいくらいようと、負けはない!」

「うふふふ……今日はどれだけ殲滅しようかしら♪」

エヴリーヌやリフィア、レンは可愛らしい容姿ながら敵の大群に腰が引けているユイドラ兵達と違って、楽しそうな表情をしていた。

「…………どうやらお前をここに連れて来て正解だったようだな、シェラ。期待しているぞ。」

リウイは先日、”帰還の耳飾り”によってメンフィルから一時的に呼び寄せて来た部下――シェラ・エルサリスを見て言った。

「ハッ。」

リウイに見られたシェラは軽く頷いた。

「ペテレーネ。久しぶりかもしれんが、衛生兵として頼むぞ。」

「お任せを。手が空いていれば私も援護させて頂きます。」

「マーリオン。お前はペテレーネ達の補佐だ。教会で待機しているシスター達の護衛や補佐を頼むぞ。」

「了解しました…………」

リウイの指示にペテレーネは会釈をして頷き、マーリオンも頷いた。そしてペテレーネとマーリオンはユイドラにある教会を仕切っているシスター――ハンナを中心としたユイドラの女性達による衛生部隊の所に向かった。

「ツーヤ、イリーナさん。絶対に私達から離れないで下さいね。それと無理は禁物です。無理と思ったら、街の人達が避難している場所に撤退して下さいね。」

「はい!」

「ご主人様は絶対に守ります………!」

プリネの指示にイリーナは頷き、ツーヤは凛とした表情でプリネを守る事を改めて固く誓った。そしてプリネは召喚した自分の使い魔達にも向いて言った。

「ペルル、フィニリィ。大変とは思いますが、精一杯頑張って下さい。」

「勿論だよ!ボク達の未来のためにも頑張らないとね!」

「当然ですわ!わたくしにとっても思い出があるこの街をあのような魔物共に壊させはしませんわ!」

プリネの頼みにペルルとフィニリィはそれぞれ力強く頷いた。

 

「お父さん、お母さん!」

そこに武装したセティ達――ウィルの娘達が来た。

「3人とも!?ここは危険だ!早く、避難所に!」

娘達の登場にウィルは驚いた後、すぐに警告した。

「私達も戦います!」

「そうだよ!一人でも戦える人が必要なんだから、母さん達に鍛えてもらった私達も戦わないと!」

「………シャマーラの言う通りです。ユイドラを守りたい気持ちは父様達に負けません。」

セティは弓を掲げ、シャマーラは大剣を掲げ、エリナは槍を掲げて戦う意思を強く言った。

「そんな!危険過ぎます!」

娘達の決意を聞いたセラウィは驚いた後、セティ達を心配した。

「う~ん………さすがにあんた達じゃ、この状況で戦うのは厳しいんじゃないかな~?」

「………ええ。ですが3人がある程度の武を持っているのも確か……どうしますか、ウィル。」

シャルティも珍しく渋い表情で答え。メロディアーナは頷いた後、ウィルに判断を求めた。

「……………………」

判断を迫られたウィルはその場で考え込んでいた。

「私達、お父さん達の無事を祈って待っているだけじゃ、嫌なんです!」

「母さんやユエラ姉さん達に鍛えてもらったんだから、ある程度は戦えるよ!私達もユイドラを守らせて!」

「………お願いします、父様。」

「……………………わかった。」

「ウィル!?」

決意を持った表情の娘達を見て、許可を出したウィルにセラウィは驚いた。

「セティ達のこの様子を見たら、ここで断っても隠れて戦いそうだからね………だったら、目が届く所で戦ってくれた方が安心できるよ。」

「それはそうですが…………」

ウィルの話を聞いたセラウィは納得はしていたが、それでもまだ心配していた。

 

「心配するな、セラウィ。私達がいるんだ。」

「そうだよ!危なくなったら、あたし達がフォローすればいいだけだし!」

「みんな………守る………」

心配しているセラウィにユエラ達は心強い言葉をかけた。

「………わかりました。ですが、私達のように決して一人で戦わないで下さいね?」

「3人で協力して戦う事。いいね?」

「「「はい!!」」」

セラウィとウィルの言葉にセティ達は力強く頷いた。そしてついに魔族の大群がユイドラのかなり近くに近付いて来た…………!

 

 

 

 


 
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