No.462784 IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−ファントムさん 2012-07-31 12:28:10 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2909 閲覧ユーザー数:2769 |
episode35 所属不明機
そうして時間は十一時半・・・・・
浜辺に立つ一夏と箒は目を合わせるとうなずき合う。
「来い、白式!」
「行くぞ、紅椿!」
そして二人はISを展開して身に纏った。
「じゃぁ、よろしく頼むぞ、箒」
「本来なら男が私の上に乗るなどプライドが許さないが、今回は特別だ
と、箒は言うが、その声は少し弾んでいるように聞こえた。
(専用機を貰ってからこの調子だよな・・・大丈夫か心配だ・・・)
『二人とも、聞こえているな』
と、千冬より通信が入る。
「はい」
「聞こえます」
『よし。今回の作戦の要は一撃必殺だ。短時間で決着をつけるように心がけろ」
「はい」
「織斑先生。私は状況に応じてサポートを行えばいいのでしょうか?」
『そうだな。だが、無理をするな。お前は専用機を持っての実戦経験は皆無だ。何が起こるか分からん。注意しろ」
「分かりました」
と、一見すれば冷静に言っているように見えるが、どうも声に弾みがある。
『―――織斑』
『は、はい!』
と、今度はプライベートチャンネルで通信を入れられて、一夏はとっさに切り替えた。
『どうも篠ノ之は浮かれているな。あの状態では何かを仕損じるかもしれん。その時はお前がサポートに回ってやれ』
『分かりました』
そうして通信がオープンチャンネルに変わった。
『織斑先生・・ちょっといいですか』
すると隼人の声が入ってきた。
『どうした神風』
『箒に伝えることがあります。手早く伝えますから』
『・・いいだろう』
『箒・・聞こえているな』
「隼人か」
『専用機を貰って嬉しいのは分かるが・・・あまり熱くなりすぎるなよ』
「分かっている」
『それと思う一つ・・・頭の中にこれだけは叩き込んでおけ』
「なんだ?」
『・・周りを注意深く見ろ・・・分かったか』
「あぁ。承知した」
そうして一夏が箒の背中に乗った。
『では、始め!』
そして千冬の合図と共に箒は一気に飛び出した。
「な、なんて速さですの!?」
「瞬間加速なんか目じゃないよ」
「・・驚異的な加速だ」
と、大広間で残った専用機持ちはモニターでその様子を見ていた。
(・・・箒・・あの様子じゃ分かってないな・・・)
隼人はどうも箒が絶対何かをやらかすということが脳裏を過ぎっていた。
「織斑君と篠ノ之さんが福音と接触!戦闘を開始しました!」
そうして二人が福音と交戦に入った。
(何も起こらなければ良いんだが・・・・)
「っ!?」
すると、レーダーが何かを探知して、警報を発した。
「なんだ!」
「これは・・・!?大変です!」
「どうした」
「教員の封鎖ラインを超えて、所属不明のISが侵入していました!」
「なんだと!」
レーダーには赤い点がどんどん高速で進行していた。
「このままですとあと十分後に織斑君たちと接触します!」
「・・このタイミングで・・・」
「・・織斑先生」
と、隼人が千冬に声を掛けた
「何だ神風?」
「俺にISの使用許可を出してください。侵入してきたISを迎撃に行きます」
「お前が?」
「バンシィの新機構を使えば侵入者よりも先回りして一夏たちのところには行かせないようにします」
「・・・・・・」
「お願いします」
「・・・・分かった。今すぐに侵入者の迎撃に向かえ」
「ありがとうございます。それと、エリーナも同行させてもらっても良いでしょうか」
「ハルトマンを?」
「え?うち?」とエリーナは驚く。
「・・・いいだろう。ハルトマンも迎撃に向かえ」
「は、はい!」
そして隼人が大広間を出ると、エリーナもその後についていく・・・・・
「ってか、なんでうちも連れて行くんや?」
と、浜辺に向かう間にエリーナは隼人に聞く。
「相手がどんなISなのか分からない以上、二人は必要だ。前衛と後衛でな」
「なるほどな。少なくともあんたはうちの狙撃の技術を認めたってわけやな」
「・・・そう思えばいい」
そうして浜辺に着くと同時に二人はISを展開した。
「で、新機構って一体何や?」
「・・俺が先行する。ちゃんと後で来いよ」
「・・・?」
「・・・カートリッジリロード・・・ブースター!」
《Road cartridge ... booster(ロードカートリッジ・・・ブースター)》
そして背中のバックパック内でカートリッジがリロードされると、ブースターがデストロイモード時のように展開して四基に増設した。
「っ!」
そしてバンシィはその場から一瞬で飛び出した。
「は、早っ!?」
エリーナが気づいた時にはバンシィはもう空の向こうに飛んでいっていた。
「こういうことか!もうちょい分かりやすく説明せぇや!」
そしてエリーナも背中のユニットを起動させて空に飛び上がった・・・・
(くっ・・・!こんなにもGが掛かるのか・・・!)
隼人は尋常ではない加速に顔を歪ませていた。
「・・っ!・・見えた!」
そしてたった数分で所属不明のISを肉眼で確認するほどの距離まで来た。
「うおぉぉぉぉ!!」
隼人は急停止を掛けながら右腕のアームド・アーマーBSを展開してビームを放った。
しかし所属不明機はビームを軽くかわした。
「この距離でかわすだと!?」
そして隼人は所属不明機の前で止まり、所属不明機を見る。
装甲構成は従来のISとほぼ大差は無いが、従来のものと比べると細身で、身体にフィットした感じであった。カラーリングはオレンジをメインに、各所にオレンジ味のかかった白のパーツがあり、後ろ腰には間接が複数ある尻尾があり、背中にはバックユニットがあり、膝、肘、バックユニットからは半透明の緑のパーツが飛び出ていた。胸部に装甲が施され、そこに銃口らしきものがあった。頭部のデバイスには頭に一本の角を持ち、両目を覆うように黒いバイザーが付けられており、横に一本筋があった。右手には先端に半透明の緑をした長いスピアを持っていた。
「こいつは・・・」
隼人は右手にバスターソードを展開すると、所属不明機のバイザーが一本筋に緑色に発光すると、スピアを回すと、先端を隼人に向けた。
「やる気満々か・・・。いいだろう」
そして両者は同時に飛び出した。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
隼人はバスターソードを振り下ろすが、所属不明機は後ろに飛んでかわすと、スピアを勢いよく突き出した。
隼人はとっさにバスターソードを前に出して刀身で受け止め、そのまま所属不明機を押し返すと同時に左腕のビームトンファーを展開して振るうが、所属不明機はスピア先端で受け流してかわす。
「ちっ!」
隼人はバスターソードにマガジンを装填すると、カートリッジをリロードする。
そしてそのまま勢いよく振るい、光波を放った。
所属不明機は光波を避けると、スピア先端を隼人に向けるとそこからビームを放った。
「甘いな!」
と、隼人はビームをかわすと、光波を大きく迂回させて所属不明機に向かわせた。
「・・・・・」
しかし所属不明機はスピア上部先端の半透明の緑の部分より短い鎌のようにビーム刃を出すと、勢いよく振り向き際に振り上げて光波を切り裂いた。
(気が付かれただと!?)
隼人が驚いていると所属不明機はスピアの反対側も短い釜のような形状のビーム刃を出すと、隼人に向かっていく。
「ちっ!」
隼人はバスターソードより空薬莢を排出すると、そのまま勢いよく振るい、所属不明機もスピアを振るい、刃同時が交じり合う。
「お前は何者だ・・・。何が目的で侵入してきた」
「・・・・・・・」
所属不明機は何も答えない。
「だんまりか・・・。まぁ当然か・・・。なら、力ずくで聞き出すまでだ!」
そして隼人はバンシィの右腕に内蔵されているカートリッジをリロードした。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
隼人はカートリッジのパワーで強引に所属不明機を弾き飛ばすと、右腕下部より空薬莢を排出する。
そして所属不明機は体勢を立て直すと、隼人に向かっていくが・・・・
「・・・・・」
すると遠くよりビームが飛んできて。とっさにビームを回避した。
「やっと来たか」
そして隼人がビームが飛んできた方を見ると、スナイパーライフルを構えたアルテミスが接近していた。
『仕方がないやろ!隼人がめっさ速く飛んで行ってもうたから来るのに苦労したわ!』
そうして隼人に近くで止まると、所属不明機を見る。
「しかしただもんや無いな・・。うちの射撃をすべてかわすとはな」
「そうだな・・・・」
そして二人は気を引き締め、エリーナは額のV型アンテナを下ろしてスナイパーセンサーを出す。
「援護は任せたぞ」
「任せときな!」
そして隼人が飛び出し、エリーナは少し離れてスナイパーライフルを構える。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
隼人はバスターソードを横に振るうが、所属不明機はスピア先端のビーム刃で防ぐと、そのまま後ろに下がり、左掌にある銃口より小粒のビームを連続で放っていく。
隼人はビームをかわしていくと、エリーナがスナイパーライフルを放ったが、所属不明機はスピアを振るってビーム刃で切り払った。
「そこだ!」
そしてその隙を狙って隼人が一気に飛び出して左腕のビームトンファーを振るう。
しかし所属不明機はすぐにスピアを前に出してビーム刃を受け止めた。
「くっ!」
すると所属不明機は胸部の装甲の銃口にエネルギーを溜めた。
「・・アクセル!」
そして隼人はとっさに背中のバックパックのカートリッジをリロードすると、一瞬で所属不明機の前から消え、胸部よりビームが放たれた。
「もらった!」
そして所属不明機の背後に回りこんだ隼人はバスターソードを振り下ろす。
「・・・・・・」
しかし所属不明機はそのまま尻尾を振り上げて隼人を弾き飛ばした。
「くっ!」
そして所属不明機がスピアを振り上げようとするが・・・・・
「させへんで!」
するとエリーナがスナイパーライフルを放って、所属不明機に直撃させた。
「隼人!」
「っ!」
隼人はとっさに後ろに飛んで距離を置くと、バスターソードを縦に展開すると、そこからビーム弾を放つが、所属不明機は左腕を前に出してピンポイントにバリアを出してビームを弾いた。
「くっ・・・強い・・・」
隼人はバックパックより空薬莢を排出した。
「・・・・トランスミッター・・・・・起動」
すると、所属不明機の膝、肘、バックユニットが展開するとグレーのパーツの縁に半透明の緑があるユニットが出てきた。
「何をする気だ・・・」
そして展開して出てきたユニットの半透明の緑の部分が発光すると、そこより黄色の光球が機体の周りに出てきた。
「なんやあれ?蛍か?」
「そんなわけないだろ」
「・・・・ビット・・」
そして光球は一気に隼人たちに向かって行った。
「っ!」
隼人はとっさにスラスターを噴射して後退していく。
「な、何なんやこれ!?」
エリーナはとっさに後退して、スナイパーライフルを光球に向けて放つが、光球はビームをかわして行く。
「こいつ・・・エネルギー体のビットか!」
隼人は向かってくるビットをバスターソードを振るって切り裂く。
「厄介なもん使ってきよって!」
エリーナは左足にあるホルスターよりビームガンを出すと左手に持ち、スナイパーライフルと併用してビームを放ち、ビットを撃ち落していく。
「っ!」
すると一気にビットが接近してきて、エリーナはとっさに両肩のシールドを前に回した。
そしてビットがシールドに直撃して爆発を起こした。
「ぐぅ!」
エリーナは爆発で吹き飛ばされて、シールドは複数の丸く抉れた跡があった。
「結構効くなこれ・・・」
すると、額辺りにあるスナイパーセンサーから電気が出る。
「くそ・・・さっきの攻撃でスナイパーセンサーが・・・」
「うおぉぉぉぉぉ!!」
隼人は一気に飛び出すと、バスターソードを振るうが、所属不明機はスピアを振るって斬撃を止めた。
そして所属不明機は後ろに下がると、スピアを真ん中で二つに切り離して両手に持つと、再度隼人に向かっていき、スピアを振り下ろしてきた。
「ちっ!」
隼人はビームトンファーを展開して、バスターソードと一緒に振るって斬撃を止めた。
「・・・カートリッジリロード・・・・フルアーム!」
《yes sir(了解)》
そして両腕にカートリッジをリロードした。
「・・・吹き飛べ!!」
そして隼人はカートリッジのパワーで強引に所属不明機を吹き飛ばした。
「くっ・・・」
しかしその直後にめまいが襲った。
(カートリッジを少し使っただけでも・・・・こんなに疲れてしまうのか・・・・い、いや・・・初めて使うから・・・そう感じるのか・・・)
戦闘から少し激しい戦闘をしているが、それでも隼人は疲れることは無い・・・・
「っ・・・!」
そして所属不明機が一気に接近して、スピアを振るってきた。
隼人はとっさにバスターソードを前に出し、斬撃を受け止めた。
「くっ!」
そして所属不明機は隼人を押し返すと、スピアを振るってバンシィの右腕のアームド・アーマーBSを切り落とした。
「くそっ!」
そして所属不明機は左手のスピアを振るうが、隼人はとっさに左腕のビームトンファーを前に出して受け止めた。
(このままだと・・・・)
(・・・これが・・・オリジナルの強さ・・・・)
所属不明機のパイロットは隼人の強さに驚いていた・・・・
「・・・・・・」
『β(ベータ)・・・聞こえているかい?』
するとプライベートチャンネルで男性の声がする。
『ドクター・・・・』
『もう帰還してもいいよ。データは十分取れたからね』
『・・・そう』
『しかし・・・・本来であれば福音と君を戦わせる予定だったけど、まさか君のオリジナルが現れるとは予想外だったよ』
『・・・・』
『だが、そのおかげで君の強さが証明できた。データも予想以上に良いものが多く収拾できたよ』
『・・・・いいよ・・・・これが・・・私の成すべき事・・・』
『そうだよ・・・。いい子だね。何とかうまく撤退してくれよ』
『・・・分かった・・・ドクター』
そして所属不明機のパイロットは隼人を押し返すと、トランスミッターを展開してビットを多数放った。
「くっ!」
「またか!」
隼人とエリーナはとっさにビットを回避していくと、ビットが爆発して光を放った・・・・・
「・・・逃げられたか」
そして光が晴れた時にはもう所属不明機は居なくなっていた。
「センサーにも反応がない・・・って、言うより妨害されていて探知不能」
「そうか・・・。だが、一応こっちの目的は達した」
「せやな・・・。だけど、一夏たちは大丈夫か?」
「・・・・・・・」
『大変です神風君!ハルトマンさん!』
すると慌てた様子で山田先生から通信が入ってきた。
「どうしたんですか?」
『それが・・それが・・・!』
「・・・・」
隼人は山田先生の慌てっぷりが尋常でないことに不安が脳裏を過ぎった。
『織斑君と篠ノ之さんが福音に撃墜されました!』
「っ!?」
「なんやて!?」
『すぐに救出に向かってください!』
「りょ、了解!」
そして隼人とエリーナはすぐにデータに表示された一夏と箒が墜落した海域に向かう・・・・・
そして二人はその海域につくと、そこに一隻の船が居た。
「どういうことや・・・。海は教師達が封鎖したはずじゃ・・・」
「・・密漁船か・・・・」
そしてISのビーコンを辿ると、その密漁船に二人はいた。
「行くぞ・・事情を聞く必要がある」
「せやな」
そうして二人は密漁船に近づいた。
そして二人は事情を密漁船の船員に聞くと、一夏と箒を抱えて上空に上がる。
「どうだ?一夏の状態は」
「・・・かなりやばい状態や・・・。背中は焼け爛れているし、横腹は貫かれている」
「・・・・・」
「止血はできているようだけど・・・ISの生命維持装置でなんとか一命は取り留めている・・・」
「・・・・そうか」
「・・・箒のほうは?」
「・・・・・」
隼人は重々しく首を横に振る。
箒の目はうつろんで光が灯されておらず、ぴくりとも動かなかった。髪を結んでいたリボンは無くなっており、髪は広がっていた状態だった。
「何度も呼びかけているが・・・反応が無い・・・。一体何があったんだ・・・」
「・・考えたってしょうがないよ・・・・。とにかく急いで戻ろう」
「・・・あぁ」
そうして二人は急いで戻っていった・・・・・
後書き
今回現れた所属不明機・・・・まぁ、特徴を見たら分かるかな・・・。この辺りから原作と少し違う流れになる・・かも・・・
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!