No.462741

外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第30話

BLACKさん

この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

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2012-07-31 07:22:13 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1104   閲覧ユーザー数:1089

 

 

 

第30話  ヘリオボーグ基地攻防戦

 

 

 

 

 

ジュード達はヘリオボーグ基地へとやって来た。

 

「人の気配がない……」

 

そう言って辺りを見て回ると、ジュードはあるものを見つける。

 

「黒匣(ジン)の外装だ……」

 

ジュードのところに行ってみると、そこには斬られた痕のあるコンテナがあった。

 

「黒匣(ジン)を詰めていた荷のようですね……中はすべて破壊されています」

「ガイアスがこれをやったのかな……?」

「これだけの剣技出来る奴、そんなにいないだろ」

「大きな施設や倉庫は壊されていますが、その他の建物は残っているようです」

「つまり、目的が侵略や軍そのものの殲滅ではない、ということか」

 

アルヴィンは何か考えていたようで、エリーゼはそれを見て悟る。

 

「ミラ、バランさん捜しましょう」

「うむ」

 

そしてジュード達は建物に入り、少し進んでみて、外に出る。

 

「誰、か……」

 

そこに倒れている女性兵士が一人いた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

ジュードが治癒術でひとまず傷を治す。

 

「手間かけさせた……もう大丈夫だ」

「他に人が見当たらないんですけど……どこにいったか、わかりますか?」

「早くに逃げ出した者もいたが……連中のおかげでひどい混乱だったからな……」

「基地を襲撃した人物を見たのですか?」

「長剣の剣士と宙を飛ぶ女を中心に大勢の兵隊が波のように押し寄せた」

「間違いないよ……」

「ミュゼもいるようだな」

「やつら黒匣(ジン)を一切残らず破壊すると言って、我々に退去するよう要求してきたんだ」

「黒匣(ジン)を破壊?」

 

ジュードはそのことを聞いて、あることを答えに考え着いた。

 

「まさかガイアス……! 世界から黒匣(ジン)を消し去るつもりなんじゃっ!?」

「異界炉計画を潰すためにか!? 極端すぎだろ?」

「……いや、黒匣(ジン)がある限りエレンピオスの状況は変化しない。異界炉計画は何度でも立ち上がるだろう」

「ガイアスは、黒匣(ジン)をなくすことで、二つの世界の問題を、根本から解決する気なんだよ」

「正直しんどい話だが……ヤローならあり得るか、くそ。なら、バランは……」

「あの……バランという名前に……心当たりはありませんか? 黒匣(ジン)の技術者さんなんです」

「それなら……源霊匣(オリジン)を研究している棟かもしれない」

「源霊匣(オリジン)だと!?」

「ああ。兵装研究棟という所だが、今頃は……あまり期待しない方がいいかもな。

襲撃した連中もそこにいる可能性が高い」

「…………」

「アルヴィン……」

「大丈夫だ。……気にすんな。お前はガイアスのことだけ考えてろ」

「でも……」

「そうじゃねーだろ、お前は。前に進むんだろ」

「…………」

「正しいとか、人に優しくとか今は……そうじゃねえだろ」

「アルヴィン……ありがと」

「ねえねえ、その研究棟ってどこー?」

「この先に行ったところだ。まだあればの話だがな」

 

女性兵士は立ち上がる。

 

「気をつけろよ」

「あなたも気をつけてくださいね」

 

女性兵士は去っていった。

 

「アルヴィン?」

「大丈夫だ。問題ねーよ」

 

そして女性兵士の言われた方向に進むことにした。

しかし言われてやって来た棟にやって来たが、思ったよりも階があるためにバランが見つからない。

 

「バランの居場所も……ガイアスもこれじゃわからないな」

「他の場所を探そう」

 

その時アルヴィンはなにかを思いだしたのか、一つの部屋に入る。

 

「待ってくれ」

「どうかしたのか?」

 

アルヴィンがその部屋に入り、皆もそちらに入る。

 

「間違いない。アルクノアから渡ったデータで源霊匣(オリジン)の……ヴォルトってのを作ってたようだぜ」

「ヴォルト、か」

 

ミラがその名を聞いても思いつかない。

 

「セルシウス、知っているか?」

「はい」

 

セルシウスがミラの呼び出しに応じて、現れる。

 

「私と同じ、かつて存在していた雷の大精霊です。

私と同じころに死んだのですが……」

「源霊匣(オリジン)として蘇らせたか」

「ジランド、本気で源霊匣(オリジン)でエレンピオスを救おうとしていたんだ」

「救うのはいいが、誰かを犠牲にしてる時点で救われてもいいものじゃないけどな」

「なんだ? 源霊匣(オリジン)のやろう……半刻ぐらい前に強制起動された記憶があるな」

「誰かが源霊匣(オリジン)を動かしたのですか……?」

「…………」

「それは源霊匣(オリジン)はこの研究棟の上の階にのぼったみたいだぜ……」

「追うか?」

「そうしよう。もしかしたら、動かしたのはガイアスかもしれない」

「何か思い当たるのか?」

「確信はないけど、ガイアスはジランドと同じことを考えたのかも」

「源霊匣(オリジン)の可能性か?」

「うん。僕、ガイアスと会って話がしたい」

「ねえジュード、行くのはいいけど……どっちにしてもガイアスが、黒匣(ジン)を壊すつもりなら……もう話はできないんじゃ……」

「その時はその時だよ。ガイアスがそのつもりなら僕は……」

「いいのですか? ジュードさんはガイアスさんを尊敬しているのでしょう?

ミラさんを尊敬するのと同じように」

「私と同じ……」

「そんなんで、本気でやりあえるのかよ?」

「アルヴィンが、どうしてそこまで言うんですか」

「さっきの説教もそうだぞー! 調子にのるなよー!」

「いいんだ、エリーゼ」

 

ジュードは首を横に振る。

 

「僕はガイアスを尊敬している。だからって、ガイアスと同じ道じゃないと歩めないわけじゃないよ。

……そうじゃなきゃ、ガイアスやミラのような大人にはなれない」

「ジュード……」

「まあ、何にしろ、ヴォルトんとこ行こうぜ」

 

秋山が先頭で、ヴォルトを探そうとする。

部屋を出てすぐに棟全体が停電する。

 

「きゃっ!」

「暗いのいやー!!」

 

すぐに非常電源に切り替わり、電気がつく。

 

「基地の動力が落ちたんだ」

「慎重に行きましょう」

「エレベーターはまあ非常電源である以上、使えんだろうな」

 

仕方ないので階段で行くことにした。

そして登って行き、何とかヴォルトのいそうな場所につく。

そこは屋上ではないが、屋外だった。

そこにでかい雷を帯びた球体があった。

 

「あれが源霊匣(オリジン)、ヴォルトか……?」

「ジジ……ガガ……」

 

ヴォルトが床に自身をたたきつけて、軽い雷を皆に浴びせる。

 

「きゃ!」

「びりびりするー」

「本当に雷を操る精霊なのですね」

「ジランドのような、使役する人間が見当たらない……」

「これって暴走してるんじゃないよね……?」

 

すると球体の中からわずかに人型のヴォルトの姿が、見えた。

ヴォルトは雷を何かの装置に当てる。

 

「どっちでも同じこと。まずは大人しくさせる!」

 

そしてヴォルトとの戦闘が始まった。

 

 

ヴォルトは雷の大精霊らしく雷攻撃をしてくるだけでなく、球体の体を利用して、転がってきたり、踏み付けのような攻撃もしてくる。

 

「くっ! なんて雷だ」

「迂闊に近づけないよ!」

「なら俺に任せな!」

 

秋山が普通にヴォルトに突っ込んでいく。

 

「ボールは友達キック!」

 

秋山はサッカーボールを蹴るようにヴォルトを蹴り飛ばす。

 

「もういっちょ!」

 

秋山は飛ぶヴォルトを高速移動で追い、追撃のキックを入れる。

 

「!!」

 

ヴォルトは床に叩きつけられる。

 

「秋山さん、雷は大丈夫なのですか?」

「この程度の雷、なんともないな。

雷のダメージ自身はくらうが、俺には痺れる効果は効かない」

 

秋山がヴォルトの前に立つ。

 

「ジジジ……」

「立てよ。まだ立てる力があるならなのな……」

「ガガガガガ…………!!」

 

ヴォルトが強力な雷攻撃を秋山に浴びせる。

 

「秋山!」

「何?」

 

秋山は平然と立っていて、自分に何か用かと言わんばかりに尋ねた。

 

「ガ……ガ……」

 

ヴォルトはショックを受けていた。

 

「じゃあ、この一発で決めてやるか」

 

秋山は右拳をヴォルトの腹部に当てる直前に、右手の中指を曲げたまま、ほんの少しだけ突きだし、手首を180度回転させる。

するとヴォルトは勢いよく後ろのフェンスにまで吹き飛ばされ、倒れた。

 

「やっと大人しくなった。けど、大丈夫なの?」

「大丈夫だ」

「ぼくにかかれば、こんなものらくしょー」

 

ティポがそう言うと、秋山がティポの頭を掴む。

 

「お前、何もしてないです……」

「ご、ごめんなさーい」

 

ティポが謝り、秋山は手を放す。

 

「セルシウスといい、源霊匣(オリジン)てのはかなりやっかいだな」

「はい。大精霊クラスの力を感じました」

「ですから、元は大精霊です」

 

セルシウスがフォローする。

そこにジュード達の前に空間の歪みが現れ、そこからガイアスとミュゼが現れた。

 

「ガイアス、ミュゼ!」

「こんな場所で出会うとは。意外なこともあるものだな」

「やっぱりエレンピオスに来ていたのね」

「あのくそジジイのおかげでだな」

「あなたは自分の力でここに来たでしょ」

「そうだな」

「ヴォルトを動かしたのはガイアスでしょ? ガイアスも源霊匣(オリジン)の可能性に気づいていたの?」

「可能性? 俺はそのようなものの上で民たちを生かすつもりはない。

ジュード、俺が源霊匣(オリジン)の使役を試みたのは、お前の考えそうなことだったからだ」

「え?」

「だが、ムダだった。到底、人に御しきれるものではない。

やはり、この世界の黒匣(ジン)を一掃するほか、術(すべ)はないようだ」

「やっぱりそんなこと考えてたのかよ……」

「てか、ガイアス。いきなり大きい力を使えるわけないだろ。

まあ、お前は力を求める奴だから、いきなり大きな力が使えないと意味ないだろうけどさ……」

「…………」

「でもガイアス、黒匣(ジン)を一掃なんて、そんなことしたら!」

「異界炉計画は確実に終わらせられる。異論はあるだろうがな」

「断界殻(シェル)はどうする?」

「断界殻(シェル)はなくさないわ。黒匣(ジン)がある限り。

リーゼ・マクシアがエレンピオスに蹂躙されてしまう可能性は消えないもの」

「マクスウェルもあのままにしておくつもりか」

「弱き者を死なせないのは、強き者の義務だ」

「間違っているよ、ガイアス!」

「何が間違っているというのだ!

断界殻(シェル)を維持し、黒匣(ジン)をすべて破壊した後に、世界を一つに戻せばいいだろう!」

「黒匣(ジン)をなくせば苦しむ人間が生まれる。その者たちを無視するというのか!」

「苦しむ弱い人間は、ガイアスが守ってくれるわ」

「無理だな」

 

秋山がすぐに否定した。

 

「なんですって?」

「人一人が見れる人数なんてたかが知れている。それに苦しむ弱い人間を守ると言っても完治不能。

それこそあと数秒の命の人間をどう助ける? 無理だろ」

「…………」

 

秋山の言っていることはかなりの極端なことではあるが、間違っているとは言い切れない。

 

「……ジュード、ミラ! 俺の理想がわからぬお前たちではないだろう?」

 

ジュードは首を横に振った。

 

「どんな理想も、人の気持ちを無視して押しつけたら意味ないよ。

人が自由に生きるために黒匣(ジン)が必要なんだ!」

「ジュード……」

「お前の言葉は可能性だけを語る恣意的なものに過ぎんぞ」

「そうかもしれない。でも、やめるわけにはいかない」

「ガイアス、人ってのは無限の可能性がある。

お前の出す答え以上のいい答えが出る可能性もある。

お前はそれをも否定するか」

「これ以上ここにいるのは無意味です。行きましょう」

 

ミュゼがガイアスに帰るように言う。

 

「うむ……そのようだな」

 

ガイアスとミュゼは空間の歪みから去っていった。

 

「行ってしまいました。どうしましょう……」

「本当に堅物だな。人の話をきちんと聞かねえ。次会う時は殴り飛ばしてみるか……」

「結局、僕は……ううん、まだやれることはあるよ、あるはずだよ」

「ジュード……」

 

ジュードの可能性を求める姿を見る、ミラ。

アルヴィンがふと高い棟を見てみると、そこのエレベーターでバランの姿が見えた。

 

「バラン……? バラン!!」

「アルフレド……アルフレド!」

「動力が落ちたせいで昇降機が止まったようですね。どうにかしないと」

「じゃあ、こいつ使うか」

「ヴォルト……、源霊匣(オリジン)を使うのか?」

「でも、ガイアスさんでも使うのは無理だったものですよ」

「源霊匣(オリジン)使うなんて言わねえよ。

こいつを蘇らせるんだよ、セルシウスみたいに」

「セルシウスみたいに?」

「そう言えばどうやってセルシウスを蘇らせたんだ?」

「それも見せてやるよ」

 

秋山は源霊匣(オリジン)の匣の前に立ち、匣を改めて床に置く。

 

「さてと……」

 

秋山は両手を叩く。

 

「ほらよ!」

 

叩いた手を匣につける。

すると匣は光だす。

 

「まぶしー!」

「これって……」

「蘇るぞ、ヴォルトが!」

 

光が止むとそこにはヴォルトがいた。

 

「ジジジ……ガガ……」

「成功だ」

「でも喋れてないですよ」

「ヴォルトは元々まともに喋れない」

 

セルシウスがエリーゼの疑問に答えた。

 

「しかし、今のどうやったの?」

「俺の闇の力で命を吹き込んだだけだ。本当ならかなり危険なものだが、この世界だとその危険がなくてな。

精霊相手ならどのくらいかやっても問題ない」

「セルシウスも同じ方法で蘇らせたのか?」

「ああ」

「でもあの時、セルシウスは消えていたはず……」

「消えたぜ。『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』で消した時に消滅する魂を俺が一時的に吸収して、ウルトラダイナマイトで俺が爆発する時に、セルシウスの魂をさらに一時的に狭間の世界に送った。

そんでウルトラダイナマイトの爆発から復帰した時に、マクスウェルやミュゼに気付かれないようにして、セルシウスの魂をまたこの世界に戻して、魂を精霊の化石にして、今のヴォルトのように命を吹き込んだ」

「なんだか……よくわかりません」

「とにかく俺の闇の力で蘇らせたでいい。

まあ、闇と言っても有害じゃないから安心しろ。

さてと、ヴォルト、お前には最初に頼みたいことがある。

あそこにある装置に電気を送って、動力を復活させろ」

「ガガガガ」

 

ヴォルトは秋山の言うとおりにして、電気を送りエレベーターが動くようになった。

 

「よし、それじゃあ、後はお前の好きにしろ」

「ジジジ……」

 

ヴォルトはミラの前に立ち、跪く。

 

「ガガガ……」

「何を言っているのだ?」

「私のようにあなたに仕えると言いたいみたいですね」

「そうか、頼むぞ、ヴォルト」

「ジジ……ガガ……」

 

ヴォルトとセルシウスはその場から消えた。

 

「さて、バランを迎えに行くか」

 

 

エレベーターを動かし、バランと他数名の職員を助け出した。

 

「助かったよ、ありがとう」

「バランさん、この人たちは?」

「みんな、黒匣(ジン)があっても、普通に生活を送るのが難しい人たちなんだ」

 

その生活困難者達の周りには小さい精霊のようなものが数体いる。

 

「バラン……ひょっとして、新型黒匣(ジン)の研究結果というのは」

「うん、ここのみんな、源霊匣(オリジン)を使っているんだ」

「この子たちが源霊匣(オリジン)……?」

「かわいいわねー、エリー」

「はい。でも、この子たちの力は微精霊ぐらいに感じます」

「そりゃそうだ。微精霊の源霊匣(オリジン)だからね」

 

皆が驚いた顔をし、それを見たバランも驚いていた。

 

「意外だな。源霊匣(オリジン)がどうやって生まれてるのか知らないの?」

「そういや……誰も知らないな」

「細かい話は面倒だから誰か他の技術者に聞いてもらうとして…簡単に言うと、精霊の化石あるだろ?

あれに君たちリーゼ・マクシアの人が、マナを注ぐと、源霊匣(オリジン)が生まれるんだ」

「おかしな話だ」

「ただし、増霊極(ブースター)が必要になる」

「増霊極(ブースター)」

「……ですか?」

「増霊極(ブースター)を使ってマナを注ぎ込むと、精霊の化石に宿っている術自体が実体化する。

それが源霊匣(オリジン)だ」

「黒匣(ジン)とどこが違うんだ?」

「術の精度の雲泥の差。昔あった医療算譜法(ジンテクス)ぐらいの精度が出るんだ」

「医療算譜法(ジンテクス)……だと」

 

医療算譜法(ジンテクス)と聞いて驚くミラ。

 

「医療算譜法(ジンテクス)じゃ、精霊を消費しちゃうからね」

「それってつまり、源霊匣(オリジン)は精霊を殺さないってことですか?」

「まあね。精霊の化石に溜めたマナを使っているから」

「しかし、妙だ。ガイアスはヴォルトを使役するのに苦労していたようだが……。

ここにいる者たちは源霊匣(オリジン)を使うことができているようだぞ」

「ヴォルトのような大精霊クラスは別ものだよ。

どうやら精霊の力が大きくなれば、成功率は下がっていくみたいでね。

ここの成功率はまだ五分五分かな」

「でも、それだけあれば……!」

 

レイアは嬉しそうな顔をする。

 

「微精霊の源霊匣(オリジン)が黒匣(ジン)の代わりになる日も来る!」

「そうすれば、みんな黒匣(ジン)を失わない。精霊も死にません! やりました。ティポがみんなの助けになりました」

「ぼくってやっぱりすごいー!」

「ってことは……エレンピオスにも自然が戻るかもしれないのか」

「だろうな」

「ありがとう、バランさん! この研究のおかげで、僕たち……!」

 

ジュードは嬉しくなり、バランの手を掴んで大きく振る。

 

「ハハ、なんでそこまで喜んでるかは知らないけどさ、俺たちだけじゃないよ。君たちがこの研究を守ってくれたんだ」

「僕たちが……?」

「そう。助けてくれなかったら、源霊匣(オリジン)の研究はきっと潰えていた。みんなもいつの日か社会に戻っていける」

 

生活困難者達がジュード達を見て、感謝するようなそぶりをする。

 

「源霊匣(オリジン)の研究……もっと必要になる」

「目指すべき将来(みち)が見つかったようだな」

 

ミラがジュードを見る。

ジュードのその時もミラの顔に何か違和感があった。

 

「またその顔…………」

「バラン、俺たちが現れた場所って言うのを詳しく教えてくれないか」

「ああ、もちろん。君たちが倒れていたのは、ルサル街道を進んだ先だ。ルサル街道へは、この通路を進めば出られるよ」

「ジュード。これでガイアスもわかってくれるね!」

 

レイアはそう言うが……。

 

「もう……ムリだよ」

 

ジュードは否定した。

 

「なんとなくわかるんだ。ガイアスも……あれが最後だったんだよ」

「どうして……」

「俺から見たら今の奴は力の亡者。

まだヴォルト使役前だったら聞いてくれた可能性はあるが、力の強いヴォルトを使役しようとしたが、失敗。

それで可能性が見いだせないと判断したんだ。まったく、あいつは失敗をなんだと思っているのやら……」

 

秋山はぼやく。


 
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