翌日、LS級艦船内の一つ、ヴォルフラムにてたくさんの人数が乗る事になった。
その艦船にはフェイト、はやて、ヴィータ、シグナム、スバル、ティアナ、トーマなどとたくさんのなのはの知人が搭乗していた。
今日から特務六課の拠点として使うのである。搭乗しているのは昨日許可が下りた特務六課のメンバーであり、ほとんどが知名度あるような人間ばかりになっていた。
フッケバイン事件を終わらせ、エクリプスウィルスを無害になるように対処したという事で、その時の特務六課のメンバーはほとんどの人間に知名度が上がる原因になった。
さらに今回、前回の特務六課と前に設立した起動六課の大半のメンバーで特務六課がまた設立されると聞いて、管理局員でもかなりの人間が特務六課に入りたいと募集して来た者が多かった。しかし特務六課の指揮を担当しているはやては元から決めていたメンバーだけで設立する事を決めていたので、募集してきた者からは一人も入れなかった。っていうより勝手に募集して来たので、特務六課に入れるのは無理な話であったのであった。まぁ、わざわざ一人一人連絡して断ったという事をはやてはしていたので、それについてはフェイトも律儀過ぎると苦笑するほどだった。
ちなみに、特務六課のメンバーにははやてが直接会ったり、連絡して確認をしてあるので全員から許可は取ってある。今回、急いで特務六課を設立させたので、全員に許可を取らずに設立する事になって、昨日全員に確認を取ったのである。また、はやてが全員に連絡する以前に、特務六課の設立の許可を管理局に伝えたら、翌日に許可が届くという早さで来たもので、急遽特務六課のメンバーを集めたり連絡したりする必要が出てきたのである。はやてが急いで設立させたかったというのもあるが、管理局の許可の速さのせいで連絡が遅くなったのも原因であった。結果的には全員大丈夫だと貰ったのであるが。
「さて、全員私の話が聞こえているな?」
時空管理局本局から出発して少し経過した頃、はやては自分の声をヴォルフラム全体に聞こえるように設定して、特務六課のメンバー全員に伝える。
「今回、私たちが与えられた犯人の中には、私たちにかなり遠があった人間が一人居るのは分かるな」
その人物が高町なのはを指しているのは、誰もが分かっていた。エース・オブ・エースと言われ、管理局内でもかなりの有名人であった人物。管理局員内で知らない人間なんてほとんど居ないぐらいであった。
「まず一つ忠告しておていな。たとえ相手が高町なのは元二等空佐だろうと、なるべく私情は挟まずに逮捕してくれや。私情なんてはさめば、殺されると思った方が良いぐらいやからな」
はやての言葉を聞いて、特務六課の全員は肝に銘じる。特になのはと会ったヴィータとシグナムは、あの時のなのはがたとえ親友だろうと殺す気でいたという事は理解しているので、他に比べて更に肝に銘じていた。
自分たちの行動に邪魔する者は全て排除する。そこまでなのはを変えてしまった理由は分からないが、まともに話してはやて達の言葉を聞くとは思えないとはやては察していた。しかし、一体なのはに何があったのかとは誰もが思っている事であった。
「次に、今回の敵を全て纏めておくな」
はやてはなのはの話はここで区切り、今回の特務六課の敵である人間を一人ずつ言っていく。
「一人は先ほど言った高町なのは元二等空佐。先ほど話したので今回ははしょらせて貰うが、先ほど言った通りなるべく私情を挟めば殺される可能性が高いから気をつけてな」
再度なのはに対して忠告を言ったはやては、次の人物を言っていく。
「エメリア・ラスティル。彼もまた元管理局員で、高町なのは元二等空佐が初めて研究所を破壊した研究長を務めていたんや。しかし彼は後に紹介するフィルノ・オルデルタと繋がっており、裏で何かをしていたのは確かや」
一人ずつ紹介していき、紹介が終わると次の人物を言っていった。
「次にデュナ・シルフィア。彼女も元管理局員で三年前に管理局を辞めておる。元三等陸尉で三年前の経歴を見ると魔導師ランクはAやった。どうして彼らと共に行動しているかは今の所分からへんが、何か理由があるんやろう。妹のリィナ・シルフィアがフィルノ・オルデルタによって連れ去れたのも何か関係あると思う」
そして、はやては最後のリーダーだと思われる人物を言うのだった。
「最後に先ほどから名前が出ている多分この組織のリーダーだと思われる人物、フィルノ・オルデルタ。彼は研究所を破壊するほかにロストロギアを盗むという反抗しておる。そして、高町なのは元二等空佐の幼い時の幼馴染らしいんや」
なのはの幼馴染だという言葉に、艦船内に居るほとんどの人間が動揺が走る。主犯である人物がまさかなのはの幼馴染だという事を初めて知ったのである。フィルノがなのはの幼馴染だという事はなのはの身近しか言っていなかったので、かなりの驚きだったのである。
はやては一度そこで全員を落ち着かせる。
「とりあえず今は私の話を聞いてくれや。それで彼の目的は分かっておる。管理局への復讐。それが彼の目的や」
管理局の復讐という言葉に、艦船内の人間のざわめきが突然静かになる。その様子を見たはやては静かになった事を確認して話を続ける。
「彼の両親は拘置所に居ながら何者かによって殺されておる。犯人はいまだ不明だが、フィルノ・オルデルタは多分その犯人が管理局だと思っているのだろう。彼のためにも犯人を見つけないといけないのかもしれないが、今は彼を止める事が先や」
はやての言葉に全員頷く。フィルノの為にも確かに犯人を捕まえるべきだが、それでもフィルノがやった事は犯罪であるので、何としてでも捕まえるべきだと思ったのである。
「他にも仲間かもしれないと疑われているのは先ほど言ったリィナ・シルフィアと、そしてこの艦船に居るフェイト・T・ハラオウンに似ている金髪の女性が疑われている。前者は違うかもしれへんが、後者は同じく研究所を破壊している人間として、フィルノ・オルデルタと仲間ではないかと追われておる。その二人を見つけても、慎重に気をつけてくれや」
『了解!!』
艦船内の全員がはやての言葉を従い、今回の任務を成功させようと全員思ったのであった。
それからいつでも出撃できるように構えようとしていると、艦船内に緊急情報が入る。
「魔法の存在を知らない筈の第97管理外世界にて、数人の魔力反応!! 画面に映します!!」
第97管理外世界という言葉にフェイトとはやては少し動揺するが、画面を見て驚くことになる。
場所は海上の上空で、そこに映っていたのは、フィルノ・オルデルタと高町なのは、そしてシルフィア姉妹の二人であった。
どうしてなのはの生まれた次元世界に来ているのかというのは特務六課の全員が疑問に思ったが、はやてはとりあえず命令をする。
「向こうの拠点としている艦船の位置が把握できんから、出撃するのはフェイト・T・ハラオウン二等空佐とヴィータ一等空尉の二人だけや。戦力が足りんかったらシグナム三等空佐とトーマ・ナカジマも投入する。他の皆は他の仲間からの攻撃に備えておくんや!!」
はやての言葉に全員が従い、フェイトとヴィータの二人は第97管理外世界の転送先に使用している月村家へ転送し、シグナムとトーマはいつでも出撃できるように待機し、他の搭乗している管理局員もそれぞれ準備をするのだった――
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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