No.461701

英雄伝説~光と闇の軌跡~  159

soranoさん

第159話

2012-07-29 10:19:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1026   閲覧ユーザー数:978

~女王宮・テラス~

 

「へっ!?何が起こったの!?」

「誰かがロランス少尉を攻撃したようですね……」

「げっ。今の声って………」

突然の出来事にエステルは驚き、クロ―ゼは推測した。また、聞き覚えのある声を聞いたカーリアンは顔を顰めた。

「フン。爪が甘いわよ?貴女の唯一の取り柄だった武も大した事ないわね?」

少しすると、なんとファーミシルスがテラスの下から上がって来て、エステル達の前に降り立った。

「ファ、ファーミシルス大将軍!!」

「どうして、こちらに……?」

ファーミシルスの登場にクロ―ゼは驚き、女王は何故ファーミシルスが来たかを驚きながら尋ねた。

「………お久しぶりですわね。アリシア女王、クロ―ディア姫。現在のリベールの状況を考えまして、同盟国として僭越ながら我が力をお使いになって頂こうと参らせて頂きました。……それより、今は私を気にしている時ではありませんでしょう?」

女王とクロ―ゼにファーミシルスは会釈をした後、答えた後指摘した。

「!そうでした!お祖母さま……お怪我はありませんか!?」

ファーミシルスの指摘に気付いたクロ―ゼは慌てて女王に駆け寄った。

「大丈夫よ、クローディア。乱暴なことはされていません。それよりも……」

自分を心配するクロ―ゼに女王は笑顔で自分が無事である事を言い、これからの事を言おうとした所

「エステル!」

ヨシュアの声が部屋の方から聞こえて来た後、ヨシュアが姿を現し、エステルに駆け寄った。また、ヨシュアの後ろからオリビエ、ジン、テトリ、ユリア、パズモ、サエラブが次々と現れて、エステル達に駆け寄った。

 

「ヨシュア!?それにみんなも!よかった、無事だったみたいね!」

「エステルの方こそ……。リシャール大佐やロランス少尉が城内にいなかったから心配だったんだ。」

「あの赤ヘルムならさっきまでここにいたけど……」

「え……!?」

エステルの言葉を聞いたヨシュアは驚いた。

「その手すりを越えて飛び降りて逃げていった所をそちらの方が追撃して、池に落ちたわ。どうなったかはわからないけど………」

シェラザードはヨシュアに答えた後、遠慮気味にファーミシルスを見た。

「あのまま逃がしてやってもよかったけど、特務兵共の我等メンフィルに対する所業を考えれば個人的に許せなかったので、追撃をしたわ。まあ、加減はしているから運が良ければ、生きているかもしれないわ。」

シェラザードに見られたファーミシルスは何事もないかのように答えた。

「え!?あ、貴女は……!」

「メンフィル大将軍、ファーミシルス殿!?」

ファーミシルスに気付いたヨシュアとユリアは驚いた。

「おお。貴女があの名高い”空の覇者”………エレボニアでも語り継がれる貴女の伝説を聞いて、一度会って見たいとは思ったけど、まさかこんなところで出会えるとは、これもボクの詩人としての運命かな♪」

「フン。貴方達、エレボニア人からすれば仇であるこの私に、よくそんな事が言えるわね。」

オリビエに話しかけられたファーミシルスは鼻をならして答えた。

「ハッハッハ。美と平和を愛するこのオリビエ、そのようなささいな事は気にしないよ♪」

「………………!(この男は……!なぜ、この男がここにいるのかしら?)」

リウイの命令によって素性を調べ、オリビエの正体を知っていたファーミシルスは、オリビエの顔をよく見た後驚き、なぜオリビエがこの場にいるのか怪しがった。

「まさか、仕事でまた貴女と邂逅する時が来るとは思いませんでしたよ、大将軍殿。」

「……久しいわね、”不動のジン”。」

ジンに話しかけられたファーミシルスはオリビエの事を一端頭の隅に追いやって、ジンを見た。

 

「え!?ジンさん、この人の事、知っているの!?」

「エ、エステル……いくらなんでもその言い方は失礼だよ………」

一方エステルはジンとファーミシルスが知り合いである事に驚き、ヨシュアはエステルの言い方に焦った。

「ああ。さまざまな国と遊撃士達が協力して解決した事件があってな。その時、大将軍殿も事件解決のために参加してくれたのさ。」

「さまざまな国がと遊撃士が協力する……それもメンフィルが協力した事件って、一体どんな事件だったんですか?」

ジンの説明を聞き、驚いたヨシュアは尋ねた。

「まあ、機会があったら話すよ。今はそんな時じゃないだろ?」

「そうね。みんな、ありがとう!一端あたしの中で休んで!」

(ええ。)

(戦いはまだ終わっていない。油断はするなよ?)

「はい。いつでも呼んで下さい。」

「ニルの力が必要になれば、また呼んでね。」

エステルの言葉に頷いたパズモ達はそれぞれ光の玉となって、エステルの身体の中に入った。

「はぁ………とにかく君が無事でよかったよ……カーリアンさんがいるから、大丈夫とは思ったけど。」

「ヨシュア……」

「フゥ………この女が人に頼りにされている所を目にする時が来るなんて……世も末ね。」

エステルとヨシュアの会話を聞いたファーミシルスは溜息を吐いた後、呟いた。

「ちょっと……聞こえているわよ!?」

「フン。聞こえるように呟いたから、聞こえていて当然よ。」

「相変わらず、ムカつく奴ね!……………いっそここで決着をつける?」

「わ~!喧嘩はダメだって!ヨシュアとミントも手伝って!」

「了解。」

「う、うん!」

睨みあっているカーリアンとファーミシルスを見たエステルは慌てて2人の中心に入って、ヨシュアやミントと共に仲裁した。

 

「陛下……よくぞご無事で……」

「ユリア中尉……また会えてうれしいわ。それに皆さんも……本当に感謝の言葉が尽きません。」

エステル達がカーリアン達の仲裁をしている一方、ユリアは女王の無事な姿を見て、安心した。また女王もジン達を見て、お礼を言った。

「フッ、女王陛下。過分なお言葉、ありがたき幸せ。」

女王の感謝の言葉をオリビエは珍しく殊勝に受け取った。

「お役に立てたならば幸いです。ですが、まだこれで終わりではなさそうですな。」

ジンは戦いはまだ終わってないと言い、気を引き締めた。

「城内の特務兵は鎮圧しましたがよくない報せが届いています。各地の正規軍部隊が王都を目指しているとのこと……。既に先行部隊の一部がエルベ離宮を責めて来たとの知らせも入っております。どうやら、情報部によってコントロールされているようです。」

「そうですか……」

ユリアの説明を聞いて女王は顔を曇らせた。

「失礼ですが、あまり時間がありません。どうか今すぐ飛行艇でここから脱出なさってください。」

「いえ……それはできません。それよりも……どうやら大変なことになりました。何としても、リシャール大佐を止めなくてはなりません。」

ユリアの言葉を女王は目を閉じて断った。

「ど、どういう事ですか?」

ユリアは女王の言っている意味が判らず聞き返した。

「昨夜、大佐と話をしてみてようやく真の目的が判りました。」

「ど、どういう事ですか?」

女王の言葉を聞いたユリアは驚いた。

 

「ええ……どうやら彼は、『輝く環(オーリオール)』を手に入れるつもりのようなのです。」

「『輝く環(オーリオール)』……。そ、それってどこかで聞いたことがあるような……」

エステルは女王の言った言葉が頭の隅に引っ掛ていてそれを思い出そうとした所、ヨシュアが思い出させてくれた。

「古代人が女神から授かった『七の至宝(セプト=テリロン)』のひとつ……。全てを支配する力を持つといわれる伝説のアーティファクトのことですね。」

「ああ、アルバ教授が言ってた……。でもそれって、教会に伝わっているただのおとぎ話なんでしょう?」

「………………………………」

ヨシュアの言葉でエステルは完全に思いだし、女王に聞いたが女王は目を閉じ黙して何も語らなかった。

「ふむ、存在するのですね?このリベール王国のどこかに。」

エステル達の話を聞き、女王の様子を見て気付いたオリビエは確認した。

「古き王家の伝承にはこうあります。『輝く環、いつしか災いとなり人の子らの魂を煉獄へと繋がん。我ら、人として生きるがために昏(くら)き闇の狭間にこれを封じん……』」

「『人の子らの魂を煉獄へと繋がん』……。なんとも……不気味な言葉ですな。」

「なんか、怖い…………」

女王から伝承を聞いたジンは真剣な表情で頷き、ミントは怖がってエステルの服を握った。

「この言葉は、代々の国王への戒めとして伝えられてきました。おそらく『輝く環』と呼ばれる何かはその危険性ゆえ、王家の始祖によって封印されたのだと推測できます。そして、王都の地下から検出された巨大な導力反応……。この2つを結びつけて考えたら……」

「王都の地下に『輝く環』が封印されている……。そう考えるのが自然でしょうね」

女王の言葉をヨシュアは真剣な表情で続けた。

「ええ……。大佐もそう考えたのでしょう。『輝く環』がどういう物なのかは伝承にも残っていませんが……。もし、蘇らせてしまったら大変なことが起きるかもしれません。それこそ過去に起きたという伝説の『大崩壊』に匹敵する……」

「そ、そんな……」

クロ―ゼは悲痛な表情をして

「おいおい……とんでもない話になって来たな……」

「参ったわね、こりゃあ……」

ジンやシェラザードは話の大きさに驚き

「…………メンフィルとしても、それは見逃せないわね。」

「そうね。ようやく、リウイの願いが叶おうとしている時なのに…………」

ファーミシルスやカーリアンは真剣な表情で考え込んだ。

「あ、あの女王様!ロランス少尉は『地下に行け』と言ってましたけど……。あれってどういう意味なんでしょう?」

エステルが先ほどのロランス少尉が言い残した言葉が気になり、それを女王に聞いた。

「このグランセル城には不思議な部屋があるのです……。特に何も保管されていないのに昔から立入禁止とされた場所……」

「あ……」

「宝物庫のことですか!?」

クローゼとユリアはそれぞれ思い当たり、その場にいた一同は宝物庫へと向かった………

 

 

 


 
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