~グランアリーナ~
「みんな、行くわよ!」
戦闘開始、エステルは掛け声をかけて、全員の闘志を高め
「ぬあぁぁぁぁぁぁ、てやぁ!」
「「風の守りよ………シルフェンガード!!」
ジンは気功によって自らの身体能力を上げるクラフト――龍神功を使い、全身に闘気を纏った。また、ヨシュアとオリビエはアーツを使って、エステルとジンの回避能力を高めた。
「ふ~ん、最初に身体能力を上げて来たか。ま、悪くない判断ね♪」
エステル達の行動を見て、カーリアンは口元に笑みを浮かべた。そしてエステルとジンが攻撃を仕掛けて来た!
「たあっ!」
「っと!」
ジンの攻撃をカーリアンは回避した。
「お返しよ!そ…」
「せいっ!」
「!!」
ジンに反撃をしようしたカーリアンだったが、エステルの攻撃に気付き、反撃するのをやめて、防御した。
「水流よ、吹きあがれ!………ブル―インパクト!」
「きゃっ!?」
そこにオリビエが発動したアーツがカーリアンに命中した!
「さらなる時の加護を!………クロックアップ改!!」
そしてヨシュアが放ったアーツはエステルの素早さを一時的に上げた。
「せぇぇぇい!」
「はぁぁ、せいっ!」
そしてジンはクラフト――月華掌で攻撃を仕掛け、アーツのお陰で身体能力が上がったエステルはクラフト――金剛撃で達人クラスの動きをするジンについて行けたので、ジンと同時に攻撃を仕掛けた!
「させないわよ!」
「!!」
「嘘!?」
しかし、2人の攻撃はカーリアンの双剣にそれぞれ阻まれた。
「やってくれるじゃない………どーりゃーっ!!」
「おあっ!」
「うっ!」
そしてカーリアンが放った複数攻撃を放つ剣技――乱舞を回避しきれず、受けてしまい、エステルとジンは呻いた。
「これで終わりじゃないわよ!?それ……」
「させない!……絶影!!」
「!ちっ!」
さらに追撃をかけようとしたカーリアンだったが、一瞬で迫って来たヨシュアの攻撃に対処して、追撃はできなかった。
「んっふふ~、愛と真心を君たちに!それっ!」
そしてオリビエはクラフト――ハッピートリガーでエステルとジンの傷を回復した。
「ふ~ん……2人は私の相手をして、その隙に残りの2人が後方からアーツの攻撃でダメージを削り、前衛がピンチになれば回復や補助して、アーツで怯んだ私を前衛が止めを刺す戦法か………プリネあたりが考えた作戦かしら?」
「!!嘘!?見破られちゃった!!」
「その上、この作戦を考えた人まで見破るなんて………!」
自分達の作戦が見破られた事にエステルは驚き、ヨシュアは作戦を考えた人物まで言い当てた事に驚いた。
「あなた達は絶対に優勝しないと駄目な理由があったのを知っていたから、最大の障害である私相手に無策で来るとは思わなかったからね~。となると私の事をよく知っているリフィア達に対策を聞くぐらいだけど、リフィアは考えるにしても私の予想の斜め上の事を考えそうだし、エヴリーヌは論外。となると、残りはプリネって訳よ♪」
「………僕達の考えはお見通しと言う訳ですか………」
カーリアンの推測した事と早々に作戦が判明した事にヨシュアは苦い顔をして、答えた。
「ま、作戦自体は悪くないわよ。………でもその作戦の欠点に気付いているかしら?」
「え?」
カーリアンの言葉がわからず、エステルは首を傾げた。
「フフ………今、それを証明してあげるわ。………魔術発動♪」
そしてカーリアンはエステル達を魔力が籠った眼で見た。
「!!」
「くっ………」
カーリアンに見られたエステルとヨシュアは驚いたが、何も起こらなかった。
「おい、兄ちゃん!こっちは味方だぜ!?」
その時ジンの驚きの声が聞こえて来た。エステル達がジンの方を見ると、オリビエがジンに攻撃をしていて、ジンは必死で回避していた。
「オリビエ!?何やってんのよ、アイツは~!!」
「エステル………多分、オリビエさんは今、カーリアンさんの眼を見たせいで混乱したんだと思う。」
「あ、あんですって~!?」
ヨシュアの説明に驚いたエステルはカーリアンを見た。
「フフ………今の魔術は”淫魔の魅惑”って言う魔術で、性魔術でできる魔術の一つよ♪」
「性魔術?何ソレ??リフィアからはそんな魔術、聞いた事がなかったけど。」
カーリアンの説明を聞き、エステルは首を傾げた。
「お嬢ちゃんが知るにはまだ早いわよ♪」
「ちょ、ちょっと~!!子供扱いしないでよ!」
からかうように言うカーリアンの言葉にエステルは怒った。
「フフ………私と会話をしていていいのかしら?」
「あ!呑気に会話をしている暇なんてなかった!………水の力よ…」
カーリアンに気付かされたエステルはオリビエの混乱を治すためにアーツを発動させようとしたが
「させないわよ!」
「あう!?」
カーリアンが一瞬でエステルに詰め寄り、放ったクラフト――双葉崩しでアーツの発動が妨害された。
「エステル!!……おぼ……」
「甘いっての!」
「ぐ!…………くはっ!?」
「ヨシュア!?」
エステルの危機にヨシュアはカーリアン背後に一瞬で移動してクラフトを放とうとしたが、カーリアンが振り向いて反撃をし、何とか防御したヨシュアだったが、双剣に伝わるカーリアンの攻撃の威力は相殺できず、アリーナの壁まで吹っ飛ばされて壁にぶつかって、呻いた。
「人の心配をしている場合かしら?」
「くっ!!行くわよ……!はっ!やあっ!」
「フフ………」
エステルは連続で攻撃を仕掛けたが、カーリアンは余裕の表情で回避していた。
「これで決める!はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そしてエステルはSクラフト――烈波無双撃をカーリアンに放った!
「それ、それ、それ、それっ!!」
しかしカーリアンはエステルの連続攻撃を双剣で全て捌いていた。
「とぉりゃぁぁぁ!」
攻撃が捌かれてもエステルは気にせず、最後の一撃で勝負をかけた!
「そこよ!激しいの、行くわよ♪………白露の桜吹雪!!」
「なっ…………キャァァァァァ!?」
しかし最後の一撃はカーリアンに回避され、逆にカーリアンのSクラフトを咄嗟に棒で防御したが真正面から喰らってしまったため、体中に傷を作り、吹っ飛ばされた!
「あうっ!?………………」
そしてドロシー達が陣取っている観客席側の壁にぶつかり、ぶつかった衝撃に呻いて気絶して、倒れてそのまま起き上がらなくなった。
「ママ!?しっかりして!」
「起きて下さい、エステルさん!まだ試合は終わっていません!!」
気絶したエステルを見て、ミントとツーヤは大声でエステルを呼んだ。
「エステル!!」
一方ヨシュアは気絶し、起き上がらなくなったエステルを見て、叫んだ。
「ヨシュア!気持ちはわかるが、今はこっちを手伝ってくれ!」
「くっ!(ごめん、エステル。後で必ず治療するから!)」
今にもエステルの所にかけだしそうだったヨシュアだったが、ジンの言葉に我に返り、双剣を構えてカーリアンを睨んだ。
「フフ………次は貴方が相手をしてくれるのかしら?」
自分を睨むヨシュアにカーリアンは好戦的な笑みを浮かべて、言った。
「………………………」
(あら♪あの年齢の割には一般兵でも出せない一人前な殺気を出せるじゃない♪フフ、姉弟揃って楽しませてもらえそうね♪)
ヨシュアは冷たい瞳で膨大な闘気を出した。一方カーリアンはヨシュアの闘気に混じった殺気に感心し、口元に笑みを浮かべた。
「これで終わりだ……はっ!」
そしてヨシュアは一瞬でカーリアンに攻撃を仕掛けた!
「っと!!」
ヨシュアのSクラフト――漆黒の牙をカーリアンは武器で防御した。
「絶影!朧!双連撃!!」
Sクラフトが防御されてもヨシュアは気にせず、次々と常人離れした速さでさまざまな方向からカーリアンに攻撃を仕掛けて行った。
「それ、それ、それ、それっ!!」
ヨシュアの激しい攻撃をカーリアンは楽しそうな表情で捌いていた。
「エアストライク!!」
「月華掌!!」
そこにアーツによって発生した風の刃が、突進と共に拳がカーリアンを襲った!
「ちょっ!?」
ヨシュアの攻撃に捌いていたカーリアンは回避や防御もできず、アーツと拳がカーリアンに命中した!
「え………」
自分以外の攻撃が命中した事にヨシュアは驚いて手を止めた後、一端下がった。
「フッ………またせたね、ヨシュア君♪」
「ふう………こっちの苦労も知らずによくそんな事が言えるな………」
ヨシュアが一端下がると、そこにはいつもの調子のオリビエと、呆れている様子のジンがいた。
「オリビエさん!混乱から回復したんですね。………それにしても、どうやっ………?あの状況下じゃ、アーツは使えないと思うんですが……」
混乱から回復しているオリビエに驚いたヨシュアはジンに尋ねた。
「”養命功”という気功でな。傷を含め、さまざまな状態異常も回復してくれる気功を銃弾を掻い潜って、この兄ちゃんに使ったのさ。」
「なるほど………」
ジンの説明にヨシュアは納得した。
「それぇっ!!」
「!!散開しろっ!」
「はい!」
「おおっと!?」
そこにカーリアンが放った衝撃波がヨシュア達を襲った。衝撃波にいち早く気付いたジンは警告を出し、ヨシュア達は回避に成功した。
「フフ……やってくれるじゃない♪今年の大会は一撃をもらうか無傷で終わると思ったけど、まさか3撃ももらうとは思わなかったわ♪」
カーリアンは好戦的な笑みを浮かべて、ヨシュア達に言った。
「………ヨシュア、悪いがエステルを治療する事は後廻しにして、今は目の前の敵に集中しろ。」
「………はい。」
「フッ……では、行こうか!」
そしてジン達はカーリアンとの戦闘を再び始めた…………!
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~武術大会・決勝戦~前篇(前半)
戦闘BGMはZEROの”魔神来たりて天地を征す”か、零の”Inevitable Sturggle”が流れると思って下さい。