No.460897

外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第24話

BLACKさん

この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

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2012-07-28 06:24:56 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1208   閲覧ユーザー数:1196

 

 

 

第24話  使命とやりたいこと

 

 

 

 

 

(……秋山…………お前はなぜ死んだ…………)

 

ミラは思う。

 

(……何故お前は…………私を生かした…………?)

 

なぜ自分は生かされたのか。

今までのミラならそんなことを考えなかったのだが、そう考えるようになったのは秋山が自爆してからほんのちょっと経った頃であった。

 

 

 

 

 

 

ミラ達はジルニトラから放り出されており、ジュード達のおかげでなんとか海停岸までたどり着いた。

そこまではよかった。ミラ達の近くにはまだ生き残っていたエレンピオス兵がミラを襲おうとした時であった。

ミュゼがその兵士をためらいもなく殺したのだ。それもまだ普通だったかもしれないが、その後に更なる悲劇が襲った。

ミュゼがジュード達を殺そうとした。ミラがなんとか前に出たおかげで回避できたが、ミラはミュゼの行動に疑問を思い問い詰めた。

 

「何故、ジュード達まで殺そうとした! 答えろ、ミュゼ!」

「……何故ですって? 私の使命は、アルクノアの殲滅と、断界殻(シェル)を知ってしまった者の抹殺ですもの」

「何!?」

「それがマクスウェル様が私に与えてくださった使命」

「私はそのようなこと……はっ!」

 

この時、ミラはようやく気付いた。

ミュゼと初めて会った時、自分の姉だと名乗っておきながら、自分はミュゼの存在を知らなかったこと。

セルシウスのこともミュゼは知っていたのに自分は知らなかったこと。

そして、何気に会話している時、ミラのことはミラと呼んでいたが、たまにマクスウェル様と他人をさすようなことを言っていたことを……。

しかし今のミュゼの行動で理解した。

 

「まさか、私は……」

「そう、あなたはマクスウェルなんかじゃないのよ。ミラ」

「!」

「ミラがマクスウェルじゃないって……」

「どういうことだー!」

「あなた達が知る必要はないわ。だって、ここで死ぬのだから……」

「!」

 

アルヴィンが銃をミュゼに向けようとした時、ミュゼの髪のようなもので、銃を弾き飛ばされてしまう。

 

「あなたは特に殺さないといけないわね。アルクノアだったのだから……」

 

ミュゼが空中戦艦を潰した時のような球体を出そうとした時であった。

突如、ミュゼの上から氷の槍が数本飛んできたのだ。

 

「これは……まさか!」

 

ミュゼやジュード達が上を向いた。

そこにはなんと消滅したはずのセルシウスがいた。

 

「セルシウス!」

「でもなんでいるの?」

「源霊匣(オリジン)は消滅し、ジランドも死んだはずでは……」

「お前たち、逃げろ!」

「え?」

「いいから、逃げろ! こいつの相手は私がする」

「でも……」

「早くしろ!」

「ジュード!」

「うん」

 

ジュードがミラを抱える。

 

「ミラ! 行くよ」

「…………」

 

ミラは返事をしなかった。

 

「…………」

「逃がさないわよ!」

 

ミュゼがジュード達を追おうとし、再びセルシウスが氷の槍で阻む。

 

「ここは通さない」

「あなたに用はないわ、セルシウス。どうして生きていたなんて興味もない。

私はただ使命を実行するだけ」

 

ミュゼがその球体のようなものをジュード達に向けて投げた時、ジュード達に当たる直前に何かに阻まれた。

その何かとミュゼの出したものがまじりあい、一種のホールを生み出した。

そしてジュード達はそれに飲み込まれ、バラバラになったのだ。

 

 

(秋山……お前は知っていたのだろう? ……私がマクスウェルでないことに……。

ならば……なぜあんなことを言った?)

 

あんなことというのは秋山がミラに言った「真のマクスウェルとして生きろ!」である。

ミラは一度ニ・アケリアに戻ったが、ニ・アケリアで断界殻(シェル)のことをおとぎ話のようなレベルで知っていた長老を含めた老人達は皆、ミュゼに殺された。

ミュゼはおとぎ話レベルであろうと抹殺対象にしたのだ。

ミラは自分が偽者のマクスウェルであったこと、長老たちを死なせた原因は自分にあるとして、すっかりふさぎ込んでしまい、今はハ・ミルのエリーゼの居た小屋にたまたま一緒になったドロッセルと一緒に居る。

 

「ローエンとエリーと連絡がとれたわ」

 

ドロッセルが食事を持ってくる。

 

「ジュードとレイアもこの近くにいるみたいだから、もうすぐ来ると思う。

けど、四人ともアルヴィンさんとは連絡が取れないみたいなの」

「…………」

 

ミラは黙ったままだった。

そこにドロッセルから連絡を受けたジュードとレイアがやって来る。

 

「ミラ!」

「よかった。無事だったんだ」

「うん。でも……」

 

ミラの様子はどう見ても荒れていた。

 

「ミラ! どうしてそうなったの!?」

「ジュード……私は……君の憧れていたマクスウェルなどではなかった……」

「それが何? ミラはミラでしょ!」

 

そこにまた別の人物が入って来た。

アルヴィンだった。

 

「アルヴィンさん!」

「よかった、無事だったんだアルヴィン君」

「…………」

「? アルヴィン?」

 

アルヴィンはなんとミラに銃を向けてきたのだ。

 

「アルヴィン!?」

「正気なの?」

「……お前たちを殺せば、エレンピオスに帰してもらえる」

「……ミュゼか」

「ああ。……ミュゼと取引した」

「!?」

「……構わん。……あの時の約束、守る気もなくなった」

「!!」

 

アルヴィンがミラに向けて引き金を引こうとした。

 

「ダメだ!」

 

ジュードがアルヴィンの銃を持つ手を蹴り上げる。

アルヴィンは撃とうとしていたので、銃撃は天井に当たり、天井が少し崩れる。

 

「くそ!」

 

アルヴィンはすぐに弾を込め治そうとし、今度はレイアが銃を蹴り飛ばす。

 

「ミラ! 来て!」

 

ドロッセル達がミラを連れて、逃げた。

しかし、ミラは気力がないために途中で力なく倒れた。

 

「ミラ! 起きて!」

「ミラは何のために命を懸けて使命を果たそうとしたの!」

「思い出してよ! ミラ!」

 

ジュード達がミラを引っ張って果樹園の方に向かう。

 

(私の……使命……リーゼ・マクシアの人々を……精霊を……人を……みんな……守ること……。

だが……)

 

ミラはニ・アケリアで遭遇したミュゼにこう言われていた。

 

「あなたはジランドみたいな連中をおびき出すために、用意されたエサ。

あなたにとって使命感や正義感なんて全く無意味なの」

 

それを思い出していた。

 

(私の使命は……偽り……イバルがジュードに言っていた……偽者と……変わらない…………)

 

ミラはもはや生きる気力を無くした状態に等しかった。

 

(私が死んでも…………断界殻(シェル)はなくならない…………。

それではまた……ジランドのような者を生み出してしまう……)

 

果樹園の上の方へ逃げていく中、アルヴィンが追いついてきた。

 

「見つけたぞ」

「ミラは殺させない! 僕が守る!」

「わたしだって、ミラを守る!」

「私も!」

 

ジュード達は武器を取って構える。

 

「逃がさない。もう無駄だ」

「そんなことない! もう目を覚ましてよ! アルヴィンだって……」

「何もかも無駄なことだったんだよ!」

 

アルヴィンは剣を出す。

狭い橋の上で四人は戦い始める。

ただミラは立っていただけだった。

 

(無駄ではない……私はみんなと出会って……知らなかった、色んなことを見てきた……。

だが私のせいで……秋山を無駄に死なせてしまった)

「無駄なんかじゃないわ!」

「まだエリーゼもローエンも生きてる! 決して無駄なんかじゃない!」

「ガイアスたちだってきっと……わたしたちも生きてるじゃない!」

 

四人は狭い場所でありながら、激しく戦っていた。

 

「……そんで、どうすんだ? 俺たちを助けてくれた秋山は、もういなんだぜ」

「…………」

 

アルヴィンがミラに向けて銃を撃とうする。

 

「ダメ!」

 

レイアがそれを下に向けたために銃は、橋に向けて撃たれ、橋は脆く崩れ落ちた。

 

「きゃっ!」

 

ミラ達は下に落ちた。

 

「俺たちはただの人間だ。あんなとんでもなかったあいつのようにはできない」

「っ……」

 

打ち所が悪かったのか、レイアとドロッセルはうまく動けなかった。

 

「ミラ! 起きて!」

「…………」

「秋山に助けてもらった命でしょ。大切にしないと!」

「秋山にもらった……命!」

 

ミラは今になって秋山の言った「真のマクスウェルとして生きろ」の意味を理解した。

それは自分を生み出したマクスウェルのように生きることでも、今まで与えられていた嘘の使命を持って生きていたミラとしてではなく、自分のはっきりした生き方を見出した、ミラ=マクスウェルとして生きろという意味であることを……。

 

「わかった、ジュード」

 

その時である。

降りてきたアルヴィンがジュードを後ろから撃った。

 

「……!」

 

ジュードは倒れる。

 

『ジュード(さん)!』 

「い、今のは……!」

 

アルヴィン自身も信じられない顔をしていた。

 

「アルヴィン!!」

「ミラーーーーーーー!」

 

ミラは剣を取り出し、アルヴィンも剣を構えて、二人の剣がぶつかり合う。

 

「私はお前を倒す!」

「ああ、そうしてもらえると嬉しいね、マクスウェルさんよ!」

 

ミラとアルヴィンは本気で戦っていた。

どちらかが命を落としてもおかしくないほどに激しかった。

 

「ジュード、大丈夫?」

「う、うん」

「弾が肩に、どうすれば……」

「貫通してるから……止血をすれば……」

「ちょっと待ってて! すぐに……」

 

レイアが治癒術をジュードにかけるが、レイアの治癒術は専門のジュードやエリーゼと比べると劣る。

それでも何もしないよりはよかった。

 

「…………」

 

ドロッセルは戦っているミラとアルヴィンを見る。

 

(秋山さん……)

 

戦いはミラの勝利であり、アルヴィンはその場に倒れた。

 

「私の勝ちだ」

「ああ。もう、さっさと殺してくれよ……」

「アルヴィン!」

 

ジュードが起き上がる。

 

「ジュード!」

「ダメだよ、ジュード! まだ傷が……」

「秋山にもらった命なのに……簡単に死ぬなんて言うなよ……」

「そうだな。私たちに生きて欲しいと思ったから、秋山は死んだんだな……」

 

ミラは剣をしまう。

 

「私たちがしなければならないのはこんな仲間割れじゃない。

あいつならそう言うだろう」

「じゃあ……何すりゃいいんだよ!

俺には……使命なんてないんだ。お前みたいには生きられねえよ……」

「……すまないが、今の私では答えることはできない。

私たち自身が考えなければな……」

「どうやって!」

「お前自身が決めろ!」

 

ミラは怒鳴る。

 

「……私はこれまで偽物の使命に生きてきた。だがその偽物の使命だが、秋山はあることを言ったのを思い出した」

「『偽物が本物に敵わない、なんて道理はない』ね」

「……ああ。あいつも他人から聞いた言葉らしいが、今となっては今の私がまさにそれだな。

それに私は前からこう思ってもいる。できるできないじゃない……やるかやらないかだ」

「前に進もう……アルヴィン」

「……」

 

アルヴィンは立ち上がり、どこかへと去っていった。

 

「…………」

 

ジュードは倒れる。

 

「ジュード!」

「すぐに小屋に運んで!」

「…………」

 

ドロッセルはアルヴィンの去り際を見る。

 

「秋山さん……」

 

その後、ミラは本物のマクスウェルを探そうと言い出し、エリーゼとローエンと合流し、ひとまずガイアスがいるとされるイル・ファンに向かうのだった。


 
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