模擬戦を行うにあたり、リンディさんに許可を得るため僕らはアースラに訪れた。
「艦長は今会議中だからちょっと待ってね~」
「こちらがお願いしたいことがあるのだから、少しくらい待つわよ」
アースラを訪れてリンディさんを探していたら、ちょうどエイミィさんを見つけたのでどこにいるのか尋ねてみた。そしたら会議中と言われたので、待合室みたいなところでまったりと終わるのを待っていた。
「ごめんなさい、お待たせしたわね」
「お構いなく。早速だけど、模擬戦を行いたいのだけどいいかしら?」
「う~ん、かまわないけど少し時間をくれるかしら?アースラ内でやるには狭いだろうし、地球でやるにしても現地人に気づかれるわけにはいかないでしょう?」
「今日中に出来る?」
「そうね・・・明日のお昼にしてもらえるかしら?」
「わかったわ。というわけで、そういうことになったから、今日はこれで解散にしましょう。明日のためにお互い戦術を考えておかないといけないでしょうから」
「そうですね。それじゃフェイトちゃん、明日は手加減無しの本気の勝負。後悔のない戦いをしようね!」
「うん、私も絶対手を抜いたりしないから」
どうやら模擬戦をするにも場所の確保が必要のようで、準備の時間を考えて明日と言うことになった。というかみんなで来る必要なかったかな?ま、とりあえず二人が心残りのないように戦ってくれたらいいかな。
―――次の日 海鳴市沖の海上―――
いや~、管理局の技術ってすごいね。訓練用の建造物って言ってたっけこれ?こんなものをたった一日で用意できるもんなんだね。でも汚い話、いったいいくらかかってるんだろう?
【二人とも聞こえる~?今回急遽設置されたその結界は、誰にも見られないしどれだけ壊しても問題なし!だから思い切って戦って大丈夫!】
「ありがとうございます、エイミィさん!これでフェイトちゃんに勝てる!」
「ありがとうございます。それとなのは、私は勝ちを譲るつもりはこれっぽっちもないからね!」
・・・二人の後ろに龍と虎が見えるのは気のせいかな?
「ところで、裕樹はどっちが勝つと思う?」
「ノーコメント。俺は原作の知識しか知らない。だからどうしても原作の勝者のほうを応援してしまいそうだ。それに、フェイトは母親のためじゃなく、自分のために戦うだろうからモチベーションがどうなっているか分からない以上、どっちを応援するとかいうのは俺にはできない」
「なるほど。つまりはどっちも好きだからどっちも応援できないってことか」
「いや違うからな!?俺が好きなのはアリサであってだな・・・」
<<ほう。神那もマスターの扱いが上手くなったな>>
「お前は出てくるな!余計にややこしくなる!!」
そんな漫才みたいなことをしていたら、戦いの準備が整ったようだ。
―――フェイトside―――
ふぅ・・・なのはと戦うのは今日が初めてというわけじゃないけど、若干緊張するな~。・・・駄目駄目、今は緊張してるときじゃない。昨日はああ言ったけど、おそらく今までのような余裕は出来ない。協力しだしてからなのはの戦いは見てきた。正直、戦闘のセンスは私以上じゃないかと思うくらいの戦いぶりだった。
「それじゃはじめよう、フェイトちゃん。最初で最後の本気の勝負・・・!」
「・・・うん、手加減無しの本気の勝負!」
【それじゃ、レディ~・・・ゴー!】
「っ!」
エイミィさんの合図と共に私はなのはに攻撃を仕掛けた。
「はぁっ!」
「くぅっ!」
受け止められた・・・!でも!
「まだまだ!」
「わっとと!」
バルディッシュによる一撃目を受け止められ、続けざまに二撃目を放ったが、寸前でかわされた。やっぱり強くなってる。
「バルディッシュ!」
<<
「・・・ファイア!」
「レイジングハート!」
<<
なのはと私は互いに魔力弾を撃つが、見事に相殺し合っていた。こんなにも強くなってるなんて・・・。
side out
互いの魔力弾の相殺の後、フェイトは接近戦に持ち込もうとバルディッシュを振りかぶりながら、なのはちゃんに近づく。
「はぁっ!」
「くぅっ!」
お、またも受け止めた。なのはちゃんもかなり訓練したみたいだね。
「・・・二人ともすごいね」
「ああ。実際に見ると迫力もあるし、どれだけすごいのかがよく分かる・・・」
「でもまだまだこれから」
「そうだね。フェイトには頑張って勝ってほしいねぇ」
「私は昨日どっちが強いなんて聞いたけど、実際のところフェイトが満足する戦いが出来たならそれでいいと思ってるの」
「大丈夫ですよ。今のフェイトは何も迷うことはないんですから」
そうさ、プレシアさんと打ち解けることができて、親子として歩み始めたんだ。・・・あれ?だったらフェイトが母親であるプレシアさんにいいところを見せようと、あせったりする可能性があるんじゃないか?
「・・・大丈夫だよね?」
「何でさっきと違うことを言うのかしら?」
フェイトside
もう一度バルディッシュによる一撃をプロテクションで受け止められた私は、後方からの魔力弾の存在に気づいた。
(!撃ち落としそこねてた!?でも!)
<<
「!?」
手元に小さな魔力刃を生成し、それをなのはのプロテクションごと爆発させた。その反動でなのはは海へ勢いよく落ちていった。後ろから来ていた魔力弾は、制御を失ったのか、私の顔の横をまっすぐに抜けていった。
(煙でよく見えないけど、これである程度のダメージは通ったはず・・・!?)
煙の中でピンク色の光が光ったと思った瞬間、小さいものではあるが砲撃が飛んできた。少しずつ煙が晴れて、なのはの姿が見えてきた。
(少しはダメージがあると思ったけど、バリアジャケットが少し汚れただけか・・・)
目に見えるダメージはなさそうだけど、このままではまずい。なのはは遠距離型の魔導師だ。距離を離すのはまずい。そう思い、私は出来うる限り接近戦を仕掛けようと思い、なのはに向かっていった。
side out
いやはや、戦いがすごすぎてついていけないね!
「今あの二人と戦ったら、なんかもう勝てる気がしなくなってきた」
「あの二人は特別だと思え。でなきゃあそこまで動けるはずがねぇ」
「でもフェイトは当然としても、なのはちゃんがあそこまで出来るなんてね・・・。下手したらフェイト、墜ちるわよ・・・」
「プレシア!?フェイトを信じられないのかい!?」
「信じているわ。でもあの子、なんか焦ってる気がするのよね・・・」
『え?』
プレシアさんの言葉に僕とアルフは驚いてしまった。フェイトが焦ってる?まさかほんとにいいところを見せようとして?
フェイトside
「はぁ・・はぁ・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
お互いにそろそろ限界かな?
「強くなったね、なのは」
「フェイトちゃんもほんと強いの」
「でも」
「勝つのは」
『私だ(なの)』
次の瞬間、私は自分を基点としてなのはを囲むように次々と魔力弾を生成していった。
「っ!バインド?!」
とっさにまずいと思ったのか、その場を離れようとしたなのはは私が仕掛けておいたバインドに捕まってしまう。
「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル。フォトンランサー・ファランクスシフト。撃ち・・砕けーーー!」
なのはがすぐにはバインドを解けない事を確認した私は、展開しておいたフォトンランサーをなのはに向かって撃ちだした。その数は十や二十で撃ち止むことなく、次々と撃ちだしていく。これでも十分だと思うが、念には念をと思い、頃合を見計らって、手のひらを空に掲げ、残った魔力のほとんどをそこに集めた。その形はまるで槍のような形だった。
「スパーク・・・エンド!」
その言葉と共に、渾身の一撃をなのはに向かって撃ちだした。もちろんそれをなのはが避けられるはずもなく、直撃した。
「はぁっ・・!はぁっ・・!(これで勝った・・・!)」
私の最強の魔法を食らったんだ。これならなのはも・・・。しかし煙が晴れた時、私は信じられないものを見た。
「う・・そ・・・」
<<いけますか?マスター>>
「いけるよ、レイジングハート」
フォトンランサー・ファランクスシフトをまともに受けて、ダメージがあの程度?服があちこち破れてはいるものの、傷らしい傷がほとんど見られない・・・。なのはは遠距離型の中でも固定砲台、しかも生半可な攻撃じゃ壊れない壁を持っているようなものなの?信じられないといった顔でほうけていると、なのはは砲撃の構えを取っていた。しかもすでに魔力は十分に溜まっている状態だった。
「くっ・・・うああぁぁぁ!!?」
一体何が・・・これって!?いやそれよりもまずい!このまままともに砲撃を食らうわけには!
「ディバイーーーン・・・バスターーー!!」
「うわっ!?くっ!」
先ほど、私がなのはにやったのと同じように、今度は私が設置型のバインドでその場から動けなくされてしまった。そしてその状態で砲撃を受けてしまったが、私はギリギリでシールドを張ることが出来た。
(・・・まずい!何とかシールドで受け止めたけど、こちらに残された魔力は少ない。でも、これを耐え切ればなのはも同じ条件になるはず・・・!)
「うっ・・!ぐっ・・!」
かなりきつかったけど、何とか耐え切れた・・・。
「はっ・・!はっ・・!」
早く息を整えないと・・・?何、このピンク色の粒子は?
(そういえばなのはは?・・・まさか!)
今だバインドが解かれていないことに気がついた私は、なのはの姿を探した。そして粒子が上に上がっているのを見た私は上空を見上げた。なに・・あれ・・・。
<<
「使い切れなくてばら撒いちゃった魔力を、もう一度自分のところに集める」
「収束・・・砲撃・・・」
それはとてもきれいな物に見えた。自分を撃ち落すものなのに・・・。
「レイジングハートと考えた知恵と戦術、最後の切り札!」
集まっていくピンク色の魔力がまるで心臓の鼓動のような音を出していた。どれだけの魔力があそこにあるのだろう・・・。おそらく私となのはのほぼ全魔力と同じくらいだと思われる。
「受けてみて!・・これが私の!全力全開!」
「っ!うあああああああぁぁぁぁっ!」
あれは防げるものじゃない、そう分かっていてもあれをまともに食らうわけにはいかない!そう思った私は、前方に5つの防御魔法を展開した。
「スターライトォ・・・ブレイカーーーーー!!」
「っ!くぅ!」
ソレが放たれた瞬間、私は思った。先ほどの砲撃など、まるで子供の遊びのようなものだと。しかしあれもまともに食らえば一撃で落とせるほどの威力だったが、これはそれを遥かに凌ぐだろう。先ほどの一撃が砲弾なら、この一撃はおそらく核爆弾ではないだろうか。・・・なんでこんなゆっくりと色々考えれるんだろう?あ、そうか・・・これが走馬灯ってやつかな・・・。今の自分の状況の答えを導き出した瞬間、私の感覚は元に戻った。その直後、なのはが撃ち出したピンク色の魔力の奔流は、あっという間にこちらの防御魔法を全て壊し、私に直撃した。その瞬間、私は敗北を悟り意識を手放した。
side out
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こんばんは~。今回のお話は一番頑張りました・・・。あくまで自分の中でですがwではどうぞ~。