No.460787

【恋姫×落語】『はんどたおる』

ども、峠崎丈二です。
投稿90作品目になりました。
タイトル通り、落語の登場人物を恋姫に置き換えただけのSSです。
最初にも書いていますが、ただの思いつきで書き下ろした作品です。読む人によっては違和感も覚えるかもしれません。
それでもよろしいという方は、本編へどうぞ。

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2012-07-28 01:25:08 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:5448   閲覧ユーザー数:4919

※注意事項

 

これは作者の単なる気まぐれと思いつきで生まれたSSです。勢い任せに書き上げたので質の低さはご了承下さい。

また、あくまでベースは元ネタの落語噺ですので所々でキャラが崩壊する恐れがありますので、スルー力検定準2級以上が必要になります。

忘年会みたいな場所で『落語』という脚本を恋姫たちという役者が演じている、と考えていただけると少し読みやすくなるかもしれません。

 

以上が容認できる方のみ、本編へどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 噺:『はんどたおる』

 

噺手 /北郷一刀

 夫 /雪蓮

 妻 /桃香

新聞屋/華琳

 

現代落語ですので、舞台は現代日本です。恋姫たちも現代にいる設定になっていますし登場人物は当然のごとく横文字やら和製英語やら使っていますが、そこら辺もよろしくお願いします。

では、次のページよりネタが始まります。落語っぽさを出すために地の文章は敢えて入れていません。どれが誰のセリフなのか少々読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。

 

 

 

 

 

んん゛っ。はぁ、緊張するな……え? もう始まってる? やべっ。

 

え~、ようこそいらっしゃいました。早速ですが、少々お時間の方頂きまして、お話の方させていただきます、逸難亭得老毛(それなんていえろうげ)と申しま―――って丈二、この名前酷くね!? え? いいから続きやれって?……はぁ、解ったよ。

 

失礼したしました。あれはそう、とある夏の宴席でのこと。久々に実家へ帰省していた私に、今は港町で漁業に従事している嘗ての悪友が言ったんです。

 

「なぁなぁかずピー、今度は3月に、ワイんとこに遊びに来いや」

 

「3月だと、何かあるのか?」

 

「そりゃあれや、ホタテの海渡りはいっぺん見なあかんて」

 

「ホタテの海渡り? 初耳だな、どういうのだ?」

 

「あぁ、知らん? ホタテってのは、あの殻の隙間からピューピュー息を吹きながら移動するやんか?」

 

「あぁ、そうだな」

 

「んでもな、おんなじところにぎょ~さんおったらメシものうなってまうやんか」

 

「そりゃそうだ」

 

「それや。それで3月ぐらいの、天気が良くも悪くもない曇りん時に、どのホタテなんかが、『浮かぼう』言うんやろな。その途端にぎょーさんのホタテが海面に上がってきよって、あっちでパカ~、こっちでパカ~ってな。ほれ、ホタテって丁度殻を開けた時が帆を立てた船みたいやから『帆立』っちゅうんは知っとるよな?」

 

「それくらいはな」

 

「それが何十と集まってパカパカ開きながら次の餌場に向かう様はもう、ほんま凄いで」

 

「ほぉ、そんなのがあるのか」

 

「いや、あったらおもろいな思ただけなんやけど」

 

いやはや、愕然とはこのことです。本当、酒のせいなのか人柄のせいなのかは知らないが、私の周囲には面白い人が多い。そしてそういう人に限って、考えがまったく読めないというものです。

 

考えが読めない。それは即ち自分と違う考えの持ち主ということになります。どんなに近しい人間であっても、絶対に自分とは違う何かを持っている。だからこそ解らなくて面白い。それがどんなに近しい人間だとしても、いや、近しい人間だからこそ、そんな些細な食い違いが気になってくる訳でして―――

 

 

「お帰りなさい、雪蓮さん。今日は早かったですね」

 

「ただいま、桃香。

 いやね、曇ってきたでしょ? お爺ちゃんが『畑も耕せそうにないから作業は明日からにしよう』って言うからね、早めに帰ってこれたんだけど……ちょっと桃香、玄関の蛍光灯、変えてないの?」

 

「うん、買いに行くの忘れちゃって」

 

「忘れちゃったじゃないでしょ?

 ボワァ、プツン、ボワァ、プツン、って点いたり消えたり、気持ち悪くない?」

 

「そうですよね。あれ、クリスマスの時にああなればいいんですけどね」

 

「なに訳のわかんないこと言ってるのよ……まぁいいわ。それで、なにをしてるの?」

 

「はい?」

 

「何を食べてるのよ?」

 

「シュークリームですよ。知りません?」

 

「知ってるわよ。なんでそうやってパクパク食べてるのって聞いてるのよ」

 

「だって箱に書いてあるんですよ?『お早めにお召し上がりください』って」

 

「そういうことを聞いてるんじゃないのよ。あなた、ダイエット中だったでしょ?」

 

「そうなんですよ。色々制限があって大変で」

 

「制限のあるあなたがどうしてそんなにパクパクパクパク……あのね、どこの誰に貰ったのかは知らないけど、こういう時でしょ?

 ダイエットしてる時にシュークリームを貰う、貰ったらご近所に配る、そうしておけばいつかまた違うもので返ってきて『あ、あの時にあげておいてよかった』ってことになるじゃない」

 

「雪蓮さん、何か勘違いしてません? これ、貰ったんじゃなくて、買ったんですよ?」

 

「……何を言ってるの、桃香。なんでダイエットしてるあなたがシュークリームなんて買うのよ?」

 

「えっとですね、いつものように角のスーパーにお買い物に行ったんですよ。

 それで、レジまで持って行って、レジのお姉さんが計算してくれて『2450円です』って言うからお金を出そうと思った時に、レジの横に紙が貼ってあったんですよ。

『今、3000円お買い上げの方にハンドタオルプレゼント』って。

 わぁっ、って思ってパッと見たら隣のワゴンに特売のシュークリームがたくさんあったからそれをカゴの中にいっぱい入れて3000円にして、ハンドタオルも貰って帰ってきたんです。

 だから500円ちょっとなのにこんなにシュークリームがあるんですよ。で、なんで特売なのかが帰ってきてからわかったんですよ。

 

 賞味期限が今日までだったんです。

 

 雪蓮さんも食べません?」

 

「……要らないわよ。なんだってシュークリームなんて買ったのよ?」

 

「だって、買わないと3000円にならないじゃないですか」

 

「3000円なんかにしなくてもいいじゃない」

 

「雪蓮さん、3000円にならないとハンドタオル貰えないんですよ?」

 

「だからねぇ……ハンドタオルって、その膝の上のそれ?

 こんなの200円か300円で買えるじゃない。なんでそんなののために500円以上も買い物して、え? 550円? 550円もシュークリーム買って、なんで蛍光灯買わなかったのよ?」

 

「だって、蛍光灯はどこにあるかわからなかったんですもん」

 

「探しなさいよ」

 

「探してる間に2450円が無駄になったら駄目じゃないですか」

 

「……どういうこと?」

 

「蛍光灯探してる間にレジのお姉さんが『2450円です』って打っちゃって『終わり』ってなっちゃったら嫌じゃないですか、勿体ない」

 

「……あのね、あなたがレジに持ってった2450円の買い物は買いたくて買ったんだからそれはそれでいいのよ。なんでそこにシュークリームを足して3000円にするのよ?」

 

「だからハンドタオルが欲しかったんですよ」

 

「そこがわからないのよねぇ……だからなんで、」

 

「もう、雪蓮さんさっきから私のことばっかり責めてますけど、私ただレジのお姉さんに550円あげてきた訳じゃないんですよ?

 550円分のシュークリームがある上に3000円になってハンドタオルまでついてるんですよ? 2つあるんですよ?」

 

「あなたねぇ、そういう考え方ってよくないわよ? なんでも数が多ければいいってわけじゃないんだから。

 じゃあ何、例えばあなたが胃潰瘍の手術して胃に穴開けて『先生、折角開けたんだから勿体ないし十二指腸も取って下さい』って言うの?」

 

「……例えがよくわかんないです」

 

「解るでしょ! ちょっとは考えなさいよ」

 

「えっと、ハンドタオルと十二指腸は同じってことですか?」

 

「違うわよ!! そういうことを言ってるんじゃないのよ。大体、あのフィルムの時だってそうよ」

 

「何ですか、フィルムの時って」

 

「何って、この前私が仕事から帰って来て玄関開けた途端に私に向かってパシャ、パシャ、パシャってシャッター押して。

『私の写真が必要なの?』って訊いたら『ううん、犬でも猫でもいいんですけど』って言うから『なんで犬でも猫でもいいのにパシャパシャ撮るのよ?』って訊いたら『フィルムが後5枚残ってるから』って言い出して『フィルムが余ってるならそのまま現像に出せばその分安くて済むじゃない』って言ったら『フィルムが勿体ないじゃないですか』って、『撮りたくもないものを撮って現像する方がよっぽど勿体ないじゃない』って言ったら『フィルムがまだ5枚残ってるのがわかっててどうしてそのまま現像に出せるんですか?』って、『現像する方が高くつくんだから』って言ったら『使わないと勿体ないじゃないですか』って、未だに結論の出てないあれよ。

なんでわかんないかなぁ……」

 

「なんだかわかりませんけど雪蓮さんの話っていつも資本主義的ですよね」

 

「どこが資本主義的よっ!! そういう話をしてるんじゃないでしょ!?」

 

「むぅ……でもですね、これから言うことはびっくりしますよ?『なんだかんだ言いながら凄いんだ』って言うくらいびっくりしますよ?」

 

「……何が?」

 

「3000円、ぴったりだったんですよ」

 

「……私はどこを誉めればいいのよ?」

 

「えぇ!? レジのお姉さんもびっくりしてたんですよ!?

『あら、お客様。3000円ぴったりですわね』って。レシート見ないから驚かないんですよ。『やっぱり凄いのね』とか、『よくぴったりに出来たわね』とか、本当に、ね、うん、と……あれ?」

 

「いいわよ、レシートなんて見なくても」

 

「そうじゃないんですよ。レシートはあるんですけど、おつりが見つからないんですよ」

 

「……何よ、おつりが見つからないって」

 

「えっとですね、5000円出して、レシートと一緒に貰った2000円が見つからないんですよ」

 

「あなたねぇ、そんな200円や300円で買えるハンドタオルに気を取られてシュークリーム食べて、挙句の果てに2000円まで落としてるんじゃなんにもならないじゃないのよ。レジのそばで落としたんじゃないの?」

 

「ちゃんと貰ったレシートと一緒にお財布に入れましたよ。覚えてますもん」

 

「それからどうしたのよ?」

 

「それから自転車に乗って表に出て、えっと、途中で雪蓮さんの缶ビール買ったんですよ。あ、でもあれは自動販売機のだから使ったのは小銭だし、その後に買った雪蓮さんの煙草も小銭だし……あれぇ?」

 

「はぁ……もう、しょうがないわね」

 

「私、行ってきます」

 

「え? どこに?」

 

「お巡りさんのところに」

 

「……あなた、ひょっとして『私の落とした2000円は届いてませんか?』って言いに行くつもり?

 あなたねぇ、今時財布だって届かないのにお札だけがあなたの為に届いてる訳がないでしょ?」

 

「だって、勿体ないじゃないですか!!」

 

「勿体ないわよ? 勿体ないけどしょうがないじゃない」

 

「だって、悔しいです!!」

 

「悔しいでしょうけど、諦めなさいな」

 

「諦められないです……」

 

「しょうがないでしょ。行ったと思って諦めなさい」

 

「へ?」

 

「警察行ったけどなかったと思って諦めなさいって」

 

「……だって、まだ行ってないじゃないですか」

 

「行ってないけど、行ったってどうせ届いてないんだから、警察に行ったんだけどなかったと思って諦めなさいって言ってるの」

 

「……どうして行ってないのに行ったと思えるんですか?」

 

「あぁもう、警察じゃわからないんならパチンコで負けたと思って諦めればいいじゃない!」

 

「……私、パチンコやりませんよ? どうしてそんな簡単に思ってって思えるんですか?

 それがわかんないんですよ。雪蓮さん、いつもそうじゃないですか。この前だって『新しい釣竿が欲しいんだ』って言って、私が『釣竿なんてどれでも同じじゃないですか』って言ったら『今度は魚が違うからこの竿じゃなきゃダメなのよ。いいじゃない、旅行に行ったと思って』って。この間だって『私の自転車が欲しい』って言い出して『一台あるんですからかわりばんこに乗ればいいじゃないですか』って言ったら『私専用のが欲しいのよ。いいじゃない、自動車買ったと思って』って。どうしてそんな風に思えるんですか?」

 

「思える思えないじゃないのよ。『清水の舞台から飛び降りたと思って』ってあるじゃない」

 

「飛び降りたと思うのはいいですけど、飛び降りた人なんているんですか!?

 じゃああれですか、生命保険の人が来たら『この人が死んだと思ってお金下さい』って言ったらくれますか? くれないですよね?」

 

「煩いわねぇ、もう! 高々2000円くらいのことで」

 

「2000円ぐらいのことで、って……さっきまで雪蓮さん、550円のことであれだけ私に言ってたじゃないですか!!」

 

「あぁもう、解ったわよ! あなたには私の話は毛頭通じないってことは解ったわよ。はぁ、もういいわ。ご飯の仕度、お願い」

 

「むぅ……解りました」

 

「はぁ……わかんないわね。ダイエットしてるのよ? ダイエットしてるのに特売だからってシュークリーム山のように買ってきてパクパク食べて汗流して、その汗をもらったハンドタオルで拭いてるのよ? ほんと、ものが堂に入ってるわよ」

 

「こんばんは、誰かご在宅かしら?」

 

「は~い。桃香、誰か来たわよ~?」

 

「は~い。どちら様ですか?」

 

「こんばんは、米孫新聞よ。あなた、新聞取る気はないかしら?」

 

「あ、ごめんなさい。もう決まった新聞一つとってますから」

 

「あら、試しに1月でも構わないわ。それに、今1月でもとってもらえれば、ハンドタオルもついてくるわよ?」

 

「あ~……ごめんなさい。昨日でしたらとってあげられたんですけど。また、次の機会にお願いします」

 

「そう言わずに。偶には違う紙面に目を通すのもいいものよ? 見聞を広める意味も込めて、どうかしら? ハンドタオルだってついてることだし」

 

「ハンドタオルはいいんですって………………あ。

 ねえ新聞屋さん。ハンドタオルいらないから、新聞代550円引いてくれませんか?」

 

「………………あぁ、ごめんなさい。ちょっと気が遠のいてたわ。もう一度言ってくれない?」

 

「新聞代550円引いてくれるんでしたら、新聞取ってもいいですよ?」

 

「あのね、こっちは新聞代が引けないからプラスアルファしてるのよ。夏場に役立つ手軽な品物ってことでハンドタオルつけてるんだから」

 

「ですから、ハンドタオルはいいんですよ。その代り、550円引いてくれたら、とってもいいですよって言ってるんです」

 

「あなたねぇ……出来ないって言ってるでしょ。それに、出来ないのもさることながら、その550円って数値はどこから来てる訳?」

 

「それ説明すると長くなっちゃうので……とにかく、550円引いてくれたらとってもいいですよ。それに、今ならシュークリームもつけちゃいますし」

 

「……は? あなた、何を言ってるの?」

 

「美味しいんですよ? その代り、今日中に食べてくださいね」

 

「いや、それこそ要らないわよ。とにかく、1月でもいいから取って頂戴」

 

「なによ、さっきから随分煩いわね」

 

「あら、一人暮らしじゃなかったのね。どう、新しく新聞取ってみる気はないかしら? もし6ヶ月取ってくれたなら、東京ドームにいつでも行けるチケット、ついてくるのだけれど」

 

「……ドームにいつでも? 本当でしょうね?」

 

「えぇ。これがそのチケットよ」

 

「おっけ、取りましょう。どうすればいいの? ハンコ? ちょっと待ってなさい。…………あったあった。どこに押せばいいの?」

 

「ここに6つ、押してちょうだい」

 

「6つ? 6つって、6ヶ月? いいわよそんな半年もなんて、1月でいいじゃない」

 

「あら、1月だったらハンドタオルよ?」

 

「ハンドタオ……要らないわよそんなの。とにかく1つ押すからドームのチケット寄越しなさいよ」

 

「それは無理よ。半年の契約の特典なんだから」

 

「いいじゃないのよ、6ヶ月の契約で取ってもらったと思えば」

 

「……は? 何を言ってるのよ?」

 

「何って、簡単じゃないのよ。1つのハンコをあなたが6つに見ればいいだけの話でしょ?」

 

「1つしか押してないものをどうして6つに見れるのよ?」

 

「ね、雪蓮さんの言ってる事、訳わかんないですよね? 私が言ってるのは簡単ですよ? 550円引いてくれればいいんですから」

 

「あのね、新聞代をまけるなんて前代未聞よ? 普通に考えて有り得ないわ」

 

「なんでですか? シュークリームもついてくるんですよ?」

 

「ほらね、この子、おかしいでしょ? その点私の言ってるのは簡単よ? 1つのハンコをあなたが6つに見ればいいんだから」

 

「だからね、それは出来ないって言ってるじゃないの」

 

「ほらね、間違ってるでしょ? だから早めに550円引いておいた方がいいですよ?」

 

「だから桃香は黙ってなさい、ってちょっと新聞屋さん、新聞屋さん!? ……もう、帰っちゃったじゃない!」

 

「雪蓮さんが間の悪い所で入ってきたからですよぅ。あともうちょっとで550円引いてくれるところだったんですから。私がシュークリームって言ったときに耳がちょっとピクピクってしてたんですよ?」

 

「何言ってるのよ、あれは呆れてたのよ。1月で6つの方がまだ考え込んでたじゃない」

 

「だから、ってあれ、戻ってきてません? 新聞屋さん、新聞屋さ~ん!」

 

「悪かったわね、ウチの同居人が訳のわかんないこと言い出して、混乱しちゃったんでしょ?」

 

「いや、どっちがどうとかって話じゃなかったのだけれど……まぁいいわ。どっちの条件も聞き入れてあげようじゃない」

 

「わぁ、じゃあ550円引いてくれるんですか?」

 

「えぇ、いいわよ」

 

「やった! じゃあどこにハンコ押せばいいんですか? ここ? えっと、はいっ出来ました!」

 

「ちょっと待ちなさいよ。私のドームのチケットはどうなるのよ?」

 

「もちろん、あげるわよ」

 

「ハンコ一つでいいの?」

 

「えぇ、構わないわ」

 

「本当? それじゃ、私も……はい、ハンコね」

 

「ありがとう。確かに確認したわ」

 

「……って、ちょっと待って。あれ? 今、桃香が押した紙と私が押した紙、別々じゃない?」

 

「えぇ、別々ね」

 

「? 別々ってことは」

 

「2口、契約してもらったのよ」

 

「ちょっと、同じ家で二人そろって同じ新聞読んでてもしょうがないでしょ!! どういうことよ!?」

 

 

 

「――――大丈夫よ、契約は2つでも、新聞は1つしか届けないから」

 

 

 

お後がよろしいようで。

 

(完)

 

後書きです、ハイ。

 

言いたいことは解る。だがなぁ、やっぱ落語って喋りのテンポあってこその面白さだと思うなww

だったら俺が絵でも書いて動画にすればよかったのかもだけど、俺の腕は案の定そこまでよろしくないわけで……まぁ言い訳だ、聞き流してくれww

 

で、

 

元ネタは最初に記した通り『はんどたおる』という、立川志の輔師匠オリジナルの現代落語です。まずは解りやすい題材の方がとっかかりやすいかと選んでみたんですが、いかがでしたでしょう? ……まぁこのネタを選んだ大半の理由は『俺が好きだから』なんですが。

要望があるようなら古典落語でも作ってみようと思ってますが……どうなんだろうなぁ? 一応、幾つか作ってみたいと思ってる噺はあります。今度はちゃんと古典落語で恋姫テイストにできそうなネタ。まぁ今回は練習みたいなもんなので、ほんとあってないようなもんだと思っておいて下さいww

で、まぁなんでこの配役になったかと言うと、

 

雪蓮/夫:恋姫の中で最も違和感なし。現代だと室内をジャージでうろついているイメージ。

 

桃香/妻:かなり庶民的なイメージから。白蓮でもよかったんだが、どうもしっくりこなかったので。

 

新聞屋/華琳:この二人に冷静に突っ込めるのって華琳くらいではなかろうか。それに最後の切り返しは頭の回る奴でないと無理だろうということで。

 

……もうね、見切り発車なのが丸解り。

 

 

 

では、次の更新でお会いしましょう。

 

でわでわノシ

 

 

 

 

…………元ネタが気になった人はこれを買ってみるとよろし⇒『立川志の輔らくごのごらく(1)「はんどたおる」「死神」』

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、とんだ災難だったわね」

 

 

「そうですか? 私は結構楽しかったですよ?」

 

 

「そりゃそうでしょう。あなたはそこまで違和感ない配役だったんだから。私なんて新聞屋よ、新聞屋」

 

 

「華琳なんてまだいい方じゃない。私なんて男役よ? しかも理由がジャージが似合いそうって……」

 

 

「ほんと、姉様の伴侶じゃなかったら斬首してるところよ」

 

 

「でも、そんなことできるんですか? 前に恋ちゃんと戦ったとき、丈二さん奉天牙戟でも無傷だったんですよ?(天上天下絶品武道会参照)」

 

 

「…………誰かアイツに勝てる奴っていないの?」

 

 

「姉様くらい、でしょうね。ああ見えて姉様の頼みには二つ返事、だそうよ」

 

 

「わぁ、愛妻家なんですね。羨ましいなぁ……」

 

 

「とにかく、次こそまともな配役にして欲しいわね」

 

 

「あ、次があったら出る気満々なんだ」

 

 

「っ……ま、まぁまたアイツが頼んで来たらの話よ」

 

 

「え~、でも華琳さん、今回の話を聞いたときに物凄い沢山の『しいでい』、丈二さんから借りてましたよね? 確か気に入ったお話のことで楽しそうに喋ってたじゃないですか」

 

 

「桃香、黙りなさい」

 

 

「へぇ、そんなに面白かった? 私もちょっと興味湧いてきたわね」

 

 

「あら、ならこの辺からどうかしら?」

 

 

「ちょっ、持ち歩いてるの!?」

 

 

「三遊亭、金馬さん?」

 

 

「解り易いし、声も聞き取りやすいから初心者には向いてるそうよ。他にも古今亭志ん朝とか、私は好きね」

 

 

「へぇ。ちょっと借りてもいいかしら?」

 

 

「華琳さ~ん、私にも何か貸して下さいよ~」

 

 

「そうね、桃香当たりには―――」

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、順調にあなたの思惑通りにいってるみたいね」

 

 

「どうせなら、楽しんで参加してもらいたいからな。あの3人を染めれば、いずれ恋姫全員に行き渡るだろう?」

 

 

「それで、次もやるの? うちの従妹は参加する気満々みたいだけど」

 

 

「いずれはな。いくつか候補は練っている。誰を指名するかは、まだ解らんが」

 

 

「そ。それで、誰の噺を使う気なのかしら?」

 

 

「しばらくは志の輔師匠だな。俺の一番好きな噺家というのも手伝って、イメージが沸きやすい」

 

 

「ふふっ、本当に好きよね。MP3に入れて移動時間の間もずっと聞いてるんでしょ?」

 

 

「まぁな。さて、次の外史を練りつつ脚本書くか」

 

 

「その前に、正史でもちゃんとした生活送りなさいよ? 今、大事な時期なんでしょ?」

 

 

「気分転換くらい自由にさせろ。ただでさえ平日は忙しいんだから」

 

 

「もう……いっそ私もそっちに行ければいいんだけどな」

 

 

「あ? んな事出来たらとっくに親父とお袋に会わせてるっての」

 

 

「なっ!? ちょっ、へあっ!?」

 

 

「ははっ、どうした? 妙な声を出すな」

 

 

「ちょ、待って、待ちなさいよっ、丈二!!」

 

 

(終われ)


 
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