翌日、グランアリーナの受付でジンのチームに入る事を登録したエステル達は観客席に行くミントと別れて、選手控室に向かった。
~グランアリーナ・選手控室~
エステル達が控室に入るとそこには、クルツチーム、リフィアペアがいた。
「あ、クルツさん達にリフィア達だ!やっほ~。」
エステルは知り合いを見つけて、声をかけた。
「おお、エステル!どうやら出場はできたようだな!」
リフィアはエステル達に気付き、声をかけた。
「うん。今回は当たらないようだけど、次に当たったら絶対勝って見せるわよ~!」
「フッフッフ……望む所だ!」
「ま、その時はエヴリーヌ達の強さを見せて上げる。」
エステルの言葉にリフィアは不敵な笑みを浮かべ、エヴリーヌも同じように不敵な笑みを浮かべて答えた。
「あ、新人君達だ!」
「どうやら無事、登録ができたようだね。」
同じようにアネラスやカルナがエステル達に話しかけた。
「お前達の腕前……見せてもらうぜ。」
「ジンさん、お互い当たったその時はよろしくお願いします。」
グラッツはエステル達の実力を見るのが楽しみのような目で見て、クルツはジンを見て軽く会釈して言った。
「ああ。その時はお互い全力をつくすぞ。」
「ええ。」
その時、試合開始のアナウンスが聞こえて来た。
「皆様……大変長らくお待たせしました。これより武術大会、本戦を始めます!」
「ワァァァァァァ………!!」
試合を待ちかねたように、アナウンスが入ると観客達は歓声を上げた。
「それでは早速、栄えある第一試合のカードを発表することにしましょう。南、蒼の組―――遊撃士協会、グランセル支部。クルツ選手以下4名のチーム!北、紅の組―――王国軍、突撃騎兵隊所属。ジェイド中尉以下4名のチーム!」
「よし……出番だな。みな、準備はいいか?」
「ああ!突撃騎兵隊といやあ、かなりの猛者揃いのはずだぜ。相手が”戦妃”じゃないのは残念だったが、相手にとって不足はねぇ。」
自分達の出番にクルツはメンバーに準備を確認し、グラッツは相手チームを聞いて不敵な笑みを浮かべた。
「いつでも行けるよ!」
「バッチリです!」
カルナやアネラスもそれぞれ武器を持って、力強く頷いた。
「カルナさんたち、頑張ってね!」
「先陣の名誉を受けたのだ!必ず勝利するのだぞ!」
「ああ、任せておきな。」
「それじゃあ、行ってくるね!」
エステルとリフィアの応援の言葉を受け、クルツ達は試合会場に向かった。
「これより武術大会、本戦第一試合を行います。両チーム、開始位置についてください。」
予選試合と同じようにクルツ達と王国軍の兵士達は配置に着いた。
「双方、構え!」
両チームはそれぞれ武器を構えた。
「勝負始め!」
そしてついに武術大会本戦が始まった!
試合は予選のようにグラッツ、アネラスが前衛として王国軍の兵士達と武器を交え、クルツは中衛の位置で自身が会得している東方の技の一つ――”方術”で兵士達の戦闘で傷ついたグラッツ達の傷を癒したり、援護攻撃をし、カルナは強力なアーツで兵士達を纏めて攻撃したり、銃で正確な射撃で攻撃した。そして試合は終了し、クルツ達の勝利となった。
「勝負あり!蒼の組、クルツチームの勝ち!」
「やった!カルナさんたちの勝ちだわ!」
控室から試合を見て、結果がわかったエステルは喜んだ。
「さすがはリベールの遊撃士ってとこか。揃いも揃って大した腕前だぜ。」
「たしかに人数こそ少ないがそれぞれが一騎当千のようだね。」
「もし試合で当たったらかなり苦戦させられそうですね。」
ジン達はクルツ達の実力に感心していた。
「ふむ。……シェラザード以外の正遊撃士の実力は初めて見たが……なかなかやるではないか。あの実力ならファーミシルス自ら鍛えている親衛隊の者達と並ぶかもしれんな。」
「ん。あれなら多少手加減しても楽しめそうだね。」
クルツ達の実力を高評価しているリフィアの言葉を肯定するようにエヴリーヌは頷いた。そしてクルツ達が戻って来た。
「先輩たち、ナイスファイト!」
「よう、いい勝負だったぜ。」
「はは、『不動のジン』にそう言ってもらえるとは光栄だ。」
「さすがに予選と違ってほとんど余裕はなかったけどな。」
エステルやジンに勝利を祝われたクルツ達は余力を残しているかの表情で答えた。そして次の試合開始のアナウンスが入った。
「続きまして、第二試合のカードを発表させていただきます。南、蒼の組―――カルバード共和国出身。武術家ジン以下4名のチーム!北、紅の組―――チーム『レイヴン』所属。ディン選手以下4名のチーム!」
「あたし達の番だわ!」
「しかも相手はあの人たちか……」
「フフ、優雅さに欠ける相手だがなかなか面白い試合になりそうだ。」
「よーし、アリーナに出るぞ!」
ジンの言葉に頷いたエステル達はアリーナに出た…………
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第121話