No.460197

外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第22話

BLACKさん

この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

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2012-07-27 06:36:52 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:991   閲覧ユーザー数:977

 

 

第22話  罪の所在(ありか)

 

 

 

 

 

ガイアスたちは城に戻り、ガイアスは玉座に座っていた。

 

「ウィンガル、出発までは?」

「船の機能掌握のために兵たちが動いていますので、数刻はかかるかと」

「そうか」

「ジャオ、動ける兵の数は?」

「負傷者を除けば、多くても一万といったところですかの」

「わかった。プレザ、アグリアはすぐにでも動けるように召集しろ」

「わかりました」

「はっ」

「ちょい待ち」

 

秋山がガイアスに声をかける。

 

「大事な要件、一つ忘れてないか?」

「……そうだった。あの者を連れてこい」

「はっ!」

 

そして兵士達に連れられてある人物が玉座のガイアスの前に座らされた。

イバルである。

 

「何をするんだ! 俺はミラ様の……マクスウェル様の巫子だぞ!」

「それがどうした?」

 

秋山がイバルの横に立つ。

 

「貴様……、この体をどうにかしろ!」

 

秋山はイバルを気絶させるだけでなく、体の自由を奪う秘孔も突いていたために、イバルは何の抵抗も出来ずに兵達に連れてこられたのだ。

 

「…………」

 

秋山は静かにチョップ体勢を取った。

そしてそのチョップをイバルの脳天目がけて振り下ろす。

 

「へぶっ!」

 

イバルは強いチョップを受け、顔面を床にぶつける。

 

「き、貴様!」

「今のは誰の分だと思う?」

「誰の分だと?」

「今のは手前の身勝手のせいで死んだ、ラ・シュガル兵達の分だ」

「ラ・シュガルの兵だと?」

「そうだ。お前はあの時、クルスニクの槍を起動させた。

そのためにエレンピオス軍がリーゼ・マクシアにきてしまい、本来だったら出ないだろう犠牲を出してしまった。

そしてこれが……」

 

秋山は左足でイバルの腹部を蹴る。

 

「ア・ジュール兵達の分!」

 

イバルは蹴られ、後ろの壁まで叩きつけられた。

 

「がはっ……」

「まだ倒れるなよ」

「俺は……ただ、ミラ様のお力を……四大様を解放しようと……」

「その結果は結局四大精霊は解放されず、エレンピオス兵が来、ラ・シュガル、アジュールの兵達を無駄に死なせた。

そしてこの俺の手も血に染めた。綺麗事だが、俺は人を殺すのは好きじゃないし、人が死ぬのを見るのも好きじゃない。

まあ人が死ぬのを見るのはまだ仕方ないと思うが、殺す方はそこまで納得できてない。

それなのにお前がやったことのせいでい両国の兵達が無駄に死んでいった。

そして俺はその怒りと激情に駆られて、エレンピオス兵達をこの手で殺めた。

これは……」

 

秋山は右手に力を溜める。

 

「その時の俺の怒りと血に染まった分だ!!」

 

秋山の右拳がイバルの腹部を直撃する。

 

「ぐぅ……はっ!」

 

イバルは口から血を吐いていた。

 

「言っておくが、今お前が味わっている痛みは死んだ兵たちの比じゃない。

死んだ人たちはこれ以上のものを味わったんだ。まだ優しい方だぞ」

「…………」

 

秋山が倒れているイバルの髪を掴んで上げる。

 

「お前は今、この状況でもミラの力になりたいと思うか?」

「…当たり前だ!」

「ふ、お前はとことん、根っからの……愚か者だーーーーーーー!!」

 

秋山がイバルを勢いよく投げ、飛んで行ったイバルを追う。

 

「ライダーキック!」

 

飛んでいるイバルの脇腹をライダーキックが直撃し、イバルは床に叩きつけられた。

 

「ぐぅ……」

「俺が殺す価値もない」

 

秋山がイバルから離れる。

 

「ミラ……様……」

 

イバルがミラの方を向き、助けを求めようとする。

 

「イバル、さすがに今回のことはお前が悪い。

私でも弁明は出来ない」

「!?」

 

イバルはとてもショックを受けた。

 

「ガイアス、こいつはとんでもない戦犯者だ。

普通なら即刻断罪だろうが、今はその余裕はないだろ。

ひとまずこいつの件は保留にして、牢にでも閉じ込めておいてくれ。

そんで今療養中のナハティガルと二人でこいつをどうするか決めてくれ。

両国に甚大の被害を出したこいつはお前だけでなく、ナハティガルにも裁く権利があるからな……」

「……いいだろう。この者を牢につないでおけ」

「はっ!」

 

イバルを連れてきた兵士達がイバルを連れて行こうとする。

 

「あ、最後に一つ」

 

秋山がイバルの前に立つ。

 

「餞別だ。受け取れ」

 

秋山がイバルの肩に手を乗せる。

すると……。

 

「うわあああああああああ!!」

 

イバルが突然悲鳴をあげた。

 

「うるさい!」

「静かにしろ!」

 

それでもイバルは悲鳴をあげ続ける。

秋山がしたこと、それはイバルに自分の持つ闇の一部を与えたのだ。

しかし秋山の持つ闇はかなりの量と濃すぎる質があるために、相当な闇の心の持ち主ではない限り、少しでも与えすぎれば、発狂死してしまう。

秋山は自分の闇を相手に与えて発狂させる場合は100億分の1くらいに留めている。10億分の1でも与えられたら死んでしまうからだ。

そのためイバルは秋山の闇に耐え切れず発狂しているのだ。

ちなみに秋山が今回与えた闇は「人が死んだときの苦しみと悲鳴、etc」である。

 

「あの人、すごく苦しそうでした」

「あれくらいでいいんだよ。俺がいなかったら裁かれることすらなかったろうな」

「…………」

 

秋山は皆のところに戻る。

 

「とりあえずまだ時間がかかりそうだから一旦休もうぜ」

 

それから各自自由時間とした。

 

 

秋山が適当に歩いているとエリーゼとジャオが話している場面と遭遇した。

 

「あの……ジャオさん。……わたしのお父さんとお母さんを殺したのが……ジャオさん……なのは…………本当なんですか?」

「こたえてよー! おっきいおじさーん!」

「…………本当じゃ……」

 

しかしジャオの言葉がなんとなく嘘だとエリーゼは分かった。

 

「ジャオさん……それ、ウソですよね?」

「……なぜ、そう思う?」

「エリーとぼくはウソツキのアルヴィン君をみてきたんだもん」

「その……ジャオさんは……ウソつくの…………下手……ですよね」

「…………」

 

ジャオは観念したかのように息を吐く。

 

「…………わしが野盗だったのはウソじゃない。

わしはかつては野盗じゃった」

「おっきいおじさんがー?」

「信じられないです……」

「わしはある日、別の野盗に襲われ、怪我をした。

その時のわしを介抱してくれたのが、娘っ子の両親だった。

じゃが、わしを襲った野盗が、わしを追ってきた。

そしてその時に娘っ子の両親は……その野盗に殺されてしまった」

「…………!」

「あの時、わしを助けなければあんなことには……。

じゃから、娘っ子の両親を殺したのはわしも同然なのじゃ…………本当にすまないと思っておる」

 

ジャオはエリーゼに頭を下げる。

 

「…………頭、上げてください」

「娘っ子……」

「お父さんとお母さんはきっと……後悔してません」

「だってエリーのお父さんとお母さんなんだもん!」

「…………娘っ子」

「わたしの名前……エリーゼです、ジャオさん」

「本当に……すまなかったの。エリーゼ」

「いいんです」

 

エリーゼは本当の真実を知ったためか、涙を流していたが、どこか嬉しそうだった。

 

「…………」

 

秋山はわずかに微笑んでその場を後にした。

それから秋山が歩いていると……。

 

「秋山さん」

 

ドロッセルに呼び止められた。

 

「どうした?」

 

秋山がドロッセルのところに行く。

 

「秋山さん、イバルさんは大丈夫なんでしょうか?」

「ああ、正史じゃあいつ特に罪に問われてないんだけど、どう考えても罪に問われるべきなんだよな。

理由はどうあれ、あんなことしたら普通は罪に問われるぞ。死刑にならなくてもな……。

それにあいつに与えたもの、あの程度で死ぬことはない。よほどのことをするなら話は別だけどな」

「…………それで秋山さんはこの後、本当に……」

「ああ、やる。その時のフォローを頼むぞ」

 

秋山はひとまずその場を去っていく。

 

「本当に自分勝手な人なのね」

 

それから数時間後、船の準備などが出来たので早速乗り込むことにした。

 

 

空中戦艦に乗り込むと、アジュール兵だけでなく、ラ・シュガル兵もいた。

 

「ラ・シュガルの兵隊さん?」

「はい。わずかですが、事情を知ったナハティガルが招集してくれたのです」

「ナハティガルが?」

「目を覚ましたのか」

「はい。まだうまく体は動かせませんが、意識ははっきりしています」

「よかったわね、ローエン」

「はい、お嬢様」

「陛下、みなに一言を」

「かつて俺たちはリーゼ・マクシアの覇権を争い、互いに剣を向けた。

だが、この戦いはこれまでとは一線を画するものだ。敵の本拠地、ジルニトラの場所はすでにわかっている。

臆するな、話が同胞よ! 信頼せよ、昨日までの敵を! 我らの尊厳を再びこの手に!!」

『おおおおおおおおおおお!!』

 

兵士達は雄たけびを上げる。

 

「船を出せ!」

「お、お待ちください! リーゼ・マクシア全域に高出力魔法陣の展開を感知!」

「何?」

「来ます!!!」

 

すると秋山以外の全員がマナを吸われる。

 

「きゃっ……! なに、これ……マナが抜けるみたい」

「この感覚は……!?」

「クルスニクの槍のマナ吸収機能を世界中に向けて使ったんだ!」

「燃料計画が始まったか……」

「民を犠牲にはさせん……リーゼ・マクシアは俺が! 今すぐ船を出せ!!」

「任せろ!」

 

秋山がマナで動けない人たちに代わって、飛んで、船を押す。

 

「うおおおおおおお!!」

 

船は少しずつ動き出す。

そして秋山が押しているうちに、戦艦は雲より上まで飛び、マナ吸収の影響がなくなり、戦艦の飛行が安定する。

 

「ふぅ……」

 

秋山は甲板へと降りてくる。

 

「お疲れ様です」

「まだまだ、こんなもんじゃねえ」

「どうやらこの高度では、魔法陣の影響はないようですね」

「エリーゼ、大丈夫?」

「頭……痛いです」

「医務室で診てもらった方がいいかも」

「一緒に行こう」

 

レイアとドロッセルはエリーゼを連れて医務室に行く。

ジュードはミラがいないことに気づいて辺りを見てみる。

 

「どうしたんだよ?」

「ミラ、どこにいったのかな?」

「見あたりませんね」

「捜してくるね」

 

ジュードはミラを捜すことにした。

 

「それじゃ、俺はもうひとっ飛びしてくるぜ。シュワッ!」

 

秋山は再び空を飛ぶ。

それからしばらくするとジルニトラを捕捉したと連絡が入ったのを聞いた。

甲板にはエリーゼたちが医務室から帰ってきていた。

 

「まずいぜ。ジルニトラに空中戦艦の艦隊が集結しつつあるってよ」

「な、なに!?」

 

船が揺れるのを感じたジュードが空を見る。

すると少し離れたところから光の柱が登るのが見えた。

 

「あれは!」

 

皆が甲板に集結し始める。

 

「ジュード、今のって……」

「クルスニクの槍みたいでした」

「光の発信源はジルニトラで間違いなさそうだ」

「あの光……再び断界殻(シェル)に穴が……」

 

そこにミラもやって来る。

 

「けど、前と違って、船が入ってこなかったわね」

「集めたマナをエレンピオスに送った感じじゃなかったか?」

「アルヴィンの考えは正しかったんだね」

「最悪な現実だけは、ウソにならねえってのが皮肉だよな」

「なんだ……。アハハハハハ! 上等じゃない!」

 

目の前には接近する敵戦艦が一隻。

 

「こちらに、接近する敵の船を発見! 全員、衝撃に備えてください!」

「俺に任せろ!」

 

飛んでいた秋山がその戦艦に向かって飛んで行く。

 

「ドュワッ!」

 

秋山はスペシウム光線を放ち、戦艦にダメージを与える。

それでも船は沈まない。

 

「ゼペリオン光線!」

 

次にゼペリオン光線を放ち、今度こそ戦艦は破壊された。

しかし破壊される直前にエレンピオス兵の何人かは飛び移っていた。

 

「そっちはお前たちに任せる! 俺は先行して、敵戦艦の数を減らしておく!」

 

秋山はジルニトラへ、一人で先行していった。

 

「あれだ!」

 

秋山は大量の空中戦艦と海に浮かぶ船、ジルニトラを見つける。

空中戦艦は秋山を捕捉し、集中砲撃をしてくる。

 

「こいつをお見舞いさせてやるぜ!」

 

秋山は掌の間に小さなエネルギー弾を生み出す。

エネルギーが溜まっていくと、エネルギー弾は大きくなっていく。

 

「うおおおおおおおおお! ストナーーーーサンシャイン!!」

 

ストナーサンシャインが秋山の手から離れ、その放たれたストナーサンシャインは戦艦の一つに当たると大爆発を起こし、他の戦艦をも巻き込む。

その爆発の光はジュード達の乗る戦艦でも確認できた。

 

「あれは……」

「秋山!」

「この船をジルニトラと接触させろ!」

 

ガイアスの指示で自分達の乗る戦艦をジルニトラに横にぶつけた。

ジュード達はジルニトラに飛び移った。

 

「もう一発……ストナーーーーサンシャイン!!」

 

秋山がストナーサンシャインを放ち、また戦艦を破壊していく。

それでも戦艦の数は多く、敵の兵達も降りてくる。

 

「もう……。ごちゃごちゃとうるさいっ!」

 

ミュゼが秋山と離れたところから空を飛んで、掌から何やら球体を出し、その球体に包まれた戦艦は押し潰されていく。

 

「あれが奴の本気か」

「ミュゼ、すごい……」

 

秋山とミュゼは降りてくる。

 

「ジュードの使役のおかげ。力が戻ってきたようです」

「それほどの力の持ち主だったのか」

「さっすが、ミラのお姉さん」

「心強いです、ミュゼ」

「わたしはここで皆様に力をお貸しします」

「どういうつもりだ?」

「ここを落とされたら作戦は終わりでしょう?」

「そうか……では任せていいんだな?」

「ありがとうミュゼ。気をつけてね」

「ジュード、ご無事で。ミラ、忘れないでね。あなたはマクスウェルなのよ」

「…………」

 

ミュゼは飛んで行った。

 

「時間はあまりありません。敵の増援を防いでいる間が好機です」

「なら、ここは二手にわかれた方がよさそうだな」

 

ガイアスは何も言わずに歩き出す。

 

「わかってるよ。ガイアス。僕のなすべきことを忘れるな、でしょ」

「ヤツらの企み、ここで必ず阻止する! 目標はジランド、並びにクルスニクの槍だ」

 

ガイアスたちは左側に行く。

 

「アル……」

 

プレザは不安そうな顔でアルヴィンを見る。

 

「なんだよ?」

 

アルヴィンはいつもの様子であった。

 

「……死なないで」

 

後ろを向いてプレザはアルヴィンにそう言った。

 

「私たちも行くぞ!」

 

ミラも歩き出す。

 

「ああ。そうしようぜ」

 

そしてミラ達とガイアス達は行動を開始するのだった。


 
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