(木之子学園内・記念大講堂・放送室)
引きずられてきた升太を含めた一同は、先頭のめぐみが案内係になり、学園祭のライブ等、多目的に使われる“記念大講堂”の放送室に到着した。
放送係:あれ? 勇気教授・・・じゃなかった“めぐみさん”、今日は何か? アイ研のコンサートの予定は入ってないですよ?
めぐみ:他に大講堂を使う予定は入ってる?
放送係:特にないです。私は今日の“メンテナンス当番”として来ただけです。終わったので、すぐに退室しようと思っていたんですが・・・
めぐみ:急で悪いけど、“例の新歓コンサート”をこれからしようと思うの。規模は小さくていいわ。うちの部員とここの人たちが聞ける程度の客席と、講義用のマイクと放送施設、それと飾り付けいらないから歌うステージがあればいいのよ
放送係:これからですか!?・・・・わかりました。講義用じゃなくて、学園祭用の歌唱用マイク、2個位の大型アンプとスピーカーと放送施設、椅子を確保します。それとアイ研の部員に集まるように放送しておきます
めぐみ:急でごめんね。あ、マイクはこの人達全員分用意してね。なにせ“あの”コンサートだから
放送係:了解です。これからだと、あと1時間はかかるので、皆さんは楽屋で用意して置いて下さい。でも衣装とかは用意出来ませんので、すみませんです
めぐみ:いやいや、大丈夫よ。じゃ、お願いね
放送係:わかりました
一同は放送室を退室した。するとすぐに学園全部に繋がった放送が流れた。
放送係:ぴんぽんぱんぽーん! アイドル研究部の皆さんへご連絡します。これより1時間後に記念大講堂にて、小規模ではありますが新歓コンサートを開催致します。いつものように準備がありますので、アイドル研究部の皆様は、至急、記念大講堂スタッフルームにお集まり下さいませ。 ぽんぱんぽんぴーん
めぐみ達は楽屋に到着した。
めぐみ:さすがテキパキしてるわね。さーて、うちらもコンサートの準備をしようかしらね
テト:もの凄いテキパキ具合なんですが、この20年間、この新歓コンサート、続けていたんですか?
めぐみ:モチのロンよ。あなた達の“20年越しの新歓コンサート”だけは“休止”扱いにしていたけど、他の新入生に関しては毎年必ずやっていたわ。まぁ誰も私や私の愛弟子達には勝てなかったけどね。あ、“あそこ”のルールと違うから、負けは負けで先に進めるから大丈夫よ
升太:で、でもそれじゃあ“入部する人”少なかったんじゃぁ・・・。全員恐れおののいて・・・
めぐみ:それが何故か、毎年一人は入部しているのよね。これが“アイドルへの対抗心”ってヤツなのかもね
升太:(20年前当初や愛弟子はともかく、今位の年齢のめぐみさんに負けたから、悔しくて入部したんじゃぁ・・・)
めぐみ:聞こえているわよ。私は“永遠のアイドル”なの。教授の今でも“ボイストレーニング”は欠かしてないのよ
升太:す、すんませんでした・・・
めぐみ:さて、今日の挑戦で歌う曲だけど、これがスコアよ。今まで歌ってきた曲の中で、出来るだけ簡単なのを選んだわ
皆に配られたそのスコア(楽譜)には、こう書かれてあった。
『森のグミさん』
升太:・・・・・これ、タイトル間違ってないですか?
めぐみ:いえ、アイ研オリジナルの曲よ。たぶんあの曲のパクリだと思っているようだけど、よく楽譜をみてよ
全員がそのスコアに書かれていた“歌詞”を眺めることにした。
『森のグミさん』
森の林のずっと奥 緑の髪の少女の家
『グミ』と言う名のその少女 歌を歌うのが大好きでした
ところでところでこのお家(うち) なんで森の奥かというとだね
村のみんなが全員で 作ってあげたお家(うち)なの
グミはお歌が大好きです でもでもめっちゃ“どへた”なの
グミが村にいたときは 村人毎日、耳塞ぎ
毎朝ちょうど起きる頃 始まるグミの早朝練習
たまりかねた村人は グミに頼んで森へお引っ越し
さてさてそれから 村は静かになりました
でもでも毎朝 静かになりすぎて
村人全員 毎日毎日 朝寝坊
困った村人 グミを戻しに森に入るが
誰も見つけることができません
後の世にこの村はね
誰も起きられなくなって
無くなってしまったとさ
升太:・・・・・・・な、なんつーダークな歌だ・・・・。というか、これ“歌”?
めぐみ:“童謡”よ。メロディが難しかったり、歌詞が今風なのだと、とても私たちに勝てないから、誰でも歌える曲を選んだのよ。でもね、勿論だけど、今回の伴奏は、“ジャパニーズポップ“になっているから、それに合わせて歌わないとだめよ。スコアは見て歌っていいからね
升太:練習時間1時間あるとはいえ、僕だけでは・・・・
めぐみ:あ、今回の挑戦ね、私一人vs残り全員軍団って事にしたの。学歩さんも参加していいからね。私はもう熟知しているから、あなた達をコーチングするわ。それと、升太さんがボーカルじゃ、とてもパワーとカリスマが足りないから、この中で一番若い女の子でテトさん以外だと、さっきも言ったとおり、“ミキ”さんがメインボーカルがいいわね
ミキ:え? 私がやっちゃっていいんですか?
めぐみ:升太さんや他のみんなも同意見だと思うけど?
升太:それしかないです
テト:私は歌はちょっといまいちなのよね
ミク、リン、レン、メイコ、海斗、ルカ、学歩:同意見です
ミキ:わ、わかりました、頑張ります! カラオケは大好きですから!
めぐみ:ほんじゃこれから練習ね。パートとか細かいことはこれから連絡するから。1時間で歌えると思うよ
升太:テ、テトよ・・・・な、なんか、ムチャぶり具合が、冥界の時より酷くなっているような気もするけど・・・・
テト:20年も経過したら、いろいろ変わっていくのよ・・・。一緒に頑張ろうよ
升太:あ、うん・・・・
こうして、約1時間のテキパキした“めぐみレッスン”が行われたのだった。
(1時間後)
めぐみ以外全員:はぁ・・・・はぁ・・・・・
めぐみ:ま、こんな感じね。そろそろ本番だから、ココロの準備を宜しくね。あ、先に私が歌うから。アナウンスがあったらスコアを持ってステージに来てね
升太:今までの挑戦で、一番“緊張”しているんですが・・・・
テト:勝ち負け関係ないから、気楽に・・・・
ミキ:いえ、やるからには“勝ち”ましょう! 私も頑張ります!
升太:そ、そうだね、精一杯頑張ろう!
全員:オー!
アナウンス:それでは、これより恒例の“新歓・・・・え?、『20年越しの新歓コンサート』を始めます! 対戦曲は『森のグミさん』です! まずはアイ研顧問にして永遠のアイドル”勇気めぐみ“さんです! 張り切ってどうぞ!
(ステージ)
めぐみ:みんなー! 元気してたー!?
観客:いえぇいーーーーー!!!!!!
めぐみ:今回は、私と、20年前に対戦出来なかったみんなとの対決になりまーす!
観客:うぉおおおお!!!!! よくわからないけど、ヤッ○ デ○ルチャー!!!!
めぐみ:それではまずは私から! みんなも歌ってねぇ!!!!!
観客:おおおお!!!!
(ステージ袖)
升太:凄い・・・一発で観客を引き込んじゃった・・・
テト:さすが“永遠のアイドル”って言っているだけあるわね・・・・
(ステージ)
めぐみ:曲は『森のグミさん』、オッケー!? ワン、ツー、スリー、フォー!!
ジャーーーーン!!!!!!
伴奏が鳴り響いた。どうやらスタッフがアイ研のバックバンドも簡単に用意してくれたようだ。そしてめぐみに歌が始まった!
めぐみ:もりのー! はーやしの ずっと おっくぅ~ぅ! みーどりのかみの~ しょうじょの いーえー いぇい!
観客:いぇい!!!
めぐみ:ぐーみーーーというなの そのしょうじょーぉ!! うった~を歌うのが だいすっきーでしたぁぁぁ~ キラッ☆
観客:キラッ☆
***
袖にいる升太:すげぇ、あの童謡の歌詞をポップ調で歌っちゃってるよ・・・
袖にいるミキ:うう、凄いです~、格が違います~
袖にいるミク:ミク~、観客もノリノリミク・・・
袖にいるリン:さすが“ずっと歌い続けている”だけはあるよね・・・。私たち大丈夫かなぁ・・
さらに歌はヒートアップして続いていた。
***
めぐみ:ところで ところで こ・の・おうち~ な~んで もりのおくかと いうとだね~
観客:なんで~?
めぐみ:むらのみんながぜんいんで~ つくってあげた おうちなの~!! ゴー☆ジャス!
観客:ゴー☆ジャス!
めぐみ:ぐみは おうたがだいすきです でーもー めっちゃ “どへた“なの!
観客:え~ うそだぁ~!!
めぐみ:ぐみがむらに~ いたときは~ むらびとまいにち みみ ふさぎ~
めぐみ:まいあさちょうど おきるころ~ はじまるぐみの そうちょうれんしゅう! ぼえぇ~♪
観客:ぼえ~♪
めぐみ:たまりかねた むらびとは ぐみにたのんで もりへおひっこし!!!
観客:もらうものは もらうわよ!!
ジャーーーーーン!・・・・・・シャンシャンシャンシャン・・・・・
めぐみ:さてさて それから むらはしずかになりました・・・・・
観客:シーン
めぐみ:でもでもまいあさ しずかになりすぎて・・・・
観客:なりすぎて
めぐみ:むらびとぜんいん まいにち まいにち あさねぼう!!!!!
ジャーーーーン!!!!
めぐみ:こまったむらびと ぐみをもどしに もりに はいるが~♪
観客:はいるが~♪
めぐみ:だれも みつけることが できません!!!!!
観客:ざんねん!
めぐみ:吟じるよ~! のちのよに~このむらはね~えーえーえーえー
めぐみ:だれも おきられなく なっちゃってぇーえーえーえーえー
めぐみ:なくなってしまったとさぁ~!!! おしまいだよ!
観客:ヒューヒュー!!! パチパチパチパチ!!!
沢山の拍手の中、ステージが暗転した。
アナウンス:皆様、ノリノリのご歓声、有り難うございました! それでは次に、挑戦者さん達による、『森のグミさん』です! ご声援をお願いいたします!
観客:わー!わー! 頑張れよ!!
(ステージの袖)
升太:しゃ、洒落にならん・・・。あれを越えるにはどうしたらいい?
学歩:・・・・・越えられるかわからないが、“戦法”、がないわけではない
テト:なんかあるんですか?
学歩:・・・・趣向を全く変えてしまうことだ。彼女のはポップで歌ってたよね。だから逆にこっちは、歌の部分は説明だけにして、その部分をアドリブ劇にしてしまうんだ
升太:え゛・・・・劇?
学歩:さっきの彼女のコーチングでセリフとかイメージとかは掴めたと思う。だから、ちょっと時間をもらって、役柄とか決めて、即興で劇にしちゃうんだよ
升太:・・・わかった。歌っても勝ち目はないし、それで行こうか。テト、めぐみさんに連絡して・・・10分間、時間をくれるように頼んできてくれないか?
テト:わかった
テトはステージから帰ってきためぐみさんに連絡した。めぐみは快諾したのか、放送係にも連絡したのだった。
放送係:えー皆様、次の挑戦者のステージですが、趣向変更のため、10分程、時間を延期させていただきます。そのままお席について、お待ち下さるよう、お願いいたします
観客:お! なんか“おもろい事”やるわけだ! 楽しみだな!
***
(ステージの袖)
学歩:時間がないから、簡潔に決めるよ。主役のグミさんはミキさんね。歌詞の通り、適当な歌詞で歌うところは、ど下手にね
ミキ:頑張ります!
学歩:でもって、歌詞を適宜朗読し、且つ、アドリブも少し入れてシナリオを進めるのが、升太君だ
升太:やってみます!
学歩:グミを追い出す役、たぶん村長だと思うんだけど、それは海斗君にお願いしたい。ここもアドリブね
海斗:やってみせよう!
学歩:あと、グミを探しに行く役は、ミクさんにしよう。これもアドリブで
ミク:やってみるミク
学歩:残りは全部、村の人ね。最後の“無くなった”は全員倒れていればいいと思うよ
残り全員:了解
学歩:じゃあ、行くよ!
10分後・・・
(ステージ)
アナウンス:えー、お待たせしました! えっと挑戦者チームは“劇”にするそうです。それでは・・・挑戦者チームの劇を開演致します! 張り切ってどうぞ!
まずは、ストーリーテラーの升太がステージの真ん中のマイクの前に歩いてきて、ペコリと一礼した。
升太:・・・・昔々、さる小さな村の隣にある、深い深い森の奥に、緑の髪の少女が住む家がありました
そして、升太の隣に、主役のミキが来て、マイク無し+腹式呼吸で腹から声を出して、セリフを喋り始めた。
ミキ(グミ役):ああ、今日も素敵な一日ね。こんな日は歌うのが一番ね
升太:その“グミ”という名の少女は、それはそれは歌を歌うのが大好きなのでした。ところで、この森の奥にある少女の家、実は村のみんなが集まって作ってあげた家なのでした
ミキ:ああ、みんな、歌うのに最適な、こんな素敵な家、本当にありがとう! さぁ、歌いましょう!
升太:グミは歌うのが大好きです、でも・・・・
ミキ:せぇの、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!
そのミキらしからぬ、凄いどへたな声に、升太もあまりのことにびっくりして、素で倒れてしまった。
観客:はははははは!
どうやら偶然とはいえ、受けたのだった。そして升太はガクガクしながらゆっくりと起きあがり、マイクを持ち直しました。
升太:で、でも、めちゃくちゃ“どへた”なのでした
その後、残りの全員がぞろぞろ耳を塞いで、ミキの隣にやってきたのでした。
升太:グミがこの家に来る前、村にいたときは、グミが歌い出すとこのように、村人全員が、毎日毎日、耳を塞いでおりました
観客:ははは、そりゃそうだ
海斗:ああああ、マジで耳が壊れそうじゃ・・・・
ミク:ミク~、村長さん、どうにかならないミクか?
リン:マジで毎朝、あの声で起こされるんですけど~(怒)
升太:そう、毎朝、ちょうど村人が起きる頃に、グミは早朝練習をしていたのでした
海斗:う、うむ。もう我慢できんな。ワシが説得するから、村のみんなも協力してくれないか?
バシ! メキィィ
海斗はメイコに足払いされ、倒れた所を思いっきり踏んづけられてしまった
メイコ:こるぁ! うるさいのを我慢するのに協力しているだけでも十分すぎるのに、これ以上、まだ協力せなあかんのか!!!
観客:(ドッ!!)
海斗:ちょ! メイコさん・・じゃなかった村人さん、待ってください! 皆さんと私で、声が聞こえない森の奥に彼女の家を建ててあげるんです。私がそっちに引っ越して貰うように彼女を説得しますから。それでいいでしょ?
メイコ:そんなら、ええわ。やったるで
観客:ハハハハハ
升太:たまりかねた村人は、森の奥に家を一軒建てて、村長がグミを説得し、グミは森へお引っ越ししました
ミク:ミク~、これであの騒音から逃げられるミク、良かったミク~
升太:さてさて、それからそれから~、村は確かに静かにはなりました。しかし・・・・
升太とミキ以外、全員が寝転がって、グーグー言いながら眠る演技をした。そして起きる動作をした。
テト:うーん・・・・・ふぇ? ええ! もう正午!
レン:ふぁ~~、ん? え! もう午後1時!!
ミク:ミク~ん・・・・・ミク? ええ!! 午後2時!!
リン:う~ん・・・・え、えー! 午後3時!!
メイコ:ふぁ~・・・・・な、なに! 午後4時!!
ルカ:ふぁああああ・・・・・え! 午後5時!!
海斗:うーん、むにゃむにゃ・・・え・・午後6時!!
学歩:むにゃ・・・・・・な、なに! 午後10時!!! また寝るか
観客:ハハハハハハ!!!
升太:そう、このように静かすぎて、村人全員、毎日毎日 もの凄いお寝坊さんになりました。さすがに困った村人達は、ミクに頼んで、グミを連れ戻しに森に入って貰いましたが・・・・、
ミク:ミク~、グミさんの家が見つからないミク~
升太:結局、誰も見つけることができませんでした
また村人役の全員が寝転がった。
全員:もうしょうがない、ふて寝するか・・・・。グーグー
観客:だめじゃん!!
升太:後の世に語られた話では、この村の村人は、誰も起きられなくなって、結局、無くなってしまったとさ。おしまい
全員起きあがり、横一列に並んで手を繋ぎ、劇団がするように、全員丁寧にぺこりとお辞儀をしました。すると・・・
観客:なかなか面白かったぞ~! 挑戦者にしては上出来だったぞ~!
パチパチパチパチ!
升太:(た、助かった・・・・・)
緞帳(どんちょう)が下りて、升太達が隠れた後、アナウンスがかかった。
アナウンス:ご静聴有り難うございました。それではお手元の2つの札、めぐみさんと挑戦者チームのどちらが良かったかを選んで、1つだけお上げ下さいませ。こちらで集計致します。それではどうぞ!
観客1:うーん、めぐみさんのは安定して凄かったけど、挑戦者チームのアイデアも買いたいな~
観客2:やっぱ、めぐみさんでしょ!
観客3:いやいや、挑戦者チームの趣向はこれまでに無かったからな、オレはコッチを選ぶぞ
ワイワイワイ
こうして、部員兼観客の100人の札が全員上がったところで、集計係のスタッフが集計を始めた。
***
(5分後)
緞帳が下がったステージの前に、めぐみと升太達が並んでいた。めぐみは余裕だったが、升太達はドキドキしていた。
升太:即興の舞台だったけど、さすがに勝てないだろうなぁ。勝ち負け関係ないけど、出来れば・・・・
ミキ:精一杯頑張ったから、結果も付いてくるわよ
リン:結構ドキドキするね
めぐみ:いやいや、升太君達、頑張ったと思うよ。あーゆー構成、このアイ研では初めてだもの。私も勉強させて貰ったわ。これからは、お笑いも取り入れないとダメみたいね~
アナウンス:それでは結果を発表致します! めぐみさんの点数、50点!
めぐみ:なるほど
升太:え? って事は・・・・
アナウンス:挑戦者チーム50点! よって引き分けです!
リン:やった! やった! 引き分けまで持ち込めたよ!
ミク:ミク~ん! やったミク!
学歩:うむ、即興の作戦、無駄ではなかったな。良かった
レン:全く違うアプローチだったからね。良かったぁ
海斗:これでメイコさんの蹴りを喰らったかいがあったものだ
メイコ:あの足払いと大阪弁が良かったのよね
ルカ:良かったわぁ~。お笑いでここまで行けて・・
ミキ:私の“だみ声”、無理したけど、結果が付いてきて良かった・・・
テト:た、助かった・・
全員が手を振りながら、ステージの袖まで歩いてきた。
(ステージの袖)
めぐみ:君たち、よく頑張りました。これが初めてよ、引き分け以上の結果になったのは。おめでとう!
升太:あ、有り難うございます! 20年越しの挑戦、無駄では無かったです!
めぐみ:私も参考になったわよ。お笑い劇とかミュージカル仕立てのコンサートも悪くないわね
学歩:さて、盛り上がっている所、済まないが、話を進めよう。撤収の後、次は最後の挑戦、我が“ナスノヨイチ部”ですな
升太:あ・・・あ! そっか! 部室棟の4Fだった、あの部ですね。今はどこでレースをやっているんですか?
学歩:うむ。あれから“多人数レース”に変えた関係で、さすがに部室棟の廊下では狭くなってな。今は、外の体育会系部活が使っているグラウンドでやっているよ。“周回”制度も取り入れられるので便利でね
升太:ところで、あの変な生き物の“ナスノヨイチ”、他の人、抵抗なかったんですか?
学歩:皆、精巧に出来たロボットだと思っている。まぁ、知らぬが仏だな・・・ふふふ
升太:(ごくっ)
学歩:まぁ、これで新歓チャレンジも最後だから、ここの全員でレースしてみようではないか! ナスノヨイチに乗る練習もしていいぞ
めぐみ:あ! それいいかも。私も乗りたかったんだよね、あれ
ミキ:楽しみです! ところで“ナスノヨイチ”って、何ですか?
升太:がくっ。あ、あのね、学歩さんの部の乗り物でね、外見はでっかいナスに、でっかい割り箸が4本刺さっている・・・あ、お盆とかで作るでしょ。あれのでかい変な生き物なんだよ
ミキ:へぇ~、面白そうです!
学歩:では我が部員達と、ギャラリーを放送で集めて貰うから、我らもグラウンドに行こうか
全員:はい
こうして、升太の最後の挑戦が始まったのだった。
(続く)
CAST
主人公・墓火炉 升太(ぼかろ ますた)=升太:とあるボカロマスター
案内役 兼 格闘研究部部長・重音テト:重音テト
工学部・生物化学科教授(料理研究部顧問)・初音ミクさん:初音ミク
建築学部・建築学科教授(技術研究部顧問)・鏡音レンさん:鏡音レン
建築学部・建築学科教授(模型研究部顧問)・鏡音リンさん:鏡音リン
理工学部・考古学科教授(温泉&お酒研究部顧問)・咲音メイコさん:MEIKO
経済学部・経営学科教授(アイス品評研究部顧問)・工藤海斗さん:KAITO
工学部・植物科学科教授(バトルマスター研究部顧問)・巡音ルカさん:巡音ルカ
社会学部・人文歴史科教授(アイドル研究部顧問兼永遠のアイドル)・勇気めぐみさん:GUMI
農学部・農学科教授(ナスノヨイチ研究部顧問)・神威学歩さん:神威がくぽ
木之子学園高等部3年生・古河ミキ:miki(SF-A2 開発コード miki)
放送係、アイ研スタッフ、観客:エキストラの方々
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○ボーカロイド小説シリーズ第8作目の”おいでませ! 木之子大学・部室棟へ♪“シリーズの第8話です。
☆初めて、ボカロキャラ以外の“ボカロマスター”を主役に、UTAUのテトをヒロインに持ってきました。
○ノリはいつもの通りですが、部室棟という今までと違った場所での対決をメインにしているのがウリです。
○部室棟や大学のモデルは、私の母校です。
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