No.459596 外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第18話BLACKさん 2012-07-26 06:29:54 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:959 閲覧ユーザー数:944 |
第18話 開戦
ミラ達と秋山はオルダ宮前で合流した。
「ナハティガルは?」
「病院に運んだぜ。とりあえず応急処置がよかったのか命に別状はないとさ」
「それはよかった……」
「じゃあとっとずらかるとするか」
そんな時、城の前にいた兵士から呼び止められる。
「あなたは……もしや、イルベルト殿ではありませぬか?」
「ええ。そうですが……」
そこに伝令がやって来る。
「伝令だ! 通してくれ!」
「何事だ!」
「ア・ジュール軍の侵攻だ! 敵兵力およそ五万!」
ア・ジュールの侵攻と五万の戦力と聞いて、秋山以外の面々が驚いた。
「戦争が……始まった」
「ご、五万の大軍? 東方辺境(サマンガン)か!?」
「違う! イル・ファン北方、ファイザバード沼野だ!」
「バカな! どのようにしてあの地を攻略するつもりなのですか!? 霊勢は変化していないはず!」
「イルベルト殿! ア・ジュール軍がどのように進軍しているのかは未だ不明です」
「大丈夫なの? 兵力はガンダラ要塞や海上に集中してるんでしょ?」
「今から兵を移動させて間にあうかどうか……」
「ご安心ください ジランド参謀副長が敵の攻撃を予期し、すでに新兵器を移送中です」
「やはり……」
「あなた、その伝令は誰の命令によるものですか?」
「ジランド参謀副長ですが……それが何か?」
「いえ、ありがとう」
兵達は立ち去る。
「何やら裏がありそうだな」
「ですが、今はファイザバード沼野へ急ぎましょう」
「ああ。それで生き方は?」
「アルカンド湿原から行けます」
「ならそこからいくか」
一同はアルカンド湿原からファイザバード沼野へと進む。
一同はファイザバード沼野へとたどり着く。
「なんだ、お前たち。所属と名前は?」
当然、兵士達に呼び止められた。
「私はローエン・J・イルベルト」
「え? 『指揮者(コンダクター)イルベルト』殿?」
「こんな事態です。戦況を伺えませんか?」
「ハッ! ではこちらへ」
(顔パスすげえ)
秋山はそう思った。
そしてローエンを中心にして戦況を聞くことになった。
「これはリリアルオーブの反応を拾い、戦局図を見るものです」
「あれ? これだけなんか違うね」
レイアが一つだけ色や大きさが違うものに気づく。
「それは参謀副長殿が進めている戦略のための部隊です。四象刃(フォーヴ)アグリアの妨害を突破したようですね」
「ジランドの戦略だと?」
「ええ。一の鐘の後には、予定到達点に至ると思われます。詳細は聞かされていませんが、戦局の流れを一気にこちらへ向ける切り札だとか。作戦実行の際には、予定到達点へできるだけ部隊を集結させるよう指示が出ています」
「ふむ……この進路だと、予定到達点はここですね?」
「は、はい。その通りです。さすがですね。『指揮者(コンダクター)』
「嫌な予感がしますね……」
「ああ。クルスニクの槍を使うつもりだろうが、自軍に詳細を明かさない理由が見えない」
「……クルスニクの槍がジランドという人がもっていったんでしょうか……」
「状況から考えたら、そうだと思う。けど……」
ジュードとミラが顔を合わせた。
「クルスニクの槍の起動に必要な『カギ』は私が奪い、イバルに託してある」
アルヴィンはそれを聞いてわずかに反応した。
「だから槍は使われることないと思ってたんだ」
「ですが槍はもち出され、おそらく使用準備を進めている。それはつまり……」
「新たな『カギ』が生み出されたのかもしれん」
ローエンは考える。
その隙を突くかのようにアルヴィンがテントを出る。
秋山はそれに気づいていた、ために……。
「ちょい待ち」
「な、なんだよ?」
「どこへ行くだぁ?」
「ヤボ用だよ」
「俺もついて行く」
「いいよ、別に……」
(お前の考えてることくらいお見通しだ)
秋山が小声でアルヴィンと話す。
(俺が何企んでるって……)
(安心しろ、お前のやることをとやかく言う気はないし、誰かに言う気もない。
これから起こることをお前もしっかり目に焼き付ければいい)
(?)
「とにかく、ついて行く。いいな」
「わかったよ」
アルヴィンと秋山が陣を出て行った。
「ア・ジュール軍はどのようにして、沼野を行進しているのでしょうか? 地場(ラノーム)は訪れていないはずですが」
「あ、はい。ア・ジュールが開発した増霊極(ブースター)をご存じでしょうか?」
皆が一斉にティポを見た。
「そんな見ないでよーハズカシイ~」
エリーゼも顔を赤らめている。
「敵はその増霊極(ブースター)によってマナを増大させ、自分たちの周囲の霊勢を変化させています」
「マナで地の微精霊を大量に召喚し、地場(ラノーム)に変えたのですか。
なんという奇策……さすがウィンガルといったところですね」
「ラ・シュガル軍はどうやって抵抗してるんですか?」
「我々にも、増霊極(ブースター)がありますから」
「兵全員に配備し、小隊の一人に、霊勢を変化させる者を充てたのですね?」
「は、はい。おっしゃるとおりです」
「もしかして、ぼくらの出番?」
ティポがエリーゼと顔を合わせるが……。
「いや、ここはローエンに任せよう。地の術に長けた者がやる方がいい」
ミラに言われて落ち込む、エリーゼとティポ。
「時間がありません。すぐにジランドの部隊を追いましょう」
皆がテントを出る。
「増霊極(ブースター)をひとつお借りできますか?」
そう言われて兵士は増霊極(ブースター)の一つをローエンに渡す。
ローエンが去ろうとした時である。
「……イルベルト殿、増霊極(ブースター)についてなのですが……」
渡した兵士がローエンに大事なことを言う。
「……実は増霊極(ブースター)には致命的な副作用があるという噂が出ています」
「何ですと?」
「長時間使い続けると、少しずつ、体力が落ちていくとか……」
「命をけずる……そういうことですか?」
兵士は黙って頷いた。
「影響には個人差がかなりあるようですが、あまり使用し続けない方がよいと思います」
ローエンはエリーゼとティポを見た。
今のところ、エリーゼにこれと言った影響は見当たらない。
エリーゼの適合率が高いのが理由だとローエンは考えた。
ローエンが戻って来た時、ジュードはアルヴィンと秋山が近くにいないことに気づいた。
ジュードが捜すと秋山はすぐに見つかった。
「秋山、アルヴィンは?」
「あっち」
秋山が自分の後ろを指差す。
「よ」
アルヴィンはそこから出てきた。
「アルヴィンさん。今の状況で一人で動かれると、さすがに疑われますよ」
「アルヴィン、今は勝手に僕たちから離れないでよ」
「ホントだよ。約束だからね!」
「はいはい」
アルヴィンはそう言う。
しかし秋山はアルヴィンの真意を知っていた。
だが今言ってはいいことではないことも秋山はわかっていた。
だから秋山は……黙った。
皆がファイザバード沼野の沼部分につく。
「みなさん、私から離れないでください」
ローエンが増霊極(ブースター)を足元に向かって投げて使う。
そして地の精霊術を展開した。
「思ったより視界が悪いね。敵がどこにいるか、全然わからないよ」
「迂回して、安全なルートを探すか?」
「ううん。直線(まっすぐ)に駆け抜けよう。それが一番早い」
「ぼくたち死んじゃうかもねー」
「……だ、大丈夫だよ。ジュードが言うんだもん」
「恐れるな。今、最も恐れるべきは、人間と精霊の命が脅かされることだ」
「それにお前たちは全員、俺が生かして帰してやる!」
「行こう、みんな!」
「クルスニクの槍を破壊する!」
全員が駆け出していく。
「はあああああ!!」
秋山は氣を溜める。
目の前には兵士達がいる。
「止まるな!」
「アルテミス!」
秋山が自分達の目の前にいる兵士達や魔物に向かってアルテミスを放ち、すべて直撃する。
そしてそのまま走っていく中、ラ・シュガル兵の一人がミラを攻撃しようとし、ジュードが割って入って止めた。
「何するんだ! 僕たちは敵じゃないよ!」
「ジランド参謀副長より全軍に通達があった! 『指揮者(コンダクター)イルベルト』は敵になった! 殺してでも排除せよ、とな!」
「なんですと?」
「ラ・シュガル戦略要点の破壊など、絶対にさせん!」
「となるとナハティガルを殺そうとしたのはジランドだな。大体わかった。
ならばお前たちは俺たちの障害となる壁だな? だったら力づくで行かせてもらうぞ!」
秋山は刀を取り出す。
「アルテミス、絶刀!!」
秋山はアルテミスと絶刀を同時に繰り出し、自分達の邪魔をするラ・シュガル兵やア・ジュール兵に魔物達をことごとく排除する。
「こいつらはともかく、俺は五万の兵士が一気に来ても勝てるぞ」
「すごい、余裕だね」
秋山のあまりの強さにそれ以上の言葉が思いつかないジュード。
そして道は狭いが、少し大きい広場に兵士達が何者かを囲んでいた。
「ジランドかっ!?」
「ううん、違う。あれはア・ジュールの……」
「四象刃(フォーヴ)」
そこにいたのはアグリア以外の四象刃(フォーヴ)三人だった。
「まだ増えるか。アグリアは合流できそうにないのう」
「ああ、たまんない。じらさないでよ、ウィンガル」
「奥の赤鎧。あれが指揮官だな」
「よし!」
「敵は三人だ。かかれ!」
「気に入らないな、そういった姿勢は」
ウィンガルが一人で指揮官に斬りかかりに行く。
「そうやって、いつも先走るんだから。嫌いじゃないけどね」
プレザを兵士達が囲む。
「邪魔しないで!」
プレザはスプラッシュを発動し、兵士二名が倒される。
「女だ! 女を狙え!」
「ぐおおおおおおおっ!」
ジャオがハンマーを振り回す。
「久々に血が騒ぐのぅ!」
指揮官が気付いた時にはウィンガルが指揮官を切っていた。
「王手(チェック)。失礼、王と呼ぶには、ふさわしくなかったな」
ウィンガルは剣を収める。
そこにミラ達が来る。
「来たか。マクスウェル」
「……やはり戦場でまみえることになった、か。悲しい時代だのぉ」
「山狩りは楽しかったわ、アル」
「そいつはよかった」
とても機嫌の悪いプレザにアルヴィンはいつもの調子で答えた。
「ジランドを討ったの?」
「答える義理はないな」
「その様子だと討ってないな。というより、その答えじゃまだやってませんと言ってるようなものだぞ、ウィンガル」
「ならば話を変えるとしよう。道をあけろ!」
「うふふ。冗談でしょ?」
「槍は破壊する。それでこの戦いはお前たちの勝利だろう。何故それで満足できない?」
「陛下の望みだからだ」
「この戦は通過点に過ぎない」
「ここで争えば、あなたたちも命を落とすかもしれない。王を支えるものがいなくなるのですよ!」
「陛下は、お一人でも歩まれるわ」
「あなたのように、後ろに隠れて、こそこそ戦うようなマネはされない」
「どういう意味でしょうか?」
イルベルト殿、なお、ごまかされるつもりか?
民の先陣を切り、戦わねばならない者であるあなたが、最後尾に回ってしまった。
その結果がナハティガルの独裁を許し、ナハティガルは謎の奇襲を受けて怪我をして今、ここにはいない」
「情報、はえーな」
「誰か聞いたかは今は関係ないが、気になるところはあるな」
「ローエンは悪くないよ。悪いのはナハティガルだ」
「国にとって個人の是非など関わり合いのないことだ」
「……どういうこと?」
「…………」
「導く指導者がいなければ、民は路頭に迷うだけ、と言っている」
「人はそこまで愚かだというか、手前は……」
「なら……今からでもローエンが……ナハティガルの怪我が治るまでの間……」
ジュードがローエンを見るが……。
「そう簡単にはいきません。
私など、しょせんは一介の軍師。王の代理でもふさわしい器が必要なのです」
「我らが王はその器をもっておる」
「そして民を導くための道をこの先に見いだされたのよ」
「槍は我らが、陛下の力として貰い受ける!」
「何度も言わせるな。クルスニクの槍は渡さない。どんな理由があろうとも、だ!」
「ミラの……マクスウェルの思いは邪魔させない!」
ウィンガルは増霊極(ブースター)を発動させる。
(ふん! 決着をつけてやる!)
「悪いが一発で終わらせてやる!」
秋山が前に立つ。
「一発ですって?」
「小僧、まさか前みたいに指一本というわけではあるまい?」
「ああ、違うよ」
次の瞬間、秋山の姿は消え、三人の腹部に向かってパンチを繰り出す。
そして秋山は三人の後ろにいた。
「すまない! 悪いが、俺はこの先に行ってる!
大丈夫だ。今こいつらを致命的じゃないとはいえ、お前たちと同じように弱らせておいた。
お前たちも追いついて来い!」
秋山は一人で先に行ってしまった。
「無茶なこと言うね」
「けど、僕たちを信じてるから出来ることだよ」
「ああ。私たちもすぐに追いつくぞ!」
「うん!」
「ええ!」
そしてミラ達7人とウィンガル達3人の戦いが始まったのだった。
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この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。
秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。
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