No.459548 テイルズオブエクシリア~転生者はイレギュラーレイフォンさん 2012-07-26 01:34:56 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:1343 閲覧ユーザー数:1325 |
~レオンSIDE~
話を終えたところでエリーゼとレイアの腹の虫が鳴り、俺たちはバランの家へと戻っていくと丁度バランが玄関に向かって歩いてきた。
「バラン、出かけるのか?」
「ヘリオボーグへ行ってくるよ。新しい黒匣(ジン)の研究結果が出たらしくてね」
「そっか、バランさん技師っていってたもんね」
……この人が源霊匣(オリジン)を成功させるんだよな。頑張ってほしいものだな。
「ねえねえ、ごはんはー?」
ティポがそう言い、皆はエリーゼを見る。エリーゼは顔を紅くして顔を伏せる。
「用意してあるから、勝手に食べていいよ」
「やった!」
バランの用意してあると聞いた一番反応して喜んでいる。が、俺たちの視線を感じたエリーゼは手で顔を隠して照れている。
「バランさん、僕たちを見つけた場所を教えてくれませんか?」
「…………?」
レイアは何でジュードがそんなことを聞くのかがわからず首を傾げる。
「これから行くヘリオボーグの先だよ。街の対岸にある丘の下で倒れてたんだ」
ジュードの質問に答えるバランにジュードは礼を言う。
「ありがとうございます」
「うん、それじゃ、行ってくるよ」
俺たちにそう言ってバランは外に出て行った。
俺たちはバランの家で食事を取ることにした。
食事を終えた俺たちはこれからのことを話しあっていた。
「んで、みんなはこれからどうするよ。バランに聞いた場所に行けば、リーゼ・マクシアに帰れるかもしれねえぞ」
「それってさっき、ジュードがバランさんに聞いていたことよね?ジュードはどうする?」
俺が話していることは先ほどジュードが聞いていたことだ。
「リーゼ・マクシアとエレンピオスの両方を救う方法を見つけるまでは帰らない」
ジュードのその言葉を聞いたレイアや他の皆も驚いている。
そして、エリーゼが椅子から立ち上がり、ジュードに言う。
「ジュード、わたしたちじゃ役に立ちませんか?」
「もちろん、みんなのやりたいことが僕と一緒なら残って欲しい。役に立つとか、立たないとか。それ以前に心強いよ」
「ですが、黒匣(ジン)や異界炉計画、ガイアスさんのことを考えると危険でしょう」
「だからこそ、今一度、これからの行動を自身で決めて欲しいのだな?レオン、ジュード」
ミラの言うことに頷く俺とジュード。レイアは少し俯いてから言う。
「本気……なんだね?一緒にいたい、だけじゃダメなんだよね」
「うーむ……」
悩んでいるローエン。ジュードは自分を見るレイアを見て話す。
「僕、エレンピオスに来て改めて思ったことがあるんだ。エレンピオスから黒匣(ジン)はなくせないよ。それでも断界殻(シェル)はなくさなきゃいけない」
「確かにな。この街を見ただけでもこのエレンピオスからは黒匣(ジン)をなくすことはほぼ不可能だ」
「うん。だから、僕は、僕なりの答えを見つけなきゃいけないんだ」
「俺はエレンピオスの人間が困るような、答えを出すつもりねーぜ」
アルヴィンは自分の答えは自分の故郷の世界を困らせることはしないと答える。
「こうやって悩んでいる間にも……精霊さん死んでいってるんですよね」
「そうだな……だが、中途半端なことをすれば余計に精霊たちは……死んでいく」
俺たちがこうしている間にも精霊は死んでいく。だが、答えが見つからない状態で事を運べば、大変なことになることがあるだろう。
「みんな、聞いてくれ。黒匣(ジン)がなくならないのであれば、私は精霊が減らないよう新たな誕生を見守る。レオンと共にな」
ミラが俺を見て微笑む。俺も微笑み返す。
「でも、それじゃ…… 精霊も世界を循る一部。人間も精霊も、私が支えてみせる」
「一人できないことも……二人ですればいいしな。俺は精霊になったし。死ぬことはないに等しいしな」
俺もミラと共に生きる覚悟は10年前からできている。悔いはない。
「ミラ……レオン……」
「このことはレオンと一緒に考えていたことだよ。黒匣(ジン)をなくせない。ジュードがそう思ったのなら、それでいい」
そう言いながら立ちあがるミラ。
「迷っている時間が惜しい。ヘリオボーグへ向かおう」
「だな。それにヘリオボーグへ行けば……」
「黒匣(ジン)の研究をやっているとこだし、異界炉計画についても何かわかるかも……だろ?」
「そのとおりだ」
「三人は着くまでに、答えを出してくれないかな」
ジュードは答えがまだないエリーゼ、ローエン、レイアに言う。
「うん……」
レイアはいつもの元気がない。自分の答えが見つかっていないみたいだな。俺とミラは元々、決まっているしな。
「私の役目は見守り、導くことか……」
ローエンは俺たちを見ながら、そう呟いた。
ヘリオボーグへ向かうために街の出入り口に向かうとそこから人々が慌てて街に入ってきている。
「何かあったんですか?」
ジュードが一組の男女に話を聞いてみると
「ヘリオボーグが攻撃を受けたんだ!」
聞きたくないことを聞いてしまった気がした。
「……なんだって?」
「信じられない。仮にも政府軍の基地よ!黒匣(ジン)の生産と研究の拠点だからってそこを襲うなんて……」
「誰が襲ったの?」
誰が襲ったのか……俺たちにはその見当が何となくついていた。だが、あまり信じたくもなかったのだ。
「それがわからないんだ。連中、黒匣(ジン)なしに算譜法(ジンテクス)使うんだ!あんなの初めてだった!」
「算譜法(ジンテクス)ー?」
算譜法(ジンテクス)……リーゼ・マクスアから来た俺たちには馴染みのない言葉だな。
「黒匣(ジン)で起こした精霊術のことだ。それが必要ないってことは……」
「ガイアスだ」
こんなことをすぐに実行できるのはガイアスしかいな。
「そんなバカな!ガイアスがもう動き出したのか?」
「行こう。バランさんも心配だよ」
俺たちは急いでヘリオボーグへと向かった。
トルバラン街道を通って俺たちは今、ヘリオボーグに到着した。しかし、
「人の気配がない……」
そう、人の気配というものが全くないのだ。
辺りを見回しているとジュードが何かを拾っていた。
「黒匣(ジン)の外装だ……」
ローエンはジュードの目の前にある箱を見る。
「黒匣(ジン)を詰めていた荷のようですね……中はすべて破壊されています」
「ガイアスがこれをやったのかな……?」
「十中八九、これはガイアスがやったな。この剣で斬り裂かれた痕……こんなに大きな痕を残すにはかなり長い剣で斬り裂くしかない。ガイアスしか思い浮かばないな」
ミラもそう思っていたのか、俺は言うと頷いている。ローエンも犯人はガイアスだろうと思っているようだ。
「大きな施設や倉庫は壊されていますが、その他の建物は残っているようです」
「つまり、目的が侵略や軍そのものの殲滅ではない、ということか」
まあ、確かにもし殲滅が目的だったらガイアスが本気を出せばこの施設を吹き飛ばすこともできるしな。
「ミラ、バランさん捜しましょう」
「うむ」
エリーゼ……お前、アルヴィンがバランを心配しているのに気づいて……優しい子だな、お前は。
「よし、まずは奥を目指すか」
俺たちはヘリオボーグ内へ入って行った。
ヘリオボーグに入ってしばらくすると、建物の外に出た。
外に出てみると、
「誰、か……」
声のする方を見ると一人の女兵士が倒れていた。
「大丈夫ですか!?」
ジュードが治療をし、壁に腰掛ける女兵士。
「手間かけさせた……もう大丈夫だ」
「他に人が見当たらないんですけど……どこにいったか、わかりますか?」
レイアの質問に女兵士は答える。
「早くに逃げ出した者もいたが……連中のおかげでひどい混乱だったからな……」
「基地を襲撃した人物を見たのですか?」
「長剣の剣士と宙を飛ぶ女を中心に大勢の兵隊が波のように押し寄せた」
長剣の剣士に宙を飛ぶ女……ここまでガッチリ一致する人物と言ったら……
「間違いないな。ガイアスとミュゼだ」
「ああ。レオンの予想通りだ」
「やつら黒匣(ジン)を一切残らず破壊すると言って、我々に退去するよう要求してきたんだ」
「黒匣(ジン)を破壊?」
……ガイアス。お前、そこまでする気なのか。この世界を見れば、黒匣(ジン)をすべて破壊されでもしたらこの世界の人々が死ぬことになるんだぞ。お前はそれでいいのか?
そして、いつのものように何かを考えているジュードは、パッと顔を上げる。
「まさかガイアス……!」
「エレンピオスにある黒匣(ジン)をすべて破壊する気なんじゃ!……だろ?」
「レオン!?気づいてたの?!」
皆が俺を見る。
「ああ、まあな。あいつとはライバルであり、友でもあるからな。あいつは一度決めたら徹底的に物事を進める。俺がやめろって言っても無駄みたいだしな」
ヤレヤレっと首を回す。
「ちょっと待て!?異界炉計画を潰すためにか!?極端すぎだろ?」
「……いや、黒匣(ジン)がある限りエレンピオスの状況は変化しない。異界炉計画は何度でも立ち上がるだろう」
「ガイアスは、黒匣(ジン)をなくすことで、二つの世界の問題を、根本から解決する気なんだよ」
「正直しんどい話だが……レオンの言うとおりだとしたら、ヤローならあり得るか、くそ。なら、バランは……」
アルヴィンはバランが殺されているかもしれないと思っているのだろうな。
そうしているとエリーゼが女兵士に聞く。
「あの……バランという名前に……心当たりはありませんか?黒匣(ジン)の技術者なんです」
「それなら……源霊匣(オリジン)を研究している棟かもしれない」
「源霊匣(オリジン)だと!?」
源霊匣(オリジン)……セルシウスを蘇らせた技術か。
「ああ。兵装研究棟という所だが、今頃は……あまり期待しない方がいいかもな。襲撃した連中もそこにいる可能性が高い」
「…………」
アルヴィンは悔しそうな表情をしている。当り前か……二十年ぶりに再開した従兄が死んでいるかもしれないという……ことが頭を過ったんだからな。
「アルヴィン……」
「大丈夫だ。……気にすんな。お前はガイアスのことだけ考えてろ」
アルヴィンを心配しているジュードだが、アルヴィンは大丈夫だという、
「でも……」
「そうじゃねーだろ、お前は。前に進むんだろ」
「…………」
「正しいとか、人に優しくとか今は……そうじゃねえだろ」
いつまでも自分のことを心配するジュードにアルヴィンは今はこれからのことを考えろとジュードに言っている。
「アルヴィン……ありがと」
ジュードは自分のことを心配しているアルヴィンに礼を言う。
「ねえねえ、その研究棟ってどこー?」
ティポがバランのいる研究棟について聞き始める。
「この先に行ったところだ。まだあればの話だがな」
女兵士は傷ついた体で立ちあがり、俺たちに言う。
「気をつけろよ」
「あなたも気をつけてくださいね」
女兵士はここから去って行った。
俺たちは女兵士に言われた方へと進むことにした。
「アルヴィン?」
「大丈夫だ。問題ねーよ」
ミラは動かないアルヴィンに話しかけるが、アルヴィンは問題ないと言い、移動し始める。
女兵士に言われた棟に来た俺たちであったが、広すぎてどこに行けば分からなくなっていた。
「バランの居場所も……ガイアスもこれじゃわからないな」
「他の場所を探そう」
ピコピコピコ
「……」
何やら隣の部屋から音がしたな。何の音だ?
それに気づいたアルヴィンがその部屋のドアに手をかける。
「待ってくれ」
「どうかしたのか?」
ガチャ
アルヴィンがその部屋に入って行くので俺たちも後に続いて部屋の中へと入って行く。
カタカタカタ……カタカタカタ……
アルヴィンは機械を動かして情報を集める。
「間違いない。アルクノアから渡ったデータで源霊匣(オリジン)の……ヴォルトってのを作ってたようだぜ」
「ヴォルト、か」
「雷の精霊……ヴォルトか」
「知っているのか?」
「まあな。それにセルシウスにも聞いたことがある名前だし」
そうかっと納得するミラ。
「ジランド、本気で源霊匣(オリジン)でエレンピオスを救おうとしていたんだ」
「なんだ?源霊匣(オリジン)のやろう……半刻ぐらい前に強制起動された記憶があるな」
「誰かが源霊匣(オリジン)を動かしたのですか……?」
「…………」
「それはわかんらねーが、源霊匣(オリジン)はこの研究棟の上の階にのぼったみたいだぜ……追うか?」
アルヴィンは俺とミラを見て聞く。
「追うぜ。セルシウスと同じ存在なら、俺がどうにかできるし、ヴォルトを動かしたのはガイアスの可能性が高い」
「何か思い当たるのか?」
ミラとアルヴィンが俺を見る。まあ、こんな言い方をすればそう聞いてくるか。
「確信はないが、ガイアスはジランドと同じことを考えた可能性がある」
「源霊匣(オリジン)の可能性か?」
「そうだ」
俺が頷くとジュードが話しかけてくる。
「僕、ガイアスと会って話がしたい」
「ねえジュード、行くのはいいけど……どっちにしてもガイアスが、黒匣(ジン)を壊すつもりなら……もう話はできないんじゃ……」
「その時はその時だよ。ガイアスがそのつもりなら僕は……」
何かを決意しているジュードを見てローエンが聞く。
「いいのですか?ジュードさんはガイアスさんを尊敬しているのでしょう?ミラさんを尊敬するのと同じように」
「私と同じ……」
「そんなんで、本気でやりあえるのかよ?」
「アルヴィンが、どうしてそこまで言うんですか」
「さっきの説教もそうだぞー!調子にのるなよー!」
ジュードに色々というアルヴィンにエリーゼとティポが文句……なのか?を言っているな。
「いいんだ、エリーゼ。僕はガイアスを尊敬している。だからって、ガイアスと同じ道じゃないと歩めないわけじゃないよ」
ジュードは俺とミラを見る。
「……そうじゃなきゃ、ガイアスやミラ、レオンのような大人にはなれない」
「ジュード……」
「ジュード……お前」
俺とミラはそのジュードになんて言えばいいのかわからなくなる。まあ、俺たちのような大人になれない……なんて言われたらなぁ~困るぜ。
ヴォルトがのぼって行ったという上に来てみると、バチバチ言っている球体を発見。
「あれが源霊匣(オリジン)、ヴォルトか……?」
アルヴィンはあんな球体が源霊匣(オリジン)なのかと疑っている。
「ジジ……ガガ……」
ガン!バチィィン!
「きゃ!」
「びりびりするー」
「本当に雷を操る精霊なのですね」
「言ったとおりだろ?」
「ええ」
「ジランドのような、使役する人間が見当たらない……」
「これって暴走してるんじゃないよね……?」
皆でヴォルトのことを言っていると、球体の中にヴォルトが人の形をしていたのが見えた。
バチィィィィ!ジィジィジィ!
雷を何かに当てている。
「どっちでも同じこと。まずはおとなしくさせる!」
「来い!セルシウス!」
シュ!バァーン!
氷の術式からセルシウスが出てくる。
「お呼びに参上しました。マスター!」
「一緒に戦ってヴォルトを止めるぞ!」
「はっ!」
セルシウスを入れての戦闘が始まった。
「ジジジ……!」
ヴォルトが雷で作った小さな球体をいくつも周りに飛ばす。
俺は雷化しているので雷の属性はほぼ通用しない。
「オラアアア!!!」
今回は剣ではなく素手で戦っている。
「輪舞旋風ぅ!!!」
蹴りで絡めてこちら側の懐に呼び寄せてからの!
「獅吼翔破陣!!」
吹き飛ばし、地面に叩きつける。
「エアプレッシャー!!」
「ネガティブゲイト!!」
地面に叩きつけられているヴォルトにローエンとエリーゼの術で追い打ちをかける。
「ジジ……グガガガ!」
苦しんでいるヴォルトに、俺とセルシウスの術が発動する。
「氷霧に彷徨え!凍河に果てよ!」
「冷気に抱かれて刹那に眠りなさい」
「「インブレイスエンド!!」」
ローエンとエリーゼの術で地面にから起き上がれないヴォルトを氷の棺に閉じ込めた。
「ミラ、決めるぜ!」
「ああ!行こう!レオン!」
止めは俺とミラの術式を展開する。
「万象を成しえる根源たる力、太古に刻まれしその記憶!!」
「我らの呼び声に答え、今ここによみがえろ!!」
ヴォルトの周りに、火・水・風・地属性の球体が現れ、
「「エンシェント・カタストロフィ!!」」
ヴォルトを中心に大爆発を起こした。
「ギギギ……ガガガガガガ―――――――!!!」
ドカアァァ―――ン!
「お前はおとなしくしていろ、ヴォルト」
「少ししたらお前も俺の術式の中で寝ていろ」
倒れているヴォルトにそういってこの戦いは終わった。
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第59話 VSヴォルト