No.459302

魔法少女リリカルなのはmemories 第二章 再開するまでの記憶(メモリー) 第二十二話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-07-25 20:58:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2088   閲覧ユーザー数:2002

 なのは達が第26管理世界にある研究所から居なくなって約三時間後、その研究所に一人の執務官が到着する。

 金髪の髪に一つ結びで黒いバリアジャケットを着ており、見覚えがある人物だった。

 フェイト・T・ハラオウン。彼女は事件が発生したという事で、執務官として任せられてたのだ。

 フェイトがこの仕事を任せられたのには訳があったりするのだが、フェイトはその事を知らない。

 

「それで、一体何があったの?」

 

 フェイトは近くの管理局員に状況を聞こうとする。

 フェイトが聞いてきたことに管理局員は何故か慌てだして、敬礼するくらいだった。フェイトに話し掛けられたことに驚いているようだった。

 

「フェ、フェイト・T・ハラオウン二等空佐っ!! い、いいいったい、なななんの用でしょうかっ!!」

「わ、私に話しかけられたことでそこまで緊張しなくても……」

 

 管理局員の慌てぶりの様子を見て、フェイトは苦笑する。

 フェイトはJS事件とフッケバイン事件の功績によって、なのは程ではないがかなり有名になっていたのだ。なのはと一緒の二等空佐であり、フェイトみたいな執務官になりたくて執務官を目指す人間も増えているくらいである。

 すぐに顔を戻し、管理局員もすぐに緊張をほぐして状況を聞こうとする。

 

「それで、この岩石はなんなの?」

 

 フェイトは崩れているように見える岩石のある部分から見える入口らしきもを見て、話しかけた管理局員に聞く。

 

「どうやら、何者かがこの研究所に侵入して魔法によって研究所全体を崩壊させたようです。犯人は一体誰なのか分かっておりませんが、ここまでするという事は何かあるのかと」

「死傷者数はどれくらいなの?」

「確認できただけで三十四人。その内ここで仕事していた研究員十三人と偶然来ていた管理局員二十人が全員殺害されて死亡。一人の研究員が意識不明です」

「ここに居た研究員は当時何人だったの?」

「当時は全員合わせて十五人です。現在行方不明のラスティル・エメリア研究長を懸命に探している所です」

「ありがとう」

 

 状況確認をし終えると、フェイトは状況を聞いた管理局員から離れ、研究所の入口の近くへと向かう。近くまで来て研究所内を見てみると、研究所内はかなり崩れており、先が真っ暗で見えない感じだった。良くこんな状態で中に居た人を一人を除いて救えたものだと思った。

 中に入るのは危ないと思って研究所の入口から離れ、次に遺体が集められている場所へと向かう。

 

「これはひどい……」

 

 フェイトは遺体を見て、少し吐き気がするくらい悲惨だと思った。研究所が崩れたおかげで腕が変な風に曲がっているものもあったが、魔法弾によって体を貫通されているものもあれば、首を斬られたものなどと、崩れてきた物で出来る訳がない遺体がかなりあった。しかもフェイトが見た死体のほとんどは、全てなのはによってやったものである。そんな事を知らないフェイトは、よくこんな殺害の仕方が出来たものだと思っていた。それほどまでに酷かったのだ。

 それからフェイトはテントが建っている所へ向かい、テントの中へ入る。そこには左肘より上の部分と右膝より下の部分が変な風に折れ曲がっている一人の研究員の姿があった。折れている部分は包帯で固定されており、両方とも出血はしていなかった。

 

「状態はどんな感じ?」

 

 フェイトは診察している医務官に意識不明の状態である研究員の状態を聞く。医務官は一度フェイトの姿を見て、すぐに視線を戻して話し出す。

 

「研究所の崩壊のよって出来た左肘より上部分と左膝より下部分を複雑骨折、背中にはかなりの火傷を負っております。致命傷ではありませんでしたので、多分犯人は殺したのだと思って見逃したのだろうかと」

「一体、誰がこんな事を……」

 

 なのはが犯人だとは全く思っていないフェイトは、あまりの酷さにこんな事をした犯人を何としてでも捕まえてやると思った。これをやったのがなのはだとは一ミクロも思わずに。

 フェイトがそう思っていると、意識不明だった研究員の意識を取り戻した。

 

「うぅ……」

「い、意識が戻りました!!」

 

 医務官が突然声を上げると、フェイトはすぐに仰向けで意識不明だった研究員の近くに寄る。テントの近くにいた管理局員もその言葉を聞き、テントに入ってきた。

 意識を取り戻した研究員は目を覚ますと、辺りを見渡して自分が意識が無かったのだと分かった。しかし意識を取り戻してすぐだからなのか、自分の状態に気づいていないような感じだった。

 

「っ!?」

「まだ安静にしていろ。君の体はかなり酷い状態だから」

 

 起き上がろうとすると右腕と左膝辺りから激痛が走り、すぐに仰向けに倒れてしまった。すぐに医務官が言葉を掛けて落ち着かせると、研究員は今の自分がかなりの重症だと気づかされ、安静にすることにした。

 

「さて、意識を覚めてすぐに聞くのもなんだが…… フェイト・T・ハラオウン執務官、君から話してくれるか」

「はい、わかりました」

 

 医務官に言われて、フェイトは更に研究員に近寄って話しかける。研究員はフェイトの顔を見て一瞬眉をひそめるがすぐに元の顔に戻る。

 

「それで、一体ここで何があったか覚えてる?」

「いえ……それが、どうしてこんな事になったか思い出せないのです。覚えている事はエメリア研究長がある人物を強制的に連れてくるように命令されて……」

 

 フェイトは執務官として研究員に話しかけた。返ってきた言葉は思い出せないという事であったが、ラスティル・エメリア研究長が誰かを連れてきたという事は分かった。

 しかし、突然研究員の言葉が止まった事にフェイトは疑問に思った。それからすぐして、研究員は突然驚いた顔をしてそれからすぐに怯えた顔に変わって言い始めた。

 

「……そうだ、彼女が魔法をエメリア研究長と強制的に連れてきた少女以外の管理局員と研究員を殺傷設定で放ってきたんだった!! 私は咄嗟に魔法で守ろうとして、そのまま気絶したという事か……」

「落ち着いて話して。それで、その彼女って一体誰ですか?」

 

 フェイトは研究員を落ち着かせながら、魔法を放ってきた人物を聞き出そうとする。管理局の命令でエメリア研究長を殺害する事を命令されたなどの事は言わず、意外なほど冷静であったようだ。そんな事をフェイトが知る由もないのであるが。

 しかしフェイトが聞いたそれは、予想もしていなかった事であるのは知らなかった。そう、研究員が次に言う言葉はもう決まっていたから――

 

「高町なのは二等空佐。彼女がエメリア研究長以外のこの研究所に居合わせていた管理局員と研究員を全員殺害したのです!!」

 

 

----

 

 

 そして、フェイトが執務官としてエメリアが居た研究所の事件を調べている頃、なのははアリシアに呼ばれてデュナと一緒に、艦船のメインルームに居た。

 そこにはなのは、デュナ、なのはを呼んだアリシア、エメリアの四人が集まっており、更に二人増えていた。そのうち一人はもう一人の方におんぶされて眠っているようだが。

 その二人の内一人はなのはが見覚えがある顔立ちで、おんぶされているもう一人はデュナが見覚えのある人物だった。なのはとデュナは見覚えのある人物を見て驚いていた。

 後者はデュナの妹であるリィナ・シルフィアであり、そしてもう一人は……

 

「お久しぶり、なのは――」

 

 なのはの幼いころの幼馴染だった、フィルノ・オルデルタであった――


 
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