No.459292

魔法少女リリカルなのはmemories 第二章 再開するまでの記憶(メモリー) 第二十話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-07-25 20:49:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1795   閲覧ユーザー数:1752

「まぁ、こうなるとは思っていたがな」

 

 エメリアは周りに囲まれた状態を見てそう呟く。

 

「ラスティル・エメリア研究長。お前がフィルノ・オルデルタと関わっていたのは実はかなり前に知っていた。唯、実験行うはずだった被験者はどこに連れて行ったのかというのを君から聞く必要があって、この日まで先延ばしてあったのだがな」

「……失言だった」

 

 エメリアは先ほど第83管理外世界に居るという事をなのはとデュアに言っていた。それが盗聴されていたとなれば、かなり大変な事態であるという事だった。せっかく逃がしてあげたのに自分の言葉のミスでどの世界に逃がしたか言ってしまったのだ。どの世界にあるか分かれば、その世界で魔力反応がほかに比べて高く、集まっている所を調べてしまえば簡単に見つかってしまうからだ。

 

「なのでもう君には必要ないのだよ。とっくにお前の妹は実験に使われているだろうしな!!」

「くっ」

 

 その言葉に、エメリアは歯を噛みしめる。とっくの等に盗聴されていたのだったら、エメリアの妹が実験に使われているなんて当然だった。自分の不甲斐無さに、エメリアは涙を流していた。

 しかし、その言葉を聞いて切れた人間が一人居た。なのはだった。

 先ほど、エメリアから妹については話を聞いていた。簡単に話せば、とっても優しく、助けを呼んでいる人間がいればすぐさま助けるような妹だと事を、なのは先ほど聞いていた。そんな人間を、管理局が捕えて人体実験に使われていると思うと、腹が立って苛立ちが抑えられないでいたのだ。

 しかし今はAMFが張られており、魔法を使う事が出来ないが、先ほどから対処している所で、あと少しで全て対処できるところだった。

 

「さて、ラスティル・エメリア研究長はこの場で殺して、他の二人は連れてこいと言われているからな」

「…………」

「ちっ、何も言い返さないのかよ……」

 

 エメリアはその言葉を聞いても何も言わなかった。何か言ったところで自分が求めている回答が返ってくるとは思っていなかったので、何も言わない事にしたのだ。しかしそれが銃を持っている管理局員にとっては気にくわなかったようで、舌打ちをしていた。

 

「まぁ、そんな事どうでもいい。さようならだ。ラスティル・エメリア研究長」

 

 そう言うと、周りを囲んでいた研究員と管理局員の数人が銃を向ける。バインドも何もされていないので身動きは出来るが、銃の方がどう見ても早いので、避ける事は不可能だった。

 そして一斉にエメリアに向かって発砲された――

 

「なっ」

 

 エメリアには一発も銃弾が当たらなかった。

 そして、目の前に見えていたのは、バリアジャケットを羽織った高町なのはだった。

 AMFに対策し終えたなのはは、小声でレイジングハートに頼んで変身し、すぐさま『サークルプロテクション』を発動したのだ。ここまでたった1秒で終わらせ、管理局員がエメリアの名を言い終えて、銃を構えて発砲するまで約2秒だったために間に合ったのだ。

 さすがにこの状況に管理局員と研究員全員が驚いていた。たった数秒で魔法を使い、しかもAMFを対策し終えてしまっていたのだ。AMF発動しているから安全と思っていた管理局員たちのミスだった。

 そしてなのはすぐさまガジェットドローンIII型がある方向にレイジングハートを構え、それにすぐに気づいた管理局員の一人が大声を上げる。

 

「みんな避けっ!!」

「……『ショートバスター』」

 

 その管理局員が言い終える前に、なのはは『ディバインバスター』より威力を弱めて最速砲撃をする『ショートバスター』を使用する。

『ショートバスター』はガジェットドローンIII型に直撃し、簡単に壊してしまう。

 しかもそれだけではなかった――

 

「う、腕がぁ!!」

 

 管理局員の一人が逃げ遅れて、なのはの『ショートバスター』によって焼切られてしまった。それに様子に気づいた管理局員と研究員全員は驚きを隠せないでいた。

 

「さ、殺傷設定っ!?」

 

 そう、あの高町なのはが殺傷設定で『ショートバスター』を放ってきたのだ。非殺傷設定なら考えられていたのだが、まさか殺傷設定で放ってくるとはほとんどの人間が思っていなかった。

 そしてなのははすぐに後ろを振り向き、逃げ惑う管理局員と研究員たちの方にレイジングハートを向ける。

 

「『アクセルシューター』」

 

 しかしなのははそんな事を気にせず、カートリッジロードを一発消費して『アクセルシューター』を使用する。

 この場に居る管理局員と研究員の人数分の二十三発の弾丸を操って、人間一人に一発ずつ攻撃した。

 AMFが破壊されたという事を忘れてほとんどが防御魔法を使うのを忘れて、直撃して殺される。その光景はもはや虐殺もしくは殺戮だった。今のなのはを一言で表せば、悪魔(・・)魔王(・・)のような存在だった。

 それほどまでになのはは切れていたのだ。今まで人体実験がどれほど酷いのか実感わいていなかったのだが、エメリアが守ろうとしていたエメリアの妹が人体実験に使われているという言葉を聞いて、やっと人体実験の酷さが分かったのだ。そんな奴らを野放しにして生きていていいのかと思い、人間をこんな酷い事までするのかと思ったのだ。そして、そんな事をまたっく気にしてなかった管理局の実態を知って、そんな事を今まで知らないで管理局に所属していたなのはは、怒りを頂点に達してこう思ったのだ。そんな奴らは殺しても構わないと。

 

「残りはあと八人か」

 

 いつものようななのはの声より低い声で言う。その顔は人を殺しておいてなんも感じていないような感じだった。そこまでなのはを怒らせていたのだ。

 また、残り八人かと言っても、なのはの魔力ランクに比べて低いので、負傷している奴が大半で無傷だったのは先ほど代表して話していた管理局員たった一人だけだった。それ以外は多分もう一度『アクセルシューター』を放てば動けなくはなるだろうというぐらいだった。しかしそんな事はなのはは全く気にしせずにレイジングハートを構えた。

 

「『アクセルシューター』」

 

 そしてもう一度『アクセルシューター』を放ち、今度は生きている人間の倍の数である十六発を操って生き残っている八人に攻撃する。八人ともすぐに防御魔法をするが、一人を除いて防御魔法では守りきれず、またしてもダメージを受ける。しかしなのはは更に容赦しなかった。

 残りの八発を防御魔法が壊れた瞬間に放ったのだ。一人を除いてもろに直撃し、体中から血が溢れて倒れていった。

 

「残り一人か。その様子だと、他の奴らと比べて魔力ランクは高そうに見えるけど」

「……一応これでもニアSランクなものでな」

「そう。どうでもいいけど」

 

 しかしなのははそんな言葉も切り捨てて、すぐに構える。

 構えるのを見て、生き残った管理局員の一人はすぐに走りだし、なのはに追い詰める。

 

「『シュートバスター』!」

 

 しかし追いつめる前になのはが『シュートバスター』を放つ。しかしその攻撃を簡単に避けさらに追い詰める。

 

「ちっ、避けるなら」

 

 なのははすぐさま生き残った管理局員にバインドを掛けようとするが、その時にはもう遅かった。

 バインド掛ける前に、彼のデバイスであるだろう二つの短刀みたいな刀の片方が、デュナに向けられていたのだ。バインド掛けたところで先にデュナへ攻撃される状況だった。

 

「なっ」

 

 さすがに少し予想外だったのだ。デュナ人質を取るとは予想もしてなかった。

 

「さすがに怒りに任せすぎたようだな。バインドを先に使用して砲撃を放ってくれば済んだものを、先に放ってそれが避けられてからバインド使用したらこういう状況にはならなかったはずだ」

 

 その通りだとなのはは思った。怒りに任せて魔法を使っていた事をなのははやっと自覚し、冷静さを取り戻した。怒りに任せたせいでこういう状況になり、形勢逆転されたと思ったのだ。今までの行動の仕方になのはは後悔した。

 しかしすぐに次の行動を考える。どうやってこの状況からデュナを助け出して彼を殺すか。何か魔法を使えば彼はデュナを殺すだろうし、『シュートバスター』使おうとしてもデュナに当たってしまう。エメリアの位置も一応確認はするが、なのはから近い位置におり、あまり意味がないと思う。それにエメリアの魔法も何か分からないので、この状況でどんな魔法か分からなければ使えなかった。

 けど、この場を何とかする方法はあった。『フープバインド』で相手に気づかれないようにバインドを掛けて、すぐに攻撃すれば何とかこの状況を抜けられると思ったのだ。

 さっそくそれでいこうとなのはは思うが、すぐに異変に気付く。

 

 ――何かいるっ!?

 

 先ほどまで感じなかったのに、何かが居るという事に気づいた。

 突然の気配になのはは様子を見ることにする。敵か味方かまだ分からないので、今すぐ仕掛けるべきではないと察したのだ。

 

「一体誰だ!!」

 

 またなのはが気にしていたそれは、人質を取っている管理局員も同じように感じていたようだ。様子から見るに向こうの仲間ではないようには見えるが、誰だか分かるまでは行動しないべきだと思い、その場で様子を見る。

 それから数秒後、突然管理局員の背後に表れた。

 

「っ!?」

 

 すぐさまその事に気づくが、すでに遅かった。

 その人間のデバイスであろうものが、彼の首を切りつけたのだ。首からは頸動脈を切ったようで大量に血が溢れだし、その場に倒れた。

 突然の出来事になのは、先ほどから様子を見ていたエメリア、人質にとられていたデュナの三人は驚いていた。一瞬何が起こったのか分からなかったのだ。

 そして、残り一人の管理局員を殺したであろう人物を見て、なのはは驚くのだった。金髪の髪に一つ結び、そして見覚えのあるバリアジャケットを着ており、その姿はなのはにとってたった一人しか見覚えが無かった。

 

「フェイト……ちゃん?」

 

 そう、その姿はどう見てもフェイト・T・ハラオウンの姿であった――


 
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