◆ 第13話 今日からぬこは…… ◆
バスの中からこんにちは、どうもぬこです。
今日は、久しぶりに月村家へ遊びに行くのだそうです。
ご主人とユーノ、ぬこ、付き添いの恭也さんで伺うこととなり、現在バスで移動中なのである。
なぜ恭也さんがいるかというと、なんとすずか嬢のお姉さんの忍さんとお付き合いを始めたそうな。
それを最初聞いたときの高町家の女性陣は騒然としたものである。
狂喜乱舞するお母様、若干すねているような美由希さん、相手は誰かと聞くご主人。
ちなみに士郎さんは「馬鹿な、この朴念仁に彼女……だと?」などと、ぶつぶつ呟きながらも戦慄していました。
まぁ、ぬこもその気持ち、分からんでもない。まるで、そういった色事に興味なんて無さそうな人ですもんね。
そして、その相手が忍さんと聞いて、二度驚かされたのは言うまでもない。
なんとも美男美女のお似合いのカップルである。リア充爆発すればいいのに。
まぁ、そんなことをしてる間に月村家に到着し、ノエルさんに出迎えられる。
そして通された部屋ではすずか嬢たちがファリンさんが入れた紅茶を優雅に飲んでいらっしゃった。
何だ このセレブ臭は。なんて馬鹿なことを考えていると、忍さんが恭也さんに近づいて、そのまま二人だけの固有結界に入り込んでしまった。
なんだこのあまじょっぱい雰囲気は……今なら砂糖が吐けそうだ。
ファリンさん、砂糖はいらないです。本当にご馳走様です、なんかブラックの無糖コーヒーか、カカオ99%のチョコでも欲しくなったぬこでした。
そして、恭也さんと忍さんは愛の巣へ。
ぬこたちはすずか嬢たちとお茶会へ突入するのであった。
むほ、ぬこハーレム再び! がはは、グッドなのだー
しばし、ぬこはにゃんこたちと戯れる。
おお、そっちの子は新入りさんなのか。はは、将来は美人になりそうですね。え、嫁にもらえ? はは、ぬこはロリコンじゃないで御座る。
ま、ぬこは1年で人間換算で20歳になるんだけどね。
こちらはこちらで盛り上がる中、ご主人たちはその友情を深めています。
なんでも、最近元気のなかったご主人のためのお茶会だったそうな。本当にいい子たちですなぁ……
直接お礼を言いたいが、ぬこは空気の読めるぬこなので、なんかいい雰囲気なご主人たちのお話に介入することはないのだ!
しかし、空気の読めないフェレットもどきは一匹の猫に追い回されている。ざまぁw
ただ、そっちに走っていくとだな……
「ふえ、きゃーー」
ファリンさんが……遅かったか。というか、ファリンさんの帰ってくるタイミングが絶妙すぎる。
そして、ご主人とすずか嬢の連携も絶妙すぎる。しかしアリサ嬢は優雅にお茶を飲んでいる。
スルースキルの高さに脱帽した!
その後、室内だとまた同じようなことになるかもとのことで、外でお茶会を再開することに。
クッキーうまうま。コラ、そこ! 喧嘩しない! ほら、ぬこの分あげるからっ。
「ふふ、みぃ君はやっぱりうちの子に好かれてるね」
「そうねぇ、でもユーノとはあんまり仲良くないのかしら?」
アリサ嬢はこいつの本性を知らないからそんなことが言えるんだよ!
「にゃはは、みぃ君はユーノ君にやきもち妬いちゃってるのかも。お母さんたち、最近ユーノ君ばっかりかまってるから」
「へぇー、あんたもそういうこと気にしたりするんだ?」
な、何言ってるんだ! ぬこが嫉妬なんかするわけないじゃにゃいっ!
「ふふ、かわいい奴めー、うりうり」
指でぬこのほっぺをつついてくるアリサ嬢。
やめろよぅ。そんな生暖かい目でこっちを見るなよー
「あはは、みぃ君全然嫌がってる風に見えないの」
「そうだねー」
こら、そっちの二人はフォローを入れるなりしてくれてもいいじゃない!
というか、アリサ嬢を止めてぇーー!
「うっわ、なんか癖になりそうね……」
「あ、次は私にもやらせてね」
「ふふ、いっぱい可愛がってあげてね」
などとしばらくかまわれ続けたが、ようやく開放された。
ふぅ、まったくアリサ嬢達には困ったものだな。あ、いや、別に嫌だったわけじゃないんだけど。
――ん? にゃんこが茂みのほうに入ってくな。しかも、さっきの新入りちゃん。いくら月村家の敷地内とはいえ、この広さだしな。一応ついていてあげようか。
後を追ってみると、猫の目の前に青い宝石があるのが見えた。
これって……アルフさんが言ってた宝石か!? だとしたらまずい!
猫を逃がすためにあわてて近寄った。
近寄ったのだが、どうやら一瞬ほど遅かったらしくぬこは、その宝石が発する光に包まれてしまった……――――
その日はすずかちゃんの家出のお茶会に誘ってもらっていた。
すずかちゃんやアリサちゃんにやっぱり心配をかけてしまってたみたい。
相談にのってあげられることはないかな? って言ってくれた二人と、私はお友達になれて本当によかったなって思ったの。
そのときはうやむやになっちゃったけど、今度二人にはちゃんと話そうと思う。
ジュエルシードが発動したのは、そんなことを考えてるときだった。
こんなお友達やお兄ちゃんが近くにいるところで発動するなんて思っていなかったけど、だからこそこんなところで暴れさせない!
そう思って急いで封印に向かうことにした……うん、したんだけど。
正直、これはないと思うの。
「みゃあー」
そこにいたのはもはや、大きいという形容詞がふさわしいかもわからないほど大きな猫さんが歩いていた。
ずどんって、猫さんが立てていい足音じゃないよ……
ユーノ君が言うには、猫さんの大きくなりたいという願いがかなえられたっていうことらしいけど、限度があると思うの。
とりあえず、封印を……と思ったときに
(ぎゃーーッ!? 待って、そのサイズでぬこにじゃれ付いて来たらつぶれちゃう!
漫画表現的にペラペラになっちゃう! ご主人助けてぇーーー!?)
なぜか、念話が流れ込んできた。なにやらあの猫さんに追いかけられてる人がいるみたい。
と、とりあえず助けなきゃ!
空を飛んで猫さんを追いかけると、その先にいたのは……
「み、みぃ君!?」
(うおっ!? ご主人が空を飛んでる! 親方ー! 空からおにゃのこがっ! いつの間にご主人は飛行石を手に入れたの?
でも、魔法少女なんだから空ぐらい飛べなきゃねって、うわぁッ! 馬鹿言ってる場合じゃなかったぁーー!)
再び追いかけられていくみぃ君。何がなんだか……でも、一気に近づいて回収する。
(すごいっ! ぬこ、風になってる!)
なんてジ○リネタを口走ってるみぃ君は案外余裕があったのかも。
って、そんなことよりっ!
「み、みぃ君? いつ話せるようになったの?」
(むぁ? 何を言ってるのさご主人、ぬこが話せるわけないじゃない)
「ほらっ! 今 話せるわけないって!」
みぃくんはびしっと固まって、こちらに尋ねてくる。
(なん…だと……? ご主人とお話できてる? ご主人 質問です。ぬこの名前は?)
「みぃ君。私の最初のお友達で、大事な家族だよ」
(ぐぁっ、直球か照れるぜ)
「ふふ、でもなんで話せるようになったのかな?」
(順応が早いぜご主人。ぬこはあのにゃんこが青い宝石に触ったときの光に巻き込まれたら、いつの間にかこうでした)
やっぱりジュエルシードの影響なのかも。
ということは、みぃ君って、こうやって私達とお話してみたいって思ってくれてたのかな? ……ちょっと嬉しい。
まぁ、ともかくジュエルシードを先に封印してしまわないとね。そう思って魔法を使おうとしたそのときだった。
「悪いけど、いただいていきます」
何処からかそんな言葉が聞こえると同時に、ジュエルシードが封印されてしまった。
突然ご主人とお話ができるようになったぬこですが、現在ご主人に抱かれて空の上。
ご主人は早く封印しなきゃって、言ってますがぬこ抱いたままするつもりなのだろうか。手が塞がっててもできるんですかね。
ちょっと不安になっていたそのとき、この前のドッグフードのお姉さんと一緒にいた金髪の少女が封印とやらをしてくれたらしい。
やっぱり魔法少女でしたか、ご主人とお揃いだね。
「あ、あなたは……?」
「……ロストロギアの探索者か」
ご主人の問いかけには答えずに、なんとも冷たい口調でそんなことを言う女の子。
(どうでもいいけど、普段とシリアスのギャップのひどさに若干ぬこは引いてます)
「えっ、あれっ? この前のネコさん?」
「ホントだ……」
(先日はどうも、改めましてぬこはみぃと申します。よろしくどーぞ)
「あっ、うん。フェイト・テスタロッサです」
「私、高町なのはです。みぃ君はうちの子なの」
「使い魔なの? この前は魔力の反応なんてなかったのに」
(いやー、ぬこもよく分からないんですけどね。アルフさんに注意されてた青い宝石の光に巻き込まれたら使えるようになってたんだぜ?)
フハハ、やっぱり三十路過ぎてたせいですね、分かります。
とまぁ、こんな感じでちょっと座談会みたいな感じにだらだらとおしゃべりすることになってしまったのである!
「「どうしてこんなことに……」」
どう考えても水を差したぬこのせいである。
ごめんな! でも、ぬこシリアスとか超苦手なんで勘弁な!
「えっと、これは私がもらっていきます」
「でも、それはユーノ君が危険なものだって……」
「それでも、集めなきゃいけないから。邪魔をするなら、戦います……」
「そ、そんな……」
「さようなら……」
そう言うと、フェイト嬢はどこかへと飛んでいってしまった。シリアスへの切り替えが早いなぁ。
(ふむ、せっかくのお友達になって戦闘を避けましょう作戦が失敗に終わってしまった……残念です)
「見事に内容まで分かる作戦名だね……」
「あっ、ユーノ君」
(いたのか)
「ひどい!?」
その後、大きくなっていたにゃんこを連れてすずか嬢たちの場所まで戻ることに。
だいぶ離れていたけど大丈夫なのかと思って訊いてみたところ、結界の中と外の時間の流れが違うから大丈夫なのだそうだ。
便利すぎるだろ、テスト勉強とかに使えるじゃないかと思ったけど、ぬこには学校もテストもないのである。
人間のときに使いたかったものである。
あれからご主人はちょっと考え込んでたけど、やがて何かを決意したようである。
「みぃ君、ユーノ君。私、フェイトちゃんとお話したい。
何で、あんなに悲しそうな顔をしているのか、ちゃんと聞きたい。だからね、まずはお友達になろうと思うの」
(……うん、それでいいと思います。ご主人は決めたんでしょ? なら、ぬこはそれについていきますよ)
「そうだよ、なのは。僕がお願いしたことだけど、実際なのはが全部やってくれてるようなものだもん。
僕はあまり口をはさめないよ。だから、なのはの思ったとおりにやってみるといいよ、魔法のことならできる限り教えるから」
ぬこ達の励ましに、ご主人はとびっきりの笑顔で答えてくれる。
「ふたりとも……ありがとう!」
これが何よりの報酬ですね。
ということで、ご主人は決意を新たに魔法少女を続けていくのであった!
待て、次回!
◆ あとがき ◆
読了感謝です。
というわけで、ぬこにも魔法が使えるようになりました。
やったね、みぃくん。魔法が使えるよ!
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