No.458992 外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第16話BLACKさん 2012-07-25 07:26:13 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:940 閲覧ユーザー数:922 |
第16話 狂気のスパイ
一同がイル・ファンにつくと、何やら街は騒いでいた。
「どうなってるの??」
「ねえ、あっち! 煙が上がってる!」
レイアが指差す方向、そこはラフォート研究所だった。
「あっちは……」
「研究所だよ!」
「クルスニクの槍は研究所だ。行こう!」
皆がラフォート研究所の方に行く。
研究所から煙が上がっていた。
「大丈夫ですか?」
ジュードは倒れている兵士を治療しようと仮面を取る。
倒れている兵士はエデであった。
「エデさん……?」
「先生……ジュード先生なのか?」
エデは目を開けてジュードかどうか確認する。
「ひどいケガ……」
「聞いてくれ。研究員の中にア・ジュールのスパイが紛れ込んでいた。
逮捕しようとしたら……そいつらが実験室を爆発させて……」
「ケガ人は病院へ搬送する。こちらへ」
一人の男性がやって来て、怪我人を運ぶ。
「ミラ、ガイアスが動き出したんじゃ?」
「急いだ方がよさそうだな」
一同はラフォート研究所に入り、クルスニクの槍のあった部屋の前にやって来るが、扉は頑丈になっていた。
「この中に入るのは、ちとキツイぜ」
「やはり俺の出番か。クリュサオル!」
秋山がクリュサオルを出す。
「どっせえええええい!!」
クリュサオルで扉を破壊した。
「その剣、いったいどれくらいの固さまで切れるんだよ」
「量ったことはない」
部屋を見てみるとそこにはクルスニクの槍がなかった。
「ない……だと!?」
「どこかに運ばれたということですね」
「調べる方法がきっとあるはずだよ。探そう」
一同は監視カメラの記録を見れる場所がないか探すと、部屋の一つから物音が聞こえてくる。
「なんだろう?」
「入ってみるか」
皆がその部屋に入る。
そこにはハ・ミルの村長が倒れていた。
「大丈夫か?」
ジュードが長老に駆け寄る。
「わ、わたしはもう何も……許してください……」
「このバアさん……」
秋山が秘孔を突く。
「むっ……もはや……」
「ダメなのか?」
「ああ」
「村長さん……!」
「しっかりしてよー!」
エリーゼとティポが駆け寄る。
「ラ・シュガル軍に侵攻されたと言っていたな」
「ああ! みなが……凍りづけにされる……やめてくだされ――っ!」
「おい、しっかりしろ」
(凍りづけ? オーバーフリーズみたいなものか?)
「あ……ぁ……ぁ……」
「村長さん、村長さん!」
村長の体は消滅した。
「ハウス教授の時と一緒だ……」
エリーゼは悲しくなり、ドロッセルがエリーゼを優しく抱く。
「村の人たちが凍りづけにされるとは一体……。ガイアスのところで聞いた、大精霊の力でしょうか?」
「あの状態での言葉だから、どこまでアテになるか」
「だが、氷の魔術がある以上、氷の大精霊がいるかもしれんぞ」
「氷の大精霊だと? 私はそんなもの知らんぞ」
「知らないだけで存在する可能性はある。元がないと魔術はできんだろ」
「……そうかもしれんが、いずれにせよ、許せることではないな」
「…………」
ジュードが部屋を見ると何か装置があるのを発見する。
「あれなら何かわかるかも……」
装置は梯子の上にあったので、梯子を登ろうとするが……。
「…………」
エリーゼが登ろうとしない。
「エリー? どうしたの?」
「エリーゼ、村長さんのこと考えてるの?」
エリーゼが心配で一度降りるドロッセルとジュード。
「…………」
「わかるよ。僕も学校の先生をあの装置で殺されたから…」
「そうよね。私もあの時、お兄様が死んでいたら……」
「違うんです……わたし……本当は…………あんまり悲しくないんです」
「エリーは冷たい子なのかもー?」
「エリー……」
「エリーゼ、……いい気味だと思った?」
「そんなこと! 村長さん、すごく苦しんでた!
あんなの……ひどすぎます……」
「そうだな、あれは人の死に方じゃねえ」
そこに秋山も話に入って来る。
「肉体がこの世から消え失せて死ぬなんて、人の死に方じゃない。断じてな……」
「……エリー、本当に冷たい子は村長さんのために怒ったり、泣いたりしないわよ」
ドロッセルが再びエリーゼを優しく抱きしめる。
「ドロッセルさんの言う通りだよ、エリーゼ」
「それで、エリーゼ、お前はどうする?」
「はい……あんなことする槍は……絶対壊します……」
そして四人は梯子を登って、ジュードが装置をいじる。
「これで何かわかるのか?」
「槍の様子がわかるかもしれない」
ジュードが装置をいじっていると……。
「映った」
映像が出てくる。
そこに映しだされたのは最初にジュードとミラと秋山が潜入した時に遭遇した赤い服の少女だった。
「この女、確か前にここで……」
「まだ生きていたのか」
「おい、女が何か取り出したぞ」
映像では少女が何かを取り出し、その直後に爆発が起こっている。
「素性がばれて爆破したようだな。
けど、ア・ジュールのスパイなんだよな?
俺なら素性がばれたとしても、自分をこんな危険にはさらさないぜ。
敵にしてみれば死体だって貴重な情報源だからな」
「さすが同じスパイの言うことだ。説得力がある」
「ほっとけ……」
「それなら、エデさんに見つかったのは偶然で、以前から槍の爆破を計画してたんじゃない?」
「この方もクルスニクの槍が、ここには既にないことを知らなかった可能性がありますね」
「となれば、今頃は運び出した場所へ向かっているか、あるいは……」
「運び出された場所を探してるね」
「いずれにせよ、あの女を見つければ何かつかめそうだが……」
「記録の日時を見る限り、爆破されてから半の鐘しか経ってないよ」
「なら、まだこの街にいてもおかしくないんじゃない」
「探し出す他ないな」
一同は研究所を後にして、街で赤い服の少女を捜すことにした。
一同が街で捜し回り、赤い服の少女はサンサーラ商会前の左側ロープの方に他二人のスパイと一緒に居た。
「いたぞ、赤服の女だ」
「あんたは……!」
赤服の少女の方もミラに気づく。
「アハハハハ! ようやくあんたを殺(や)れる日が来た!」
「恨みたっぷりのところを悪いが、聞かせてもらいたいことがある」
「アハハハハ! バーカ。答えるわけないだろ!」
「そうだろうな……」
秋山は静かに怒りを溜めていた。
秋山の嫌いな事としては罵声がある。
それがたとえ自分に向けられてないものでも、罵声であること自体が秋山の怒りを買い、秋山の心の闇を更に生み出すこととなる。
少女のやってることは、秋山の前ではほぼ自殺行為に等しいのだ。
「あなた……どこかで……」
ローエンは少女に見覚えがあるようで、よく見てみる。
「ひょっとして……トラヴィス家のナディア様ではありませんか?」
「な……!」
少女は自分の素性がばれて驚いた。
「やはりそうでしたか。六家(りくけ)のお嬢様がア・ジュールのスパイとは……一体なぜ」
「あたしはトラヴィスなんて関係ない。あたしは四象刃(フォーヴ)、無影のアグリアだ!」
「四象刃(フォーヴ)って!」
「つまり、ガイアスの命令で動いているのか」
「だったら、何だよ」
「お前はクルスニクの槍を破壊しようとしていたのだな」
「あたりだよ、アハ~!」
「私も同じだ。つまり私たちは敵ではない。
槍の運び出された場所を知っているなら教えてくれ」
「アハハハハ! 誰が教えるかっつーの」
「願いよ。あなたもあんな危ないもの、壊したいって思うでしょう」
アグリアがレイアを見て、不快そうな顔をする。
「くせぇな……」
レイアはとても意外そうな顔をした。
「アハハハハ! 決めた~! 槍を壊す前にラ・シュガルに向けて一発ぶっぱなしてやるよ。アハハハハ!」
「何言ってるの、あなた。みんな一生懸命やろうとしているのに、どうして邪魔しようとするの!」
「アハハハハ! やっぱりくせぇよ、お前!」
「何? 失礼な人!」
レイアもさすが怒りたくなってきた様子。
「お前、がんばれば世の中どうにかなると思ってるだろ? アハハハハ! お前からはそんな悪臭がぷんぷんすんだよ」
「がんばればいいことじゃない!」
「うっせー、ブス! しゃべるんじゃねーよ!」
「な、なによー!」
アルヴィン、エリーゼ、ティポ、ローエン、ドロッセルが呆れた状態になる。
アグリアは武器を取り出す。
「あんたにやられた、あの時の痛み。忘れてないからね!」
「話にならないやつだ」
皆も武器などを取って構える。
「悪いが、また俺一人でやらせてくれないか?」
秋山が皆の前に立つ。
「何故だ?」
「俺は罵声が大っ嫌いなんでね…。手前の腐った性根、叩き直してやろか!?」
秋山はものすごい気迫をアグリアにむける。
「やれるもんならやってみな!」
「じゃあやってやるよ!」
秋山の氣がさらに高まる。
「あまり時間はかけたくないが、手前には礼儀を知ってもらうとするか」
「はっ!」
秋山が走り出す。
「炎舞陣!」
アグリアは武器を上に回して、自分を炎の竜巻の中心にして周りを寄せ付けないようにする。
しかし秋山にそのような攻撃は通用せず、秋山は炎を気にせずゆっくり歩いて行き、アグリアの頭を掴み上げる。
「があっ!?」
アグリアは掴まれた痛みから武器を回すのをやめ、炎が止む。
「なんなんだぁ? 今のはぁ?」
秋山がアグリアの頭を離す。
「バカが!」
アグリアは離されたと同時に武器を秋山に向けて突き刺そうとしたが……。
「ガハっ!」
武器が刺さるよりも先に秋山の拳がアグリアの腹部に命中した。
「おおおおおおお!! オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!!」
秋山の爆烈拳以上の拳のラッシュがアグリアの正面をまんべんなく殴り続ける。
オラオラと口にした回数はゆうに100回は超えた。
「オオオオオオラアアアアアアア!!!!!」
最後の強力な一発で、アグリア上へと飛ばした。
「…………」
「スペシウム光線!」
追い打ちをかけるようにアグリアにスペシウム光線を浴びせ、爆発した。
しかし爆発しただけで、アグリアの体は残っていた。
アグリアはそのまま地面へと落ちた。
「す、すごい……」
アグリアと一緒にいたスパイ二人と戦っていたジュード達は、秋山の強さに驚愕した。
「大丈夫だ、まだ生きてる」
秋山が倒れたアグリアのところに歩いて行き、しゃがむ。
「クルスニクの槍はどこだ?」
「だれが……しゃべるかって……、研究所の地下の秘密の通路から、オルダ宮に運ばれた」
「オルダ宮?」
「ナハティガルのいる……王宮のことだよ」
「そのような通路があったとは初耳ですね」
「な、なんで口が……」
「殴ってる最中に秘孔を突いていたからだ。それとお前にはもう少し罰を与えておいた」
「なんだと……」
アグリアが抵抗しようと落ちてる自分の武器を拾おうとした時であった。
「ぎゃああああああ!!」
アグリアは先ほどまでの痛みとは別に苦しみ出した。
「な、なにしたんだ! お前!」
「龍頷って言う秘孔があってな、お前の体はむき出しにされた痛感神経に包まれているってことだ。
どういうことかわかるか? 軽く指で触れただけでもな……」
秋山が軽く指でアグリアに触る。
「ぎゃああああああ!!」
アグリアはものすごく痛がる。
「全身に激痛が走る。武器をもとうとするならなおさらだ。
安心しろ、しばらくすれば治るように突いてある。歩くことくらいは出来るが、それ以外のことをしようとしたら激痛に襲われるぞ」
秋山が立ち上がる。
「恐らく、その秘密通路が使えないはずだ。直接乗り込むぞ」
「ああ」
秋山達が去ろうとした時であった。
「おい、ブス!」
倒れているアグリアがレイアに向けて言う。
「これだけは言っておいてやる。お前がいくら努力しよーが、報われることなんてないんだよ」
「どうしてそんなことをあなたに……!」
アグリアはなんとか起き上がり、その場を去っていった。
「なんなのよ、あの子!
も~! なんでわたしが、ひどいこと言われなきゃいけないわけ!?」
アグリアに言われたことで怒るレイア。
「ローエン、アグリアって子、本当に貴族のお嬢様なの?」
「は、はい。確かトラヴィス家の次女です。もっともトラヴィス家は数年前、放火で屋敷で全焼し、一族のほとんどが亡くなったはずですが……」
「その話、お兄様から聞いたことがあるわ。その時に当主の人も亡くなったって……」
「あの子、家族を亡くして……それであんなになっちゃったのかな」
「ふふ、面白いな。怒っていた相手に、すぐ同情するとは」
「こーゆー性格だから、クサイって言われちゃうのかもね」
「そうかもしれない。だが、それはレイアの優しさの匂いだ」
「そうですとも」
「私は好きよ。そういう匂い」
「おっと、私たちもクサイことを言ってしまいましたね」
「あはは。三人とも、ありがと」
レイアは少し心が晴れた気がした。
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この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。
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