ーside ???ー
「き、貴様・・・・」
なんなのだ、こいつは!!
この致死性の高い毒を大量に投与したのに死ぬどころか、威圧感を増して立ち上がっただと!?
ふざけるな、なんなのだ、どうしてこうなった、俺の作戦は完璧だったはずだ!!
こうなったら、こいつが惚けてるスキに殺せば問題ない!!
「し、しねぇ!!」
男は銃を取り出すと悠に向けて撃とうとするが、悠はその銃の銃身を手で握り破壊した。
そして、男の肩を無造作に掴むと。
「邪魔・・・・・」
そう言い放ち、男を片腕で投げ飛ばし、男は瓦礫に突っ込んだ。
「こんな、この俺の計画がこんなガキに邪魔されなぞありえんのだ・・・・」
男はそう言うと意識を手放していた。
ーside 悠ー
なんだろう、体が軽いし力がみなぎってくる。でもさすがに血を出しすぎたかな、足元が少しふらつくな。あとこの線みたいなものなんだろう?
悠は目覚めてから自分の体の状況を整理していた。
悠が状況を整理しているといきなり隣にいた男が銃を向けてきたが反射的にそれを手で握り破壊してしまった。そして、そのまま男の肩を掴み投げ捨てた。
「邪魔・・・・・」
ビックリしたなぁ、いきなりなんだってんだ?
とゆうか、今のって銃だよな?なんでこの時代にあるんだ?まあいいか・・・・
それにしても、かなり投げられまくったのにダメージがほとんど無いな・・・
しかも、力もかなり上がってるみたいだし。あの血のおかげか?
まあいいや。それよりも今どんな状況なんだ?
悠はそう思うと周りを見回し、状況を確認した。
今の状況、倒したはずの紅音さんが親父を踏みつけてる・・・・
しかも親父はかなりボロボロだし、あとさっき、投げた奴って紅音さんを操ってた奴だよな?
ほんとどうなってるんだ?
「めんどくさいことになってるな。」
悠はそう言うと、紅音の方を向き睨みつけた。
「さて、紅音さん?まだ操られてますか?それならまだ戦うわけですがどうでしょうか?」
「・・・・・・・」
悠が紅音がまだ操られているかを確認のために聞いてみたが、紅音は無言で悠に向かって蹴りを放った。
「うぉ!!」
悠はそれを難なく回避し距離をとった。
それにしても、なんなんだこの線?
なんか、色違いの線が紅音さんにいろいろ巻き付いてるけど?そのうちの大半が真っ黒な線で覆われているし、しかもその線の軌道上に蹴りが来たから簡単に避けれたけどよくわからん。
悠は絶狼剣ではなくもう一つの剣、天燕剣を構え、そして紅音ですら抜けなかった天燕剣が簡単に抜けた。
その刀身はとても美しく何もかもを透き通ってそうな色をしており、触ったら壊れてしまいそうな感じのとても幻想的で美しい剣だった。
「・・・・・・・・・・・っは!!」
やべ、完全に見とれてた!!と言うかなんだよこの剣!!芸術がわからない俺でも見とれるってどんだけすごいんだよ、でもこれ切れるのか?確かにこの剣からは力みたいなものが出てるけど、これってぶつかり合ったりしたら折れるような気がするんだが・・・・
「っと危ないな・・・」
剣に見とれていた悠に紅音は容赦なく弾幕を叩き込もうとしたが、悠は反射的にその弾幕を天燕剣で切り裂いていた。その切られた弾幕は二つに別れ飛んでいった。
おいおい、どんな切れ味してんだこの剣?弾幕を切った感触さえなかったぞ?
待てよ・・・・ たしかこの剣は空間や事象を切れるって言ってたからこの意味の分からん線も切れるのか?
悠はそう思うと剣を構え線に振り下ろすと、その結果線はきれいに切れていた。
へぇ、この線もやっぱ切れるのか、なら紅音さんに巻きついているあの黒い線も切れるのか?
悠はそう思うと、一瞬で懐に入り込み黒い線の一部を切断すると、いきなり紅音が苦しみだし、動きが止まった。
「っが!!」
その瞬間に悠は残りの黒い線をすべて切断していた。そうすると紅音の動きが完全に止まり紅音の目に今まで失われていた生気があった。
「あ、紅音さん?大丈夫ですか?」
「・・・・ああ、大丈夫だよ、それにしてもあんたいきなり強くなったねぇ?私が操られて能力は出なかったけど身体能力の方は全力だったはずなんだよその状態で私を圧倒してるし、しかも、私でも抜けない天燕剣を抜いてるし、ホント驚いたよ。」
「あはは・・・・・」
「しかも、あいつにかけられた洗脳の術式を解除してしまうし、一体どうやったんだい?」
「ああ、なんか血を適合させてから見えるんですよ変な線が、よくわからないんですけど紅音さんの体に巻きついていた黒い線から嫌な感じがしたんでそれをこの天燕剣で切ったら紅音さんにかかっていた洗脳が解けたんだと思います。」
「ふぅん? 変な線ねぇ? それにしてもまあ、あの男好き勝手やってくれたわね。
その罪は今ここで償わなせるから少し待ってて。」
「あの男なら多分、向こうの方に投げ飛ばしたんですけど見えますか?」
「あっちの方だね、任せな確実に息の根を止めてやるから。」
「待て紅音、俺も行く・・・・」
「お、親父!!」
「無理しちゃダメだよ王千。」
「大丈夫だ、この程度なら問題はない。」
そう言うと王千は立ち上がり紅音に近づいていった。
「まあ、あんたが言うんだから大丈夫なんだろうね。」
「ああ、あと奴は色々おかしな武器を持ってたからなさすがに一人では危ないだろう?」
「よく言うよ、その相手に対してかすり傷すらおってなかったあんたが私の心配をするわけないだろ?」
「まあいいから聞け。」
そう言うと王千は紅音にそばに行き小声で話をしていた。
はじめは笑っていた紅音だが次第に顔からその笑がなくなり真剣な顔つきになってた。
「それは、本当なんだろうね?」
「ああ間違いない、だがどうやって奴が俺のことを知ったのかが問題だ。
そのためにも一緒に行かせてくれ。」
「わかったよ。でもそれなら悠はどうする?」
「それなら、紫に頼んでるから問題はない。」
「わかったよ、好きにしな。」
「というわけだ、悠お前は先に帰って萃香達と待ってろ。さすがにあいつらも限界だろうからな」
「あっ・・・・・」
「今思い出したみたいだな・・・・」
あははははは、これって俺死ぬんじゃないかな?確実に・・・・
いや、理由を言えば萃香姉さんたちもわかってくれるはずだ!!
でもまあ、人体のいくつかは覚悟しないといけないんだろうな・・・・・
「はぁ~~~~~~」
「まあ、そのなんだ・・・・死ぬなよ・・・」
「不吉なこと言うな!!」
こうして悠の妖黒谷での異変は幕を閉じた。
家に帰り待っていたのは、まあ地獄なんだがそれはまた別のお話・・・・・
ー隠蔽された話ー
グッ、ここは・・・どこだ?
確か俺はあのガキに投げ飛ばせれて・・・それからどうなった?
「やあやあ、やっと起きたのかい?」
「む?なんだ貴様か・・・ということは貴様が俺をここまで運んだのか?」
「ええ、そうですよ。
大変でしたよー、妖黒谷の管理者の紅音とあの元鬼の四天王の王千から気づかれずにあなたを運びだすのは苦労しましたよ。」
「それについては、礼を言ってやるが、それにしてもここはいったいどこだ?」
「ああ、ここは私が作り上げた空間のひとつですよ。」
「ああ、そういえば貴様の能力は空間を作り出す程度の能力だったな。」
「厳密には違いますが、まあおおむねそんな感じですかね?」
「それにしても、あのガキは想定外だった。」
「・・・・?」
「まさか、この俺の作戦があんなガキに止められるなぞ、思いもしなかった。」
「ああ、あの子供ですか。」
「次は真っ先にあのガキから殺して王千の息の根を止めてやる・・・・!」
「残念ながらあなたに次はありませんよ?」
「・・? 貴様何を言っておる?」
「いえだから、あなたに次はありませんよ?あの方を裏切ろうとしたあなたに次があるわけないでしょう?」
「なっ!」
「気づかれてないとでも思いましたか?それはなんとも間の抜けたことで。まあ、あなたの処遇は私が決めるのですが・・・
あと、あなたに面白いことを教えてあげますよ。あなたは私の能力を空間を操る程度の能力と言いましたが違います。私の能力は相手の能力を喰らい扱えるようにする程度の能力ですよ?」
「・・・・まさか!」
「ええそのまさかですよ?今からあなたの能力を喰わせていだだきます。」
「ふ、ふざけるな!?」
「いえいえ、ふざけるなんてとんでもない。それでは最後に遺言はありますか?5秒以内言ってください。それがあなたの残りの命の長さだ。」
「い、いやだ!俺にはまだするべきことが・・・」
「残念ですが時間です。では、惨たらしく僕に喰われてください。」
そう言うと少年は男の喉元に噛みつき、喉を噛みちぎった。
だがそれだけでは終わらず、少年は腕、足、胴、頭を順番に食べていった。
その姿はまるで、野獣のごとく男の体を喰い尽くし・・・
「ふぅ~、不味い!!ホント腐りきってるな~。ああ~気分わる。」
少年はそう言うと手を前にかざし空間を作っていた。
「さて、これからどうなって行くんでしょうね。
アハ、アハハ、アハハハハハ!!」
少年はその狂った笑い声と共に空間に消えていった。
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さあ、妖黒谷編も終盤です。
ゆっくり見ていってね?