No.458339

テイルズオブエクシリア~転生者はイレギュラー

第57話 異世界エレンピオスへ

2012-07-23 23:48:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1451   閲覧ユーザー数:1420

~レオンSIDE~

 

 

ガシャン!

 

 

マクスウェルの座っていた椅子が地面に落ちる。

 

 

「ぐはっ!」

 

 

そして、マクスウェルは椅子から落ち、地面に転がる。

 

 

「ミラ……レオン……」

 

 

ジュードは俺とミラを見る。本当にここにいるんだと実感しているんだろうな。

 

 

「ミラ――!(君!)」

 

 

レイア、エリーゼ、ティポはミラに抱きつく。

 

 

「エリーゼ、レイア、ティポ」

 

 

ミラは3人の頭を撫でる。

 

 

「このかんしょく、本物のミラ君だ――」

 

 

がし

 

 

「えっ―――」

 

 

ティポがミラの胸をスリスリしているのを俺は止める。

 

 

「おいこら、ティポ!何どさくさに紛れてミラの胸を触ってる」

 

 

「あわわわわ!こっちも本物のレオン君だ!!」

 

 

ガブッ!

 

 

そういいながらティポは俺に噛みつく。

 

 

「はなへ!てぃほ!」

 

 

俺はティポを思いっきり引っ張って顔から外す。

 

 

ボヨオォォォォ~~~

 

 

「全く」

 

 

俺は変わらないティポを見て、呆れている。

 

 

「これほど嬉しいことにまた出会えるとは。長生きしてみるものですね」

 

 

「信じられねえ……けど、現実なんだよな」

 

 

ローエンとアルヴィンは俺とミラを見て改めて再び会えたことを喜んでいる。

 

 

「元気そうだな、二人とも」

 

 

「全くだな。怪我もなさそうでよかったぜ」

 

 

俺がそう言うと、アルヴィンとレイアが俺を見て、言う。

 

 

「レオン……ありがとうよ」

 

 

「レオン……ありがとう!」

 

 

いきなり礼を言われた俺には何が何だか分かんなかった。

 

 

「……ん?」

 

 

「レオンがあの時、私とアルヴィン君に何かをしてくれたでしょ?」

 

 

「…………あ~、あの時か。何だ?保険のつもりで憑けたけど、役に立ったのか?」

 

 

そう、俺が言うとレイアがそれはもう!!っと大きな声で言う。

 

 

「レオンのおかげでアグリアもプレザも死ななくて済んだのよ!」

 

 

「ああ……目の前で死ぬと思ったプレザをお前の分身体が助けてくれた。……ありがとうよ」

 

 

アルヴィンはお礼を言うのが慣れていないのか照れながら言う。

 

 

そして、

 

 

「……ミラ」

 

 

「……レオン」

 

 

俺とミラは見つめいあい、

 

 

ガバッ!

 

 

抱きつきあう。

 

 

「また会えてうれしいぞミラ」

 

 

「ああ……私もだ。レオンも……私のために……」

 

 

ミラはどうやら俺の体のことがわかっているようだ。まあ、マクスウェルの名をもっているからな。俺が人から精霊になったのには気付くか。

 

 

ガサ

 

 

「ん?」

 

 

「はっ!」

 

 

音がする方を見ると、マクスウェルが宙に浮いていた。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

だが、俺たちの猛攻によってかなりお疲れのご様子。

 

 

「ま、まだやるかー、相手になってやるぞ、レオン君がー!」

 

 

「おい、人任せか」

 

 

あ、ついティポの言ったことにツッコミを……。

 

 

「わからん……なぜだ……四大……どういうつもりだ」

 

 

どうやら、ティポの言ったことは無視しているな。だが、なんで四大が裏切ったのかがわからないのか?

 

 

そう、俺が思っているとマクスウェルの前に四大達が現れる。

 

 

【すまぬ。俺はもう我慢できなかった】

 

 

【うん。だから僕たちミラを助けちゃった。精霊界に連れて行ってね。でも、驚いたよ。まさか魂が見つかんなかったレオンが僕たちと同じ精霊になっているなんて】

 

 

イフリートとシルフが話すと目を細めるマクスウェル。

 

 

「そのような指示、出してはおらぬ」

 

 

指示……ねぇ。四大達もミラもお前の道具じゃないんだがな。ただ、指示に従うしかできないあの女とは違って。

 

 

【盟主。私たちに心があるように誰しもそれをもっています】

 

 

【道具扱いするのはダメでし。それが世界のためでもー】

 

 

ウンディーネとノームに言われて黙るマクスウェル。

 

 

「マクスウェル、私の使命はあなたのものだったが、同時に私のものでもあった」

 

 

「自らの意思……お前の心が決めた答えだというのか」

 

 

「うむ」

 

 

頷くミラ。

 

 

「お前の言う世界ってのは、ただ存在するだけの世界でしかない……俺はそう感じだ。けどな、それは生きるとはいわないんじゃねえか?俺は……俺たちは自分の意思で生き、考え、行動する。それが……本当の生きて行くってことじゃないのか?なあ、マクスウェル」

 

 

俺が生き方についていうとミラがほほ笑む。俺はそれにほほ笑んで返す。

 

 

俺の話しを聞いたマクスウェルは目を閉じて何かを考え始め、俺たちに言う。

 

 

「それもお前の行動を解せぬ原因か。人の心は時として難解よ……それをないがしろにした結果、道を誤ったということか」

 

 

そして、何かを決意したのか俺たちに言う。

 

 

「……断界殻(シェル)を解こう」

 

 

「本気(マジ)なのか!?」

 

 

マクスウェルの言ったことに一番驚いたのはアルヴィンだった。今まで、この世界を守るために張っていた断界殻(シェル)を本人の口から解こうと聞いたのだ。疑いたくもなるな。

 

 

「断界殻(シェル)を解けば、断界殻(シェル)を形成していた膨大なマナを世界中に供給することができる。さすればしばらくの間、世界中の精霊を守ることができるだろう」

 

 

四大達がその姿を消していく。

 

 

「数年……いや、長ければ数十年の猶予は稼げる」

 

 

「ありがとうマクスウェル。考えるから!エレンピオスもリーゼ・マクシアもみんな一緒に生きられる方法を!」

 

 

ジュード……お前、本当に15歳?すんげえ、大人でも考えなさそうなことを言うな。

 

 

そう、俺たちがマクスウェルと話しあっていると、

 

 

「この世界の神に等しい座から降りるというのか。マクスウェル」

 

 

そこにいたのは、

 

 

「「ガイアス!」」

 

 

俺とミラはガイアスを見て驚く。

 

 

ガイアスは一瞬俺とミラを見た後、マクスウェルを睨み、言う。

 

 

「答えろ、マクスウェル」

 

 

ガイアスの問いにマクスウェルは疲れた表情でガイアスに言う。

 

 

「人の子ことに振り回されるのに、いいかげん疲れたのだ」

 

 

「マクスウェル……」

 

 

「マクスウェル……お前」

 

 

そこにいるのは精霊の主ではなく、年老いた人の爺さんのようだった。

 

 

「お前がリーゼ・マクシアの神の座から降りるのであれば、俺がそこに座ろう」

 

 

「ただの人間がマクスウェルになるだと?笑い話よ。貴様など資格をもたず」

 

 

「資格の有無ではない。覚悟をもったものだけが認められる話だ。お前がやらないのであれば、俺がやる」

 

 

マクスウェルの言葉を遮って、ガイアスは自分がこの世界の神になるという。

 

 

だが、いくら覚悟があるからと言っていきなりこの世界の神になれるはずがない。ましてや、ガイアスは人間。この世界に何か影響を及ぼすこともあるかもしれない。

それでもガイアスはこの世界の神になろうというのか?

 

 

「その話、私も認めるわけにはいかないな」

 

 

「お前たちに認められる必要などない」

 

 

ミラの言うことをすぐに切り捨てるガイアス。

 

 

そして、手をかざすと、空間が揺れ始める。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴッ!パリィン!

 

 

さらに、空間に亀裂ができる。

 

 

「この力……まさか」

 

 

マクスウェルにはこの現象の原因がわかった。

 

 

ボオォォォン

 

 

空間に穴が開いて、そこから出てきたのは、

 

 

「!! クルスニクの槍!?」

 

 

「おいおい、何でこんなところに槍が来るんだ!」

 

 

俺とミラはクルスニクの槍の出現に驚く。まさか、ここに来てまで槍を見る羽目になるとは……と。

 

 

そんなクルスニクの槍の上には……ミュゼがいた。

 

 

「仕方なかったのです……だって……あなたは私を導いてくれませんもの」

 

 

「ミュゼ、気は確かか!」

 

 

マクスウェルはミュゼの行動に驚いている。まさか、ミュゼがクルスニクの槍をここに持ってくるとは思っていなかったのだろう。

 

 

「断界殻(シェル)を消すなんてヒドイ!」

 

 

「マクスゥエル、貴様は世界の礎となれ」

 

 

「っ!まずい!」

 

 

ミュゼがマクスウェルに近づく。

 

 

俺は急いで剣をエターナルソードにし、

 

 

「間に合うか!ソニックブーム!!」

 

 

マナを溜めた斬撃をミュゼに放つ。

 

 

だが、

 

 

「何を!?ぐぅ!」

 

 

「きゃあああ!」

 

 

一歩遅かった。

 

 

マクスウェルはミュゼの術によって拘束され、クルスニクの槍に張り付けられた。

 

 

ミュゼは俺の斬撃を食らい、羽に傷ができている。

 

 

「ちぃ!遅かったか!」

 

 

「うっ!私には断界殻(シェル)を守る役目が大事……大事、大事なの!」

 

 

チッ!狂っていやがるな。何でもかんでも役目だの導いてくれないだの……少しは自分で考えるってことをしないのか!?

 

 

俺はエターナルソードを構えながら拘束されているマクスウェルの元へと走る。

 

 

「放せ、これは命令だ」

 

 

「あなたはすべて……遅すぎる!そして……あなたは一番ウザいのよ!!」

 

 

マクスウェルに近づく俺に小さな黒い球体を飛ばすミュゼ。

 

 

「くっ!」

 

 

俺はそれをすぐに避けるが、その小さな黒い球体の当たったところは消滅していた。

 

 

「おいおい……(汗)」

 

 

あの小ささでこんな威力かよ。さすがは大精霊クラスの精霊。バカにはできないな。

 

 

「うごおおおああああ!」

 

 

「っ!」

 

 

マクスウェルの苦しむ声が聞こえ、見てみるとクルスニクのマナ吸収機能が起動しており、マクスウェルからマナを吸収していた。

 

 

「ミュゼ、来い」

 

 

ミュゼはガイアスの言葉に従い、ガイアスの傍に立つ。

 

 

「よいな?」

 

 

「あなた様の御心のままに」

 

 

そういうと、ミュゼの胸のところに黒い穴があき、そこにガイアスは手を突っ込んだ。

 

 

突っ込んだ手を取り出すと蒼い刀身の長剣が握られていた。

 

 

「やめ……ろ……解放する……気か……」

 

 

マクスウェルはミュゼを作った存在。ミュゼの中から取り出された剣の正体を知っているのか、苦しみながら焦っている。

 

 

ミラ達もガイアスの握っている剣を見て、何かを感じている。

 

 

「これこそ、ミュゼのもつ力、時空を斬り裂く剣だ」

 

 

「二度と会うことはないでしょう。さようなら、ミラ」

 

 

「ミュゼ、お前!」

 

 

「どうして僕たちが!ガイアス!」

 

 

「ガイアス……お前、そこまでして神の座を欲するのか!」

 

 

「俺は死んでいった者のためにエレンピオスへ行く!お前たちはリーゼ・マクシアで大人しくしていろっ!」

 

 

ザンッ!

 

 

ガイアスは剣を振い、斬撃を飛ばす。ただの斬撃ではない……時空を斬り裂く斬撃だ。

 

 

だがな!

 

 

「断る!!」

 

 

ザンッ!

 

 

俺もエターナルソードを振う。ガイアスの斬撃が赤なら俺の斬撃は青。

 

 

バシュン!

 

 

「なんだと!」

 

 

「ウソ……なんであなたが時空を斬り裂く剣を!?あり得ない!あり得ないわ!!」

 

 

ガイアスとミュゼは驚いているな。俺の持っている剣のことが。

 

 

「ふっふ!これが俺の双剣を一つにした姿……名をエターナルソード。時間と空間を〝操る″ことができる」

 

 

ピクッ

 

 

「時間と空間を〝操る″だと?」

 

 

「そっ。ただし、時間とかを操るって言っても過去を変えることはできない。そもそも、ミュゼのその剣は時空といっても元々は時間と空間を意味する剣だ。そうだろ?マクスウェル」

 

 

俺はマクスウェルを見る。苦しみながらもマクスウェルは頷く。

 

 

「そうか……だがな!俺のすることにお前たちは……邪魔だ!!」

 

 

ガイアスは俺の説明を聞いて納得するが、俺たちがよほど邪魔のようだ。何度も斬撃を放ってくる。

 

 

俺をそれに合わせて何度も斬撃を放つ。だが、

 

 

「ガイアスの邪魔はさせない!」

 

 

シュン!

 

 

「っうお!?」

 

 

斬撃を放ちあっているとミュゼが俺を妨害してきた。マズイ!!

 

 

斬撃の一つが俺たちの後ろ当たりの空間を斬り裂いた。

 

 

「空間を斬りやがった!」

 

 

斬り裂かれた空間から吸い込む力が働く。

 

 

「あ……あ……、だ、だめ……引っ張られる……」

 

 

「が、がんばれエリー~!」

 

 

「きゃああ!」

 

 

持ちこたえていたが吸い込まれそうになるが、

 

 

「エリーゼ!つかまれ!」

 

 

アルヴィンがキャッチする。よかった。

 

 

「レオン!どうにかできないの!?」

 

 

「ジュード!無理を言うな!俺だって剣を地面に刺して何とか持ち堪えているんだ!こんな状態で剣を構えでもしたら俺が吸い込まれちまう!」

 

 

俺たちがどうするかを考えていると、

 

 

「マクスウェル!」

 

 

ミラがマクスウェルの名を呼んでいた。

 

 

すると、

 

 

バシュン!

 

 

マクスウェルの左下辺りに同じような空間の裂け目ができる。

 

 

「うおぉ!?」

 

 

「何、どうなってるの!?」

 

 

「こっちにもかよ!」

 

 

二つ目の裂け目ができたことに戸惑う俺たちにマクスウェルが言う。

 

 

「行け!この者にマクスウェルの名を与えてはならん!」

 

 

「マクスウェル!」

 

 

ガイアスはマクスウェルの行動に怒りを覚える。

 

 

「レオン!みんな!」

 

 

「ああ!みんな!体から力を抜け!」

 

 

そう言うと共に皆は体から力を抜き、マクスウェルの力でできた穴に吸い込まれる。

 

 

「うわーっ!!」

 

 

「きゃああ!!」

 

 

「どわあ!!」

 

 

「ぬああ!!」

 

 

悲鳴を上げながら吸い込まれる者もいた。

 

 

俺は吸い込まれながらマクスウェルの声が頭に響く。

 

 

――――人の身でありながら精霊になりし者よ――――

 

 

「マクスウェルか!」

 

 

――――ミラを頼むぞ――――

 

 

「ああ、任せておけ!」

 

 

――――そ……か――――

 

 

そして、声が途切れる。

 

 

俺の意識もそれと同時に失った。


 
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