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テイルズオブエクシリア~転生者はイレギュラー

第52話 VSジランド&セルシウス アルクノアとの決戦!

2012-07-23 23:41:11 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1437   閲覧ユーザー数:1406

~レオンSIDE~

 

 

艦の準備が終わり、俺たちは艦に乗り込んでみると、そこにはラ・シュガル兵とア・ジュール兵が多く乗っていた。

 

 

「ラ・シュガルの兵隊さん?」

 

 

「はい。ナハティガルに事情を話したら兵を招集してくれたのです」

 

 

「ナハティガルは目を覚ましたのか」

 

 

「ええ。ベットの上から兵達に指示を出しているらしいです」

 

 

それはよかったぜ。

 

 

「陛下、みなに一言を」

 

 

時間が来たのかウィンガルがガイアスに兵士たちに喝を入れるために話を始める。

 

 

「かつて俺たちはリーゼ・マクシアの覇権を争い、互いに剣を向けた。だが、この戦いはこれまでとは一線を画するものだ。敵の本拠地、ジルニトラの場所はすでにわかっている」

 

 

兵士たちも俺たちもガイアスを見る。ガイアスの話す……言う言葉を聞き洩らさないで聞く。

 

 

「臆するな、話が同胞よ!信頼せよ、昨日までの敵を!我らの尊厳を再びこの手に!!」

 

 

『ウオォオオオオ―――――――――――っ!!!!!!』

 

 

兵士たちは叫び声を上げる。ガイアスの言葉に火が付いたんだな。

 

 

「船を出せ!」

 

 

「お、お待ちください!リーゼ・マクシア全域に高出力魔法陣の展開を感知!」

 

 

ウィンガルが船を動かすように指示をすると、女兵士が報告してきた。

 

 

「来ます!!!」

 

 

ゴオォォォォォ!!!

 

 

音と共に俺は自分のマナが吸い出される感覚を感じ始める。

 

 

「きゃっ……!なに、これ……マナが抜けるみたい」

 

 

「この感覚は……!?」

 

 

「ちぃ!ジランドの野郎、クルスニクの槍のマナ吸収機能を世界中に向けて使いやがったな!」

 

 

「燃料計画が始まったか……」

 

 

「民を犠牲にはさせん……リーゼ・マクシアは俺が!今すぐ船を出せ!!」

 

 

ガイアスはマナを吸収されながらも兵士に指示を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、それから船はかなりの高度にまで上昇するとマナが吸収されなくなった。

 

 

俺はいつの間にかいないミラを捜している。

 

 

捜しているとミラの姿を見つける。

 

 

「ミラ、こんなところにいたのか」

 

 

ミラは俺に気づき、俺を見て微笑む。

 

 

「ようやく、ここまで来たな」

 

 

「……そうだな。イル・ファンでクルスニクの槍を破壊しようとしたら……」

 

 

「四大達を捕えられて、ジュードやアルヴィンを入れて4人での旅が始まって……」

 

 

「その後、エリーゼやローエンが仲間になり、レオンが足を怪我をして……」

 

 

「足の治療でル・ロンドでレイアと出会って、それから仲間になり……」

 

 

「様々な場所に渡り歩き、ガイアスとも出会い……」

 

 

「アルクノアのトップがジランドとわかって……」

 

 

「今はこうしてそのジランドを討ちに行っている。本当に色々とあったが……」

 

 

「ああ。それもここで終わりにしたいぜ」

 

 

俺とミラは目の前に広がる景色を見る。

 

 

「…………」

 

 

「……ミラ?」

 

 

いきなり黙るミラを不審に思った俺はミラを見ると、何か思いつめた表情をしていた。

 

 

そして、何かを決意したのか、真剣な表情で俺を見る。

 

 

「レオン……騙しているつもりはなかったのだが、私は――――」

 

 

ミラが何かを言いかけると、

 

 

シュドオォォォォォン!!

 

 

船が突如、激しい揺れに襲われた。

 

 

「な、なんだ?!」

 

 

シュウゥゥウンシュゥゥンシュウゥゥン!

 

 

俺とミラは音のした方を見ると、一条の光が……空高くへ流れていた。

 

 

「あれは……」

 

 

「まさか……」

 

 

俺とミラは皆のいるところへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

皆のいる甲板へ向かうと、

 

 

「遅れてすまない」

 

 

「悪い、遅れた」

 

 

「クルスニクの槍みたいでした」

 

 

「光の発信源はジルニトラで間違いなさそうだ」

 

 

やっぱり、さっきの光はクルスニクの槍か。

 

 

「あの光……再び断界殻(シェル)に穴が……」

 

 

また、あの光が空へ向かって言ったってことはまあ、そういうことだろうな。

 

 

「けど、前と違って、船が入ってこなかったわね」

 

 

確かに前は船が入ってきたが、今回の場合は、

 

 

「集めたマナをエレンピオスに送った感じじゃなかったか?」

 

 

「アルヴィンの考えは正しかったんだね」

 

 

そう、マナを送るために使ったんだろうな。

 

 

「最悪な現実だけは、ウソにならねえってのが皮肉だよな」

 

 

呆れているアルヴィン。

 

 

「なんだ……」

 

 

そんな中、アグリアが何かを見つけたのか、

 

 

「アハハハハハ!上等じゃない!」

 

 

アグリアが指さす方を見るとそこには……エレンピオスの船がこちらに近づいて来ていた。

 

 

「こちらに、接近する敵の船を発見!全員、衝撃に備えてください!」

 

 

こちらに砲撃しながら近づく船に向かって俺は言う。

 

 

「なあ……、レールガンって知ってるか?」

 

 

「レール……ガン?」

 

 

近くにいたジュードが言いなおす。

 

 

「別名「超電磁砲」。フレミングの運動量を借りて、砲弾を打ち出したり出来るもんなんだが……」

 

 

俺は指でコインを弾き、

 

 

「こういうのを言うらしいんだよね!」

 

 

親指で弾いた。

 

 

シュドオォォォォォォ――――――ン!!

 

 

ドカアァァ―――――ン!!!

 

 

エレンピオス兵の乗った船に直撃し、破壊した。

 

 

『ウオオォォォォォォ――――――――!!!!』

 

 

味方兵からは歓声が起こる。

 

 

「ひ、非常識すぎるよレオンは……」

 

 

驚いているジュードは俺を見ながら非常識というが、

 

 

「非常識?規格外?これほど俺に当てはまることはないな!アーハッハッハッハ!!」

 

 

非常識とか規格外は俺にとってはほめ言葉だぜ。

 

 

「艦橋!このまま、同じことが繰り返されるかもしれん!このまま船をジルニトラへ突っ込ませろ!!!」

 

 

「りょ、了解しました!ガイアス様!」

 

 

兵士はガイアスの指示に従い、船を海上にある船に突っ込ませる。

 

 

 

 

 

 

 

 

船は海の上に降りて、そのままの勢いでジルニトラへ突っ込んだ!

 

 

ガシャアァァァァン!

 

 

俺は先にジルニトラに侵入すると歓迎が待っていた。

 

 

ダンダン!!

 

 

侵入してきた俺にエレンピオスの兵士達が攻撃をしてくるが俺はそれらをすべて回避する。

 

 

ミラも俺に続いて侵入してきた。

 

 

「レオン!」

 

 

「おうともさ!」

 

 

俺とミラは共鳴奥義(リンクアーツ・セカンド)を発動させる。

 

 

「永久の礎に」

 

 

「虚無と消えよ!」

 

 

竜巻と隕石での同時攻撃をする。

 

 

「「ルインドヴェインウィッシュ!」」

 

他の船から降りて来ていたエレンピオス兵達を巻き込んでの技を炸裂させる。

 

 

が、

 

 

次から次へと現れる兵達を見ていたミュゼがキレ、

 

 

「ごちゃごちゃとうるさいっ」

 

 

空へ飛んで手から重力のような球体を作り出して周りにいた船を次々と押しつぶしていった。

 

 

「ミュゼ、すごい……」

 

 

ジュードは降りてきたミュゼにそう言う。

 

 

「ジュードの使役のおかげ。力が戻ってきたようです」

 

 

「それほどの力の持ち主だったのか」

 

 

ミラも純粋にミュゼの力に驚いている。

 

 

「さっすが、ミラのお姉さん」

 

 

「心強いです、ミュゼ」

 

 

皆もミュゼの力が心強いんだな。だが……いや、今は何も言うまい。

 

 

「わたしはここで皆様に力をお貸しします」

 

 

「どういうつもりだ?」

 

 

「ここを落とされたら作戦は終わりでしょう?」

 

 

確かにここを落とされたらこの作戦は無駄になる。正論だな。

 

 

「そうか……では任せていいんだな?」

 

 

「ありがとうミュゼ。気をつけてね」

 

 

「ジュード、ご無事で」

 

 

ジュードにそう言うミュゼはミラを見て言う。

 

 

「ミラ、忘れないでね。あなたはマクスウェルなのよ」

 

 

「…………」

 

 

そう言われたミラは黙り込み。

 

 

ミュゼはそのまま、上空へ。

 

 

 

 

「時間はあまりありません。敵の増援を防いでいる間が好機です」

 

 

「なら、ここは二手にわかれた方がよさそうだな」

 

 

ローエンの言ったことにミラがそう答えているとガイアスが左側の道へ行こうとしていた。

 

 

「ヤツらの企み、ここで必ず阻止する!目標はジランド、並びにクルスニクの槍だ」

 

 

ガイアスは四象刃(フォーヴ)を連れて、左側へ進んでいく。

 

 

「アル……」

 

 

「なんだよ?」

 

 

そんな中、プレザが何やらアルヴィンに言いたいことがあるようだが、

 

 

「……死なないで」

 

 

アルヴィンに背を向けて、そういった。

 

 

「私たちも行くぞ!」

 

 

俺たちは右側の道を進むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右側の道を進んでいた。最初、ジュードの提案でアルヴィンに道案内を頼もうとしたがアルヴィンもジルニトラに来るのは20年ぶりらしいので、当てにならず、当てずっぽう船の中を進んでいく。

まあ、進んでいくと兵士にばったり出くわすが、時間がないので瞬殺して進んでいっている。

 

 

その倒した兵士が通信機のような者を落とし拾うと、

 

 

「敵はすでに侵入している。ただちに確保せよ!」

 

 

「すげえ、声出てる」

 

 

ティポがそういうと、

 

 

「あはははは……」

 

 

ジュードがティポをじっと見ながらそう言った。

 

 

そうしていると船が揺れ始める。

 

 

「なんですか?」

 

 

「精霊がまた大量に消滅した……」

 

 

「クルスニクの槍を使ったってことか」

 

 

「急ぐぞ!」

 

 

俺たちは再び進み始める。

 

 

 

 

 

 

 

少し進み、他とは違う扉を見つけ、中に入ると立派な構造になっていた。

 

 

「すごい……」

 

 

「わ、お城みたい!」

 

 

レイアはシャンデリアを見てそう言う。確かに船なのに中が城のような構造になっているんだからな……そう思っても無理はないか。

 

 

「これで戦艦なの?」

 

 

「違うよ。このジルニトラは二十年前、エレンピオスの海を旅した旅客船だ。二十年前に断界殻(シェル)の一部が破れた時に、こっちに来ちまったんだ」

 

 

二十年前……これを聞いたミラは呟く。

 

 

「二十年前か……エレンピオスの軍勢に断界殻(シェル)の一部が破られた時だな」

 

 

「そんなことがあったの?」

 

 

「エレンピオスはクルスニクの槍もなく、どのようにして断界殻(シェル)を破ったのですか?」

 

 

ローエンに言われて、わからない、と首を振るミラ。

 

 

「詳しいことは私も知らないが……」

 

 

「クルスニクの槍のオリジナルを、エレンピオス軍が開発したんだ」

 

 

アルヴィンが話出す。

 

 

俺たちはあるきながらアルヴィンの説明を聞くことにした。

 

 

「知っているのか?」

 

 

「聞いた話だ。今あるクルスニクの槍は、それをマネしてつくったもんらしい」

 

 

「それって、精霊が欲しかったから?」

 

 

「エレンピオスは黒匣(ジン)に支えられて発達した世界だ。黒匣(ジン)と精霊は文明の要なんだよ」

 

 

アルヴィンの言ったことにエリーゼは思ったことを言う。

 

 

「どうしてやめられないんですか?精霊を殺すなら、やめるべきです」

 

 

「きっと、みんなアルヴィン君と一緒でウソつきで、野蛮なんだろー」

 

 

ティポ……お前、直球すぎだぞ。

 

 

「俺、野蛮か~?でもさ、黒匣(ジン)がなけりゃ、何もできないんだよ、俺たちは」

 

 

そういい、歩くのをやめてアルヴィンは俺たちに言う。

 

 

「俺たちには霊力野(ゲート)とやらはねーのよ」

 

 

「え、そうなの!?」

 

 

アルヴィンの言った驚愕な事実に、今まで黙っていたレイアが反応し、驚く。

 

 

「だから、精霊術は使えない。マナを操るなんてマネできねえんだ」

 

 

「それで黒匣(ジン)を使っていたのか?」

 

 

「そゆこと」

 

 

アルヴィンは軽い風に言うが、それで困ったことはあったんだろうな。この世界ではマナを使えないことは結構致命的だしな。仕事するにもマナを使うこともあるし。

 

 

 

 

 

立ち止まった俺たちはアルヴィンが扉の少し前いくと、歩くのをやめたのを不審に思っているとアルヴィンが言う。

 

 

「くそ、封鎖線を張りやがったな」

 

 

「なにこれー?」

 

 

そんなアルヴィンにティポは近づき、赤外線のようなものに触ろうとするのをアルヴィンが止める。

 

 

「気をつけろ。触ったら、まっぷたつだぞ」

 

 

「こわー!」

 

 

「どうすれば……」

 

 

アルヴィンの言うことを聞いたジュードはいつものように指を考えるポーズを取る。

 

 

ザッザー!

 

 

すると、ミラの持っていた通信機から連絡が来た。

 

 

「警告!中央に封鎖線を展開完了、しかし、他区画の封鎖線が起動しません!」

 

 

「なんだと!?発動機の不調か?」

 

 

「いえ、発動機は二基とも正常に稼働中。他の装置の故障と思われます」

 

 

「中央の封鎖線を消すわけにはいかない。全力で左右の発動機を死守しろ!」

 

 

「了解!」

 

 

プツン!

 

 

そして、通信機からの連絡は途絶えた。

 

 

「なんともまあ、ナイスタイミングって感じだな」

 

 

「どうやら、左右にある発動機をとめれば、封鎖線は消えるようですね」

 

 

「なら、急ごうぜ!兵士達が集まる前に!」

 

 

俺たちはまずは左舷機関室を目指すようにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急いで左舷機関室に来たおかげで兵士たちに会わずに済んだ。

 

 

「これをとめる方法は……?」

 

 

制御装置があるかを周りを見るジュードとレイア。そこにアルヴィンが前に出ながら言う。

 

 

「こうした方が早いって」

 

 

銃を構えて、制御装置らしきものを撃つ。

 

 

バァン!

 

 

ビリリビリリ

 

 

発動機を機能しなくなった。

 

 

ジュードは驚きながら、呆れたものを見るかのようにアルヴィンを見る。

 

 

「さあ、次は右舷機関室だな」

 

 

俺たちは左舷機関室から出て、次は右舷機関室へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右舷機関室につくと、

 

 

「アルヴィン、頼むぞ」

 

 

「次もよろしく」

 

 

「あいよ」

 

 

先ほどと同じように銃で撃つ。

 

 

パァン!

 

 

ビリリビリリ

 

 

ジュード、今度は俺とミラを見るなって。

 

 

「よし、中央に戻ろう」

 

 

俺たちは中央ホールへ戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

中央ホールに戻ると封鎖線はちゃんと消えており、そこから中央甲板へ出る。

 

 

痕はそのまま道を進んでいくと、扉があり、そこは統合制御室と書かれていた。

 

 

中に入ると、ジランドが座り込んでいた。

 

 

「ご苦労なこった。わざわざ……マクスウェルを連れて来てくれるなんてな。アルフレド・ヴィント・スヴェント。裏切った理由を聞かせてもらおうか」

 

 

「簡単だよ。あんたが昔から大嫌いだっただけだ」

 

 

立ち上がるジランドはアルヴィンに言う。

 

 

「一生、リーゼ・マクシアで過ごす覚悟ができたようだな」

 

 

「……関係ねえだろ」

 

 

「くくく」

 

 

ジランドが笑いだすと周りに術式が現れる。

 

 

そこから無数の氷の槍が飛んできた。

 

 

俺たちはそれを避ける。

 

 

「なっ……どうやった!?」

 

 

「微精霊の消滅は感じていない!どういうことだ」

 

 

「ジランドォ!」

 

 

ドンドン!

 

 

アルヴィンはジランドに向かって銃を撃つが、

 

 

セルシウスが現れ、ジランドの前に氷の壁を作り出し、銃弾を防いだ。

 

 

「なっ!」

 

 

「また、あの精霊さんっ!」

 

 

セルシウスが氷の壁を拳で壊すとその氷の破片が礫のようになって俺たちに襲いかかるが、

 

 

「ふんっ!」

 

 

俺が皆の前に出て、炎の壁を作り出して、氷の礫を蒸発させた。

 

 

セルシウスは俺の隣にいるミラを見て呟く。

 

 

「あなたがマクスウェルとはな。ずいぶん姿を変えたな」

 

 

喋り出すセルシウスをジランドは叩く。

 

 

「俺の許可なく、口を動かすな」

 

 

「はい、マスター」

 

 

セルシウスは痛がる様子もなく、ジランドに従っている。

 

 

「ひどい……どうしてそんな人に従ってるの?」

 

 

「道具は主人に仕えるのが当然だろう?」

 

 

セルシウスの頭に手を置きながらジランドは言った。

 

 

「精霊と人は一緒に生きていくものでしょ!それを道具だなんて!」

 

 

レイアはジランドのセルシウスへの仕打ち、そして、道具という発言に怒っている。

 

 

「こいつは精霊だが、ただの精霊とは少々違う」

 

 

「人工的に作られた……いや、復活させた氷の精霊か?」

 

 

皆が俺を見る。

 

 

「ほお?この世界にも賢い奴がいるのか。そうだ。こいつは源霊匣(オリジン)だ!」

 

 

「源霊匣(オリジン)……?」

 

 

「増霊極(ブースター)を使い、精霊の化石に眠っていたセルシウスを再現した。こいつは、精霊術自体が形をなした存在だ」

 

 

「源霊匣(オリジン)のマナをお前自身が術として使ってるのか!?」

 

 

「くくく、だから道具だってんだ。納得したか?」

 

 

悪いことをしているという気持ちの欠片も持ち合わせていないないこいつは!!

 

 

「あなた、最っ低!」

 

 

「ティポのデータをコピーしたのは、このためだったんですか!?」

 

 

「お嬢さん。あんたには感謝しているぜ。源霊匣(オリジン)が生まれたのも、リーゼ・マクシアが燃料になったのもそいつのデータのおかげなんだからよ」

 

 

それを聞いて俯くエリーゼ。

 

 

「なんだ、嬉しくて泣きそうか?」

 

 

あまりにもひどいジランドの言い方に泣きだすエリーゼ。

 

 

「あなたという人は!」

 

 

「指揮者(コンダクター)。ジジイの出る幕はもうないぜ?それとも踊り足らないのか?」

 

 

「ええ。ジジイは、しぶといのが売りですので」

 

 

武器を抜くローエン。

 

 

「我が友を弄んだこと、決して許しません」

 

 

「僕たちは負けない!絶対!」

 

 

「ふん。なんお力も野望もないくせにのぼせ上がってるてめえを見てるとムカついてヘドがでるぜ。場違いなガキが!」

 

 

ジュードの言ったことにイラついているジランドを見ているとこっちもムカついてくるんだが。

 

 

「あなたみたいな人が、力とか野望とか口にしないでよ!僕は、あなたが間違っているのを知ってる!」

 

 

「野望とか言っているけどよ、どうせ大した野望じゃないんだろ?んなことで怒っている方がよっぽどガキだと俺は思うがな。力がない?こっちから言わせれば黒匣(ジン)がないと戦えない奴が大きなことを言っているんじゃねえよ」

 

 

「て、てめえ!!!言わせておけば!」

 

 

「俺は事実しかいってないぜ?アルヴィンを見習えよ。黒匣(ジン)がなくても戦えるんだからな」

 

 

「……レオン、お前……」

 

 

アルヴィンが驚いたふうに俺を見る。

 

 

俺はアルヴィンを見てニッコリと笑う。

 

 

「もはやお前などと語る口はもっていないが……。最後に一つだけ問おう。お前とレオン達の違いがわかるか?」

 

 

「ハッ!知るかよ」

 

 

「だろうな。だからお前は愚かものなのだ」

 

 

キュウゥゥゥゥ―――

 

 

「そろそろ、マナの定時摂取のお時間だ。マクスウェル、お前だけは生かしてやる。だが……他は皆殺しだ!」

 

 

ジランドは銃を取り出し、銃弾を装填しながら言った。

 

 

「リーゼ・マクシアの精霊と人は私が守る!」

 

 

「ジランド、俺はお前を許さねえ!精霊を道具という貴様を!」

 

 

 

そして、戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

俺はセルシウスと1対1で対峙している。

 

 

「セルシウス!お前はあんな男がマスターでいいのか!!双撞掌底破!」

 

 

なお、俺は素手で戦っている。

 

 

「私はマスターのために生きている。マスターの邪魔はさせん!氷襲連撃!」

 

 

互いに拳と蹴りが激突する。

 

 

「だが、お前は昔は大精霊に近い存在だったはずだ!そんな存在があんな男に従う義理はないはずだ!」

 

 

拳を繰り出すが、止められる。

 

 

「貴様に何がわかる!私の中にあったマナが消えていく感覚を!苦しみを!わかるものか!」

 

 

蹴りを放ってくるセルシウス。

 

 

「んなことは、わかるはずがないだろうが!」

 

 

蹴りを蹴りで返し、

 

 

「飛燕連脚!!空破爆炎弾!!」

 

 

「ぐうぅぅ、あああああああ!!」

 

 

連続して回し蹴りからの炎を纏って突進する。

 

 

「くうぅ!凍刃穿爆隆!!」

 

 

俺に向かって氷の槍を無数に飛ばしてくる。

 

 

「フレアトーネード!!」

 

 

地面から噴き出すマグマで防ぐ。

 

 

「続いて喰らえ!断罪の剣よ、七光の輝きを持ちて降り注げ!プリズムソード!!」

 

 

七色の剣を地上に降り注ぎ、セルシウスの動きを止める。

 

 

「くそ!離せ!!」

 

 

「……終わりだ!連撃、行くぜ!疾風雷閃舞!」

 

 

俺は拳と蹴りによる高速の連撃を叩き込む。

 

 

「……これでとどめだ!!」

 

 

「ぐぅああああああ!!」

 

 

プリズムソードの今の秘奥義の影響で壊れたか。

 

 

「術式起動……」

 

 

俺は複雑にできた俺だけが使える魔術陣を発動させる。そこには、

 

 

火・水・風・地の術式陣の他に、氷・雷・光・闇の術式が存在している。火・水・風・地の術式が光を発しているが、氷・雷・光・闇の術式は光を発していない。

 

 

「なに、をする気、だ?」

 

 

セルシウスが動けない体で俺に聞いてくる。

 

 

「今から、俺のマナを使ってお前を大精霊に近い存在にする」

 

 

「なん……だと」

 

 

「折角、復活したのにあんな男に従って再び眠りにつかれての俺は後味が悪い。だから……」

 

 

8つの術式の……氷の部分が光を発し始めた。

 

 

「しばらく、この術式の中で眠れ」

 

 

「……………ありが…とう」

 

 

セルシウスは光になりながら、俺にほほ笑んだのかわからないが、お礼を言って術式に吸い込まれていった。

 

 

「さて、あっちはどうなっているかな?

 

 

俺はミラ達の戦うところに戻って言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ると言っても少し離れた場所で戦っていただけだが、戻ってくると、結構苦戦しているな。

 

 

「たっだいま!」

 

 

「レオン!帰ったか!」

 

 

ミラは俺の登場を喜んでいた。

 

 

「バカな!?セルシウスが負けたのか!?あいつの気配も感じない……貴様!何をした!」

 

 

ジランドはセルシウスの源霊匣(オリジン)を見る。そこには何も入っていない。

 

 

「ふっ、簡単さ!お前のような奴がセルシウスを使うことが嫌だって思った俺がセルシウスにマナを与えて、今は力を溜めるために俺の作った術式の中で寝ているんだよ」

 

 

「なんだとぉ!?」

 

 

ジランドは戦っている最中なのに、固まっている。

 

 

いや、ジランドだけでなくミラ達もか。

 

 

「レオンって……」

 

 

「ほんとぉーに、規格外ね」

 

 

「マジかよあいつ……」

 

 

「レオン……すごいです」

 

 

「レオン君、すごーい!」

 

 

「レオン、お前というやつは」

 

 

呆れているが、頼もしいよって感じに俺を見ているのか?

 

 

「よくも……よくも俺の力を!道具を!」

 

 

「精霊はお前の道具じゃねえ!アルヴィン行くぜ!」

 

 

俺は剣を構えてアルヴィンに言う。

 

 

「ああ!こいつとは俺が決着をつける!」

 

 

俺とアルヴィンはジランドに突っ込む。

 

 

「おのれええええええ!!!バニッシュレイ!バニッシュレイ!」

 

 

ジランドは自棄になったのか俺とアルヴィンに同じ技を使いまくる。

 

 

だが、自棄になり、錯乱状態になった奴の攻撃なんて当たるはずがない。

 

 

「あつ~い炎」

 

「喰らっときな!」

 

「「剛・紅蓮剣!!」」

 

俺とアルヴィンが当時にジャンプし、アルヴィンの剣に宿った炎と俺が一緒に剣を振りかざし、炎と共にジランドを吹き飛ばす。

 

 

「ぐうぁあああああああああ!!」

 

 

吹き飛んで行くジランドに俺とアルヴィンは追撃をする。

 

 

「炎よ、この剣に宿れ!」

 

「全部焼き尽くす!」

 

二人同時に炎を纏った剣でジランドを切り上げ、

 

 

「「炎覇、鳳翼翔!!燃え尽きろ!!!」」

 

 

最後に巨大な鳳凰をジランドに向かって飛ばします。

 

 

「そんな、バカなああああああああああああ!!!!」

 

 

吹き飛ばされて地面に倒れるジランド。

 

 

「どうだ!これが俺の……力だ!」

 

 

「アルヴィン!ここからはお前の問題だ!好きにしろ!」

 

 

「レオン……恩にきるぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐふっ!ようやく源霊匣(オリジン)を生み出せたってのに……くそ……」

 

 

「あんたの目的はせいぜい向こうのやつらに恩売って、のし上がるためだろ。源霊匣(オリジン)とやらに何の意味があるっていうんだ」

 

 

「源霊匣(オリジン)は黒匣(ジン)とは違い、精霊を消費せずに強大な力を使役できる。だから、人と技術に溢れた、エレンピオスには必要なんだよ」

 

 

「どういうこと……?」

 

 

ジュードはジランドが言っていることの意味がわからず、そういった。ジランドは源霊匣(オリジン)を取り出す。だが、源霊匣(オリジン)は光となって消えていった。

 

 

「エレンピオスは精霊が減少したせいで……マナが枯渇し、消え行く運命の世界だ」

 

 

「異界炉計画にそのような意味があったとは……」

 

 

「そんなの黒匣(ジン)を使い続けたあなたたちの自業自得じゃない……」

 

 

レイアが言うことは正しい。だが、エレンピオスの世界は黒匣(ジン)を使わないと生きていけない世界なんだな……。

 

 

「源霊匣(オリジン)が広まれば、エレンピオス人もマナを得られる」

 

 

「今さら何を……二千年前、黒匣(ジン)に頼る道を選んだのはお前たちだ」

 

 

「俺じゃねえ!」

 

 

そういう、ジランドであったが突如、悲鳴を上げる。

 

 

「ぐがああ……!」

 

 

ジランドの体に赤黒い何かが走る。

 

 

「おい、大丈夫か!?」

 

 

さすがにアルヴィンも心配になり、近寄るが、

 

 

「俺が死んでもリーゼ・マクシアの運命は変わりはしねぇ!」

 

 

アルヴィンはそんなジランドを見る目は……悲しそうだった。

 

 

「お、俺たちの計画は断界殻(シェル)がある限り、続けられるぞ……ザマぁみやがれ。ぐ、ぐあああああああ―――!」

 

 

そして……ジランドは動かなくなった。

 

 

「死んじゃった……??」

 

 

「セルシウスを使った反動が出たのかもしれません」

 

 

「力を得るためとはいえ……高い代償だ」

 

 

アルヴィンは死んだジランドの懐から金色の銃を取り出す。

 

 

「これは返してもらうぜ。ジランドール・ユル・スヴェント……叔父さん」

 

 

アルヴィンは目を開けながら死んでいるジランドの目をそっと閉じた。

 


 
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