No.458245

恋姫無双 槍兵の力を持ちし者が行く 七話

ACEDOさん

どうも、編集してる最中にロボット分をダンボールガンダム(笑)でガンガン削られ、新しいマブラブの小説を書いている今日この頃……八話に続く

2012-07-23 21:42:55 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4751   閲覧ユーザー数:4311

皆さんこんにちは。蒼です。ただいま涼州に向かっている途中です。

 

「蒼様、もうすぐ日が暮れます。近くの村に泊めてもらった方が宜しいかと」

 

「はぁ、なかなか着かねーな」

 

「しょうがないかと、涼州は遠いことは分かっているはずです。それに我々も疲れていますが、我々を乗せている馬が疲れています。馬に予備があるなら潰してもかまいませんが……」

 

 「森羅、お前分かってて言ってるだろ。俺等は貧乏だ。それに、馬を道具としては見ていない。こいつらは相棒だろ」

 

 「なら諦めることです」

 

 森羅は自分の思ってないことを言う。それはありがたいのだが、あんまり悪役にならなくてもいいと思う。少し、甘いかな。

 

 「分かってる。これは愚痴だよ。俺だって涼州に行くにはどのくらいで着くかくらいは予測してる。

 後、そう悪役ぶるなよ。俺がそう見られるのはまだ許せるが、仲間がそう見られるのはなんか嫌だからな」

 

 「っ、分かりました。なるべくは抑えますが性分ですから、たまには出てきますのでご容赦を。…ずるいですね。まったく。けどそこは『仲間』ではなく『私』と言って頂きたかったのですが……」

 

 最後の方が聞こえないが、まあいい。それより泊めてもらえる村を探さないとな。

 

 

 

 

 ようやく村を見つけたが、少しおかしい。なんだか空気が張り詰めている。まるで何かを警戒するような。

 

 「森羅」

 

 「分かっています。全員警戒!そして牙門旗を上げろ!

 そして、隠密部隊から二、三人出して我々が行くことを村に伝えよ!その間、ここで待機!」

 

 

 

 

 隠密が村に伝えている間、俺達は回りを警戒していた。

 

 「なあ森羅、これは厄介ごとの予感がするんだが。」

 

 「ええ、私も同じように感じています。しかし、見捨てはしないでしょう?」

 

 「まあな、……あーあ、面倒くせー。何処か落ち着ける村はない……か」

 

 「まあ今は乱世の一歩手前ですから。諦めて下さい」

 

 警戒し過ぎないように軽い会話を各自交わす。それでも気は抜かない。

 

 

 

 

 その後、何事も起こらず、隠密が帰ってきた。なんでも、もうすぐ賊が村に来るらしく。逃げるか、戦うかで意見が割れているらしい。

 許可が出たので俺達は取り敢えず、村に入ることにした。

 

 

 

 

 

 村に入った俺達は兵達を休めさせ、この村の長に会う為に、俺が森羅を伴い、向かうと、旅人らしい人物三人が長達と言い合いをしていた。

 

 「なあ森羅、あれは旅人だよな?」

 

 「おそらくその通りかと、村の服装ではありませんし、それに後ろの二人は強い武を持っているようです」

 

 俺も同じ考えだという意味で頷く。

 三人の内、村人達と喋っている天然のような奴の後ろにいる二人、一人はチビ、一人は黒髪サイドテール。この二人の武の才は非凡だと一目で分かった。

 おそらく、あの天然を自分の主だとして認めているのだろう。

 少し、天然に興味が湧いたので、話を聞いてみると、村人達は残って戦うから、協力してくれと言っていて、天然は命を大事にして欲しいから逃げろと言っていた。

 何も状況がわからない奴が聞くと、旅人が正しいように思えるが、状況を考えると村人達のほうが正しいように思える。なにしろここを失えば、命しか残らないのがこの世の中だ。そして命だけ残ってもその先にあるのは大抵は絶望し、のたれ死ぬだけなのだから……

 

 

 「話し合いの途中だがいいかい?」

 

 「何者ですかな。貴方達は」

 

 「さっき連絡があったと思うが、俺は傭兵集団『紅蓮団』の長、李高だ。で、そしてこいつが副官の司馬懿だ。まずは我等をこの村に入れてくれたことを感謝する」

 

 このままだと、話が平行線をたどる一方のような気がして話に割り込まして貰った。というか傭兵と聞いただけで眉をひそめるのはやめてくれないかな、旅人衆。少しムカつくから。

 

「そして、さっきの話は聞いてみたが、俺は村の人達に賛成だ」

 

「なんでですか!戦うと皆死んでしまうかもしれないんですよ!」

 

「すまねーが、名前を教えてもらえねーか?」

 

「私は劉備 玄徳と言います。そして後ろにいるのが…」

 

「…関羽 雲長だ」

 

「鈴々は張飛 翼徳っていうのだ」

 

  へぇー、天然が劉備で、サイドテールが関羽、チビが張飛か。凄いお人好しオーラが出ているな。

 

「それで、なんで李高さんは戦うべきだと思ったんですか?」

 

「まあ、色々あるが……

まず一つ、賊について詳しいことが分からないが、大体は逃げている最中に追い付かれてやられるのがオチだ。村人には馬がないから遅いだろう。それに俺の軍を使ったとしても百程度だから、全てを守り切れない。

で、二つ、もし逃げれたとしても逃げた場所にまた賊が来たらどうする?だから今、徹底的に賊を倒した方がいいと考えてる。

そして、これが最後だが、この村は村人達の物だ。余所からあんまり首を突っ込むことは野暮だと思うがどう思う?」

 

「………」

 

沈黙かよまったく。これがあの劉備かよ?

 

「ま、そういうこった。

それでだ長よ。賊の状況次第であんたに手を貸そう。教えて欲しいのは、勢力、本拠地、後、練度だ。」

 

「数は、約千五百。全員が官軍くずれです。本拠地は1日もたたずに着く場所に砦があります。どうでしょうか、我々に力を貸して頂けないでしょうか」

 

「劉備、てめえらはどうすんだ?」

 

「…私達も戦います。愛紗ちゃんも鈴々ちゃんもいいよね」

 

「勿論です。(なのだ。)」

 

「よし、村長さんよ。こいつらも協力してやるそうだ。俺等も協力してやる」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「ふう、森羅。お前は長と計画を練れ、それとなるべく早く隠密隊に本拠地を探らせろ。無理はさせんな」

 

「御意」

 

「じゃあな。俺は少し寝る。あ、後、報酬は飯で頼む。まあ、俺達がいる間でいい。俺達は貧乏なんでね」

 

こうして俺は仲間の下に帰って行った。

 

後で釣りでもすっかな。

 

 

 

―side 桃香

 

私たちは司馬懿さんと村長さんと賊について話し合った。結局は戦略と指揮は李高さん達に任せることになったんだけど……

 

「桃香様!どうしてあの傭兵に任せたりしたのです。私は傭兵という者は好きになれません」

 

「それは言い過ぎだよ愛紗ちゃん。それに李高さんって何時もの傭兵さん、ていう感じがしないし」

 

「まったく、桃香様は甘過ぎます」

 

「そうなのだ。お姉ちゃんは甘過ぎるのだ」

 

うー。確かにその通りだけどはっきり言われたらへこむなー。

 どうやらというか絶対的に、愛紗ちゃんは李高さん達を傭兵だからか信用していない。

けど、李高さんはお金の為じゃなくて、私達みたいに自分の信念で動いているように見えたな。

 

「桃香様、もしそうだとしても、私にはただの戦いたいだけの男に見えました」

 確かに、私もそう見えたし、そこは疑問に思っている。

 だから、李高さんに聞いてみよう。話し合うことでわかりあえるはずたから。愛紗ちゃんと鈴々ちゃんには反対されるかもしれないけど、それでも私は話をしてみたかった。

 

 

 

 

そして、一人で李高さんの元に行ってみた。

 

「あのー」

 

「ん、誰だ?」

 

「私です!劉備ですよ。」

 

「ああそうかい。でなんか用かい?できるなら静かにしてくれ。魚が逃げちまう」

 

飄々と釣りをしながら返事をする李高さん。

けど、雰囲気はただ釣りをしているわけじゃないようだった。

 

「えーと、用というか少しお話してみたいなーと思って。それよりよくそんな鉄の釣竿を動かさず腕だけで持てますね。というかなんで釣りなんかをやってるんですか?」

 

「まあ鍛練と趣味を同時にできるからだな、それに、これぐらい鍛えなきゃ生き残れなかったんだよ。

で、本題はなんだ?俺は回りくどいのは苦手なんだよ」

 

何だか、李高さんの気配が怖くなってきた。これが愛紗ちゃんとかが言う。殺気が膨れ上がるということかな?

 

「えーと、どうして李高さんは村の人達に戦うことに賛成したのかなーって」

 

「逆に聞くが、どうして村人達の言っていることを否定した?」

 

「え、それは勿論誰にも死んで欲しくなかったから」

 

そう、皆が笑って暮らせる世の中にしたい。それが私の夢だから。けど、死んだらそれで終わり。だから反対した。

 

「なら、村人達の意志はどうなる?」

 

「そんなの生き残らないと意味がないじゃないですか?」

 

「意味がないだと?」

 

さっきまで釣竿を見ていた李高さんがこっちを見てきた。

更に怖くなったけど、勇気を振り絞り答える。

 

「はい。そうです」

 

「てめぇ……まあいいや。例え話をしてやる。

ある所にに死んでも譲れない物を持つ者がいる。しかし、それを渡さないと必ず殺される。さて、お前ならどうする?」

 

「それは勿論渡します。」

 

「それで心が死んでもか?」

 

李高さんの目が怖い。

けど、怖いけど聞かなきゃならないことと本能的に分かる。

 

「人には必ず一つは譲れないもの、又は失いたくないものがある。お前にも俺にもだ。

もしそれをなくしたら、人は心を失い、ただの人形になっちまう。心がないからなんにも感じないからな。つまり、心が死んだら命があっても意味がないってことだ。言い方を変えると、『意志があるからこそ人間』ということだ。

でだ、ここの村人達は此処にのこる意志を示した。これは俺の勝手な解釈だが、村人達の譲れないものがこの村自体か、もしくは村にあるんだろうよ。だから俺は戦いに賛同した。だからな嬢ちゃん。余所者の俺達はその決断に協力することしか出来ないんだよ」

 

確かにそうかもしれない。心が死んだら意味がないのかもしれない。

 

「だけど、私は命を救いたいんです!」

 

李高さんは少し驚いたような呆れた表情で私を見た後、いきなり聞いてきました。

 

「嬢ちゃん。あんたの理想はなんだい?あの二人も嬢ちゃんの理想に着いていってんだろ?」

 

「えっ、どうして分かるんですか?」

 

「これでも、人の上に立っているからな。これぐらいはできないとな。

で、嬢ちゃんの理想はなんだい?」

 

「私の理想は皆が笑って暮らせる世の中にすることです。争いもなく話し合いでわかりあえる世の中にする。これが私の理想です。」

 

なんだか私の理想を聞いた後、李高さんの気配が鋭くなっている。

そして、李高さんはそのまま自分の荷物を持って帰り始める。そして歩き始める前にこう行って来た。

 

「嬢ちゃん。はっきり言おう。その理想は綺麗だが歪んでるよ。たとえ正しくても、今の時代では間違った考えだ。

だが、初めからなんでかは聞くな。人の上に立つ奴は自分で答えを見つけるよう努力すべきだ。特にあんたは人を惹き付ける才がある。これからも人が集まるだろう。だから答えは自分で見つけるよう努力するべきだ。そしてその後に周りを頼れ。

最後にもう一度言おう。嬢ちゃんの理想は歪んでる」

 

そう言いながら李高さんは戻っていきました。

私はそれを黙って見るしかありませんでした。

あの人の言葉が頭に残っていました。

 

 

その後、帰って来ると、愛紗ちゃんに見つかり説教を受けながら、考えてしまいました。あの人が言った自分の理想の歪みの答えを。

 


 
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