No.458053

ONE PIECE —黒髪少年の描く世界— 第二十四話 王家の庭

霧宮 海さん

にじファンからの転載です。

2012-07-23 13:29:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6944   閲覧ユーザー数:6809

反乱軍が足を止める。

 

ビビの声は届いたようだ。

 

 

「!リーダー!」

ビビが丁度正面の人を見て言う。

こいつが噂のビビの幼なじみか。クロコダイルが言ってたな。

 

「ビビ!そこをどけ!」

「リーダー!聞いて!」

「俺はこの国を救うんだ!国王にはもう任せておけない!」

 

これは説得するのは可能なのか?話が平行線で進みそうにない。

 

「リーダー!!」

ビビが一際大きく出した声に幼なじみが黙る。

「聞いて!この戦いはクロコダイルによって仕組まれていたの!実際パパはクロコダイルの仲間に捕まってる!落ち着いたら私が説明しにいくから…なんでも質問には答える…だから今は!いったん引いて!」

幼なじみが馬から下りてビビに近寄る。

 

「だが俺たちは国王に雨を奪われたんだ!それを奪い返しにきたんだ!」

どうやら幼なじみの怒りも相当なものだったようだ。

ビビも一瞬怯む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雨は降るから!!!今日、この後!!もう少しだけ待ってて!!」

 

 

 

 

重い沈黙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…わかった」

「!コーザさん!?」

後ろにいた馬に乗ってる男が幼なじみに言う。幼なじみの名前はコーザと言うらしい。

 

「いいのかコーザ!」

「あと1時間ここで待つ。それでも雨が降らなかったら…今度こそアルバーナを攻め落とす!」

 

 

ビビが笑う。

 

 

 

 

 

「ありがとう、リーダー!絶対雨は降るわ!!」

 

…これは心の底からルフィを信頼してるからこそ言える言葉なんだろうな。

 

 

 

 

とりあえずビビの援護は終わった。ビビはこの後クロコダイルを探すと言っていた。胸騒ぎがするそうだ。何もない事を祈るしかできない歯痒さを感じた。

 

うし!俺はとにかくルフィを探す!これが今一番優先順位が高いな!

やる事を決めた俺はとりあえず宮殿に向かった。クロコダイルがいると思ったからだ。そしてそこに既にルフィがいるかもしれない。葉になって飛んで行くと途中戦ってる仲間達が見えて止まりそうになったが目的を思い出してまた宮殿に足を進める。

 

 

 

 

 

宮殿前の広場が見渡せる所に着く。王家の庭だろう。

「はー。すげーな。この景色。多分コブラ王とかの演説を行うのか?俺だったら緊張でぶっ倒れんなー」

頭の後ろで腕を組み、宮殿前の広場を見下ろす。ビビがとりあえず反乱軍を説得した為戦う人がいないどころか人ひとりっこいない。

 

ていうか庭でかっ。

 

 

 

 

「そうだろう。俺がここで恐怖の演説をするのさ」

背後から声がする。内心超ビビったが、急いで振り返らずとも誰かはわかる。

「そうだな、ボス」

振り返る。わー怖い顔。

 

 

「王女とコーザが会ってるとはどういう事だ」

やっぱり気づくよな。戦ってる人見えないし。

「やられたよ。他のエージェント達は囮に捕まってる。俺も王女を止めにかかったがそれが仇になってコーザが馬を止めてしまったんだ」

嘘は言ってない。

 

「つまりてめーは王女を止める事もできずのこのこ俺の前に来たと…?」

あら…お怒りモード入っちゃった。

そんなのんきな事を思っていたら首を捕まれる。

 

「がっ、だからこれ、苦し、いんだって」

まあ葉になれば逃げれるんだけど。

「クハハハ!痛くしてるんだから当たり前だろう」

言いながら俺の身体を乾燥させていく。これは前に効かないことがわかってるから今は本気で殺そうとはしてないらしい。

一旦一安心だな。

枯れ葉になった身体を元に戻す。

「憂さ晴らしか?効かないとわかってるのに」

「再確認だ。水分を吸うだけではだめだという事のな」

ニヤリと笑ってみせる。

 

 

うわー。なんか企んでそう…どうしよ。

あれ?そういやクロコダイルの能力って干涸びさせたりすることだよな?

ってことは…

 

 

 

「なあ、ボスってアジの干物すぐ作れるか?」

「…あ?」

「いや、カラカラに干涸びさせることできんだろ?便利だなーいつでも干物食べれんぞ。今アジがないのが残念だ」

「てめぇふざけてんのか!!」

 

うおぃまた怒らせちった。

「俺の能力が物を枯らしきったらその物はどうなるかわかるか?」

物を枯らしきったら?…んー。

「わからん」

「クハハハ!…こうなる」

クロコダイルが横に生えていた木の幹に手を当てる。するとみるみる木が枯れていく。ここまでは一緒。

「…い”!?」

 

サァ……

 

木が砂と化して跡形もなく崩れた。

「お前も葉じゃない状態にされたらくたばるだろ?」

ギックーー。あらまー。バレちゃったー☆でもまあわかるわな、そんくらい。

「そうだな。それはまずい」

笑いつつも俺の背中には冷や汗が垂れつつある。

あんな跡形もなくなったら俺葬式も開いてもらえねーんじゃ!?ていうか墓!俺墓欲しい!あ、でも跡形もなく消えるんだったら焼く必要ないな。世界に優しいなークロコダイルー。葬儀屋とか儲かるんじゃねーの?俺お願いしよっかなー。

 

 

 

って待て!俺死ぬ前提で考えちゃだめだろ!生きろ!俺!

 

「何百面相してやがる」

クロコダイルの方を見るとスゴい形相でこちらを睨んでくる。そして地に手をつく。

 

 

 

 

 

 

 

「“|浸食輪廻(グラウンド・デス)”!!」

サァァァァァ…

クロコダイルの手に近い所からどんどん砂になっていく。

「やっべ!」

急いで上に飛び退く。

なんとかその場は逃れる事ができた。だが…

 

「芝生の庭が砂漠化って…」

王家の庭砂漠にしちゃったよ…さっきの世界に優しいっての撤回します。

一番広場に近い所に立つ。

「さあ…次はてめぇが砂になる番だ…Mr.Joker。砂に還れ!!」

 

クロコダイルの手が迫る。

 

「くっ」

ひとまず葉になって逃れようと構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロコダイルーーーーーーーー!!!!!」

空から鳥が飛んでくる。上に乗ってるのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来たか!

 

 

 

「ルフィ!!」


 
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