No.457764

リリカルなのは×デビルサバイバー

bladeさん

3rd Day FIRST CONTACT

ん~、サーバに負荷があまりかかっていない時間って、何時ぐらいになるんですかね? サーバに負荷がかかっているという話を聞いたので、あまり負荷がかかるような時間には投稿したくないのですけど。

2012-07-22 22:42:30 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2028   閲覧ユーザー数:1979

「僕は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウン! 話を聞かせてもらう!」

 

 黒い杖と服をを纏った少年クロノ。その少年の出現に一番慌てたのは、狼だった。

 

「管理局!? 管理局が介入してきた……不味いよフェイト! 一旦退かないと!」

「……くっ!」

 

 『フェイト』そう呼ばれた、黒い少女は一瞬カイトを見る――否、睨みつけると――その場から狼とともに立ち去ろうとする。

 

「逃すとでも――!」

 

 クロノはその手に持った棒を振りかざし、何かをしようとするが、鈍く、低い音が何処かからか聞こえ、"何か"がクロノへと向かう。

 クロノはそれに気づき、プロテクトを張ことによりやり過ごすことに成功する。

 

「ほぉ? やるねぇ! さすがは、管理局の執務官殿……といったところかな?」

 

 一人の男が宙に浮いていた。

 その右手には、銃のようなものを持っている事から、先ほどの音はこの男の銃から放たれたものなのだとわかる。

 男は左手を上に向け、指をパチンッとならした。すると、巨大な物体が、空から降ってくる。

 その物体は、フェイトとクロノの間に割り込み、クロノの行く手を阻んだ。

 更に落ちてきたのは、一つだけではなく、一つ……また一つと落ちてきて、なのはとカイトの前に立ちはだかった。

 

「これは……ゴーレム?」

 

 フェレットが、なのはの方へと移動しながらつぶやく。

 なるほど。確かにこのフェレットの言うように、石でできた人型の物体は、ゴーレムと呼ばれるにふさわしいかもしれない。

 

「にんぎょ……ではなく、フェイト。と言ったかな? 君は先に行くがいい」

「でも!」

「これは君のお母様の命令さ。それとも、母親の命に従えないのかい?」

 

 "母親"

 フェイトはこの単語に弱いのか、言葉をつまらせたあと、男を睨みつけると。

 

「母さんの言うことだったら聞く。でも、嘘だったら許さない」

 

 まるで、呪怨のような言葉ではあるが、その言葉を言われた本人は「お~こわいね~」等と、意に介さない。

 次にフェイトが視線を向けたのは、カイトだ。

 

「……もし、貴方が母さんを殺すと言うなら」

 

 それは、子供の目ではなかった。

 瞳から色が消え、カイトを唯"敵"として、認識した彼女は殺気をもったその目で、声で、カイトに告げる。

 

「私が貴方を殺します」

 

 言い終わるとフェイトは、物凄い速さで、狼とこの場を立ち去った。その場に残ったのは、男を含め四人と一匹と、三体のゴーレム。

 

「さて、私も去るとしよう」

「待てっ」

 

 背を向けた男を、クロノが呼び止める。

 止まる。とは思っていないだろう。だがそれでも、止めるのが彼の仕事。

 

「お前は何者だ! 彼女と、お前は一体……!」

「ふふふ……ハハ」

 

 男は笑い始めた。

 愉快そうに、腹の底から笑う…まさに"大笑い"というやつだ。

 

「何がおかしい!?」

 

 クロノが噛み付くように言う。

 男はクロノを気にかける様子もなく、唯こう言った。

 

「フハハ! 今それを、君たちが知ることは無意味さっ! さぁ、管理局の執務官! 魔法少女! そして……悪魔使いっ!! 私の作りし無機物共を退けることができるかッ!」

 

 「さぁ、やれ!!」と、男がゴーレム達に命じる。

 ゴーレムは男に命じられるがままに、カイト達にその魂なき拳を振り下ろした。

 

「……悪魔使い? くそ、待てっ!」

「ハハハ! では、さらばだっ」

 

 この場を去ろうとする男を追いかけようと、クロノは動くものの、それを妨げるように、ゴーレムがクロノの前に立ちふさがる。

 

「くそっ、邪魔だァ!」

 

 クロノは魔力を篭った弾を撃つと、ゴーレムは避ける動作もせず、その攻撃に当たる。

 

「――ォォォォォ!!」

 

 だが、その攻撃を物ともせず、ゴーレムはクロノに対して、その拳を振るう。

 

「くそ、生半可な攻撃は通用しないか……っ」

 

 忌々しいやつだ。そう思いながら、クロノはゴーレムと対峙するのだった。

 

 一方、なのはもまた一体のゴーレムと対峙していた。

 

「ディバイーン……バスター!!」

 

 ピンク色の砲撃が、ゴーレムの身体を包み込む。

 その一撃は、決して威力の低いものではなかったが、ゴーレムを打ち倒す程ではなかった。

 

「気をつけてなのはっ。このゴーレム……すごい硬いみたいだ」

 

 なのはの援護をしているフェレットが言う。

 しかし、その事は少女にも分かっていた。自身が"今"使える魔法の中で、最も攻撃力の高い砲撃魔法――ディバインバスターを受けたゴーレムは、効いていないとまではいかないが、腕がもげた。とか、足がもげた。とかいうダメージまでは受けていなかったから。

 

「でも……早く倒さないとカイトくんが…!」

 

 少女の視線の先には、ゴーレムの攻撃を避けている一人の少年が居た。

 見たところ、自分と同じように、デバイスを持っておらず、魔力も感じない、そんな少年。

 だからこそ、急ぐ。目の前のゴーレムを倒して、少年を救うために。

 

 だが、その考えはいとも容易く打ち砕かれる。

 

 カイトは目の前のゴーレムと対峙しながら、とある事を考えていた。

 

 『果たして、彼女たちの目の前で、悪魔という力を使っていいのか?』

 

 小牧翠という前例がある。

 この少女はとても正義感が強く、周りに困った人が居たら助けるという、正義感を持つ少女だ。……その服装には少々難があるが。

 そんな少女とカイトは、東京封鎖の中で初めて出会った。

 その中で色々とあったものの、ミドリという少女はCOMPを手に入れ、悪魔使いとなった。

 その理由は唯一つ、父親の想いを継ぐ。というものだった。

 彼女の正義感も、親切心も、父親の『正義はどんなことがあっても貫くもの』という想いを受け取ったから。

 これだけであれば、美談となった。

 東京封鎖という極限状態。それだけでなく、自身が理解できない、悪魔という存在と、魔法という超常現象。

 その中で、悪魔の力を振るい、人々を助けようとする彼女を、周りの人々はどう見るだろうか?

 

 答えは簡単、"拒絶"だ。

 

 その正義感で、彼女は死にかけた。自身が守ろうとした、人々の手によって。

 その時の記憶があるから、カイトは悪魔使いの力を振るうのを、躊躇してしまっていた。

 

『何をやっている』

「(うる、さいなっ!)」

 

 攻撃を避けながら、ベルに言葉を返す。今のカイトの状態を、ベルは良しとしていないのだろう。

 

『何をやっているっ。このような無様な姿を……!』

「(五月蝿いって、言ってるんだっ!)」

 

 自身の中に眠る、ベル達をその強靭な意志でもって抑えこむ。

 

『(……無駄なことを)』

 

 『ベル』はカイトと共にある。

 だからこそ、分かるのだ。

 どれだけ、カイトが力を拒絶しようとも、力はカイトを捉えて話さない。と――。

 

「きゃぅ!」

 

 なのはの悲鳴が上がる。

 自身の最強の魔法が効かず、ジリ貧となっている以上……疲れがたまり、隙を作ることになる。そしてその隙を、ゴーレムは逃さない。

 無機物であるがゆえに、プログラムのように正確に動くそれは、単純であるからこそ、逃さないのだ。

 

 そして、カイトは見る。

 なのはに近寄り、とどめを刺そうとする、ゴーレムの姿を。

 

 ドクンッ。

 

 心臓が跳ね上がる。

 それは恐怖だ。死に対する恐怖だ。

 だがそれは、自分が死ぬことが怖いのではない。

 

 誰かが死ぬことが怖いのだ。

 

 「ぅ、あ……」

 

 呻くような声がでる。

 恐怖で手が震える。足がすくむ。

 そして思い出す、自身のせいで死んだ……あの人のことを。

 

「くそっ……たれッ!!」

 

 カイトは左手でポケットを探る。そして掴んだ。

 自身の力となる物。悲劇の元凶。

 見た目はゲーム機。されどそうではないもの。

 カイトは高らかに叫ぶ。全ての切掛となったその手にある物の名を。

 

「『COMP』……起動ッ!!」

 

 COMPを起動すると同時、そのCOMPの画面から、眩い光が放たれる。そして画面には文字が書かれる。

 

 ――CommunicationPlayer

 

 ――プログラムを再起動します

 

 そして様々な文字が表記されていく中で「OK」とメッセージが表示され。

 

 ――アクマ・ショウカン・プログラム起動OK

 

 ――アクマ・ショウカン・プログラムを起動します

 

 ――Peaceful days died……Re Survive!!

 

「ウああああァァッッッ!!」

 

 勢い良く走りながら、カイトは跳躍しその拳をゴーレムの顔面へと叩きこむ。

 

「―――ォォォォォォ……」

 

 

 元々魔速タイプの悪魔使いであるカイト。それに加え今は神のリミッターが存在し、本来の力を半減させている。それでも、人を超えた力をの一撃は、ゴーレムに確かなダメージを与えた。

 

「ふぇ? カイトくん……?」

 

 当然、カイトの様子になのはは困惑する。自身が苦戦したゴーレムに、拳でダメージを与えた。それは驚きで――畏怖でもある。

 

 ブォンッ!

 

 風を切る、鈍い音がカイトに襲いかかる。

 だがカイトは避けることはせず、手を前に出し、一言コマンドスキル名を言う。

 

「…護りの盾」

 

 カイトを守るために出現した盾は、ゴーレムの一撃を受け四散する。

 ゴーレムの一撃を受け、四散したのではない。

 護りの盾。それは、使用者と使用者の仲間を一度だけ護る、そんな盾。

 

「……召喚」

 

 カイトを中心に魔方陣が描かれる。

 そこから漂う気配は普通のものではなく、異質なものと感じさせる何かがあった。

 

「ケツアルカトル、キクリヒメ」

 

 白い羽根のようなものが生えた大蛇の姿を持つケツアルカトル。

 女神キクリヒメ。黒い肌に、赤い服が彼女の見栄えを更に良くしている。

 二柱の神が、現世に降臨した。

 

「フム。久しぶりじゃのぉ。王……いや、悪魔使い。カイトよ」

「ホント。もう召喚されることは、ないと思ったんだけどね~」

 

 妙齢の老人のような声のケツアルコアトルと、今時のギャルの様なキクリヒメ。対照的な二柱ではあるが、頼りになる仲魔であることは、間違いない。

 

「召喚する事がないのが、一番なんだけどね……。まぁその話はあとにするとして、ケツアルコアトルは、その巨体を生かし攻撃を、キクリヒメは後衛で、補助と隙を見て攻撃を」

「では、まかせてもらおうかの。ここは一つ『あばれまくってみる』かの?」

「今は補助いらないよね~。それじゃ、マハラギッ!」

 

 ケツアルコアトルが、ゴーレムに対して暴れまくり、それに追撃するかのように、キクリヒメが炎を放つ。

 二柱がゴーレムを抑えているのを確認して、未だ座り込んでいるなのはに手を伸ばす。

 

「立って、早く」

「あ、うん……」

 

 なのはの手を掴み、立たせる。

 だが、忘れてはならない。もう一体ゴーレムが居ることを。

 

「危ない! 後ろだっ」

 

 フェレットの声を聞くまでもなく、カイトは後ろを振り向き、右手を前に出す。

 

「『氷の乱舞』」

 

 ゴーレムの足元から、無数の氷の柱が出現する。出現するだけでなく、石でできたゴーレムの身体を、貫いていく。

 

「……? 意外と脆いのか?」

 

 ゴーレムの身体を、貫けたことに違和感を覚えたが、今はよしとするべきだ。そう考え、カイトは再び氷の乱舞を使用する。

 だがいくら身体を貫いても、ゴーレムは動きを止めない。

 生物とは違い、無機物であるゴーレムだからこそ、例え腕がもげようと何されようが、動くのだ。

 さて、どうするか?

 カイトは打開策を打ち出すため、考え始める。

 その時だった。クロノの声が辺りを響かせたのは。

 

「顔だ! そのゴーレムの核は、顔面にある!」

 

 既にゴーレムを撃破していたクロノが言う。

 その言葉を信じ、カイトもまた顔面へと攻撃を始める。

 だが、顔面への攻撃を防ぐようにプログラムされているのか、中々攻撃が当たらない。

 

「……ならっ」

 

 氷の乱舞が当たらないのなら、顔面へあたるような、効果範囲の広いこうげきをすればいい。

 

「『メギド』」

 

 ゴーレムの頭上で発生した、強力な魔力の渦は、ゴーレムの身体を包み込み……特に顔面を中心に破壊しつくした。魔力の渦に近かったのが、原因なのだろう。

 

「決めてよっ! おじいさん!」

「年寄りをこきつかうでないわっ。フンッ!」

 

 ケツアルコアトルの一撃が、頭部を破壊した。それと同時にゴーレムは動きを止めたようだ。

 戦いが終わった。その事に安堵しつつ、カイトはため息をついた。

 

「えっと、カイトくん?」

「ん?」

 

 困ったような、そんな声でなのはがカイトに言う。

 

「手がちょっと痛いかな? って」

「うわっとごめん」

 

 必死になっていたせいか、なのはの手を必要以上に、強く握ってしまっていたらしい。手を離した後も、まだ手が痛いらしく、手をさすっている。

 

「ごめん。ちょっと手を貸して」

「ふぇ? うん……」

 

 カイトはなのはの手を取ると、回復魔法『ディア』を唱える。

 癒しの光が、なのはの手を包み、手の痛みを癒していく。

 

「あれ? 痛くなくなった?」

「…なら、良かった」

 

 なのはの手を離し、一息ついた所でクロノが地上に降り立った。

 

「大丈夫かい? 君たち」

「あ、はい。カイトくんのおかげで、傷も無いですし」

 

 だまり、視線を下にむけているカイトに代わり、なのはが応える。

 

「そうか。なら良かった」

「それで、何だったんですか? アレ……」

 

 なのはが指をさしているのは、ゴーレムだ。

 

「なんか、私の砲撃魔法が、全然効いてなかったような気がして……」

「さて、ね。そこは色々と調べなきゃ、ならないんだろうけど。今は僕の言うことに従ってくれないかな?」

「はい?」

 

 なのはが可愛らしく、首をかしげる。

 そんな反応が来るのも、予測済みなのか、クロノは落ち着いた様子で。

 

「あの少女と、あの男。それと、君達が関わってきた。経緯を知りたいんだ。ついてきてくれるかな?」

「あ、はい! わかりました」

「それじゃぁ、きみは?」

 

 未だに俯いている、カイトをクロノは見る。

 その視線に気づいたのか、カイトはクロノを見ると。

 

「……分かったよ。俺も色々と知りたいし。ケツアルコアトル、キクリヒメ。今日はありがとう」

「うむ」

「それじゃ、またね」

 

 二柱の方を向き、COMPを操作、魔界へと送還した。

 

「これで俺は、いつでも行けるよ」

「うん。分かった、暫く待っていてくれ」

 

 クロノは何処かへと、通信をしている。

 数分後、話し終えたクロノは、改めてカイトとなのはの方を向く。

 

「それじゃ、案内するよ。僕が乗っている艦。時空航空艦アースラへ」

 

 これが二つ目の出会い。

 なのは、フェイト、クロノ、カイト。

 これから起きる、様々な出来事の中心人物が、出会った瞬間でもあった。

 

 

 


 
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