第零章プロローグ
「始まりの日」
・・・・・・・・・世の中は嘘に満ちている。
・・・・・・・・・人は皆、平気で嘘を言い。
・・・・・・・・・古い書物も、宗教も、世界も、
・・・・・・・・・そして、・・・・・・神さえもまた、嘘を言う。
~???~
「(・・・・・・ここは何処?)」
そこは森の中、辺りは真っ暗で、人気も全くない。
「(……そっか、捨てられたんだ、僕)」
暗い森の中で、少年は一人ボッチで横たわりながら思った。
元々、少年は周りの人間を信用してはいなかった。
父は無職で博打好き、母も博打好きでろくでもない。
そのせいで借金は増えるばかりだ。
祖父も祖母も親族も、みんなろくでもない人間ばかり。
「……あぁ、このまま死ぬんだな」
少年は目を閉じながらしみじみと呟いた。
『ならば助けてやろうか?』
突然聞こえた声に驚いた少年が目を開けると、そこは先ほどまでいた森とはまったく違う場所にいた。
周りの風景は、草一つ生えていない岩ばかりの荒れた大地。
空は黒い雲に覆われ、雷がなっている。
そして、目の前の大きな岩に黒い巨大な何かが新緑の瞳でこちらを見ていた。
「……此処は何所だ?
……お前は何だ?」
少年の問いかけに、黒い何かは「フン」っと鼻を鳴らしながら口を開いた。
『此処はお前の精神世界、そして我はアギア。
お前の精神世界に封印されている、三天龍が一角だ。
まぁ、そんな事はどうでもいい、それよりも助けてほしいか?
この虚に満ちた世界から」
黒い何か……いや、アギアの問いかけに、少年はすぐに頷いた。
「……お前が何なのかなんてこの際どうでもいい。
……僕をこの腐りきった世界から連れ出してくれ!」
少年の答えに黒い龍……アギアは満足そうな笑みを浮かべた。
『あぁ、共にこの世界から抜け出そう一誠。
いや、我が相棒よ!!』
これが俺、兵藤一誠と『黒龍陛(シュバルトス・ドラゴン)』カオスの最初の出会いであり、俺の新たな人生の始まりであった。
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一誠が赤龍帝じゃなく、黒龍陛だったらというお話。
この続きは『ハーメルン』で!