No.457439 IS〈インフィニット・ストラトス〉 ~G-soul~ドラーグさん 2012-07-22 15:36:44 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1333 閲覧ユーザー数:1284 |
「・・・・・・・・・・・」
ダメだ。結局全然眠れなかった・・・・・。
昨日の夜、ラウラの行動のあと何とか寝ようとしたが、まったく寝つけずこうしてぼーっとした状態で朝の食堂に来て
いる。
「あ、瑛斗。おはよう」
「お、おは・・・よう・・・・・・・」
「おー・・・シャル、簪」
食堂の入り口でシャルと簪と会った。
「瑛斗・・・・・どうしたの?」
簪が俺の顔を見て首をかしげる。
「ホントだ。なんだか眠そう」
シャルも首をかしげた。
「いやな。昨日の夜、ラウ―――――――」
そこまで言って俺は口をつぐむ。それと同時に昨日のことがフラッシュバックする。
鮮明に思い出せる、あの柔らかい感触・・・・・・。
(は、恥ずかしくて言えんわ・・・・・!)
「「『ラウ』?」」
二人とも頭の上にハテナマークを浮かべている。な、なんとか誤魔化さねば!
「ラウ・・・・・ラに、面白いからって貸してもらった本を読み耽っちまってな。は、ははは」
「そうなんだ」
「夜更かしは・・・体に悪い・・・・・」
「お、おう。気をつけるよ」
よかった。二人とも納得してくれたみたいだ。
「そ、それより朝飯食おうぜ。俺眠いけど腹減ってるからよ」
「うん」
「わかった・・・・・」
そして俺は学食の扉を開けた。
「あ・・・・・」
「む」
ばったり、券売機のボタンを押そうとしているラウラと会った。
「よ・・・・・よう」
俺はややぎこちない感じで挨拶する。
「うむ、いい朝だな」
ラウラは小さく笑って返事し、ボタンを押した。
「ラウラ・・・・・おはよう」
「よかった。ラウラに追いつけたよ」
シャルと簪もラウラに声をかける。
昨日のことなど全く気にしていないようなラウラの様子に、俺は自分が恥ずかしくなった。
(そ、そうだ。こいつは前からああいうことを平然とやるヤツだ。今更何を慌ててたんだよ・・・・・)
そう考え、心の中で自分で自分にビームガンをぶっ放した。
「瑛斗? 瑛斗ったら」
「ん?」
シャルの声を聞いてハッと顔を上げる。すると、ラウラもシャルも簪も全員各々が注文したメニューの料理が載ったトレーを持っていた。
「何をしている。全員お前待ちだぞ」
「わ、悪い」
ラウラに言われ、俺は慌てて食券を買い、焼き鮭定食を受け取った。
「あっちの席が・・・・・空いてる」
簪が見つけてくれた席に移動して椅子に座る。
シャルはサラダとコーンスープとパン。簪は目玉焼き定食。ラウラは・・・・・
「ラウラ凄いね。今日も朝からがっつりって感じだよ」
「ああ。朝はしっかり食べねばな」
というわけで生姜焼き定食である。まあ、本人がそれに決めているんだから、俺は何も言わない。
「そう言えば、シャル。今日は夕方からスタートだぞ」
「あ、うん。わかってるよ」
ふと俺は思い出してシャルに言っておく。主語はないがシャルは言わなくてもわかるだろう。ケーキ作りの話だ。
「? シャルロット、何が夕方からスタートなのだ?」
あ、ラウラが食いついた。
「私も・・・・・気になる」
簪も食いついてた。
「あー・・・・・」
二人に詰め寄られ、目を左右に泳がせるシャル。
「・・・・・」(チラ)
あ、見られた。うーむ、できれば内緒にしておきたい。
「・・・・・」
俺は声を出さず人差し指を口に持っていく。
「・・・・・ご、ごめんね。こればっかりは言えないなぁ」
あは、あははは、と微笑を湛えながらシャルは二人に手を合わせた。
「むぅ、ならばお前に聞くとしよう」
「それがいい・・・・・」
クルッと首をこっちに向け、ラウラと簪が詰め寄ってきた。
「で、何がスタートする?」
「アニメの新番組は・・・まだ先・・・・・」
「い、いやぁ・・・・・」
さぁて困った。どうしよう。
「「・・・・・・・・・」」(ズズイッ)
ち、近い。二人とも近いって。
「「・・・・・・・・・」」(ズズズイッ)
ちょ、近っ! た、倒れるって!
「おわああっ!?」
バッターン!
そして、とうとう俺は椅子と一緒にひっくり返る。周りに女子たちがいなくて良かった。不可抗力で見えてしまう可能性があったし。
しかし大きめの音だったので、遠くから他の女子たちからの視線が向けられる。
「っててて・・・・・」
「え、瑛斗。大丈夫?」
シャルが心配そうに声をかけてくる。
「あ、ああ。なんとか」
俺はよっこらせと起き上がり、椅子に座りなおした。
「よかった。もう、ラウラ、簪ちゃん。あんまりしつこく聞いてると、嫌われちゃうよ?」
シャルの少し怒った感じの声にラウラと簪はシュンと小さくなる。
「す、すまん・・・・・」
「ごめんなさい・・・・・」
「大丈夫だよ。二人とも気にするなって」
俺は笑って二人をフォローする。
「でも、さっきのことは悪いけど教えられないな。ちょっとしたサプライズだからよ」
釘を刺すのも忘れずに。
二人は黙って頷いてくれた。
「うん。二人ともわかってくれて何より―――――――――」
『続いてのニュースです。昨日のお昼頃、住宅街で車が爆発炎上するという事件が発生しました』
食堂のテレビで流れていたニュース番組でアナウンサーがニュースを読み上げる。
しかし、問題はそこではない。流れている映像が、一夏の家の近所なのだ。
「・・・・・・・」(ポロッ)
「・・・・・・・」(ポロッ) カラーン
「・・・・・・・」(ポロッ) ポチャッ
俺は口に運ぼうとしていたごはんが再び茶碗の上に落ち、ラウラは箸を皿の上に落とし、シャルは千切ったパンをスープの中に落としてしまった。
「・・・・・・?」
ただ一人だけ、簪が首をかしげている。
(昨日のアレだ・・・・・!)
俺は背中の汗が尋常じゃなかった。ラウラも顔がテレビ画面にくぎ付けで額には冷や汗が。事情を知っているシャルも動きがフリーズしている。
『―――――――車は、車種からイギリス製の車と判断されています。運転していた男性は、全治二週間の火傷を負う重症です』
だよなぁ。逆にあの爆発でそんだけで済んだからラッキーか?
『幸い、乗っていたのは運転していた男性のみで、周りの住宅にも被害はありませんでした。さて次の―――――』
・・・・・・何?
おかしい。確かあの車には三人乗っていたはずだ。どうして一人なんて・・・・・・・!
そこで俺は思い出す。楯無さんに言われた、事後処理は任せろとの言葉。まさか、それがアレなのか!
「・・・・・簪」
「簪よ・・・・・」
「簪ちゃん・・・・・」
「な、なに・・・・・?」
「「「更識家って、凄い」」」
「え・・・? ど・・・どう・・・・・も?」
首をひねり続ける簪に、俺たちは尊敬の眼差しを送った。
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冷や汗が流れた朝