真実を明かすとき
『空母ケストレル ブリーフィングルーム』
ケストレルのブリーフィングルームに今日もまた各艦長と俺はきていた。最初にブリーフィングルームに集まってから約3週間もたっていた。その3週間の間もアンドロメダがベルカ語の暗号通信を傍受するごとに集まっており今日で6回目である。
「すまないね、また呼び出して」
いつも通りにアンダーセンと数人の乗組員が入って来て、アンダーセンはいつも座っているモニターの左側の椅子に座る。
「では、さっそく本題に入ろう。今日行われた平和式典のことは知っていると思うがこの平和式典が襲撃された」
俺はそのことをすで知っている。いや、この艦隊の全員が知っている。この平和式典は生中継されていたため、CICのモニターで平和式典を見ていた。そもそもこの平和式典はハーニング大統領が国民を安心させるためにノーベンバースタジアムで行われた。だが、それは表向きの話だ。ハーニング大統領は現在、旧ベルカ軍によって拉致監禁されているためハーリング大統領が平和式典の企画をすることはできない。だからこの平和式典をアップルルース副大統領が企画したものであり、案の定、ハーニング大統領は欠席し、代わりにアップルルース副大統領が出席。さらに、上空では展示飛行を行うなど徹底的な演出をした。そして、展示飛行が終わり、それと同時にアップルルース副大統領が演説を始め、ご丁寧に演説の最後には「さあ、お聞き下さい、この歓声を!」と発言した。この時、俺はスタジアムは歓声に包まれると思っていた。だが、違っていた。歓声じゃなく歌を歌いだした。その歌は俺も好きな歌だった。この歌はベルカ戦争時に反戦歌として使われていたJourneyHomeだった。スタジアムに集まった国民たちは反戦歌であるJourneyHomeを歌うことによってアップルルース副大統領に戦争に反対のことを明確に伝えたのだ。さすがにアップルルース副大統領は予想外だったのかかなり焦った様子で「静粛に」と言うが、国民たちは歌い続ける。そんな時だった。突然、モニターの画面がアップルルース副大統領から上空に変わった。上空では先程ま展示飛行を行っていた戦闘機が写る。だが、何かがおかしい。戦闘機の機動が明らかに展示飛行の機動ではなく戦闘機動だった。そして、その展示飛行を行っていた一機の戦闘機の前から白煙を出しながら近づく物体があった。俺はその物体が何だっかすぐに分かった。ミサイルだと。それと同時にスタジアムが襲撃されたと分かった。ミサイルは戦闘機に向かっていく。だが、戦闘機は当たる寸前にバレルロールを行いミサイルはその急機動に追いつかず、戦闘機に当たらずそのまままっすぐにいく。避けた戦闘機もミサイルを発射。モニターの画面もミサイルを追いかけるように移動し、モニターの画面からミサイルが見えなくほど遠くに行った後、数秒後に爆発の光が見えた。それと同時に生中継は切れ、そのあとはどうなったのか知らない。
「この生中継が切られた後は上空で展示飛行をしていたウォー・ドック隊の活躍により、市民の死者は0だった」
それを聞いて、俺は驚いた。スタジアムには数万人の市民がいたはずだ。それに、ノーベンバースタジアムがあるノーベンバーシティはそれなりの都市だ。いくらなんでも死者が出るかと覚悟していたが・・・。
「だが、悪い知らせもある。この襲撃でウォー・ダック隊3番機、アルヴィン・H・ダヴェポート大尉が戦死した。」
そんなバカなと思った。ウォー・ドック隊の腕はもはやオーシアの中でトップクラスである。彼らがそんなに簡単に落ちるはずがない。増援が来るまでは耐え抜く腕はもっているはず。まてよ、増援?まさか!
「アンダーセン艦長。ウォー・ドック隊の3番機が戦死した理由は増援の遅れでは。」
「その通りだよ。ガレ艦長。何者かが演習と偽り、その結果、増援部隊の到着が大幅に遅れた。増援部隊が到着した時にはダヴェポート大尉はすでに戦死した後だったようだ。おそらく演習と偽ったのはベルカだろう。ウォー・ドック隊の活躍はベルカの復讐には邪魔だかられ。」
ベルカ。それはこの戦争の裏にいる奴ら。15年前のベルカ戦争でベルカに鉄槌を下した。オーシアとユークトバニアを恨み、ベルカはこの二つの国に復讐を決意した。ベルカの復讐は計画的だった。ベルカは15年という、長い年を月使いオーシアの軍上層部とアップルルース副大統領と繋がりを持ちそして、ハーリング大統領を誘拐することで、オーシアはベルカの手の内に入ってしまった。おそらく、ユークトバニアも同じ状況だろう。そして、両国を全面戦争させ、憎しみの連鎖を作り、憎しみながらオーシアユークトバニアが滅ぶまで戦争させる。それがベルカの復讐であった。だが、予想外の事態が起きた。それがウォー・ドック隊である。ウォー・ドック隊の活躍は凄いものであった。ユークトバニアのシンファクシ級潜水艦、1番艦シンファクシ、2番艦リムフゥクシを沈め、ユークトバニアの重要な基地の破壊などウォー・ドック隊の活躍は戦争の早期終戦を可能にするものであった。だが、戦争の長期化を狙うベルカにとってはウォー・ドック隊はまさに邪魔者であった。
「幸いウォー・ドック隊は全滅しなかったものの恐らくベルカは次なる手を考えているだろう」
アンダーセンの言うとおりだベルカは今頃ウォー・ドック隊を確実に消す手を考えているのに違いない。
「このままだとウォー・ドック隊がベルカの策略によりやられれるのも時間の問題だろう。だが、彼らを見捨てるわけにはいかん。だから、ウォー・ドック隊を救出する。」
ブリーフィングルームがざわついた。ウォー・ドック隊の救出作戦は危険である。もしウォー・ドック隊を無事に救出したとしても、その後ベルカに気付かれたら間違いなくベルカはこちらを消しに来る。
「アンダーセン艦長。ウォー・ドック隊の救出は危険です。ベルカに気付かれたらこちらがやられます!」
俺は席から立ちアンダーセン艦長に言った。それに続いて他の艦長たちも「ガレ艦長の言うとおりです」「これは危険です!」などと言って反対する。
「確かに危険だが。このまま見捨てる訳にもいかない。それに、ウォー・ドック隊を救出できれば、ハーリング大統領を救出できる戦力が整う」
俺は冷静になって考えてみた。確かにリスクは大きい。だが、無事に救出できれば、ハーリング大統領を救出できるほどのの戦力がそろう。それに、機体もケストレル格納庫にはスノーの予備機と戦死したスノーの部下の予備機、F-14が3機あるためウォー・ドック隊が救出できたあと乗る機体もある。
「・・・・・・わかりました、アンダーセン艦長、やりましょう。ウォー・ドック隊の救出を!」
「なっ!ガレ艦長、本気ですか!」
「本気さ。確かに、リスクは大きい。だが、成功すれば、ハーリング大統領を救出できる戦力がそろう。それに、ウォー・ドック隊に助けられた時もある。ならば、今度は俺たちが助ける番だ!」
他の艦長たちは黙り込んだ。しばらくして1人の艦長が「そうですね、ウォー・ドック隊がいなければ、俺たちはとっくの昔に海の藻屑になっていた」と言った。それに続いてまた1人の艦長も「そうだな、ウォー・ドック隊にはセントヒューレット軍港の時に助けられましたからね。救出して借りを返しまよう!」そして、残りの2人の艦長もウォー・ドック隊の救出に賛成した。
「ありがとう、みんな。ではウォー・ドック隊の救出作戦の詳細はベルカの動き次第で決めよう」
アンダーセンは座っていた椅子から立ち、それに続いて俺たちも立つ。
「では、今日はここまでにするよ。ああ、そうだ。各艦長は艦に戻ったら全ての乗組員にベルカのことを知らせるように」
再びブリーフィングルームがざわついた。いままでベルカのことは他の乗組員には秘密にしていた。無駄な混乱を避けるためであった。
「アンダーセン艦長、いいんですか」
「ああ、ウォー・ドック隊の救出に合わせて我々は新たな行動を起こす。そのためにはほかの乗組員の意思を聞かなければならんからね」
「わかりました」
そして俺はブリーフィングルームを後にした。
『フリゲート艦オルフェウスCIC』
「艦長、お疲れ様です。最近多いですねケストレルの呼び出し何を話しているんですか。」
「ああ、今からその事について話す。その前にホークス、艦内放送をかけてもいいか」
「わかりました、艦長」
俺は、艦内放送用のマイクを手にとり、一度大きく深呼吸し、そして艦内放送のスイッチを入れた
「全乗組員へ。今から重大なことを言う。この戦争についてだ。この戦争の裏にはベルカがいる。そのベルカによってハーリング大統領は誘拐された。つまり、この戦争はハーリング大統領の意思ではない。この戦争はベルカとそしてそのベルカの手先になり、オーシアを裏切ったアップルルースと軍上層部がかってにやっている戦争だ!」
CICは騒然とした。いや、この艦全体が騒然としているだろう。いままでオーシアのために戦い続けたのに、それがベルカがこの戦争を操っていることを知れば誰もがショックを受ける。
「ベルカはこの戦争でベルカ戦争の復讐をしようとしている。ベルカはオーシアとユークトバニアの間に憎しみの連鎖を作り、両国が滅ぶまで戦いを続ける。それが、ベルカの復讐だ。だが、ベルカにとって予想外の事態が起こった。それは、俺たちを助けてくれたウォー・ドック隊だ。ウォー・ドック隊の活躍は知ってる通り、俺たちが所属していた第三艦隊を沈めたシンファクシ級潜水艦の一番艦シンファクシと二番艦リムファクシンを沈めさらに、ユーク重要拠点の破壊など、ウォー・ドック隊の活躍により、戦争の早期終結もすぐに近くまで来ている。だが、両国が滅ぶまで戦いを続けさせたいベルカにとってはまさに邪魔であった。そして、ベルカはウォー・ドック隊を消しに動いた。それが今日の平和式典の襲撃だ。上空で展示飛行をしていたウォー・ドック隊が交戦した。幸い市民の死者は0だった。だが、ベルカの策略によって。増援部隊が遅れその結果、ウォー・ドック隊三番機アルヴィン・H・ダヴェポート大尉が戦死した。このままではウォー・ドック隊はベルカによって全滅するのは時間の問題だ。そのため本艦隊はウォー・ドック隊の救出作戦を決定した。ウォー・ドック隊の救出後はハーリング大統領の救出作戦をする。だが、ウォー・ドック隊の救出がベルカに知られたら、この艦隊は間違いなく、ベルカに消されるだろう。だから巻き込まれるのが嫌だったら、艦を降りてもいい。以上だ」
俺は艦内放送のスイッチを切った。CIC室は静まりかえった。そんな中、ホークスがこちらに近づいて俺の前に立つ。
「ガレ、本当なのか、今の話は」
ホークスはいつもCIC室と他の乗組員がいる時は艦長と呼ぶが、ガレと呼んできたので少し驚いた。
「ああ、本当だよホークス。この戦争はベルカがオーシアとユークトバニアに復讐するための戦争だ」
「そうか」
ホークスは悲しげにいった。
「ホークス、お前はどうする。艦を降りるのか?」
「ふっ、はははは俺が艦を降りるわけないだろう。それに、お前と俺はベルカ戦争を共に戦い抜いた戦友だろガレ」
ホークスは笑いながら言った。確かにそうだ。ホークスとはベルカ戦争を共に戦った戦友だし、誰よりも俺のことを分かってくれるのもホークスだった。
「そうだな、お前が艦を降りるわけないか。これからもよろしくな、ホークス!」
「ああ、ガレ!」
俺とホークスは握手し改めて大事な戦友だとわかった。そして、俺の周りの乗組員たちを見たら、スミスがこちらに近づいてきた。
「艦長、私も艦を降りません」
スミスはいつも通りに冷静に言ったがスミスの顔は少し笑顔だった。
「ガレ艦長、僕も艦を降りません」
ホワイトも近づいて来てこういった。それに続いて他の乗組員も「俺も降りません」そしてまた1人「俺も降りないぞ。これ以上ベルカの思い通りさせません」また1人また1人「艦を降りません」と言い、気付けばCIC室いる全員が艦を降りないと言っていた。
「こちら、機関室。艦長、聞こえていますか!」
突然スピーカーから声が聞こえてきた。この声はすぐに機関室にいる機関長だとわかった。
「機関室にいる全員が艦から降りないと言っている。これからもよろしくな、艦長!」
機関長が言い終わると、スピーカーから歓声が聞こえてくる。
「こちら、食堂。ここにいる奴らも艦から降りないと言っている」
「こちらは第4ブロック。こちらも艦から降りると言っている奴はいない」
機関室に続いて次々と各ブロックから報告してきて、その結果はこの艦から降りる乗組員は誰一人いなかった。俺は再び艦内放送用のマイクを手にとり、艦内放送のスイッチを入れた
「全乗組員へ、この艦から降りる奴は誰一人いなかった。これから先、困難な戦いがあるかもしれないのり、俺について来てくれて感謝している。先程言った通りにウォー・ドック隊の救出に失敗すればベルカは必ずこの艦隊を消しに来るだろう。だが、必ずウォー・ドック隊を救出し、ハーリング大統領を救いだし、この戦争の裏にいるベルカを叩きのめしてやろう!」
「「「「「おおーーーーー!」」」」」
CIC室、いや、艦全体が叫びに包まれた。俺は改めていいクルーたちを持ったと思った。
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第4話 真実を明かす時がきた