No.457244

外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第11話

BLACKさん

この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

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2012-07-22 06:13:13 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1090   閲覧ユーザー数:1066

 

第11話  暴れん坊と暴れ主

 

 

 

 

 

 

船の上で、アルヴィンはローエンに尋ねていた。

 

「この船ってラコルム海停行きだよな。イル・ファンに行くんじゃないの?」

「乗ってから聞く? ホント、アルヴィンってそういうのこだわらないね」

「俺が来たのは、エリーゼ姫のためなんだからな。どこ行くにも問題ねーんだよ」

「まあ……エリーのことをお姫様だなんて……」

「いやーん、うれしー。アルヴィン君は友達だねー♪」

「お前じゃねーよ」

 

ティポががっくりと頭を落とす。

 

「くすくす」

「ローエン、何故ア・ジュールに向かうのか理由(わけ)を聞かせてもらえるか?」

「はい。端的に言うと、今のガンダラ要塞を突破するのは不可能だと思われるからです。

以前、秋山さんが負傷され、脱出を試みた時、ゴーレムの起動を確認しました」

「すまん、俺が動かしたようなもんだ」

 

しかし秋山が三体破壊したことをローエン達は知らない。

 

「ゴーレム?」

 

ゴーレムを知らないミラ。

 

「ち、ち、地の精霊をつかった人間の兵器……なんですよ」

「…………?」

「アレと戦うには、師団規模の戦力と戦術が必要になります」

「けど海路も無理なのにア・ジュールへってことは……」

「ア・ジュール側の陸路を経由して、イル・ファンへ向かうということか?」

「ほう、そりゃまた。でもよ、ファイザバード沼野はどうすんのよ?」

「そうだよね」

「なんだそれは?」

「イル・ファンの北にある広大な沼地でね。ガンダラ要塞と対をなす、ラ・シュガル最大の自然要塞っていわれてるんだ」

「あそこ、霊勢がめちゃくちゃで通り抜けられないって話じゃなかったっけ」

「いえ、変節風が吹きましたので、現在は地霊小節(プラン)に入りました。つまり……霊勢が火場(イフリタ)から地場(ラノーム)になったこの時期であれば、ファイザバード沼野も落ち着いているはずです」

「全然わかりません……」

「安心しろ。私もだ」

「実は私もわからない」

「私も……」

 

女性陣はみな、分かっていなかった。

 

「えっと、つまり……」

「ま、とりあえず問題なさそうってことでいいんじゃねーの?」

「はい。いいってことです。時間もあまり残されていないようなので」

「何がー? なんでー」

「みなさんがカラハ・シャールを去った後も、ガンダラ要塞のゴーレムは起動したままとの情報を得ました。

これは、ラ・シュガルが開戦準備を始めた証と捉えてよいでしょう」

「開戦って、アジュールと!?」

「それは本当なの? ローエン」

「お嬢様も離れていらっしゃったので知らなかったのですね。本当です。クレイン様もそのことで頭を痛めておられました」

「そう……」

「戦争……ですか? 怖い……」

「戦争などに使われる前にクルスニクの槍を破壊しなくてはな」

「ああ」

 

そしてラコルム海停へと着く。

 

 

ラコルム海停に到着した一同。

 

「なあ、ここってニ・アケリアの近くじゃねーの?」

 

アルヴィンが突然そんなことを言いだした。

 

「そうなのか?」

「寄ってかなくていいの?」

「今、村に用はない。何か行きたい理由(わけ)でもあるのか?」

「いーや。みんなおたくを心配して、帰りを待ちわびてるのかと思ってさ」

「村を気にかけてくれるのはありがたいが、今は急ぎたい」

「では、ラコルム街道を北へ進むとシャン・ドゥという街があります。まずはそこを目指しましょう」

「待った。その街道ってラコルムの主ってやばい魔物が出没するんじゃなかったか?」

「おや、よくご存じで。ですがご安心を。ラコルムの主も霊勢の影響をうける魔物。地場(ラノーム)に入ったこの時期は、活動を弱めていて街道まで出てくることはないでしょう」

「だってさ。アルヴィン君、ビビる必要ないよー」

「別にビビってないって」

「けど用心しておくのも悪くないんじゃね?

誰の言葉か忘れたが、傭兵ってのは臆病なくらいがいいんだよ」

「それは俺のプライドが許さないな……」

「命なんて安いって言うよりはいい」

 

そして一同はラコルム街道を歩いて行く。

そこに魔物が現れる。

 

「ドロッセルの力を見るにはちょうどいいな」

「わたしの力も見せてあげるよ」

「それは頼もしいね」

「共鳴(リンク)とか援護は俺がしてやる。行くぜ!」

 

魔物達と戦闘に入る。

レイアもドロッセルもなかなかいい戦い方をしていた。

 

「そろそろするか!」

 

秋山はひとまずレイアと共鳴(リンク)する。

 

「それじゃあ行くぞ、レイア!」

「うん!」

 

秋山の大切断とレイアの瞬迅爪が合わさる。

 

「「瞬切双!!」」

 

秋山とレイアが魔物の横を通り過ぎると魔物は横一文字に斬れる。

秋山はすぐにドロッセルと共鳴(リンク)した。

 

「俺についてこれるか!」

「ついていきます!」

 

秋山のビックバンパンチとドロッセルの魔神拳が合わさる。

 

「「魔神黄金拳!!」」

 

巨大な金色の氣の拳が秋山達の前から放たれ、魔物達は拳に飛ばされた後、消滅した。

 

「いい腕してるじゃない」

「すごいです、ドロッセル!」

「お嬢様……ご立派になられて……」

 

アルヴィン、エリーゼ、ローエンがそれぞれ感想を言う。

そんなこんなで街道を進んでいく一同。

 

「アルヴィンの鳥だ」

 

鳥が一話、上から飛んできた。

 

「ほう。そうなのか?」

「うん。アルヴィン、前にもあの鳥で手紙のやり取りしてたよ」

 

ミラに近づくジュード。

 

「相手は女の人みたい」

 

さすがに普通に声を出すのは失礼だと思ったのか、耳打ちで教えた。

 

「悪いな。すぐ終わるからちょっと休んでてくれよ」

 

一同は休むことにした。

そんな中、ジュードとミラと秋山はある話をしていた。

 

「ねえ、ミラ。前にイバルに預けたものがあったでしょ。あれって、研究所からもってきたもの?」

「ああ。あれは……クルスニクの槍を動かすための黒匣(ジン)だ」

「あれが!?」

 

ジュードは大いに驚いた。

 

「そんなの、ミラがもってなくてよかったの?」

「むしろ、あの黒匣(ジン)をもったままクルスニクの槍に近づく方が危険だ」

「そっか。そうかもしれないね」

「何かの拍子にカギとして機能して、そのまま発動……って可能性はゼロとは言えないしな」

「ただし、困った問題もある」

「四大精霊のことだな」

「そうだ。四大を捕えらた捕縛魔法陣、あれを展開したのはあの黒匣(ジン)だろう。

あいつらを救うには、同じ強度をもつ解放魔方陣を展開させなくてはならない」

「それって、四大精霊を助けるには、あの黒匣(ジン)が必要ってこと?」

「クルスニクの槍を破壊するには、四大の力も必要になるかもしれん」

「複雑だな……」

「どのタイミングでイバルから『カギ』を受け取るかが、問題になるだろう」

 

ジュードは少し考えて、ミラに聞く。

 

「ねぇ、黒匣(ジン)は術を使うものなの? クルスニクの槍を動かすものじゃないの?」

「ふむ、そうだな……」

 

ミラが精霊術と黒匣(ジン)についての違いを簡単に説明した。

精霊術が人を選ぶのに対して、黒匣(ジン)は人を選ばないということを……。

 

「……でも、それってすごく便利じゃない?」

 

ミラは首を横に振った。

 

「便利だから恐ろしいのだ。誰でも四大を捕えるほどの術を操りその力を人殺しに利用できる。クルスニクの槍のように、な」

「それは使う人によると思うぞ。ミラ、お前の言ってることは力ある独裁者を生み出すことを推奨してるようにしか聞こえんぞ」

「そうか?」

「どんな道具でも言えることだが、道具は便利だが、使い手によって生かす殺すも出来る。

だが悪いのは道具か? 人か? その問いはだいたい皆悩むが、大半は人だという。

だがお前は道具というのと変わらん」

「…………」

 

そうしているうちにアルヴィンの連絡鳥は飛び去っていく。

 

「そろそろ行こう」

 

一同は再び進む。

そして……。

 

「ここにおられましたか―――っ!!」

 

やって来たのはイバルだった。

 

「ミラ様! お探ししていました!」

「イバル、どうして?」

「誰なの?」

「ミラの巫子だよ」

「ミラ様、ぜひ村へお戻りください。ミラ様の身に何かあれば俺は……」

「私はイル・ファンに向かわねばならん。今は戻る気はない」

「では俺がお供を!」

「必要ない。みながいる」

「しかしこんなやつらなど……」

「彼らは信頼できる者たちだ」

 

イバルは震える。

 

「な、なんか、怖い人だね」

 

レイアはジュードに耳打ちする。

 

「ジュードさんのお知り合いの方々は、あらゆる意味で個性的ですね」

「イバル、お前には大事な命を与えたはずだ。なぜここにいる!」

 

イバルはミラの目の前で土下座する。

 

「む、村の守りは忘れておりません。

お預かりしているものも誰も知らぬ場所に隠し、無事です!

し、しかし、この度はこのようなものが届いたのですっ!」

 

イバルは手紙を差出し、ミラが読む。

 

「『マクスウェルが危機。助けが必要、急がれたし』」

「突然、俺のもとにこれだけが届けられ、ようやくミラ様を見つけだしたのです」

「誰だろう、こんなことしたの」

 

秋山がアルヴィンを睨んだのは誰も気づいていない。

 

「さてな……。どちらにせよ、間違いだ。危機など訪れて…………」

 

そんな時、妙な音が聞こえてくる。

すると目の前にはでかい猪型の魔物が突進してきていた。

 

「逃げろ、イバル!」

 

そう言いながら、既に逃げていたミラ。

 

「は?」

 

イバルは何のことか分からず、後ろを向く。

後ろには巨大な魔物が突進しており、イバルは回避が間に合わず、踏みつぶされた。

 

「こいつがこの街道の主か?」

「そうです。しかし……」

「霊勢が変わって、出てこないんじゃなかったの? ローエン」

「私もそう思っておりましたが……」

「とにかくやるぞ!」

「ああ」

 

街道の主の魔物は突進や角を利用して岩を飛ばしたりして明らかにパワフルな攻撃をしてくる。

 

「パワフルならこっちもパワフルにいってやるぜ! ドロッセル!」

「わかったわ!」

 

秋山の昇竜拳とドロッセルの昇牙撃が合わさる。

 

「「双竜撃!!」」

 

秋山が昇竜拳のように拳を上げて、魔物を上げ、ドロッセルがジャンプしたと同時に剣のついたトンファーで叩き落とす。

 

「もう一発いくか?」

「ええ」

 

今度は秋山は刀をだし、絶刀とドロッセルの反射坤(はんしゃこん)が合わさる。

 

「「刀射!!」」

 

絶刀で現れる斬撃をドロッセルの反射坤の力で跳ね返し、それを魔物にぶつけ、魔物は斬られていく。

 

「ぐおおおおおおお!!」

 

魔物は倒れた。

 

「思ったよりやるじゃないか、ドロッセル。ここまでとは思わなかったぜ」

「私だって頑張ったんですよ」

「……そのようだな」

 

決め台詞を言う二人。

 

「地霊小節(プラン)に入って地場(ラノーム)になったら、おとなしくなるはずじゃなかったのか?」

 

アルヴィンがローエンに尋ねる。

 

「そのはずなんですが……まさか!」

「四大様がお姿を消したせいで、霊勢がほとんど変化しなくなっているんだっ!」

「それじゃ、ファイザバード沼野を越えて、イル・ファンに行くのは……!」

「………」

「ファイザバード沼野を超える? くくく……はーはっはっは! これは笑える。こうなってはワイバーンでもない限り、イル・ファンへは行けないなっ!

だが……巫子であるこの俺はミラ様のお役に立てるぞぉ!」

「何か方法があるの?」

「俺にだけ扱えるワイバーンが一頭いる。ミラ様と二人でならイル・ファンへ行けるぞ」

「イバル、他に方法はないのか」

「え……? ええと、それは……」

 

イバルは口ごもる。

 

「あるのだな。話せ」

「話さないと無理やりにでも話させてやろう」

「シャン・ドゥの魔物を操る部族がワイバーン数頭を管理していると聞きます!」

「行き先は決まったみたいだな」

「このままシャン・ドゥへ向かいましょう」

「イバル、助かった」

 

ミラが礼を言うも、イバルは反応しない。

 

「イバル……?」

「……行こっか」

「そうだね……」

「さっさと村に帰るんだな。ミラから託された使命のためにもな……」

 

一同はイバルを置いて、先に進む。

 

「……偽者めぇぇぇ!」

 

イバルは一人で憤る。

そこに一匹の鳥がやって来る。

 

「あの鳥は手紙を預けた……何者だ!」

 

鳥は答えず、飛び去る。

飛び去る中、手紙を落とす。

イバルはその手紙を拾う。

 

「『ミラが四大精霊を救わんとする時、必ずお前のもつ『カギ』が必要となる。

ジュードに負け続けるのもいいだろう。だが、もしも勝ちたいと思うなら……。

次の連絡を待て。その時こそ、お前が四大精霊を介抱させ、真の勝者となる』」

 

イバルはその手紙をくしゃくしゃにして捨てる。

そして元気を取り戻す。

 

「ははは! お前には負けん、偽者!」

 

イバルは気付いていなかった。

自分が誰かにただ利用されているだけだということを……。

その誰かも気づいていなかった。

秋山が最初っからこうなることを知っていたことに……。


 
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