No.457124

魔法少女イレギュラーなのは~15~ 貞明「旅館戦闘」

コレは、転生者たちが、リリカルなのはの世界で転生生活を頑張るお話。

2012-07-22 00:11:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1405   閲覧ユーザー数:1351

「……」

 

旅館の近くで、俺、フェイト、アルフはとある連中と向かい合っていた。

 

高町なのは。

フェレット、は……十中八九、ユーノ・スクライアだな。

後、見知らぬ青髪の少女。どっかのアニメで見たような格好だ……こいつも転生者?うわ、だとしたらなのは陣営て転生者2人いるのか!これはキツい!

 

前のあいつの姿は見えない……まだこの状況に気付いていない、何て事は無いはずだから……様子見中か。こりゃ油断出来ないな。

 

一気に時間を止めてケリをつけるか?

……いや、制限時間の問題がある、下手に使えば返り討ちの未来が簡単に見える。

 

この転生者らしき子の能力も解らないしな……困った。

 

「あらあら。子供は良い子でって、言わなかったかい?」

 

アルフが相手に向かって言う。

いや、あんな挑戦状みたいな事してもね……相手はあの高町なのはだし?

 

「ジュエルシードをどうするつもりだ!」

 

「あれがどんな代物か、知ってるんでしょ?」

 

フェレット、じゃなくてユーノ、青髪の子の順番に、口を開く。

 

「願いを叶えるもの、だよね」

 

俺が答えると、青髪の子も頷く。

 

「確かにそうだよ。だけど、願い、ってのはそう簡単に叶うものじゃない。ジュエルシードは危険なもの。悪いけど、あんた達には渡せない」

 

「はぁ……私言ったよね?おいたが過ぎると、ガブッといくよ……って」

 

青髪の子の言葉に、呆れた感じでアルフは呟くと、そのまま狼に姿を変えた。

 

「んなっ!狼……!?」

 

「やっぱり……なのは、美貴。あいつは、あの子の使い魔だ」

 

向こう側が話している間に、アルフがフェイトに言う。

 

「フェイトは先に行ってて。すぐに追いつくから」

 

「うん、無茶しないでね」

 

「解ってるって。後……ジョジョ。フェイトの事、頼んだよ」

 

「うん、任せとけ」

 

俺の返事に、アルフは少し笑うと、なのはに襲いかかった。

が、それはユーノがバリアを展開して防ぎ、そのままどこかに転移した。

 

「良い使い魔を持っている」

 

「ユーノ君は使い魔じゃないよ。私達の大切な友達」

 

喋りながら、自然と場の緊張感が高まっていく。

 

なのははレイジングハート、フェイトはバルディッシュ、青髪の子は剣型のデバイスを構えている。……あれ?まともに武器持ってないの俺だけ?

……い、良いさ!ザ・ワールド、なんて心強い相棒がいるし!ビー玉を使って射撃も出来るしね!

……何か言ってて虚しくなってきた。

 

「とりあえず、渡してくれる気は無いみたいだね……」

 

「……」

 

青髪の子とフェイトが姿勢を低くする。

 

次の瞬間、鋭い音をたてて、両者の獲物がぶつかり合った。

 

「なのはちゃん、後ろからよろしく!」

 

「解った!レイジングハート!」

 

『Axel shooter』

 

ぐ、前衛後衛がはっきりしてるな。こちとら両方接近戦タイプ何だけど。

 

よし、こんぐらいの魔力弾ならザ・ワールドで防げるな……!

 

『無駄ァ!』

 

「ッ!」

 

フェイトと切り結んでいた相手をザ・ワールドで殴り飛ばす。

 

(フェイト!君はあっちを頼む、俺じゃ相性が悪い!)

 

(うん、解った!)

 

敵を吹き飛ばして時間を作り、その間にポジション交代。……よしよし、これが理想だ。

 

「っ、後ろには行かせ……!」

 

「そぉい!」

 

ビー玉を投げつけ、青髪剣士の気を引き付ける。

 

「……悪いけど、君の相手は俺達だよ」

 

「っ、邪魔するな!」

 

っぐ、フェイトと同じスピードタイプか!

……だけど、これぐらいなら!

 

『無駄ァ!』

 

「あうっ!」

 

だいぶマシに動くようになった右腕で相手の刃を押さえ込み、左腕でカウンター!

 

「美貴ちゃん!?レイジングハート!」

 

「……やらせない!」

 

「っ!」

 

なのはを、フェイトが押さえてくれている。うん、やっぱりロングレンジ主体のなのはは近接主体のフェイトが苦手みたいだね。助かる。

 

「……っ、まだ!」

 

『Healing』

 

青髪剣士が、殴られた部分に手を当てながら立ち上がる。

魔力光が見えたけど……ヒーリング?回復能力!

 

うわー、時間かかりそうだなこれ。

 

「行くよ、ブルー!」

 

『Aerial base』

 

相手が地を蹴ったと同時。

 

宙に魔法陣が形成された。

 

それを蹴って、こっちに向かってくる。

 

「っ!」

 

何とかギリギリでザ・ワールドで防ぐ。

 

足場形成系の魔法か!

くそ、突進の軌道が一気に読めなくなった!

 

「くっ、この!」

 

相手が巧みに空中の足場を利用してくる為、防戦になる。

 

カウンターも器用に避けてくる……これはキツい!

 

「ガッ!?」

 

いってえ!

頭に思いっ切り叩き込まれた!峰じゃなきゃ完璧に斬られてた!

 

「これで……決める!」

 

よろけた俺に、突進してくる。

 

 

 

……使うしかないか。

いざという時に、取っておきたかったけど……仕方ない!

 

 

 

 

 

「ザ・ワールド!時よ止まれ!」

 

 

 

 

 

世界が、灰色に染まる。

 

そうさ、一撃位じゃすぐ回復される、なら……!

 

 

 

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』

 

 

 

知覚出来ない連撃を、叩き込むだけの事っ!

非殺傷設定だし、右腕も満足じゃないハンデ付きだ、容赦なく行かせてもらう……!

 

「ダメ押しだっ!」

 

『無駄ァ!!』

 

トドメの1発叩き込み。

 

 

 

 

 

「そして時は動き出す……」

 

 

 

 

 

制限時間、時止め解除。

 

 

 

「っ!かっ、ハッ!?」

 

青髪剣士は吹っ飛び、動かなくなった。

何があったかも、気付かないままに気絶したんだろう。

 

「美貴ちゃん!?」

 

「……そこ!バルディッシュ!」

 

『Thunder smasher!』

 

驚くなのはの隙を見て、フェイトが砲撃!うおー、こっちも容赦ない!

 

……うん、俺達の勝利だな。

 

あ、やば……やっぱり時止めはかなり力使うわ……思わずへたり込んでしまう。

 

 

 

「……ジュエルシードは手に入れた。帰ろう、アルフ、ジョジョ」

 

「流石、あたしのご主人様!じゃあね、おちびちゃん」

 

あれ、アルフいつの間に。

 

「よいせっ……とと」

 

俺も腰を上げる。

 

「待って!美貴ちゃんは大丈夫なの!?」

 

なのはに呼び止められた。

あの青髪の子か。

 

「大丈夫、俺も本調子じゃないし。その子なら、回復魔法をしばらく使えば元通りだろうさ」

 

ほっとした様子を見せた後、フェイトの方を見る。

 

「あなたの、名前は?」

 

「フェイト。フェイト・テスタロッサ。……出来るなら、私達の前にもう現れないで」

 

なのはにそう言い捨てると、彼女は歩き出した。俺達も後を追う。

 

 

 

2戦目、勝利。

……あいつ、結局出て来なかったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、俺達は部屋に戻った後。

 

まだ風呂に入っていない俺とフェイトが、誰もいないであろう真夜中を過ぎた頃に入る事に。

 

 

……なんだけど。

 

 

 

 

 

「午前0時半より後は、混浴のみのご利用となります。ご了承下さい」

 

 

 

 

 

この看板を前にして、俺達は固まっていた。

 

ちなみに今0時45分。15分早ければ……!

 

「……あー、フェイト、先に入りなよ。俺は後で大丈夫だし」

 

「え、でも……」

 

両者お互いに遠慮するという無限ループ。

何これ不毛。

 

ていうか何故こんな時間に混浴なんだよ!あれか、カップルがいちゃいちゃする為か!ふざけんなよ!

 

「……じ、じゃあ……」

 

お、何か名案思いついた?

って、何で顔赤いんですかフェイトさん?

 

 

 

 

 

「一緒に……入る?」

 

 

 

 

 

……へ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ……ありのまま今起こったことを話すぜ……。

 

「俺はフェイトと混浴に入っていた」

 

な……何を言っているかわからねーと思うが俺も何をされたのか分からなかった……催眠術だとか超スピードだとかじゃ断じてねぇ……最も恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。

 

 

 

……何でこうなった。

 

フェイトさん、こんな所で天然さを発揮しないで良いんですよ……。

 

まあでも、右腕はまだ完治じゃないので、背中を洗ってくれる、という提案はありがたかった。何つーか、役得?ふはは、泣き喚くが良いさ全国のモテない野郎共!

 

……うん、ちょっと慣れない状況でテンションがおかしかったな。自重しよう。

 

「ありがと。フェイトの背中も、洗ってあげようか?」

 

やられたらやり返す、これ基本ね。……あれ?なんか違う。

 

「え、あ、良いよ別に」

 

顔を赤くして首を振る。可愛い反応ありがとうございます。

 

フェイトが俺に背を向け、自分の身体を洗おうとする。

 

ふむ、こういうのは眼福だ……え?

 

 

 

 

 

ナンダアレハ?

 

 

 

 

 

目に付いたのはフェイトの背中にある、痛々しいもの。

 

 

多数の、傷。

 

 

……おい。俺は、何を忘れてた。

 

何を忘れて、フェイトと過ごしていたんだ?

 

フェイトと一緒に湯船に浸かる。

 

いつものテンションなら、何か話題でも探す沈黙だが……今は違う。

 

「ねえ、フェイト」

 

「何?」

 

「その背中の傷……どうしたんだい?」

 

一気に彼女の顔が強張った。

……そうだよな。その訳は……。

 

 

 

「私が、母さんの役に立てないから……」

 

 

 

そう。

 

プレセア・テスタロッサ。

 

フェイトの母親であるべきはずの彼女に、フェイトは虐待を受けている、という訳だ。

 

 

 

 

 

……くそ。

 

何が時止めだよ。

何がチートだよ。

 

 

 

俺は。

俺は、目の前で傷に1人耐え忍んでる美少女1人、救えない。

 

 

 

 

「ふえ!?ちょ、ちょっと、ジョジョ!?」

 

「……ごめん、ちょっとだけこうさせてくれ……ダメかな?」

 

「え、あ、う……良い、けど……」

 

顔を真っ赤にして本気で恥ずかしがっているフェイトには悪いけど、少し抱きしめさせてもらおう。

 

……これぐらいしか、出来ないんだから。


 
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