No.457051

英雄伝説~光と闇の軌跡~  87

soranoさん

第87話

2012-07-21 23:04:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:989   閲覧ユーザー数:939

その後、学園に戻るクローゼにルーアンを出発する時間を伝えてルーアンでヨシュア達には足りない道具や携帯食料の調達を頼み、ミントとツーヤの旅支度等を武器屋で仕入れていたエステルとプリネだったが、2人からある事を頼まれて驚いた。

 

~ルーアン・ジョアン武器商会~

 

「剣が欲しいって……ミント、あなた戦う気なの!?」

「うん。」

驚くエステルにミントは頷いた。

「2人とも、戦闘経験はあるのですか?」

プリネは凛とした表情で自分を見つめるツーヤに静かに問いかけた。

「いいえ。でも、あたしとミントちゃんはいつか現れる”パートナー”の足手まといにならないよう、みんなに内緒で丈夫な木の枝を使って剣や素手での戦闘の特訓をしていました。だから、あたし達も戦わせて下さい。」

「う~ん……たったそれだけの訓練で実戦をさせるのは正直反対です。」

「あたしもプリネに賛成よ。第一、2人は剣を持てるの?剣って一般的な武器だけど、結構重いわよ?」

ツーヤの説明を聞いても、プリネとエステルは今まで戦闘とは無縁で平和に暮らしてきた2人を戦わす事に納得できなかった。

「大丈夫だよ!ミント達、結構力持ちだから!ねえ、お姉さん。この剣をちょっとだけ借りてもいい?」

「ええ、いいわよ。」

「……じゃあ、あたしも借りさせていただきます。」

店主から許可を得ると店に置いてある武器の中から、ミントは剣を、ツーヤはリベールの東方にある国、カルバード共和国独特の武器――刀を手に持って、離れた場所で持った武器を軽々と何度も振った。

「嘘!?」

「さすがは竜といったところですか……幼い身体でも力は私達と代わりないようですね……」

ミント達が苦もなく武器を素振りしているのを見てエステルとプリネは驚いた。

「ね!ミント達も戦えるから、剣を買って。ママ。」

「……どうしよう、プリネ。」

期待を込めた目で見られ、困ったエステルはプリネに相談した。

 

「そうですね……持たせてあげてはどうですか?」

「でも、こんな小さい子を戦わすなんて……」

「……エステルさん。あなたの職業はなんですか?」

「へ……?プリネったら何、変な事を言ってるの??遊撃士に決まっているじゃない。」

プリネの問いかけにエステルは首を傾げて答えた。

「では聞きますが、遊撃士の仕事とは?」

「そんなの決まっているじゃない。地域の平和と民間人の保護のために働く事よ。荷物の護衛や落とし物の捜索、他には手配魔獣の退……あ。」

プリネに問いかけられた事を答えたエステルだったが、ある事に気付き答えるのを止めた。

「気付いたようですね……遊撃士という仕事をやって行く上ではどうしても戦闘は避けられません。だから護身用に持たせるべきだと思うんです。」

「う~……それぐらい、あたし達が守ればいいんじゃないかな?」

「エステルさん……この子達、言ってましたよね?”パートナー”は契約した人と生涯を共にする相手だと。庇護するだけでは真の”パートナー”とは言えないと思うんです。」

「う”。確かにそうね……」

プリネの言葉にエステルは唸り、少しの間考えた後ミントに近付いてミントの目線に合わせるようにしゃがんでミントをみつめて言った。

「ミント……絶対無茶はしないって約束してくれる?」

「うん!約束する!」

エステルの言葉にミントは元気よく頷いた。

「ツーヤ、あなたもよ。少し戦えるからって決して調子にのらないこと。実戦は命に関わるのですから。」

「はい、わかりました。」

ツーヤもプリネの言葉に頷いた。

 

「約束したからね?……じゃあ、好きなのを選んじゃっていいわよ。ただし、自分が使い易いと思った剣よ?」

「うん!……じゃあ、これ!」

ミントは並んでいる剣の中から一本一本手にとった後、一本の剣を店主に渡した。

「”グラディウス”ね。3000ミラよ。」

「はい、3000ミラ。」

「まいどあり。」

「………あたしはこれをお願いします。」

「これは”虎徹”ね。5000ミラと結構値が張るけど、大丈夫?」

ツーヤが渡した刀の銘を見て、店主はプリネに確認した。

「大丈夫です。……これでいいですか?」

「4000……5000……うん、大丈夫ね。まいどあり。」

店主から購入した武器を渡されたエステルとプリネはそれぞれ、自分のパートナーとなった少女に渡した。

「はい。わかってるとは思うけど、普通の人に向けたらダメだからね?」

「普通の人?先生を襲った人みたいな悪い人だったらどうするの?」

エステルの言葉にミントは首を傾げて尋ねた。

「そういう時は遠慮なく抜いて戦っていいわ!」

「わかった!ありがとう、ママ!」

「エステルさんが言ってるように、魔獣や賊には抜いてもいいですが、決して民に剣を抜いて向けたりしてはいけませんよ?」

「はい、ご主人様。」

 

その後エステル達はヨシュア達と合流し、ホテルに戻って一夜を明かした………

 


 
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