静かな執務室に筆を滑らせる音だけが聞こえる。
時折竹簡を置く音がするが、話し声は全くしない。
そこに。
「だぁぁ~~。終わったぜ~詠~・・・」
「な、なんですと~!まだねねは終わって無いのに。適当にやったんです!」
「お疲れ。ちょっと見せてもらうわよ。
・・・ここの「犯罪者への生活補助の為の労働」ってのがちょっと分かりずらいんだけど?」
「ああ、それは犯罪者って罪の重さに応じて牢屋入るだろ。けどずっと入っているわけじゃない。
いつかは普通の生活に戻らなくちゃならない。けどいきなり一文なしの状態で生活しろってのも
無理な話で、また盗みなどを働くかもしれないだろ?」
「けどそんな奴らの生活の補助が出来るほど国庫に余裕はないわよ。」
「だから自分で稼がせんだよ。牢屋の中で生産性の高い、木工や鉄工をやらしてな。
それを国は市場に売り出し、その一部を貰い、その他は出所後の生活補助の為に貯めておく。
牢屋に入ってる奴も、働けば働くほどいい暮らしが出来るようになる。
もしかすると、前より良い暮らしにになる可能性もあるからやる気だって上がるし、
そいつらが働いた分だけ国も儲かるって仕組み。文字だけじゃ伝わりにくいか。」
「成程、そうよね。考えてみればこんないいところにいい労働源があるじゃない。」
ちょっと、労働源って可哀想だな。
「まぁ他にも仕事は色々あるしな。見張りなんか付ければ治水工事や開墾などなど。あいつ等腐れせて おくよりいいだろう。」
前にマッポのおっさんから聞いた話を元に考えついたんだが、反応は上場だな。
「うん。これはいい案ね。今度文官集めて話し合ってみるわ。」
そうして話していると。
「お茶を煎れたんですけど、いかがですか?」
お茶と茶菓子を持った月が現れた。
「どうする、詠?ここらで休憩にしないか?そろそろねねが死んじまう。」
向かいの机で頭から煙を上げているねねがいた。
「そうね。僕も疲れたし、一回休憩しましょう。」
そう言うと月はそれぞれにお茶と茶菓子を置いていく。
「ありがとよ月。ずずっ、ふぅ~」
あ~お茶はやっぱし落ち着くな。
「あの~いかがですか?」
「ん、ああ美味しいぜ。月の煎れたお茶はいつも美味いからな。」
「へぅぅ//有難うございます。」
「はいっそこっ!いい雰囲気醸し出さない!」
いい雰囲気なのか?
「うう~なんでねねの竹簡の山は無くならないのですか~。」
「それは恋が事務仕事しないからよ。嫌ならやらせてみなさいよ。」
「そんなの不可能です。」
「まぁ、本当にあんたが使える奴で助かったわ。うちの軍はどうも事務仕事が出来ない人間
が多いからね。」
そう言ってお茶を啜る詠。何気に酷い事言うな。
「けど本当に凄いですよね。こんなに速く字を覚えられるなんて。」
「そんな事ねぇよ。結構俺の知ってる字と似ていたからな。細かい所は勉強
していかないとだし。」
古典の漢文は結構真面目にやってたのがこんな所で役立つとはな。
「今ここで仕事出来ているだけで十分よ。華雄や霞なら十分持たないわよ。」
あいつ等。
「・・・苦労してんだな。」
「分かってくれるのね・・・」
「二人とも、ちょっとそれはひどいんじゃ・・・」
そんなことは断じてない。
「ん、ああ!もうこんな時間です!月殿、そろそろ村長達との会合ですぞ!」
がばっっと音を立てて立ち上がったねねが言うと。
「あ、そうでしたね。じゃあ狼鬼さんに詠ちゃん。おかわりここにあるので。
じゃあ行ってきます。」
「いってら~。」 「いってらっしゃい月。ねねしっかりやりなさいよ。」
「詠殿。ねねの案件もやってくれです。」
「はぁ?あんたの目は節穴なの?どう見ても僕の竹簡の方が多いじゃない。」
「ぐぬぬ。なら狼鬼。」
「俺も詠の手伝いで忙しいんだ。」
「う~。二人とも覚えてやがれです~!!」
そう言って走っていくねね。
「全く。自分の仕事位自分でやりなさいよね。」
「なら、俺は手伝わなくてもいいのか?」
「うっ。・・・て、手伝わしてあげるんだから感謝しなさいよね///」
顔を真っ赤にして言う詠。
「顔真っ赤にしながら言っても説得力無いぞ。素直に手伝ってって言えばいいのによ。」
そう言いながら詠の頭を撫でる。
「うう~もう分かったわよ。手伝ってください!これでいいんでしょ!///」
はぁ~、全く。
「ほんと、素直じゃねぇな。」
そう言いつつ竹簡を手にとった。
あとがき
こんばんは荒紅です。
一日三話投稿という暴挙に出て、頭がパンクしそうです。
えっとヒロインなんですが基本董卓軍全員ですが、メインは詠です。
恋姫の中じゃ一番好きなんで。
それではご感想などコメしてもらえるとありがたいです。
んじゃ
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四回目の投稿です。
今回は文官との絡みです。