ifストーリー ビーター 間のお話し・その1
アスナSide
夜になると噴水広場ではみんなが集まって宴会をしている。前哨祝いということらしい。
私は隅っこの花壇に座ってパンを食べている。
正直、美味しくない。
「あんたも食事か?」
「うん…」
キリト君が来た。彼の手には私が食べているパンと同じものがある。
「座ってもいいか?」
「うん……」
なぜか断れずに了承してしまう。彼は私の近くに座った。
「これ、案外うまいんだよな…」
「……本気でそう思ってるの?」
彼の言葉に思わず耳を疑った。
「……あんた、リアルではお嬢様かなにかか?」
「(ビクッ)っ!?」
「図星だな…。一般家庭の奴ならそんな風には聞かないさ」
「………」
当たっていた。私はリアルでは確かに良家の娘だ。
彼は贅沢だなと言ったのだ。そうすると彼は小瓶を一つ、私との間に置いた。
「それ、付けてみな」
「?」
私はどうすればいいのか分からず、彼が手本を見せるように指を小瓶の蓋に触れた。
触れた指は光って、彼はそれをパンにつける仕草をした。
私はその通りにやってみた。
アスナ「……クリーム?」
パンにつけてみるとそれはクリームのようなものだった。
食べるのを躊躇ってしまったが、彼は普通に食べているので私も口にする事にした。
「(はむっ……はむっはむっ、もぐもぐっ、んく)………」
おいしかった。マズイと思っていたのに…。
「一個前の村で受けられるクエストの報酬だ。やってみたらどうだ?」
「(ふるふるっ)おいしいものを食べたくて、この街にきたんじゃない…」
キリト君が教えてくれたけど断った。確かにおいしいとは思ったけど、私は……。
「そうか…。俺は少しでもうまいものが食べたくて、クエストを受けるけどな…。
このゲーム、一年やそこらでクリアできるはずがないからな」
「っ!」
この人は一体なにを考えているんだ。
私達は一刻も早く、このゲームクリアしないといけないのに…!
「焦りで隙をみせるのが死に繋がるんだ。
俺は
それなら、ちゃんとこの世界で生きてやるさ……」
「!?」
彼は
「うっ、うぅ……(グス)、ぅぅぅ(ヒック)…」
「お、おい。どうした?」
私は私でいるために、必死に戦っていた。
この世界に馴染んだら、自分が自分じゃなくなりそうで……それが怖くて。
私はこの世界で生きる為に
だけど彼は…
私は自分が情けなくて泣いてしまった。彼は私がいきなり泣き出したので動揺している。
だけど、彼は私の体を優しく抱き締めてくれた。だから私はそれに甘える事にした。
「ご、ごめんなさい…//////」
「いや…。落ち着いたのならいい…」
しばらくの間、彼に
彼の大人な対応や落ち着いた様子から年上なんだと思う。余裕な感じも見受けられるし。
「本当に大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう///」
最初は冷たくて恐い人かと思ったけど優しい人だった。すると一人の人が声を掛けてきた。
「ちょっといいかい、お二人さん」
エギルさんだった。
「あんたか…。そういえば、会議の時は助かった。ありがとな」
「お互い様さ。あんたらが残してくれた情報のお陰で生きていられるようなものだからな。
俺のことはエギルでいいぞ」
「それじゃあ、俺もキリトでいい…」
キリト君とエギルさんは気が合ったようだ。彼の空気が柔らかいのがわかる。
「それでなにか用があったんじゃないのか?」
「いやなに。会議の時に目の前で他の奴が死んだのを見たって言っていただろ? それがな……」
どうやらエギルさんはキリト君を心配して、様子を見に来たらしい。
「それなら大丈夫だ…。俺自身は何を言われてもいいんだが、死んだ奴にもあの言い草だったからな……」
「そうか……。いや、それならいいさ。無茶はするなよ…」
「それはこの世界の奴ら全員に言えることだぞ」
彼の言葉にエギルさんは目を点にしてから笑みを浮かべ始めた。
「はっはっはっ、そりゃそうだな」
「そうだろ?」
「ぷっ…(くすくすっ)」
私達は顔を見合わせて笑いあった。そこでふと、キリト君の表情が変わった。
彼の見る先を見てみるとディアベルさんとキバオウがいた。
アスナSide Out
To be continued……
後書きです。
アスナがこの段階でキリトに甘えました。
この作品のキリトならこうするかなと思いまして。
では、さらに続きます。
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内容的には会議後にキリトがアスナと話すところです。
ここは本格的に内容が変わります。
ではどうぞ・・・。