No.456291

ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者~ 第36話

あっくんさん

神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。

2012-07-20 18:26:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4850   閲覧ユーザー数:4669

第36話~理不尽な引越し~

 

 

目の前には見慣れない天井があった。…待て。焦らないでまずは状況確認だ。

 上半身だけ起こすと、

「な、何だ…! へ、部屋が大きくなっているぞ!」

 明らかに俺の部屋の数十倍広くなっていた。それにベットも大きかった。

 この部屋には俺のと思われる本棚や洋服。パソコンにモデルガンがあった。

「………これは夢だ。夢に違いない」

 頬を思いっきり引っ張ると

「痛ててててて!」

 どうやら夢ではないらしい。だとしたら、ここは誰の家だ…?

「…うぅん…」

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …あれ? 今、俺の隣で女の声がしたんだけど!?

 恐る恐る右隣を見てみると…

「!?!?!?」

 ゼノヴィアが隣で寝ていた。な、ななななな何故に!?

「…ん? 起きたか…」

「起きたか…じゃないだろ! 何でベットにいるんだ!? いやそれよりも――ここは

 ドコだよ!」

 

「順を追って説明しよう。まずお前は十日間眠っていたから起きたときに驚かそうと

 思って添い寝していた。それとここはイッセーの家だ」

 マジかよ…前来た時は普通の一軒家だった。でも今はどこぞの豪邸になっている

 何があった…俺が寝ている間に何があった!

 いや、それよりも寒い。これは長時間HSSになっていたから、体温調整が

 できていないからだろう。その対策として黒いコートと黒い手袋を買っていたんだ

「ゼ、ゼノヴィア。クローゼットに黒いコートと手袋があるから取ってくれないか?」

「寒いのか? なら、私が体で温めてやろう」

 そう言うと、ゼノヴィアは服を脱ぎ出した。

「なぁ!? ふ、服は脱がんでいい! それは遭難したときにやる最終手段だ!」

「遠慮するな。寒いのだろう?」

 こいつはこいつなりに心配しているのだろう。だからといって服は脱がすわけには

 いかない!

 こいつは部長や朱乃さんよりは劣るが、スタイルがいい。ここでヒスって

 ゼノヴィアの言う事を聞いたら、今夜には婚姻届を出す破目になるかもしれん。

 それだけは嫌だ! 俺はまだ身を固めたくない。

 

 ガチャ…

「……先輩。起きてますか? 入りますよ」

 部屋に入ってきた小猫は俺達を見るなり、

「……ゼノヴィア先輩の服を脱がそうとして、何をしているんですか?」

 拳を握っている小猫に、もう無駄と知りつつも

「い、いや…俺はその…こいつが勝手に服を脱ぎ出そうとするから俺は止めていた

 だけだ」

 小猫に言い訳をしていた。昔、父さんが言っていたな。

 ―――言い訳は出来るうちにやっておけ――――

 俺は父さんの名言を思い出しつつ、浮気がばれたときってこんな感じなのかなと

 思っていた。

「この…どスケベ先輩!」

 

 

 

 

 

「さぁ部長。何で俺がここにいるのか説明してもらおうか?」

 小猫に殴られた頬をさすりながら、部長に訊ねた。

「そうね。あなたがいつまでたっても起きないから、こっちに来てもらったの。

 そこに住んでいる小猫とゼノヴィアと一緒にね。大丈夫よ、あなたの荷物は

 すべてこっちに移動させたから」

「それは…俺の部屋を勝手に入ったんだよな?」

「ええ、そうよ。荷物を取る為だもの」

 勝手に入りやがって…こいつにはプライバシーって奴が無いのか?

「まぁいいや。終わった事を気にしても仕方ない」

 俺は嘆息しながら席に着いた。

「一階は客間、リビング、キッチン、和室。二階は…なるほど部長のわがまま全開だな

 三階は一誠両親の部屋に書斎、物置。四階が朱乃さんにゼノヴィア、小猫や俺の部屋

 になるのか。五階と六階は空き部屋。おお! 地下があるのか」

 一誠が言うには昨日までは普通の一軒家だったらしく、一晩で豪邸になったらしい

 …これは絶対にグレモリー家が関っているだろ。てか、一晩で豪邸ってすごいな。

 

「って、何で俺の部屋が小猫とゼノヴィアの部屋に挟まれているんだよ。何か怖い

 ぞ」

「……先輩は、嫌なんですか?」

 瞳を潤ませながら言う小猫。そ、そんな目でみるな。保護欲がかきたてられる

「ふむ、これで毎晩夜這いができるな」

「よし、お前が来たら作動する罠でも作るか」

 こいつ…ドコでそんな言葉を覚えたんだ? 覚えさせた奴にきつく注意しよう。

 

 

 

 

 

 

「冥界に帰る!?」

 一誠に問いに部長は頷いた。

 俺達は一誠の部屋に集まっている。皆私服だ。

 因みに俺は黒いコートに黒い手袋。全身黒尽くめだ

「毎年の事よ―――って、イッセー。何で泣きそうな顔になっているのよ」

「大方、一誠は部長がいなくて寂しいんだよ。部長は一誠に依存していると

 聞いているが、一誠も部長…に依存しているんだよ」

 俺の言葉に一誠が頷いた。

「本当! 私もイッセーがいない生活が考えられないわ!」

 部長が一誠に抱きついた。あぁ…桃色空間ができているなぁ

「それで…部長の下僕である俺達も冥界に行くのか」

「そうよ。話が早くて助かるわ」

「そうか。アザゼルは冥界に行くんだよな? 悪魔のルートで」

 俺は後ろにいたアザゼルに話しかけた。

「ど、ドコから入ってきたのよ!?」

「普通に玄関からだろ。部長、頭がおかしくなったのか?」

 俺が部長の頭を指差した。

「私を…また馬鹿にしたわね…?」

 黒いオーラを纏い出した部長。

「はぁ? そんな事知るかよ。じゃあ、俺は自分の部屋に戻る」

 と皆に背を向けたとき――

 ヒュンッッ!

 ボンッ!

 目の前の壁が消滅していた。ということは―――

「今日という今日は…許さないわよ! 覚悟しなさい!」

 黒と紅のオーラが交じり合った消滅の力を右手に作っていた。

「これは…さすがにやばい! 逃げろ!」

 俺はエレベーターで地下一階に下りて、完全に気配を消した。

 つもりだったが…

「見つけたわよ! ふふふふ、覚悟しなさい」

 部長に見つかった! 何故だ!

「今日はどんな風にお仕置きしようかしら?」

 あわわわわ…病んでる…この人病んでるぞ!

 

 ここは…逃げるしかない!

 ダッ!!

 ガシィッ!!

 俺が全速力で駆け出したのにも関らず、部長は俺の腕を捕まえた。

「言ったよね? 今日はという今日は逃がさないって…」

「部長…その手、離してくれるかな…? 袖が消滅の力で無くなっているんですけど?」

「そんな事は知らないわ。クリスが逃げるから悪いのでしょう?」

 俺を掴んでいない方の手に魔力を集め出した。

「それはさすがにやばいじゃないかな…。これをぶつけたら俺、消滅しちゃうよ?」

 冷や汗をたらしながら、部長の説得を試みるが…

「大丈夫よ。痛いのは最初だけだから♪」

 微笑みながら部長が言った。こ、怖ッ! 痛いのは最初だけって絶対噓だろ!?

「明日、会いましょう。――冥界で」

「えっ? それってどういう――」

 俺が言い終わる前に部長の魔力に消された。

 

 

 

 

 

 一誠Side

 

 部長はクリスを追いかけていった。うん。とても怖かったよ!

 少ししてから、部長がクリスを引きずってきた。クリスは気絶していた。

「ねぇ皆。これからクリスをお仕置き(という名の着せ替え)をするのだけど

 一緒にやらない?」

 実は、女性陣はこの中で一番女装が似合うクリスを着せ替えしているのだ。

 しかも、クリスは気づいていない。部長に捕らえられた時は、半日は意識を

 取り戻さないんだ。

 ていうか…その着せ替えをしている女性陣の目がちょっとヤバイ…。

 だって、変質者そのものなんだよ! まぁアーシアと小猫ちゃんはやっていない

 けどね。

 

 今回ばかりは不幸だと思う。頑張れよ、クリス。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
6
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択