第32話~もう一人の僧侶~
業参観の翌日。俺達は、旧校舎の開かずの部屋に来ていた。
部長の話によれば、ここにもう一人の『僧侶(ビショップ)』がいるらしい。
しかもその能力が危険視され、そのときの部長の実力では扱いきれなかった為
上から封印されたらしい。
でも、最近のライザー戦やコカビエル戦が高評価だったから今なら、この僧侶
を扱えるだろうとの事で、解禁になったとの事だ。
呪術的なあれはいいんだが、『KEEPOUT!!』って…ここで事件があったのかよ…
「でもこの子…引き篭もりなのよねぇ…」
「部長の苦労してんだな…」
初めて部長に同情した。
「あなたほど、手はかからないわよ?」
俺ってそんなに部長に迷惑かけているのか…?
「中にいる子は実は眷属の中で一番稼いでいるのよ」
「……ネットでもしているのか? いや、そうとしか考えられない」
「その通りですわクリスくん。中の子は特殊な契約を人間と執り行っているのです。
なかには私達と会いたくない人たちもいるんですよ」
それで、ネットを使っているのか。
「扉を開けるわよ」
ガラガラガラ……
「いやぁぁぁぁぁあああッッ!!」
とんでもないほどの声量の叫び声が聞こえた。
「ごきげんよう。元気そうでなによりだわ」
「な、な、何事ですかぁぁぁぁ!?!?」
俺も教室の中に入ると、
「いやぁぁぁぁ!! だ、だ、誰ですかぁぁぁぁ!!」
「………」
こいつ…対人恐怖症か…?
「部長。こいつがもう一人の『僧侶(ビショップ)』か?」
俺の問いに部長は答えた。
「そうよ。この子がもう一人の『僧侶』よ。それより、何でクリスは私に敬語を
使わないのかしら?」
部長が黒いオーラを漂わせて俺に迫った。
「は? 敬語使うの疲れたんだ。敬語なんて本当に偉い人にしか使わない」
「ほぅ…私はクリスにとって偉くないと?」
部長は手に消滅の力を纏わせた。
「まぁ、部長は置いといて…」
俺はもう一人の『僧侶』に向き合って、俺はカナの武装になった。
「ひぃ!?」
「部長。この子は…男の子ですよね?」
私の言葉に部長は頷いた。
「そうよ。この子は、女装趣味を持つ男よ。クリスと同じね」
「ええええええええええええええええっっ!!!」
一誠は驚愕の声を上げた。
「ど、どうしてわかったんだ?」
「そうね…勘、かしら☆」
いたずらっぽく一誠にウインクした。
「そ、そうかよ…////」
一誠は顔を赤くしながら、『僧侶』に近づいた。
「こら! 私のイッセーを誘惑しないで!」
部長は一誠を守る為なのか、一誠に抱きついた。
「ふふっ。それで」
私は再び『僧侶』に向き合った。
「ひい!?」
よく見てみると、やっぱり女の子に見えるわね。これが噂の男の娘かな?
私は微笑みながら近づいた。
「ほらほら。そんなに怯えないで? 大丈夫よ。そこにいる怖い男は近づけさせないわ。
だから、私には怯えないで」
私はゆっくりと近づく。
「ううぅぅうう……」
「じれったいぞ! ここは俺が―――」
「一誠は黙っていて。邪魔するのなら、蜂の巣にするわよ?」
一誠にだけ殺気を向けながら言った。
「……わかったよ」
一誠は退いていった。
私は近づいてその子がいる場所までたどり着いた。
「私の名前は神矢クリス。リアスさんの『兵士(ポーン)』をやっているの。よろしくね」
「すごいじゃない。この子を興奮させずに触れられるなんて」
部長が褒めてくる。な、なんかむず痒いわ。
「興奮させると…いったいどうなるの?」
私の問いに部長は答えた。
「その子は、興奮すると、視界に映したすべての時間を一定時間停止させる
ことができる、神器(セイグリット・ギア)を持っているの」
「ちょっと…能力がチートだわ」
「何言っているの? あなたの神器だって、充分チートなのよ?」
そうでした。
「この子がギャスパー・ヴラディ。私の眷属『僧侶(ビショップ)』。一応、駒王学園の
一年生なの。そして―――――人間と吸血鬼のハーフよ」
Tweet |
|
|
6
|
1
|
追加するフォルダを選択
神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。