第30話~一足早いプール開き~
さて、あなたたち。今日は私達限定のプール開きよ!」
部長が宣言すると、
「よっしゃぁぁぁぁぁぁああああッッ!!!」
バチィィンッッ!!
「ぶほぁッ!?」
「うるさい! ラノベに集中できんだろうが!」
一誠が雄叫びをあげた時に、一誠の背中に魔力を込めた張り手をした。
「クリス…私のイッセーを叩くなんていい度胸しているわね?」
部長が手に黒いオーラを纏わせながらドスのきいた声で言ってきた。
バチィィンッッ!!
「あっがぁぁぁぁあああッッッ!!!」
せ…背中が燃えるように熱い…! しかも、よく見ると叩かれた場所が消滅している。
「くそ野郎…てめぇ、消滅の力を使いやがったな!」
「おい…クリス。口調が…素に戻っているぞ…」
「私をくそ野郎呼ばわりするなんて、もう一発くらいたいらしいわね?」
部長が魔力を込めた手を振りかぶった瞬間に、俺は隣で悶絶している一誠と
入れ替わった。俺の…勝ちだ!
バチィィンッッ!!
「いってぇぇぇぇぇえええッッ!!!」
部長は一誠の背中をおもいっきり叩いた。
「だ、大丈夫? ごめんね、イッセー」
部長は気絶している一誠に膝枕をしていた。
「さて。漫才はここまでにして、さっさと掃除をしようぜ」
「「「漫才を始めたのはクリスだよ!」」」
という皆のつっこみを無視して俺は掃除用具を持って掃除を開始した。
「イッセーの仇でクリスに体罰フルコースをやってやるわ!」
部長の決意の声が聞こえて、少し悪寒が感じたのは気のせいにしたい。
◇
「ほら、イッセー。私の水着はどうかしら? クリスに選んでもらったの」
ブッ!
一誠は勢いよく鼻血を噴き出した気がする。うわぁ…きたねぇ。
「クリス! いいぞ! 部長のおっぱいがすごく強調されている!」
「そうかそうか。それはよかったなぁ。次からは一誠が行けよ。ヒスった俺に
部長のはじめてを奪われたくないだろ?」
「わかった。HSSは子孫を作るためにあるものだからな…」
一誠がうなずいたような気がした。俺はいまアイマスクをつけている。
ヒスらないためにな。
「おぉ。アーシアに小猫ちゃん! すっげぇ似合っている!スクール水着!」
す、スクール水着だとぉ!? って別にエロくないからセーフ♪
「あ、ありがとう…ございますぅ…」
「…きもいです。ケダモノ先輩」
あっ 今一誠の心に棘が刺さった気がした。相変わらず鋭い言葉だな。
「クリス」
部長が俺の肩に手を置いた。
「ちょっとお願いがあるんだけど」
「……拒否権は?」
「ないわ」
そうですよね…
◇
「まさか、小猫が泳げないなんてな」
「言わないでください。昨日の事を皆に言いますよ」
「ごめんなさい」
話ながら、俺達はプールに入っていく。
「まずは、バタ足からだな。ほら、手を握れよ」
「……」
小猫は少し赤くなりながらも、俺の両手を掴み、バタ足を始めた。
バシャバシャバシャ……
すごい集中力だな。見習いたいぐらいだ
「ぷはっ。……クリス先輩。つき合わせてすみません」
「別にいいんだ。俺も楽しいからな…おっと、端に着いたぞ」
「…先輩って教えるのが上手ですね。誰かに教えていたんですか?」
「いや。俺の周りは皆泳げていたから、教えるのは小猫が初めてだ」
「……そうですか」
少し嬉しそう声音だ。何が嬉しいんだ?
「…クリス先輩。この水着、似合ってますか?」
恥ずかしそうに小猫が上目遣いで聞いてきた。
「あ、ああ。うん、似合っているよ。可愛いぞ」
「…ありがとうございます」
小猫は嬉しそうに言った。
ドクンッ!
ちっ…ヒステリア性の血流が危険域を掠めた。小猫でなるなんて自殺もんだ。
「ちょ…ちょっと、トイレに行ってくる」
「あ…」
俺は急いでトイレに向かった。
◇
トイレに行くのは噓で…本当は用具室で血流を抑えていた。
「小猫でHSSになったら、拳銃自殺もんだ」
血流は……よし、だいぶ治まった。これでいいだろう。
と安心したとき、
「おや? 神矢ではないか。どうしたのかな?」
ゼノヴィアがやってきたようだ。
「いや…なんでもない」
「? そうか。それよりどうだ? 私の水着は。初めてだから少々時間がかかったんだが」
よく見ると、ゼノヴィアはビキニ水着だった。
「に、似合っているぞ。うん、似合っている」
俺は目を逸らしながら感想をいった。
「む…そうか。ありがとう」
ゼノヴィアはほんのりと頬を朱に染めた。すると急にかしこまった表情になった。
「神矢。折り入って話がある」
「俺のことは、名前でいいぞ。仲間だし、一緒に住んでいるしな」
「そうか。クリス、私と子供を作らないか?」
「……えっ!?」
今、耳を疑う事が聞こえたんだが……気のせいだよな?
「私は子供の頃から、これといった夢や目標というものが、すべて神や信仰が絡んだ
ものだったんだ。悪魔となった今、夢や目標がなくなったといえる」
「それで…?」
「神に仕えていた時は女の喜びを捨てていたんだよ。だから、どうしていいのか
わからなかった。そこでリアス部長に訊いてみたら、悪魔は欲を持ち
欲を与え、欲を望む者。好きに生きてみなさいと言ったんだ」
「………」
俺は目を逸らさず、ゼノヴィアを見ていた。
「だから私は封印していたものを解き放ち、それを堪能しようと思う。私の目標……
それは、子供を産むことだ!!」
宣言したように言うと、更に接近してきた。
「ま、待て! それにな、何で俺なんだ!?」
すると、ゼノヴィアは頬を朱に染めながら
「……お前しか思い浮かばなかったのだ。子作りの相手は」
「そ、それに…部長から聞いたと思うが、俺は特異体質でこういうことはできないんだ」
「HSS(ヒステリア・サヴァン・シンドローム)の事だろう? 私は別に構わない」
くそ…切り札が潰された。
「お願いだ! クリス! 抱いてくれ! お前以外で頼める奴はいないんだ!」
ゼノヴィアは俺に抱きついてきて、上目遣いで俺を見てきた。
ヒステリア性の血流が一気に全身に回って、俺はなった。
「ゼノヴィア。こういうことは段階を踏んでいかないと駄目だと思うな」
「ク、クリス? いったいどうしたんだ?」
ゼノヴィアはさっきとは雰囲気が違う俺に戸惑っているようだ。
「さっ。早く皆がいる場所に戻ろうか」
「あ、ああ…」
俺はゼノヴィアと一緒に用具室を出た。
◇
用具室を出たとき、小猫と遭遇した。
「……先輩。ゼノヴィア先輩と用具室で何をしていたんですか?」
不機嫌そうな声で訊ねてきた。
「そ、それは……」
やばい…HSSが解けた状態では、言い訳ができない。
「私がクリスに子作りを迫った」
「なっ…!」
何言ってんの!? この人!?
「………」
小猫が軽蔑した目で俺を睨んでいる。そんな目で見ないでくれ…
「でも、断られたよ。こういうのは段階を踏んでいかないと駄目だよと言われて」
「………」
「だがHSSになっていたって事は、私に性的興奮していた事だな」
嬉しそうな顔で言うゼノヴィア。やっぱり…気づかれていたか
「…クリス先輩。変態ですね。連行です」
ぐいッ!
「ちょっと待って。いだだ! 耳を引っ張らないでくれ!」
連行される俺をゼノヴィアが潤んだ瞳で言ってくる
「隙があれば……必ず子作りをしよう! 絶対だぞ!」
「この……薄情者ぉぉぉぉ!!」
その後、俺は小猫に質問攻めをされていた。いやもう…疲れた。
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神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。