霞
「コレが最後の決戦・・・やな」
今は城門前、最後の決戦を控え張遼対は列を整え門が開くのを待っている。
桂枝
「現存する戦力は3万程度といったところですね。正直よくここまでもったものですよ」
霞
「どっかの誰かさん無茶せんかったらもうちょい追ったんやけどなぁ・・・まぁ今更や」
桂枝
「ないものねだりをする時間は終わってますからね。呂布さん。準備は大丈夫ですか?」
呂布
「・・・全部倒す」
頼もしいことだ。この状況でも彼女がいれば勝てる・・・そんな気さえしてくる。まぁ負ける気で戦いはしないけど。
霞
「その意気や。詠にねね。城の守りは頼んだで」
賈駆
「ええ、こっちは任せておいて」
陳宮
「任せるのです!恋殿の後ろはねねがお守りするのです!」
賈駆さん、陳宮さん共々その目には決意の光が見える。これなら奮戦してくれるだろう。後顧の憂いはない。
兵士
「伝令!連合軍は四方を固めておりいつでも迎撃できる体勢になっております。」
霞
「まぁわかっとるやろうとは思っとったけどな。さて桂枝 、覚悟はええか?」
桂枝
「覚悟?ああ。真名を預けた時にもう済んでますよ。生きる覚悟も、死ぬ覚悟も、ね。」
霞
「頼もしいやっちゃでホンマ・・・じゃあ詠。あとは任せるで」
賈駆
「頼んだわよ、霞・・・城門!開けー!」
ゆっくりと城門が開いていく。さて・・・
霞
「いくで桂枝 !張遼隊突撃やっ!」
桂枝
「了解!張遼隊!とつげきぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
張遼隊
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」
ここが正念場だ・・・!
張遼隊を尖兵とし洛陽での決戦は行われた。
呂布、華雄、張遼、それぞれの部隊を始めとして洛陽城内にいる陳宮、賈駆もそれぞれよく奮闘したといえよう。
しかし董卓軍3万に対して諸侯を集めた連合軍は汜水関、虎牢関ともども大した被害を与えていないことも影響しその数はゆうに5万を超える。
さらに諸侯率いる武将、軍師はともに期待の英傑と讃えられる者たち。
兵の質、数ともども負けているその差が徐々に戦場に現れ始める。
気がつけば張遼隊は完全に孤立していた・・・
桂枝
「さぁて・・・これはいよいよヤバイところですねぇ、っと!」
目の前にいる桃色の鎧をまとった公孫賛兵を殺しながら霞さんの話しかける。
霞
「くぅ・・・やっぱこの戦力じゃ厳しいなっ!他の奴らも見当たらへんし・・・」
桂枝
「ええ・・・周りみんな敵ばかり。これはきっついですねぇ・・・」
そう、今ここにいるのは張遼隊だけなのだ。
公孫賛
「まてぇ!張遼!その首もらったー!」
少し離れた所で誰かがなにか言っている。白馬にのっている・・・誰だかいたような気がするがまぁ相手をする理由もない。
桂枝
「待つ理由も無いですね・・・逃げましょう」
霞
「当然やな。行くで桂枝!」
公孫賛
「な・・・この私が追いつかないだと・・?」
白馬に乗っている人が何か驚いているようだがそんなのは関係ない。私たちは戦線の離脱を図ろうとした。
だいぶ離れた所で私たちは小休止を入れた。さすがに走りっぱなしというのはきつい
霞
「しっかしこの戦・・・完全にこっちの負けやな。賈駆っち達は大丈夫やろうか?」
桂枝
「大丈夫でしょうよ。なんだかんだで抜け目がない人ですから。それより・・・どうやらこちらの心配をしたほうがよさそうですね。」
随分離れたと思っていたが追いかけてくる部隊の影。。一人は黒髪でもう一人は青髪の女性だ。
・・・どちらも威圧感が半端ではない。一流どころだろう。
???
「お前達が張遼と徐栄か!」
どうやら完全に自分たちに的を絞って探していたようだ。闘気がみなぎっている。
霞
「このクソ忙しい時に・・・!悪いが闘いの申し込みなら他をあたってくれるか。ウチらは忙しいんや」
???
「ふん。そんなものは私には関係ない。私は貴様が応じるまで追いかけるのみだ!」
霞
「へぇ・・・」
その言葉を聞いた霞さんの目が一瞬光った。あの目は自分と戦うときによく見る目。武人の血が騒いだ時の目
霞
「ええ目や・・・何を言っても聞かなそうなそんな目をしとる。華雄なんかとおんなじ目や」
桂枝
「そして霞さんもね・・・その目じゃ何を言っても聞かないんでしょう?」
霞
「わかっとるやないか。流石はウチの副将や。どうせ負けるこの戦。最後くらい趣味に走ってもええやろ?」
桂枝
「ええ、構いませんとも。さて・・・じゃあこっちの方が私のお相手ですか?」
???
「そういうことになるな」
黒髪の女性が剣を、青髪の女性が弓をそれぞれ構え始める。こちらも思い思いに武器を構え始めた。
霞
「よっしゃ。お互い同意も得たことやし・・・名ぁ名乗りぃ!」
夏侯惇
「我が名は夏侯惇!曹操様の剣なり!」
桂枝
「夏侯惇・・・?じゃあ貴方は!?」
夏侯淵
「私は夏侯淵だ。噂は聞いているぞ、徐栄。」
そういいながらも間合いを測る夏侯淵、その目はこちらをじっと観察している。
・・・・ちぃ。私と同じやりかたで戦う人か。コレは長引きそうだ・・・
霞
「ウチは張遼!ほな・・・行くでーっ!でぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!」
夏侯惇
「こぉい!張遼!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
あちらでは戦いが始まったようだ。凄まじい剣戟音が鳴り響いている。
夏侯淵
「どうした?そっちはこないのか?」
桂枝
「そういえば名乗りはしてませんでしたね・・・私は徐栄。行きませんよ。」
読み合いで戦う者同士の闘いは動いた時には既に決着している。お互いの予定調和にどこまで持っていくか。それだけの勝負だ。そして・・・
桂枝
(弓・・・かこちらには剣しかない。せめて相手が先に仕掛けてきてくれれば)
流石に剣で初見の弓を完全に読み切るのは至難の業だ。弓の速さ、飛距離。それだけわかれば十分有利を取れるのだが・・・
相手もそれがわかっているのだろう。間合いを一定に保ち仕掛けてこない。
夏侯淵
「ふふ・・・私はこのまま膠着でもいいんだが・・・そっちはいいのか?」
桂枝
「何?」
???
「秋蘭様!ご無事でしたか!?」
言うが早いか更にもう一つの部隊がこちらにかけよってきた。霞さんとの間に入られることにより分断される形となる。
楽進
「我が名は楽進。徐栄、もう逃げられはしないぞ。秋蘭様、華琳さまがあちらで待機しております。」
彼女がそう名乗りを上げる。だがそんなことは問題ではない
あちらにある「曹」の旗・・・アレが大将のものなのだろう。わざわざ大将がこちらに来てくれているという情報のほうがずっと問題だ。
夏侯淵
「ご苦労だったな、凪。ああ。心配せんでも姉者と張遼の戦いには干渉しないさ・・・さて、どうする徐栄?降伏するなら案内するが?」
夏侯淵は部隊が現れたことあるのだろう。すこし余裕を見せている。
桂枝
「・・・確かに。あなた方も誇りのある武人と見れる。あの一騎打ち中は手出しをしないと考えてもよさそうです」
夏侯淵
「当然だ。それをすれば姉者の誇りをも汚すことになる」
ならば私が動くことはない・・・と霞さんに真名を預ける前まではそう思っていただろう。
桂枝
「私はね・・・身内を大切にする人なんですよ。」
だけど霞さんはすでに私の身内。ならば確実にその命を守るために動かな位という選択肢はすでに自分の思考には存在しない。
夏侯淵
「何?」
ゆっくりと針を一本取り出し深呼吸。目的に集中する。狙いはあの旗・・・ひいてはそこにいるであろう人物。
桂枝
「そしてね・・・他人は信用しないんです。裏切られるかもしれないですからね。戦いが終わったあとあなた方が霞さんをどうするつもりかなんてわからないし聞いても信用できません。だから・・・」
針を自分に刺し氣全身の脚に集中。そして・・・
桂枝
「霞さんの安全のため。そちらの大将。人質に取らせて頂きます。」
一気に「曹」の旗めがけてかけ出した。
夏候淵
「・・・早いな。下手な馬なんかよりもずっと。」
楽進
「・・・よろしいのですか?」
夏侯淵
「ああ、大丈夫だ。しかしここまでやつの策が的中するとは・・・おそらくあの予想はアタリだろうさ。さて、姉者の勝負の邪魔を排除するとしようか」
楽進
「はっ・・・それにしてもあの方。気を使えるようでした。」
夏侯淵
「そうなのか?私にはわからなかったんだが・・・」
楽進
「あの速さは氣を脚に集中してだしているものです。・・・それにしてもいきなり氣が膨れ上がったけどいったい・・・?」
夏候淵
「うまく行けばあいつは我々の傘下に入るんだ。そうなればゆっくりと聞く機会もあるだろう。さて、そんなことより今やるべきことをやるぞ。」
楽進
「はっ。」
駆ける、駆け続ける。
目的のために、霞さんの安全のために。
おそらく霞さんは怒るだろう。こんな手を使う自分に、闘いの結果を関係なく動いている自分に。
でも私にはこれしかない。これしかできない。身内を助けるためにはどんなことだってやってみせる。
制限時間はあまりない。あの二人の戦いは見た感じ互角。しかしお互いの体力を考え見るにそこまで余裕はないだろう。
だからこその全力疾走。狙いはひとつ。曹操の身柄の確保だ。
しばらく走り旗が近づいてきた所で大きな鉄球を持った少女が立ちふさがる。気の大きさからして彼女も相当なもの。しかし・・・
許褚
「わるいけど止まってもらうよ!でぇぇぇぇぇぇい!」
あの形状では「真っ直ぐぶん投げる」以外の選択肢は切っていいだろう。
桂枝
「ほいっと!」
私は剣を使い横に流す。そしてその横を・・・
桂枝
「こっちも悪いが・・・行かせてもらう!」
許褚
「え!?」
全速力で駆け抜ける!
桂枝
「邪魔・・・するなぁーーーーっ!」
私は周りを囲む曹操兵あいてに怒号を浴びせる。その姿に驚いたのか周りにいる兵が道を開けた。
曹操
「きたわね・・・」
桂枝
「・・・見えた!」
「曹」の旗の下に金髪の髪、そして随分離れたここからでもうかがい知ることのできる圧倒的な「覇気」とも言える感覚。あれが曹操であることは間違いない。
ココで問題になるのはそれと同居しているような圧倒的「威圧感」。大鎌を構えるその姿勢の隙のなさからも相当な手練と見て取れる。
桂枝
(噂には聞いていたが・・・ここまでか曹孟徳!)
あれを人質に取ろうとすれば下手をすればこちらが討ち取られるだろうしうまく行ってもその頃には私も満身創痍だろう。不可能だとみていい。
桂枝
「ならば・・・」
と辺りを見渡す。私の情報が正しければ曹操の近くには「天の御遣い」とやらがいたはずだ。そっちが弱いことに賭けるしかない。
桂枝
「ええっと・・・アレか!?」
少し離れたところに白く光る服をきた青年を発見。多分アレが「天の御遣い」だろう。
・・・気の量は常人並。ならばこちらのほうが可能性が格段に上だ。
そちらに向かって方向を修正。まっすぐと天の御遣いを目指す。すると目の前に一人の少女が立ちはだかった。
典韋
「ここは通しません!」
なにやら大きな赤い塊をもってこちらに構えてくる。先ほどの少女と同じだろう。あの形では投げるくらいしか思いつかない。
桂枝
「ええい!じゃまをするな!そこにいる天の御遣い!悪いがその身柄。利用させていただく!」
そういいながらかけていく。彼女が投げる間合いもおおよそ予測済みだ。そろそろ右に避け・・・
ふと目に入った。天の御遣いの後ろに隠れていた人が前にあらわれる。
そしてみた。小さな容姿。私と同じ緑色のキツイ目、頭が隠れ切っていない頭巾からでている茶色の髪。そして
桂花
「さっさと止まりなさい!バカ桂枝っ!」
忘れられない。絶対に忘れることのできない「姉」の声を聞いた。
桂枝
「姉貴!?」
何故ここに!?という思い、曹操軍にいたのかよ!という思い、もしかして今姉に剣向けた?という思い。
いろいろあるがとりあえず「姉の命令に従うこと」が叩きこまれている私の体は混乱している頭とは関係なしに強引に止まろうとし
典韋
「えぇぇぇぇぇい!」
目の前にいた女の子が投げた「赤い何か」が飛来する。
桂枝
「あぶなっ!?」
私はふらつく体をなんとか抑えて剣を平らにし上に構え斜めに向ける。
桂枝
「ちょ・・・重!」
想像以上に重い一撃。私は体を押し込まれながらも剣の上に乗せるように止めそして・・・
桂枝
「オオオオオオオオオオオオオオラァァァァァァァァァッァァッ!」
そのまま上に逸らした。
桂枝
(ふぅ・・・なんとかなった・・・)
流石に耐え切れなかったのか剣は砕けてしまったが。と内心冷や汗をかきながら息ついた所でもう一度確認。
・・・うん。間違いない。あれ桂花姉貴だわ。
まさか姉がここにいてなおかつ私の前に現れるなんて微塵も考えてなかった。ココに来たのが私じゃなかったらどうするつもりだったのかと言いたい。
しかしそれなら霞さんの助命はできるかもしれない。でも目付きがすっごく怒ってる。
桂枝
「よ・・・よぉ。姉貴。久しぶり」
とりあえず声をかけて見ることにする。全身嫌な感じの汗が全く止まる気配を見せない。
桂枝
「ええ、久しぶりねぇ桂枝。色々言いたいことがあるけどとりあえず一個だけ言うわ。
ーーーーーーーーーーーーそこで止まってなさい。」
桂枝
「は?」
一体どういう意味だ?と完全に思考を止めてしまったことが運の尽き。
後ろから強烈な殺気。そして
許褚
「追いついた!逃さないよ!!でぇぇぇぇぇいっ!」
先ほどの少女が現れ鉄球をぶん投げてきた。
桂枝
「・・・えっ?」
「止まっていろ」という命令。ついでに止まっていた思考にかなりの疲労を残す体。様々な要素が噛み合うことで私の体は全く反応ができず。
桂枝
「ぶっ!」
背中からおもいっきり鉄球が直撃した。
思いっきり吹っ飛んだ後一転、二転、三転とごろごろと転がっていく体。
ちょうど回転が止まった先には姉がいた。しかしもう直撃を受けた体は動きそうにない。
それでも・・・それでも霞さんだけはと思い必死に動かそうとしている私を踏みつけ姉が一言。
桂花
「お仕置きは今はこれだけにしておいてあげる。それと私の主は張遼を殺す気はないわ。だから・・・寝てなさい。桂枝」
姉が聞きたかった言葉を言ってくれた。
桂枝
「今だけ・・・かよ。」
しかし安心した・・・その気持ちを最後に私の意識は途切れたのであった。
あとがき
というわけで魏ルートが確定しました。
「前回の孫策のフラグはなんぞ?」と思う方がいるかと思いますが
実はアレはルート分岐用の伏線となっています。
とりあえず魏というか彼にとっての正史ルートをやったあとに呉ルートをやるかどうか決めますので現状は無視していただいて構いません。
ご意見・ご感想お待ちしております。
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洛陽防衛?戦
やばい。動画じゃないけど183状態だ。