前回の続きです。
グリンが語る『アイツ』との思い出とは一体?
前回のあらすじ
優斗、セイン、ウェンディ、ディードが池で釣りをしてたら河童を釣り上げた
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逃げようとしたが、河童に捕まり、怒られた
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河童の皿が割れ、後ろから5人の男達があらわれ、河童に池から出ていけと言う
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河童は反抗し、男達は去っていった←今ここ
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優斗達は、焚き火を5人(?)で囲い、釣り上げた魚を焼いている最中である。
割れた河童の皿を、ウェンディがセロテープで貼り付けて修復している。
ウェンディ「ホラ、直ったっスよオッサン」
ウェンディがグリンの頭をはたくと、『バリンッ!』と音がした。
グリン「アレ?今『バリンッ!』っていわなかった?」
ディード「気のせいですよ」
優斗はグリンの方を向く。
ユウト「オッサンよォ。引っ越しするってんなら手伝うぜ」
グリン「余計なお世話だバカヤロー」
グリンは、池の方を向く。
グリン「…アレを見ろ」
優斗達は、グリンと同じ方を向く。
そこには、コケが生え、天辺に花が咲いている『何か』があった。
グリンは、それを見ながら言う。
グリン「あそこに、妙なモンが見えるだろ。ありゃ昔、俺が乗ってきた『船』だ」
ディードは船から、グリンに目を向けて聞いた。
ディード「グリンさん。あなた、この世界の出身ではないんですか?」
ディードの問いに答える。
グリン「俺達の種族は、清い水がねーと生きられねー」
グリンは、過去を思い出しながら、4人に語り出した。
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その昔、俺達の世界は天変地異で水を失い、みんな、新天地を求めて旅立った
そして、俺がたどり着いたのが、この世界『ミッドチルダ』よ
たまげたよ、こんな住みやすい世界があったなんて
あの頃ぁ、宝石を一人占めしたような気分だった…
だが当時…まあ、今もかもしれんが、俺の姿はこの世界の人間にとっちゃ化け物以外の何者でもねェ
迫害され、俺は池に戻り、孤独に生きるようになった
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グリン「人はよォ、他人の中にいる自分を感じて、初めて生きてる実感を得るんだ。
俺は生きる場所は得たが、死んでたも同然だったんだ」
『アイツ』に会うまでは
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そいつは、何時の間にか池のほとりに居たんだ
なーんにもせずに、ただずーっと池を眺めてんだよ、いつも
俺も最初は隠れてたんだが、そのうちバカらしくなってな、聞いてみたんだ
グリン「お前、いつもそこで何やってんだ?」
娘は俺を見て少し驚いた風だったが、平然と答えた
娘「部屋に居ても1人だからつまんなくて、どうせなら自然(ここ)で1人で居ようと思ったんだけど、
2人だったんだね」
娘は肺を患っていた
人に伝染(うつ)る病だ
はれ物扱いされ、部屋に隔離されてたところを忍んで出て来てたのさ
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グリン「きっと、誰でもいいから、話し相手が欲しかったのさ、俺も『アイツ』もな」
セイン「………」
グリン「それから、『アイツ』と語る時間だけが俺の生きる時間になった。たわいもない話しかしなかったが、楽しかったよ」
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娘「おじさんはいいね」
グリン「何が?」
グリンは池に浮かんで背泳ぎをしている。
娘「こんなにキレイな水の中自由に泳げて。私、小さい頃から身体弱かったから、泳いだ事なんて無いんだ」
一度でいいから、自由に泳いでみたいよ
透明な世界を…
娘の言葉を聞いたグリンは、娘に言った。
グリン「……身体、治しゃいい」
娘「無理よ、もうずっとだもの」
グリン「バカヤロー、人生は長いんだぜ。
オメーが身体治すまで、ここは俺が護っといてやるよ」
キレーなままでな
グリン「だから、さっさと身体治してきな」
グリンが言った。すると、娘が右手の小指を差し出した。
娘「わかった、約束だからね、おじさん」
グリンも、右手の小指を差し出し
グリン「おおよ」
2人は、ゆびきりげんまんをした。
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グリンは、話し終えると池の中に帰って行った。
ユウト「…約束っつったって、何年前の話だよ」
ディード「さあ…」
ディードは、古くなった『船』を見ながら言う。
ディード「乗ってきた船があんなになるくらいですから、少なくともその娘さんはとっくに……」
ディードは、グリンの話を思い出した。
優斗は空を見ながら言う。
ユウト「…酔狂にも程があるぜ、つきあいきれねーや」
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その日の夜、池の近くに、昼間池に訪れた5人の男が居た。
近くにはブルドーザーが三台あり、池を土で埋めようとしている。
ゴルフクラブを持った男が、池に居るであろう河童…グリンに向けて言った。
男「クク…、腐れ河童、俺も、もう限界だよ。池ごと、土の下に埋めちゃうもんな~」
隣にいる、眼鏡を掛けた男が、不安そうに言う。
眼鏡男「でも、大丈夫なんですかね?河童の祟りとか」
男「バカか、河童なんか居るわけ無いだろ。ありゃ、他の次元世界から来た、ただのオッサンだ」
ブルドーザーが、土を押して動き出した。
ブルドーザーに乗った、太った男が呟く。
太った男「…ったく、なんで夜中に、こんな事しなきゃならねーんだ」
男が呟いていると、ブルドーザーが『ガクンッ!!』と、止まってしまった。
太った男「んだオイ、止まっ…」
太った男が下を見ると、ブルドーザーが地面に飲み込まれていくのが見えた。
太った男「!!」
ブルドーザーの周りを見ると、河童の格好をしたセインが、IS『ディープダイバー』で、ブルドーザーを少し沈めていた。
セイン「あたしは四郎河童だよ」
セインの言葉を聞いて、太った男は悲鳴を上げた。
太った男「ぎゃあああああ!!」
離れた所に居る、細身の男は、太った男の悲鳴を聞いて、太った男に、ブルドーザーを動かしながら、何があったのか聞いた。
細身の男「オイ、どーした?キャタピラに金●でも巻き込まれたか!」
しかし、太った男から返事が無く、細身の男は作業を再開する。
細身の男「…何だったんだ?」
???「もしかしたら、ブルドーザーが地面に飲み込まれてるんじゃないっスか?」
細身の男「んなわけねーだ…」
細身の男は固まった。自分は他の奴と離れた所に居る、今の声は誰の声なんだ?
そう思った細身の男は、ふと右側を見る。
するとそこには、河童の格好をしたウェンディが、自身のIS『エリアルレイブ』でライディングボードを飛行させ、自分の隣で座って浮いていた。
細身の男「!!」
ウェンディは、ライディングボードから一つスフィアを出し、細身の男に向けながら言った。
ウェンディ「あたしは三郎河童っス。おじさん、あたしキューリが欲しいっス」
ウェンディの言葉を聞いて、細身の男は悲鳴を上げた。
細身の男「ぎゃあああああ!!」
細身の男から離れた所に居る、中肉中背の男は、離れた所に居る、細身の男にブルドーザーを動かしながら、何があったのか聞いた。
中肉中背の男「何やってんだ?オイ、どーした?キャタピラに●玉でも巻き込まれたか!」
中肉中背の男が、細身の男に聞く。
その時、後ろから『ガタッ』と音がした。
後ろから、河童の格好をしたディードが、剣を構えている、そして
ディード「二郎河童、推参!!」
剣を、中肉中背の男に振り下ろす。
中肉中背の男「!!」
バキィッ!!
中肉中背の男は悲鳴を上げ、気絶した。
中肉中背の男「ぎゃああああ!!」
離れた所に居る、髪がセンター分けの男と、眼鏡を掛けた男は、中肉中背の男の悲鳴を聞いて、ゴルフのスイングをしながら言う。
男「なーに、ギャーギャー騒いでんの?キャタピラに金●でも巻き込まれたか?オイ!ちょっと見てこっ…」
男は眼鏡を掛けた男の方を見る、すると、眼鏡を掛けた男は白眼を剥いて気絶していた。
男「な、なんだ…」
男の後ろに、河童の格好をした優斗が現れる。
優斗は、男の頭を腕で締め付ける。
男は優斗を見た。
男「てめーは!」
ユウト「蝦夷は洞爺湖から参上つかまっった、河童四兄妹が長男、太郎河童!!」
優斗は、男の頭を締め付けながら言う。
ユウト「この土地から今すぐ手ェ引いてもらおうか?さもなくば、河童の祟りが…」
男が苦しそうにして、優斗に言う。
男「かっ…勘弁してくれ、河童といえば何だ?キューリか?好きなものを言え。俺は髪の毛は余りないが、金だけはあるぞ!」
男が優斗に聞く、しかし優斗は男を締め落としながら、男に言った。
ユウト「好きなもの…そーさなァ…
天玉うどんと
酔狂な奴かな…」
男は、口から泡を吹きながら気絶した。
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翌日、優斗は池に釣りをしに来ていた。
池からグリンが優斗を見ている。
グリン「んだ、てめー。また来てたのか」
ユウト「よォ、きーたぜ。この土地、売りに出されたらしいな。これで、暫くは大丈夫なんじゃねーの?」
グリン「そうか…、なあ、何か、本物の河童が現れたらしいぞ」
ユウト「そいつァ恐ェな」
グリン「………、ひょっとして、お前『ピチャッ』!」
池から何かが跳ねる音がした。
優斗が音がした方を見ると、一匹の魚がおよいでいた。
ユウト「おっ、あんなキレーな魚、この池に居たんだな」
グリン「ハハッ、楽しそーに泳いでらァ」
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俺はこの日、掛け替えの無い奴らに出会った。
俺は車に跳ねられて死んだと思ったら、なんかよく分からんが別世界に行ってしまったみたいだ。
気が付けば、マッドな科学者や12人の姉妹と暮らしていたり、組織にケンカ売って犯罪者になっちまったり。平凡な日々を送っていたり
そして--俺は戦う。ナンバーズ達を、世界を守るために。