今俺は、家にいる。部室で、一誠達が家族の事を楽しそうに話していたのが
何故か、恨めしかった。
確かに…両親が事故で亡くなったのはとても悲しかった。それはもう、
後を追いかけたいほどに。
「でも、その気持ちも乗り越えたはずだ。なのに…」
もしかして、俺は家族が欲しかったのか…? いや。昔の俺だったら、考えていた
はずだが今の俺には、親友がいる。仲間がいる。主がいる。
それだけで、充分なはずだ。
「…先輩? いったいどうしたんですか?」
いつの間に、小猫が俺の部屋の前に来ていた。
「…いたのか。もしかして…今の全部聞こえていた?」
「…はい。全部。一言も聞き逃さずに」
小猫は頷いた。やばっ! 恥ずかしいぞ! これ!
きっと、おれの顔は真っ赤に染まっているのだろう。
「小猫。この事は絶対に言うなよ」
「……わかりました。言いません」
小猫はきっぱりと言い切った。
「よし。お腹すいたろ。今からご飯を作ってやる」
俺が、台所へ向かったとき
「…私には先輩の気持ちはよくわかりません。ですが、寂しい時には言ってください。
一緒に遊んであげます」
小猫が言った。
「ああ。ありがとな」
◆
小猫Side
先輩は自分の部屋へ行き、自分の気持ちを言い出した。
私は、先輩がうわ言のように呟いている事を偶然に聞いた。
先輩は中3の時に両親を事故で亡くした。でも先輩はそれを乗り越えて、
頑張っている。
すごい…と素直にそう思った。
先輩は言った。今の俺には親友がいる。仲間がいる。主がいる。
それだけいるなら充分じゃないのか? と
その時の先輩の顔は、とても清々しい顔をしていた。
正直、かっこいいと思った。
このまま黙っていれば、先輩の過去の事も聞けるんじゃないかと思ったけど
さすがに不味いと思って
「…先輩? いったいどうしたんですか」
声をかけた。先輩は、
「…いたのか。もしかして…さっきの全部聞こえていた?」
と聞いてきたので
「…はい。全部。一言も聞き逃さずに」
と正直に言った。恥ずかしいのか、先輩の顔が真っ赤になっていった。
「お腹すいたろ。今からご飯作ってやる」
と先輩は逃げるように台所に向かったとき、
「…私には先輩の気持ちはよくわかりません。ですが、寂しいときには言ってください。
気晴らしぐらいには付き合ってあげます」
先輩はその言葉に
「ああ。ありがとな」
と笑顔で言って台所へ行った。
その笑顔を見たとき、私の心はときめいてしまった。
「…先輩。私はもしかしたら先輩の事が好きかもしれません」
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神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる