No.455359

タバサの使い魔 ◇1

青い髪の少女――タバサは使い魔の召喚をしていた。そして召喚されたのは・・・・。

2012-07-18 21:49:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4615   閲覧ユーザー数:4479

「待てェェ!吸血鬼ィィ!!!!」

 

こんにちは。真祖の吸血鬼よ。ここ100年は上手く姿を隠していたんだけどこの度ばれたのよ。……何故かしらね?

真祖の吸血鬼って何だ、ですって?しょうがない、教えてあげるわ。真祖の吸血鬼って言うのは吸血鬼の上位個体で吸血鬼より能力が上なのよ。しかも血を吸わなくても…ってこんなこと話してる場合じゃなかったわね。いつか教えてあげるわ。

追ってまくのめんどうだし、魔法使おうかしら。

 

「我が契約せし闇の精霊よ。地獄の門を解き放て。闇の門《ゲヘナ・ゲート》!」

 

そういうと私の前に黒い隙間が……あれ?

 

「白ォッ!!?」

 

黒いはずなんだけど…。久し振りにやったから間違えたかしら?

 

「ええい、ままよ!」

 

そして私はそのままゲートに吸い込まれていった。それが異世界へのゲートとは知らずに。

 

 

 

 

 

私の名前はシャルロット・オルレアン。今はとある事情からタバサと名乗っている。

私がいるトリステイン魔法学院では、二年生へと進級する生徒達の使い魔召喚の儀式が行なわれている。

親友のキュルケは、サラマンダーを召喚した。

そして、私の番が来た。もちろん不安はあった。これから一生を共にする相手なのだから。

私には、果たさねばならない目的があるからその力となってくれる使い魔だと助かる。

だけど私は偽名によって召喚し、契約しようとしている。力となってくれる使い魔どころか成功するかどうかも分からない。

不安を表に出しても意味がない。ここまで来たら、やってみるしかない。

 

「我が名はタバサ。五つの力を司るペンタゴン、我が運命に従いし使い魔を召喚せよ」

 

目の前には二メートルを越える大きな鏡。その中から、蒼いドラゴンと銀色の髪で赤い目をした子供が出てきた。

 

「?ここは何処かしら?って、幻術が解けてる!?何処の大魔導師の仕業よ!?」

 

「きゅい?」

 

「ん?竜種?って幼生かしら?間違って魔法世界に来たのかしら・・・。でも魔法世界にしては空気中の魔力が少ないような気がするわね。というかなんで竜種の幼生がこんな人の多い所に?」

 

子供が何かを言っているけどよく聞こえない。

 

「うそ…使い魔が複数!?」

 

「しかも片方は風竜、片方は…平民の子供?」

 

「流石家名も名乗れないような貴族の家の子だな。平民を召喚するなんてwww」

 

周りが騒いでいるけど、この子供は人間じゃない。人間の姿をしているから一番考えられるのは吸血鬼。でも吸血鬼は見分けがつかないはず。それに太陽の光が当たると皮膚が焼けると言われている。この子は何者・・・?

周りが騒然――半分は私への侮辱――としていたが、コルベール先生が静め、あの子供に近づく。

 

「・・・・ミス、貴女の名前を聞いてもよろしいですか?」

 

コルベール先生も彼女の異常さに気がついているのかもしれない。普通、平民に話しかける時は敬語なんて使わない。

 

「え?ああ。私の名前はモア・ファランドールだ。貴s・・・ふむ、あなたは?」

 

銀髪の女の子が言う。やっぱり只者ではないようだ。一瞬先生に向かって貴様と言いかけていた。平民は貴族に向かって敬語を使うし・・・。

 

「私はトリステイン魔法学院の教師のコルベールです」

 

「トリステイン?……あー、あいつの故郷ね」

 

「あなたはあそこにいるミス・タバサによって使い魔として召喚されたのです」

 

「なるほど。で、私はどうすれば?」

 

「それは・・・・・・少々お待ち下さい」

 

そう言ってコルベール先生がこっちに来る。私はコルベール先生と相談することにした。

 

「・・・先生、この場合はどうすれば良いですか?」

 

「ミス・タバサはあの子の異常さに気が付いているのですね?」

 

私は首を縦に振る。

コルベール先生は少し考えてから

 

「風竜は問題ありませんがあの子は何者なのか判断してからコントラクト・サーヴァントをした方が良いでしょう。確証はありませんが他の亜人が先住魔法で人になっている可能性もあります。まずはオールド・オスマンに説明しましょう」

 

私はコルベール先生の意見に頷いた。オールド・オスマンがいれば、たとえエルフでも他の生徒を逃がすことはできると思う。

コルベール先生があの子のもとに戻り、何かを話すと二人でこっちに来た。

 

「では、使い魔召喚が終わるまで待っていてください」

 

「・・・(こくり)」

 

「わかったわ」

 

近くに来てわかったが、この子は違和感以外を感じない。

 

風の流れも

存在感も

魔力も

体温も

 

全てが人間と違い、全てが周りに馴染んでいた。

そんなことを思っていると近くで爆発が起きた。クラスメイトのルイズだろう。ずっと召喚しているが使い魔が出てこないらしい。

そして何十回もやった後、ルイズがやけくそになって呪文詠唱を変えた。

 

「この宇宙のどこかにいる最強で最高でチートな私の使い魔よ!!私の近くに来なさい!!!!!!」

 

最後のほうはただの命令になっていたがルイズの近くに多大な魔力が集まる。

その瞬間、今までで一番大きな爆発が起きて辺りが騒然とする。

 

「ちょ!!ルイズ!危ないわね!!服が破けたらどうしてくれんのよ!!」

 

「ああ!!僕の使い魔が蛇に呑まれた!!」

 

「私の使い魔がどこかに行っちゃった!!」

 

「「「「どうしてくれる(んのよ)!!!」」」」

 

「知らないわよそんなこと!!自分で何とかすれば!?それより私の使い魔は!?」

 

誰かがウインドで舞い上がった土ぼこりを払った。すると・・・

 

「んあ?ここは何処だ?」

 

青い服を着た黒髪の男の子が召喚されていた。


 
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