No.455253 魔法少女リリカルなのはStrikerS ~赤き狂戦士~ゼロ・スパークさん 2012-07-18 20:01:22 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1385 閲覧ユーザー数:1342 |
第三章 過去との邂逅
第二十六話「青い羽」
「ホラホラ!!ちゃんと避けねェーとやむなく射殺されちまうぞ!!」
「くっ!」
迫り来る魔力弾。それをひたすら避け続けるティアナ。
相変わらずの鬼訓練。
見てるだけで同情を誘うような光景が繰り広げられていた。
それを見ていたヴィータはため息を思わず吐く。
「アイツ、本当に手加減してねェーなァ・・・・自分のデバイスもねぇクセに」
現在、ヴァンは自分のデバイスを使っていない。
あの地球での一件から数日経ったが、まだルーチェの修復は終わっておらず、今はただ
簡易銃型デバイスを使いティアナの訓練を行っている。
「あっ」
変化が起こった。
ティアナに向け、放たれていた銃の乱射が突然止まる。
彼のデバイスを見ると、銃身全体から煙が上っていた。よく見るとあちらこちらに細かい
ひびが入っている。
明らかに普通ではない。
「はァ・・・・もう限界かァ・・・」
持っている銃を上に投げ、破棄。直後、爆発が起きる。
「簡易式ちゃーいえデバイスを使い捨てかよ・・・・まったく」
ヴァンて出会ってから自分はまったくという言葉が、口癖になっつしまっている事に気付き、
再びため息を吐く。
銃が壊れた事で、ティアナの訓練は終わり、ゆっくりと二人がなのはとヴィータの
いる場所へと戻ってくる。
「相変わらず飛んでるというか・・・・なぁ、なのは?」
自分の上司に声をかける。
が、返事が無く、本人の顔を見る。
「おい、なのは?」
「ふぇ?な、なに?」
「聞いてなかったのかよ?」
「え、えと・・・・ご、ごめん、聞いてなかった、にゃはは・・・・」
愛想笑いをし、話を聞いてなかった事に対して謝罪する。
「何か悩み事か?」
「い、いや、ちょとぼっーとしてたんだよ。昨日夜更かししちゃて・・・」
意外な答えだったので、ヴィータは思わず驚く。
だが、すぐに元に戻り、なのはに注意を始める。
「お前な、ただでさえ普段から仕事優先して睡眠時間削ってんのに、
そんなんじゃいつか本当に倒れちまうぞ!」
「う、うん。ごめんヴィータちゃん」
「・・・・・・」
いつもどおりの笑顔。
だがどこかいつもと違い、歯切れが悪い。
「(絶対に何か悩んでんな・・・)」
直接なのはに聞いても今みたいに適当にはぐらかされる。
昔からこいつはこういう奴だ。
他人の事は是が非でも探ってくるが、自分が探られれば、ハマグリみたいに絶対に口を割らない。
それが原因で一度は空を落ちてしまったのだ。
「(まぁコイツが話す気になるまで気長に待つか)」
それがいつになるかはわからない。
もしかしらないかもしれない。
なのはの性格だとおそらく後者だ。
だか、それでも自分は彼女が話すまでは待つしかない。
それが仲間ってものなのだから・・・・・・
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朝の訓練の際中なのに、私はあまり集中できていない。
ここ数日ずっとこんな感じだ。理由は当然わかっている。
あの地球から帰ってきた後、ヴァンとハーナの話を盗み聞きした事が原因だ。
早朝訓練の準備の為、シュミレーターの調整をして帰る時に偶然聞いてしまった。
「(二人が話している事のほとんどはわからなかった・・・・けど)」
少なくもヴァンは自分を襲撃した相手の正体をわかっているような口振りだった。
それにハーナも・・・・自分達に報告した時には不明としか言わなかったヴァンが、
本当は全てわかっていて、隠している。
そう思いたくはないが、やはりそう考えてしまう・・・・・・
「(一番は本人達に聞いた方が早いんだろうけど・・・きっと何も話してくれないだろうし)」
ヴァンの性格は重々承知している。
こちらが知りたい事を聞き出そうとすれば、いつの間にか話の主導権を奪われ、
最後は適当に別の話にすり替えられ、気付いたら別れた後という、
詐欺師並みの高度な技術を持っている。
口で彼に自分・・・・いや、六課にヴァンにかなう人間はいないだろう。
ハーナも同じだ。
あの無表情な表情と、無口さと独特な雰囲気は、話を始めた側が躊躇いを持ってしまう。
「なのは、次はお前の番だァ」
いつの間にか前にいた、ヴァンがなのはにフォワード達の前に行くよう促す。
「あ、うん。今行くよ」
「あン?どォしたァ?」
「えっ?」
自分の顔を見て、不思議そうな表情を浮かべるヴァンを見て、声を上げる。
「妙に反応が鈍いなァ・・・・調子が悪いのかァ?」
「大丈夫だよ。ただ昨日ちょっと寝るのが遅かったんだよ」
その理由が、貴方ですとは流石に言えない。
「オイオイ、ダメじゃねェーかァ。隊長サンがそンなンじゃ、部下に示しがつかないだろう?」
「オメエが言うな!」
すかさず、ヴィータがツッコミを入れる。
それでつい苦笑してしまう。
「にゃはは。じゃあちょっと行ってくるね?」
バリアジャケットを纏い、フォワード達が待つ場まで、向かう。
いつもどおりの姿だが、やはり彼女の事を知る者からすれば、今の彼女の様子はどこかおかしい。
「アイツ・・・・」
大丈夫とは言ってはいたが、やはりヴィータの心をなんともいえない不安定な気分にさせる。
『ヴァン副隊長。至急デバイスルームまでお越しください。繰り返します・・・・・』
丁度、なのは達が訓練を始めるとそんな放送が流れ、訓練中のメンバーを含め、
ヴァンに視線が集まる。
「今の声はシャーリーかァ?いったいなのようだァ?」
「とりあえず行けよ。あとの事はアタシらにまかせろよ」
「あァ。後頼むわァ」
ヴィータの肩を叩いて、訓練場を後にするヴァン。
「はぁ・・・・・アタシはいつからこんなにため息ばっかしてんだよ」
なのは達と出会ってからだと思うが、別に嫌なわけではない。
けど何故か異常なくらい疲れてしまう。
主に内面的に・・・・・
(まぁ、気にしないようにする事が一番の方法だな・・・・・・はぁ)
またもため息を付いてしまうが、クセになってしまったのか、言ってしまった
事にすら気付いていないヴィータ。
闇の書から解放された彼女はこの10年で、自分では気付いていないだろうが、
大分精神的に成長したようだ。
・・・・・・あくまでも精神的だけだが。
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デバイスルームに入り、ヴァンは早速何故自分を呼び出したのかをシャーリーに聞こうするが、
彼女の隣にいた羽耳の人物が目に入り、口を開けなくなる。
だが直ぐに立ち直り、めんどくさそうな感じで口を開く。
「なンでテメェがここにいンだよ・・・・」
「ひどい~、仕方ないじゃないですかぁ~。ハーニャンに呼ばれたのに、
来ないわけにいかないよ兄様」
むすっとした表情でヴァンの態度に対して不満をあらわにする女性。
整った顔立ちにポニーテールにした水色の髪に紅色の瞳。だが何より目を引くのは、
本来耳があるはずの部位に着いている水色と白が混じった羽と、腰部から伸びる
鳥のような尾・・・・・・
明らかに人間ではない。
「えと・・・・・兄様って?」
羽耳の女性がヴァンに対して使った呼び名が、何かがおかしい事に気付き、
目が点になるシャーリー。
「そう言えば、アナタにはまだ彼女の事を詳しく話していませんでしたね」
「あっ!ハーナさん」
入ってきた人物の名を口にするシャーリー。デバイスルームにハーナが入り、
羽耳の女性の隣に立つ。
相変わらずヴァンは面倒くさいと言わんばかりに、顔を手で押さえている。
「彼女は特務殲滅部隊インフェルノの専属デバイスマスターであり、
元管理局特殊技術開発部門主任の・・・・・・」
「セシルです。どうぞよろしく!」
シャーリーに手を差し出し、セシルの肩書きを知り驚いているシャーリーもその手を握り握手を
交わす。
だがまだ彼女の一番の疑問は解決してはいない為、戸惑いが顔にはっきりと出てしまっている。
「えっと、シャーリーだっけ?」
「は、はい、シャリオ・フィニーノ一等陸士です。シャーリーは愛称で、気軽に呼んでください」
名前を確認され、丁寧に受け答えをする。
そんなシャーリーを見て気に入ったのかセシルはうんうんと笑みを浮かべながら握った手を上下に
振るい、最後は尻尾まで同じように動かし始めた。
「あの・・・・セシルさん?」
「ん?なぁに?あと私は使い魔だから普通にセシルで呼んでいいよ」
「じゃあ、えっと・・・セシルは使い魔・・・ですよね?」
セシルと出会ってから気になってしょうがなかった事を思い切って尋ねる。
使い魔・・・・それは魔導師が使役する事で生まれる人造生物。
ほとんどが元々存在した動物を素体とし、体に人口の魂を憑依させる事で作り出す事ができる。
以前地球でヴァンが出会ったアルフもこれにあたる。
「だよだよ。そしてその私のご主人様はぁ~・・・」
後ろを振り返り、デバイスルームにいるにも関わらず走り出し、その先にいたヴァンに飛び付く。
「ぐォお!?」
苦悶の声を上げ、いきなり抱きつかれ事で耐えきれずに床にセシルごと倒れる。
だがセシルはそんな事は全く気にしていないのか、自分の胸にヴァンの顔をギューっと抱き締め、
満面の笑みを浮かべている。
「オイ!コラ、離せセシル!!焼き鳥にして食っちまう・・・うォ!?」
「うふふ~ん♪兄様~♪」
怒声をあげるヴァンを気にする事なく、さらに自分の胸にヴァンを押しつける。
ンー!!ンー!?と苦しい事がはっきりと彼女の胸元から聞こえる。
「と、とりあえず・・・ヴァンさんの使い魔って事ですよね?」
「はい。・・・しばらくの間、六課に出向する事になったので、騒がしいでしょうけど、
どうぞよろしくお願いします」
「は、はい・・・」
セシルの肩書きと今目の前で六課の副隊長である男を抱き締めてのた打ち回らせている
セシルを頭の中で比べてみる・・・・・・・
(だ、ダメだ!!特発のイメージがぁ!!)
局内でエリートばかり所属していたのが特殊技術開発部門。
今は予算の問題などで既に解散しているが、技術屋なら誰もが憧れる夢の部署。
当然、技術屋のシャーリーも同じだ。
そのイメージが今彼女の目の前で行われている珍景で大きく崩れてしまう。
そして彼女は自分の中の特発のイメージを守る為に・・・・
(・・・・見なかった事にしよう)
と目の前の珍景を忘れる事にした・・・・・・。
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時空管理局特務殲滅部隊---通称「インフェルノ」。そこには管理局員、次元犯罪者の両方が「赤き狂戦士」と恐れる青年が所属していた。そんなある日彼は、インフェルノの部隊長の命を受け新しく設立された部隊「機動六課」に異動する事になり、狂喜的な笑みを浮かべ素直に異動を受諾する・・・彼の笑みは何を意味するのか?