No.454878

ハイスクールD×B~サイヤと悪魔の体現者~ 二話

以前の話はカリフの誕生シーンでして、載せるのを忘れてしまいました。

申し訳ございませんが、一話前から見ていただけると嬉しいです。

2012-07-17 22:33:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3918   閲覧ユーザー数:3732

 

病院で波乱の出産劇を繰り広げてから一ヶ月が経った。

 

鬼畜一家は病院の前でお世話になった医者たちに頭を下げる。

 

だが、医者を始めとした看護婦軍団は既に満身創痍で入院し、医者も点滴打ちながら包帯を頭に巻いている。

 

「先生、この一ヶ月は大変お世話になりました」

「いえいえ、こちらこそ貴重な体験というか、今まで築いてきた常識を跡形も無く破壊させられるとか……やっぱり貴重な経験でした」

「私としては我が子がこんなに元気でよかったです」

「いや、元気というか完全に暴れてましたから。天下の病院で破壊活動とか元気を通り越しますから」

「育てがいがあります。ねぇ? あなた」

「……え? なんだって?」

「奥さん。旦那さまは一か月前のその子の咆哮で鼓膜破れましたからしばらくは文通で」

「うふふ…そうだったわね」

 

そういって胸の中で寝ている赤ん坊をあらかじめ買っておいたベビーカーに乗せてメモに文字を書いて文通する。

 

「あ、あぁそうだね。今日から新しい家族が増えるんだ。元気出していきまっしょい!」

「おー」

「あなた方のポジティブ精神にも脱帽です」

 

手を上げてエイエイオーする呑気な夫婦に医者が脱帽する。

 

「それにね、あなたが寝ている間に名前も決まったのよ? ねーカリフ」

「……」

「あ、ごめんなさい。文通文通……っと」

「へーそうなんだ。名前はカリフ……なんでカタカナにしたんだい?」

「ん~……この子と目が合ったら急に『オレはカリフ。その名こそが生涯たった一つだけ授けられし我が真名だ』って訴えてきたし、名前呼ぶと反応してくれたからね~?」

「奥さんにも覇気が伝わった……」

 

ノホホンと寝ている赤ん坊、カリフのほほをチョンチョンとつつく母親に戦慄する医者

 

「カリフ……うん! その子が決めたならその名前でいこうか」

「私としてはこの子には普通でいいから平和に育って欲しいわ」

「いや、もう手遅れですから。その子、もう平凡どころか大物になりますよ? 歴史に名を残しますよ? いい意味か悪い意味かは別にしても……」

「もう先生ったら、おだてても何もでませんよ?」

「カリフ~。ほらほら~って見て母さん! カリフが僕の指を掴んだぐあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 指はそっちに曲がらないんだけどおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「この夫婦パねぇ……」

 

ここまで自分の子供に動じないのならこの家族は充分にやっていけるだろう……たとえ、目の前で父親の指をへし折ろうとしている乳飲み子が咆哮だけで人を飛ばしたり周りを破壊したり、ベッドの足を掴んでジャイアントスィングして窓ガラスを突き破っていたとしても大丈夫だろう。

 

夫婦はタクシーに乗って再度先生に頭を下げる。

 

「本当にありがとうございました」

「いえいえ、私も人の進化というものを初めて見させていただきました。また何かあったらご連絡ください。個人的にこの子の将来には興味がありますから」

「はい、それではまた窺います」

「御主人はまた来週きてくださいね?」

 

その言葉を機に、夫婦を乗せた車は自宅へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タクシーの中で揺られる中、赤ん坊になってしまったカリフは冷静に分析していた。

 

(……本当に肉体は赤ん坊レベルまで低下している……気弾や舞空術は一応できるが、生まれてきたばかりなのか気のコントロールが乱れてるな……)

 

手をグッパグッパと握ったりしながら考察する。

 

(しかも腹の減り度合いが上がってる上に歯も少ないから肉も食えやしねえ……歯が生えるまでは母乳生活か……)

 

“この世界”の母親になる女性の膝の上でカリフは小さく項垂れるが、すぐに気を持ち直す。

 

(まあいい、力事態は死ぬ前とあまり変わらん……スーパーサイヤ人には当分はなれそうもないが、ここから修業すれば戦闘力も上がるだろう……修業の時間が増えたと思えばいい)

 

赤ん坊になったアドバンテージを思い出しながら一人納得するが、どうしても納得というか妙な気分にはなってしまう。

 

当分の身の振り方を考察したカリフは疲れて熟睡中の母親と父親の顔を見上げる。

 

(親……か)

 

正直言えばこの二人は本当の親ではない。

 

ベジータとブルマが自分を拾って親子となった前世をしっかりと覚えている。

 

自分は母親の中で精子となって転生したからDNA上でも親子の繋がりがない。

 

(だが、今の時期はこの二人がいなければオレの生活どころか命に関わる……真実がバレても一歳くらいにさえなれば充分生きてゆける)

 

だから、それまでは“この世界”の子供として生活しよう。

 

本当なら五、六年くらいまでこっちで体づくりをしなければならないのだが、それも仕方ない。

 

その後からこの国を出よう。

 

(くくくくくくくく……待ってろよ悟空、ベジータ……オレは貴様等を越えていくぞ!! それまではオレの目標であり続けろ!!)

 

そんなことを思いながらカリフは着々と自分の新たな家へと向かっている。


 
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