No.454760

SAO 奇跡を掴む剛腕 『SAO record 02』

楚良さん

HPが0になることは死を意味するデスゲーム『ソードアート・オンライン』。
攻略ギルド『KoB』に所属する主人公テラスは、『剛腕』の異名とともにアインクラッド攻略を目指す。

2012-07-17 19:37:32 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2451   閲覧ユーザー数:2337

血盟騎士団所属、『閃光』のアスナは、SAOの中でも数少ない女性プレイヤーでもあり、攻略組の最強剣士の一人でもある。彼女が得意とするのは細剣術で、その速さはテラスが知る中でSAO内トップを誇り、実力は言わずもがな。その強さと、可憐な容姿から有名であることも言っておこう。護衛が常に付きまとうほどだ。

 

ちなみに、テラスは彼女の補佐役を務めている。本来なら、護衛のほかにテラス本人も付いているはずなのだが、今日はほんの手違いで「今日は来なくていいよ」とアスナが言ってしまったため、結果としてテラスは一緒に行動していない。結局はこうして合流できてよかったのだが、アスナ本人はごめんと謝罪を入れていた。

 

閑話休題。

 

アスナと会話していた黒のコートを着た剣士は、キリトと言う名のソロプレイヤーだ。彼は攻略組トップの片手剣高レベルプレイヤーで、ボス攻略戦でもテラスは何度か面識がある。他にもいろいろなところで会ったことがあり、自分の上司であるアスナとも面識があると言うことを知っている。テラスから見れば、二人ともとても仲良しなのだが、本人たちはそう思っていないらしい。

 

結構仲いいですよね?

 

思ったことを口に出してみれば、きっと二人同時にそんなことないと否定してくるだろう。そのように返してくるところが仲がいいと言うのに、不器用なのだなとテラスはいつも思う。

 

「なっ、お前もかよ」

 

キリトは、テラスがアイテムストレージ内からオブジェクト化したそのアイテムを見て、自分の手の中にあるS級レア食材『ラグー・ラビットの肉』をチラリとみてから驚く。テラスがその手に持っていたものが、キリトのもつものよりも一回り程大きな『ラグー・ラビットの肉』だったからだ。

 

「と言う訳で、これの半分あげるんで料理してください」

 

お願いしますと頼むテラスは、アスナが料理スキルをあげていることを知っていた。何度か御馳走になったこともあり、中々にそのスキルが高いと言うことも分かっていた。さらに、もっと言ってしまうと、彼女が先日料理スキルを『完全習得(コンプリート)』したことを聞かされている。それも踏まえて、テラスの中では彼女以外に適任はいないと思ったのだろう。

 

チラリと横にいるキリトを見ると、何度か自分とテラスの肉を見直した後、嬉しそうにしているのが見えた。推測だが、テラスが来る前にアスナに交渉している時、「半分」とでも言われたのだろう。食い意地が張っているなと思いながらも、テラスはアスナと眼を合わせた。テラスが何を言いたいのかすぐに分かったアスナは言葉を返した。

 

「いいわよ。なら、ここから直接『セルムブルグ』まで行きましょうか」

 

「やったー!と言う訳で護衛2人。今日はここまででいいから、お疲れ様」

 

「なっ!?」

 

テラスの言葉に、長髪をした護衛の片方が驚きながらも声をあげた。驚く理由がわからないテラスは、頭の上に「?」を浮かべる。先ほどの会話を聞いていたのならば、理由はすぐ分かるはずだと言いたそうな顔もしてだ。

 

「テラス様ならまだしも、こんな素性も知れぬ奴をアスナ様のご自宅に招くなど、と、とんでもないことです!!」

 

「この人、素性はともかく腕は確かだわ。それに、あなたよりもレベルが上よ?」

 

「な、何をバカな!私がこんな奴に劣るなどと・・・!」

 

少し裏返った声が、路地裏に響く。キリトをギロリと睨む眼は、テラスから見ても憎しみが込められているのが見てとれた。ほんの少し間を置き、護衛の男は不意に声をあげる。まるで、なにかを合点したかの様な表情だ。

 

「お前『ビーター』だな!アスナ様、テラス様、こいつ自分が良ければいい奴ですよ! 関わるとろくなことがないんだ!」

 

『ビーター』とは、ズルをするチーターと、ベータテスターを掛け合わせた言葉だ。ベータテスターの評判が悪く、嫌われていることからこれは悪罵と言って良いだろう。

 

キリトに対するその言葉を聞き、今まで平然を保っていたアスナの眉がピクリと動いたのをテラスは見た。そろそろ我慢の限界か?と思い、テラスはアスナが言葉を発する絶妙なタイミングで言葉を被せた。

 

「副団長補佐として命令しようか?あんまりしつこいと、護衛を解任するからね」

 

その言葉を残し、テラスはアスナとキリトの手を掴むと、ぐいっと引っ張りながらすたすたとゲート広場へと向かった。

 

 

sideout

 

 

第六十一層『セルムブルグ』

 

ここは白い花崗岩で作りこまれた美しい城塞都市である。市場に出ている店も豊富かつ、品ぞろえもそこそこ。ここをホームタウンにしたいと思うプレイヤーが多いことでも知られている。だが、それが叶わない決定的な理由があった。

 

単純に言ってしまうと、部屋の値段がとんでもなく高いことである。もっと分かりやすく言うならば、先ほどまでいたアルゲードにある部屋の約三倍ほど。よほど高レベルで効率のいい稼ぎ方をしているプレイヤーでなければ、購入および住むことはまず不可能に等しいだろう。そんな高価な場所にアスナは住んでいるのだ。

 

「テラス君、いつも思うんだけど・・・」

 

「?」

 

「その、上着はインナーだけってやめない?」

 

アスナが指摘したのは、今のテラスの格好だ。キリトは黒い戦闘用のコートを脱いだだけで、アスナは白い短衣に膝丈上のスカート。そしてテラスは、キリトと同じようにギルドの団服を脱いだだけ。その姿は半ズボンに袖なしの胸までしかないピッチリとしたインナーのみと超ラフだ。

 

「僕、団服(これ)以外の服を持ってません」

 

ウィンドウを開き、ストレージから団服をオブジェクト化して持って見せる。横にいるキリトがそのアイテム欄を見ると、回復アイテムや転移アイテム以外のアイテムがなかった。あると言えば、テラスが愛用している武器ぐらいだ。

 

「日用の服買いなさい!」

 

「お金がもったいないです。それに、僕はこれが一番楽なんです」

 

「そういう問題じゃないの!」

 

「えぇっ?」

 

「いや、なんで疑問形なんだよ」

 

「なら団服でもいいから着てなさい」

 

アスナの命令に、しぶしぶ分かりましたとテラスは団服を着た。それでも、これから食事すると言うことで、首元のボタンをはずしてしっかりと開いている。それを見たアスナは、そっちの方がいいと頷いていた。

 

「じゃぁ、どうする?」

 

「俺はお任せするよ」

 

「ラグーって、確か『煮込む』って意味ですよね?それなら、シチューとかがよさそうですね」

 

「ならシチューにしましょうか」

 

作る料理が決まったことにより、テラスとキリトは早速『ラグー・ラビットの肉』をオブジェクト化し、アスナの前に差し出す。それを持ったアスナは、すぐさまキッチンへ向かった。

 

あとがき。

 

キャラクター紹介とか投稿した方が良いですかね?


 
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