白をチョップで起こしたあと、白はすぐに朝飯の準備に取り掛かった。
手伝おうとしたがやんわりと断られてしまったので、俺は居間でテレビの眺めていた。
最近巷で原因不明のガス漏れ事故で騒がれているようだ。
正直な話人事ではない。
原因不明というのも人の不安を駆り立てる。
俺はともかく白はまだ高校生だ。
こんな訳の分からない事件で危険にあって欲しくない。
自分で事件に突っ込むというなら自己責任で止めはしないが。
ちなみに俺は学校で清掃員をやっている。
日々窓ガラス拭いたりトイレ磨いたりしている。
学校の子達には清掃のお兄さんと呼ばれ親しまれている。
たまにタメ口の子がいるが、将来彼らが上司にタメ口使って困らないように日々チョップして思い知らせている。
いい子達ばかりだからすぐに分かってくれるが。
「あにきー、ご飯出来たから運ぶの手伝ってくれ!」
「うい」
そんなこんなでいつの間にか食事の仕度が出来たようだ。
この妹は本当に出来る子だ。
朝にこそ弱いがご飯は美味いし、掃除も出来る、つまり家事は完璧だ。
少し男勝りな口調と性格だが身内びいきせずとも良い娘だし可愛い。
だのに何故この娘の浮いた話を聞かないのだろうか。
お兄ちゃんは妹の将来が心配だと、俺は溜息を吐いた。
「じゃあ、先に学校行ってるぞ白」
朝飯を食べたあと、俺は仕事のため学校に向かうべく家を出ようとしていた。
白と違って俺は学生ではないので、白ほどゆっくりは出来ない。
「あ、待ってくれ、あたしも一緒に行く」
「ん?いつも思うがお前はそんなに急ぐことないんだから時間まで家でゆっくりしてればいいのに」
「いいんだ、あたしが兄貴と一緒に行きたいだけなんだから、それに朝練もあるしな」
この妹はなんというか、嬉しいこと言ってくれる。
兄貴冥利に尽きるが、今だ兄離れしない妹の将来がやはりお兄ちゃんは心配です。
だが俺も人の事は言えなかったりする。
生まれてこの方彼女なんて出来たことないし。
まあ作ろうと思って奮起したことも未だかつてないが。
「じゃあ一緒に行くか」
「うん」
「じゃあ、また家でね。兄貴仕事頑張ってね」
「おうよ、お前も部活に授業頑張れよ」
あれから学校――穂群原学園――に着いた俺たちは校門で別れた。
白は弓道部に所属しており、朝練がある。
とはいえ朝練には多少時間が早いが我が妹のことだ。
道場の掃除でもして暇を潰すことだろう。
軽く俺の仕事が取られている気もするが。
基本更衣室、女子トイレの類以外の場所の掃除は俺の管轄だ。
後は、色々と教員の方々のサポート的な事をしている。
プリントを印刷したり、授業で使う少し学生には触らせられないものを運んだりなどだ。
「さて、まずは職員室行くか」
「おはようございます」
職員室に行くと、先生方がまばらに挨拶を返してくれた。
俺はタイムカードを確認した。
刹那。
「おはようございます、退君。」
「うおっ!」
気配すら感じさせず、突然声をかけられ驚きの声を上げてしまった。
気配を感じさせずに挨拶する人なんて俺は一人しか知らない。
「びっくりしましたよ。おはようございます、葛木先生」
「おはようございます。それと退君、私のことは宗香で結構です」
「それはプライベートでなら、ということで・・・」
このレディースのスーツに身を纏ったショートヘアのメガネ美人の先生――葛木 宗香(そうか)――は俺がこの学校の清掃員として配属された当初から何かと気にしてくれていた人だ。
実にクールで無表情なので感情の起伏がわかりずらいのだが、何かと結構一緒にいることが多かったりするので、なんだかもう彼女の感情の機微が判るようになってしまった。
「それは残念です。それより退君、少しお願いがあるのですが」
「あ、はい。なんでしょう?」
「朝礼で配るプリントが数があるので運ぶのを手伝っていただけますか?」
「わかりました、教室まで運べばよろしいんですね?」
「はい、今運んできますので少しお待ちください」
そう言って葛木先生は職員室の自分の席から大量のプリントを持ってきた。
なんでこんなにあるんだ。
「凄い量ですね」
「一限目の授業で使うプリントもありますので、そのせいかと」
「なるほど、では確かにお預かりしました。教室まで運んでおきますね」
「あ、あと、退君」
「はい?」
「あの、今日はお昼は何を?」
昼・・・あ、そういえば弁当忘れたな。
仕方ない、購買は混むし、コンビニにでも行くとするか。
「そういえば弁当を忘れてきました、まあでも、コンビニででも調達します」
「いえ、よろしければご一緒しませんか?実はお弁当を作りすぎてしまったのです」
弁当作りすぎるとか結構おっちょこちょいなんですか?先生。
しかし、これはなんておいしいお誘いだろうか。
この申し出を受けない手はない。
「本当ですか?だったら是非ご一緒させてください!助かります!」
「・・・!!あ、う・・・」
そういって俺はうっかり葛木先生の手を取ってしまった。
すると先生はみるみる赤くなってしまい、プシューという音をたてて固まってしまった。
まあしかし、割とあることだし、時間が経てば元にもどる上にその間言われたことはしっかり覚えているので問題はない。
「楽しみにしていますね、では」
一言言って俺はプリントを持ってその場を後にした。
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Fateの性転換祭りハーレムとかあんま見ないな、とか思ったのでちと書いてみた。因みに主人公はオリジナルキャラです。
適当にやっていこうと思います。
キャラ崩壊ひどいのはご了承ください…
虹ファンにて投稿していました