No.454219

Sonic・the・hedgehog 【Running out of control ――― EMERALD】

こたさん

いつものようにソニックとエッグマンは戦っていた。ソニックが七つのカオスエメラルドを使いスーパーソニックへ変身し、誰もが勝負はついたと確信した… しかし、異変は起こった。 突然暴れ出し、ソニック達を攻撃するカオスエメラルド。一体カオスエメラルドになにが起こったのか? そして、禍々しい暗黒色のハリネズミ――「ダーク・ザ・ヘッジホッグ」。彼の目的は?そしてその正体は? ソニック達の新たな冒険が始まる!――― どうも、こたです。別のサイトで書いていたので知っている方は知っていると思われる作品を読みやすくリメイクしたものです。現在執筆中の『超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue wind~』の方もよろしくお願いします!

2012-07-16 19:14:51 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:2149   閲覧ユーザー数:2135

■キャラクター紹介■

 

ソニックをご存知ない、もしくはあまり詳しくないお方もいらっしゃると思うので、一応キャラ紹介をします。

 

 

【ソニック・ザ・ヘッジホッグ】(主人公)

種別 ハリネズミ

年 15歳

□特徴

・全身が青い

・大きな白い手袋

・赤いスニーカー

・大きなトゲ(数本)

 

 

□特技 

・超音速で走ること

・ スーパー化

(スーパー化とは、七つ集めると奇跡を起こすと言われているカオスエメラルドのパワーを取り込んでパワーアップすること。通常時の能力を遥かに超える事が可能で飛行も可能だが、極端にエネルギーを消費するため短時間しかスーパー化を維持できない。)

 

 

自由気ままが大好きで曲がったことが大嫌い。短気なところがあるが、困っている人は放っておけない優しさを持つ。約束は守り、絶対に裏切らない。ただし、じっとしていることや水は苦手という欠点もある。

 

【マイルス・パウアー】(通称 「テイルス」)

種別 キツネ

年 8歳

□特徴

・全身が黄色い

・大きな白い手袋

・大きな2本の尻尾

 

□ 特技 

・尻尾を回転させて飛ぶ

・機械いじり

 

心優しい子ギツネ。過去に尻尾が二本あることでいじめられていたが、ソニックの走る姿を見て勇気づけられ、彼の後を追いかけることになった。機械いじりが大好きで、その能力を活かしソニックをサポートする。

 

【ナックルズ・ザ・エキドゥナ】

種別 ハリモグラ

年 16歳

□特徴 

・全身が赤い

・手が大きく、手の甲に二本のトゲが付いている

 

□ 特技 

・穴掘り

・壁登り

・滑空

 

 

「マスターエメラルド」という不思議な力を持つ大きなエメラルドの守護者。生真面目であるため、よくエッグマンに騙されることも。トレジャーハンターでもある。彼の拳は強力で、大きな岩も軽々と破壊できる。

 

【Dr.エッグマン】

種別 人間

年 不明

□特徴

・体型が卵の様に丸い

・目に小さく丸いサングラス(と思わしきもの)をかけている

 

自分勝手でわがままな「自称」悪の天才科学者。IQ300と高い知力を持つが、人の迷惑を考えない。何度も計画をソニックに阻止されている。

 

【シャドウ・ザ・ヘッジホッグ】

種別 ハリネズミ

年 不明

□特徴

・全身が黒い(赤い箇所もある)

・見た目がソニックと瓜二つ

・走る時は地を蹴って走るというより、靴から出る空気でスケートの様に滑走する様に走る。

 

□特技

・音速で走る

・カオスコントロール

・カオスブラスト

・カオススピア

・スーパー化

 

「Dr.エッグマン」の祖父にあたる世紀の天才科学者「プロフェッサー・ジェラルド」によって生み出された究極生命体。「カオスエメラルド」を使い、時空を歪ませることが出来る『カオスコントロール』の力を与えられている。

 

【シルバー・ザ・ヘッジホッグ】

種別 ハリネズミ

年 14歳

□特技

・超能力を使って物を動かし、それを投げて攻撃できる

・ESPによる飛行

・スーパー化

 

荒廃した未来を変えるべく、未来からやって来たハリネズミ。様々なサイコキネシスを使う。

 

 

 

【ダーク・ザ・ヘッジホッグ】(オリキャラ)

種族 ハリネズミ

性別 男

年 ?

 

今回の事件の主犯。カオスエメラルドを操る能力を持つ。シャドウの行方を追っているが、目的は不明。

 

 

【ハイク】(本名は不明) 

種族 ハリネズミ

性別 男

年 ?

 

朱色の体を持つハリネズミ。見た目はソニックと少し似ているが、頭に大きな毛が立っている。(本人は少し気にしている。)記憶を失っているが、正義感が強く熱い。銃使いであり、その腕前はかなりのもの。ただし、ムキになると危険な銃弾を使うが本人はそれを危険と感じない。また、なかなかの俊足。

 

 

 

【エミー・ローズ】

種族 ハリネズミ

性別 女

年 14歳

 

「自称」ソニックのガールフレンド。今回もソニックを追いかけているが……。

 

 

 

□参考 ソニックチャンネル(公式HP)

 

 

 

 

見渡す限り広い草原が広がっている…

 

 

 

草原の真ん中で「彼」は昼寝をしていた。

 

 

太陽が少し眩しい。

だが、そよ風が心地良い。

近くで小河が流れている。

水の流れる音が心を静かにする。

 

 

チチチ…

 

小鳥のさえずりが聞こえる。

 

 

 

―――なんて…平和なんだろう…

 

 

穏やかな表情を浮かべ、「彼」は目をつぶりながらそう思っていた。

「彼」は朱色の体をしており、背中には数本の大きなトゲがある。

また二本の大きなベルトを身に付けており、片方は腰に、またもう片方は無造作に肩にかけていた。

大きな草が生えているところで、「彼」は少しウトウトしていた…

 

―――その時

 

「ん…?」

空で起きている小さな異変に気づき、「彼」はゆっくり目を開ける。

「…!?」

「彼」は驚いて体を起こした。

そして少し目を疑った。

「彼」の寝ている場所だけ日陰になっている。

しかし空に雲は一つもなく、周囲にもその要因となるような物はなかった。

「な…なんだこれ…」

「彼」は小さく呟いた。

「……ッ!」

その時空に気配を感じ、「彼」は空を見上げる。

 

「違う…シャドウ・ザ・ヘッジホッグじゃない…」

 

どこからか不気味な声が聞こえた。

「誰だっ!?」

「彼」は空を見上げたまま腰のベルトに装着していた拳銃二丁を取り出した。

「…まあいい、教えてやろう…」

 

シュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ…!!

 

声のする方に禍々しい黒い煙のようなものが集まった。

鳥達はこの存在に気がついたのか、皆飛び去っていった。

その煙はだんだん一匹のハリネズミとなった。

そのハリネズミはゆっくりと地上に降り立つ。

 

サクッ…

 

草を踏む音が少し大きく聞こえた。

 

「俺の名は…ダーク。ダーク・ザ・ヘッジホッグだ。この世の唯一にして究極の存在…」

 

静かな物腰でこそあるが、海の底のように冷たい群青の瞳と漆黒で背中に悪魔のような翼の生えた体を持つハリネズミ――ダークは不敵にそう言い放った。

「…あんたが俺に何の用だが知らないが…究極の存在だって?ハッ!笑わせるな。悪いが俺にはあんたが究極の存在だなんてちっとも思えないね。」

 

チャキッ!

 

「彼」はダークに二丁の銃を構えながら言った。

「…貴様に用は無い…だが、折角だ。俺が究極の存在である証拠を見せてやろう。」

 

ザッザッザッザ…

 

ダークは不気味な微笑みを顔に浮かべながら、「彼」に向かってゆっくり歩き始めた。

「来るな!」

 

ダンッ!ダンッ!!

 

だが、「彼」はダークに不気味感を覚え発砲する。

 

ビシッ!ビシッ!!

 

「なっ…!!」

弾は当たったが、ダークは表情一つ変えずに近づいてくる。

(な、何だコイツ……!?)

「彼」は一瞬顔色を変えた。

「これならどうだっ!」

 

ジャキッ!

 

「彼」は一旦銃を下のホルダーに戻し、背中から先程の銃よりも数段威力の高いグレネードランチャーを取り出した。

「行っけぇ――!!」

 

ドンッ!ドンッ!!ドンッ!!!

 

「彼」はダークに向かってグレネードを三発撃ちこんだ。

 

ドガ――ン!!!

 

グレネードはダークに命中し爆発した。

その衝撃で周りの草が燃えているのが分かる。

しかし、ダークの姿は噴煙で見えない。

 

シュ~~~ッ…

 

煙が大分引いてきた。

「…っな!なんだとっ!!?」

「彼」は自らの目を疑った。

彼の周囲こそ惨状と化していたものの、ダーク本人は無傷だった。

「くっ、くっそぉ――!!」

 

ダッ!!

 

「彼」は走り出した。

「俺の足の速さをなめるなよ!!お前なんかに追いつけるものか!!」

「彼」は走りながら振り返った。

「…っな!?」

さっきまでダークが居た場所にダークは居なかった。

「言っただろう…?この世の絶対にして究極の存在だ…と。」

「ッ!?」

「彼」は正面に向き直った。

そこには片手を「彼」に向けているダークが居た。

「やっ、やばい!!」

 

このスピードだと止まれない!!―――

 

ダークの手に紫色の光が集まる。

「…とどめだ。」

 

ドンッ!!

 

ダークの手から黒い閃光が迸った。

 

ズガアァッ!!

 

「うわああああああっ!!!」

「彼」はビームに直撃し、体が空中に投げ出された。

 

ドザッ!!

 

「彼」は地面に叩きつけられ、意識を失った。

「…フン。」

蔑むように嘲笑うとダークは姿を消した。

 

 

「…うっ…」

太陽が西へ沈もうとしているとき、「彼」はようやく目を覚ました。

「彼」はよろよろと立ち上がった。

「ぐがッ!!?」

全身についた傷が痛み、「彼」は倒れかけた。

 

「…ここは…どこだ…?」

 

 

 

ドガーン!!

ヒュ~~~~…ドーン!!!

 

何発もの爆音が響く。

ここは自分勝手でわがままな「自称」悪の天才科学者、Dr.エッグマンが作った基地の中だった。

基地の中は昼間であるにも関わらず、少し薄暗く感じられた。

基地内の司令塔のような大きな建物が不気味にそびえ立っている。

名前の通り卵のような体をしているエッグマンは、毎度のように自分が作った大きなロボットに乗り「彼」を追いかけていた。

「待~てぇ~~!!」

エッグマンはロボットを操縦しながら叫ぶ。

「COME ON!!」

「彼」――ソニックは走りながら言った。

音速で走り回る青いハリネズミ――ソニック・ザ・ヘッジホッグ。

大きな白い手袋と赤いスニーカーが特徴的な彼は、何度もエッグマンの手から世界を救ってきた世界音速のハリネズミである。

「くぅ~!!忌忌しいハリネズミめ!」

エッグマンがミサイルを撃ちながらソニックを追いかけていた。

 

ヒュ~~~…ド――ン!!!

 

ミサイルがソニックに向って飛ぶが一発も当たらず、全て壁や床に当たる。

「へへっ!遅い攻撃だなエッグマン!」

ソニックは走りながら叫んだ。

「だまれ!!くぅ~!当たれ!!」

ソニックはロボットの攻撃をスイスイ避けていく。

「あんまし怒ってばっかだとシワが増えるぜ~?」

「やかましぃッ!!ワシにシワなどないわッ!!」

いつもの口喧嘩が始まったその時―――

 

ドカーン!

 

「むぅっ!?」

突如何かがロボットを攻撃した。

「ソニックー!!」

 

ブ~~~~ン!

 

その正体は愛機・トルネードに乗ったテイルスの放ったミサイルだった。

彼は二本の尻尾を持った黄色の子ギツネで、ソニックの良きパートナーである。

「ソニック!援護するよ!!」

テイルスは操縦席から笑顔を見せながら言った。

「THANKS!!」

 

ビッ!

 

ソニックはテイルスに親指を立てた。

「忌忌しいのが二匹になりおったワイ!こうなったらフルパワーじゃ!!」

 

ガチャッ、ガチャッ!

 

ギュィ―――ン!!

 

ロボットは変形しさらに大きくなった。

「へへっ、そうこなくっちゃ!」

ソニックは余裕たっぷりにほくそ笑んだ。

「その余裕もそこまでじゃ!覚悟しろい!!」

 

ゴォォッ!!

 

ロボットのスピードが上がった。

「俺に追いつけるかな~?」

 

バビュンッ!!

 

ソニックもさらにスピードを上げた。

「喰らえい!!」

 

ドドドドドドドドドッ!!!

 

ロボットの全身からミサイルやマシンガンなどが一斉に撃たれた。

「ヒュ~♪COOL!!」

ソニックは全て避けながら言った。

「くらえ―!エッグマン!!」

 

ドンッ!ドンッ!!

 

ドガ―ン!!

 

テイルスはエッグマンのロボットに二発、大きなミサイルを撃ち込んだ。

それらは見事に命中した。

「のわっ!?」

エッグマンはひるんだ。

「ハァッ!!」

 

ド―――ンッ!!

 

その隙にソニックはロボットに彼の必殺技の体当たり攻撃――ホーミングアタックをした。

「きかぬわっ!!」

 

ギュワァ――ン!!

 

バキィッ!!

 

ロボットは勢いよく回転し、ソニックを弾き飛ばした。

「うわぁっ!」

 

ババッ!

 

ソニックは空中で体制を整えて着地した。

エッグマンはトルネードに乗り込み旋回しているテイルスを睨む。

「貴様の相手はこいつじゃ!ポチッとな!!」

エッグマンは何かのスイッチを押した。

 

ドドドドドドドド!!

 

エッグマンのロボットから膨大な数のミサイルや追尾弾が飛び出した。

「そんなものでやられるもんか!!」

 

グオオオ―――ン!!

 

トルネードは大きく旋回した。

 

―――こうして僕達がエッグマンと戦うのは何回目だろう…?

 

テイルスはトルネードを操縦しながらそう思っていた。

「さ~て、次は貴様の番じゃぁ~~!!」

エッグマンは再びソニックを追いかけだした。

「COME ON!!COME ON!!」

 

ダッ!!

 

ソニックは逃げながら言った。

「ハッ!!」

 

シュンッ!!

 

ソニックの姿が消えた。

「なにぃっ!?ソニックめ、どこへ消えた~!??」」

エッグマンは辺りを見回した。

「ここさっ!!」

突如頭上から声がした。

「むぅっ!?」

エッグマンが上を向いた。

 

ギュィィィィィ――――――ン!!!

 

そこには回転しながら落下してくるソニック。

 

ドガ―――ン!!

 

「のわぁっ!?」

ソニックはロボットの頭上に回転しながらアタックした。

「まだまだじゃあ~~!!」

 

ギュヮ――――!!

 

ロボットは再び回転を始めた。

「ぐぁっ!」

ソニックは再び弾き飛ばされた。

 

ババッ!

 

ドガァン!!

 

ソニックは空中で体制を整え、壁を蹴りもう一度ロボットにアタックした。

「きかぬと言っとるじゃろが!!」

 

ギュヮ――――!!

 

エッグマンはロボットを再び回転させ、ソニックを弾き飛ばした。

「うわぁっ!!」

ソニックは空高く弾き飛ばされた。

「ホ―――ホホホ―――!!ソニックよ!貴様を倒すために新しくつくったこの「E―Z」はそう簡単に倒すことは出来んぞ――!!」

ガーッハッハッハとエッグマンは高笑いをした。

「さぁ―て、どうかなぁ―?」

ソニックは空中で不敵に笑いながら言った。

「ふんっ、貴様は「E―Z」を倒すどころか傷一つすらつけておらんぞ!」

エッグマンは憎たらしく言った。

 

その時――

 

キラァッ…

 

ソニックの周りに赤、青、黄、緑、白、水色、紫の光が現れた。

 

「さ―て、これはなんでしょう?」

ソニックはにやけながら言った。

「んなっ……き、貴様、まさかっ!!?」

エッグマンは叫んだ。

 

そう……ソニックの周りに現れたのは―――カオスエメラルド。

ソニックは目を閉じた。

 

グオオォォォォッ!!!

 

カオスエメラルドがソニックの周りを勢いよく回り始めた。

「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」

ソニックの体が徐々に金色になっていく。

「やった!スーパーソニックだ!!」

テイルスはミサイルを破壊しながら嬉々としてそう叫んだ。

 

シュオオオオォォォォッ!!

 

「ハアァッ!!!!」

 

ドンッ!!

 

ソニックはカオスエメラルドを取り込み神々しい金色の光を纏う――スーパーソニックになった。

「さぁ―て、遊んでやるぜエッグマン!!!」

ソニックは宙に浮きながら余裕たっぷりに告げた。

「ぬおおおッ!!」

先程まで調子こいてたエッグマンも流石に焦りだした。

 

 

一方その頃……ソニック達が戦っている場所から遥か離れた場所にある水の公国――「ソレアナ」に

一匹のハリネズミが居た。

「ソレアナ」海上都市であり、以前ソニック達が長き戦いを繰り広げた場所でもあった。

 

「……ああ――!今日も平和だな――!」

 

ソレアナの街から少し離れた浜辺で1人ねっころがりながら大きく伸びをした銀色のハリネズミ

―――シルバー・ザ・ヘッジホッグは一人呟いた。

雪のような銀白の毛皮に身を包まれ、ブーツを思わせる少し丈の高い靴が彼の気高さを彷彿とさせる。

 

ザザ――ン…!!

 

潮の良い匂いがする。

海の潮風が、彼の白い胸毛を揺らす。

 

その時――

 

「………?」

彼は誰かの気配を感じ、静かに目を開いた。

しかし周りに誰もおらず、目の前には半透明の海、空にはカモメが飛んでいるくらいだった。

「……気のせいか。」

そう呟き、再び目を閉じた時――

 

「……違う、こいつもシャドウじゃない。」

 

バッ!

 

突然聞こえた不気味な声にシルバーは跳躍し、その場を離れる。

「誰だ!?」

シルバーは周りを見回しながら叫んだ。

「!?」

シルバーは上空に気配を感じ、空を見上げる。

「な、何だあれ!?」

気配のあるところに禍々しい黒い煙のようなものが集まった。

そしてそのまま一匹の漆黒のハリネズミになった。

「なっ!……お前は……メフィレス!!?」

シルバーは身構えながら言った。

確かにその姿はメフィレスに似ていた。

かつて荒廃した未来で自分を騙し、ソニックを殺させようとして全ての歴史の抹殺を企んだあの男

――「メフィレス・ザ・ダーク」に。

奴はイブリースと融合し、再び「過去・現在・未来」同時に存在する超次元生命体――「ソラリス」となった。

 

―――だが、奴は俺とソニック、そしてシャドウと共に倒したはず。

 

なのに何故……?

 

フワッ……

 

漆黒のハリネズミは無言で海の上に舞い降りた。

「……メフィレスとは誰の事だ?俺はダーク。ダーク・ザ・ヘッジホッグだ。」

そのハリネズミ――ダークは静かに言い放った。

(―――ダーク?メフィレスじゃないのか……?)

一瞬脳裏にそんな疑問が浮かんだ。

「……この世の絶対にして究極の存在だ。」

「……それで、その究極の存在様が俺に何の用だ?」

シルバーはダークを睨みつけながら言った。

「貴様に用は無いが……折角だ。俺の力を見せてやろう。」

「ハァ?何だいきな――」

 

シュオォォォォォ!!

 

シルバーが口を開いている最中、ダークの周りに黒い霧が吹き出した。

「!?」

 

ジャキ――

 

霧はそのまま数本の大きく鋭い槍になった。

「……消えろ。」

 

ビュンッ!!

 

槍が一斉にシルバーに襲いかかった。

「無駄だ!!」

シルバーは両手を前に突き出した。

 

ピタッ!!

 

槍は全てシルバーの周りで青白く光り、静止した。

「……ほう。」

ダークは微かに驚いた表情を見せた。

「俺の超能力をなめるなよ!お返しするぜ!!」

 

ビュンッ!!

 

グオォォォォッ!!

 

シルバーがダークに向かって腕を振ると槍は全てダークに向かって飛んでいった。

 

ガキィンッ!!キィンッ!!

 

しかし、槍は全てダークの目の前で弾かれてしまった。

「なっ、何!?」

シルバーは驚き目を見開いた。

「これでどうだ!」

 

バッ!

 

シルバーは大きく跳躍した。

「くらえっ!!」

 

バリバリッ!!

 

シルバーはダークの近くに着地し、周りにサイコキネシスを放った。

 

バシュンッ!!

 

それは命中したものの、ダークは表情一つ変えずに浮かんでいる。

「……なかなかやるようだが、そんな程度で俺を倒す事は不可能。」

「なっ!?」

(俺のサイコキネシスが効かないだとッ!?)

シルバーは自分の目を疑った。

「もういい……消えろ。」

静かに言い放つと、ダークは片手をシルバーに向けた。

 

グオオオオォォォォォォォ!!!

 

ダークの掌に黒い光が集まってきた。

どれほど強い威力を発揮するのかは、その光の大きさを見れば一目瞭然だった。

その余派がダークの足元の海水を大きく揺らしている。

「くっ、くそっ!」

まずい、やられる――――!!

シルバーは防御体制に入り、目を閉じた。

 

その時――

 

ギュウウウウゥゥゥゥゥ………………ン

 

ダークの強大で禍々しいオーラが徐々に薄れていくのを感じた。

「……?」

シルバーは徐に目を開けた。

「……………」

ダークは無言で水平線を見つめている。

「……あっちに大きな力が……この力はカオスエメラルドか……?」

「カオスエメラルド……だと?」

シルバーは思わずそう尋ねた。

ダークはシルバーの方に向き返した。

「……今回は見逃してやる。次会った時は容赦無く消す。」

 

ギュゥゥゥゥン!

 

そう告げるとダークはゆっくり上昇した。

「ハァッ!!」

 

ドシュッ!!

 

ダークは遥か彼方に飛び去っていった。

「……なんだったんだあいつは……?」

シルバーは呆然としたまま、そう呟いた。

「カオスエメラルド……何か嫌な予感がするが、このまま奴を放っておくわけにはいかない。」

 

ボワァッ…!

 

シルバーの体が青く光った。

 

フッ――

 

そしてそのままシルバーの体がゆっくりと宙に浮かんだ。

「ハァッ!!」

そして、そのままダークの消えた方へと猛スピードで飛び去っていった。

 

 

戦いの場は再びエッグマンの基地に戻る……。

 

「どうしたエッグマン?さっきまでの威勢はどこ行った?」

スーパーソニックは宙に浮かびながら余裕たっぷりに言った。

「ぐ、ぐぬぬ……」

エッグマンは悔しそうな表情を見せてギリギリと歯軋りをする。

カオスエメラルドの力を使いパワーアップしたスーパーソニックは、エッグマンのロボットを圧倒的な力で攻撃し続けた。

連続攻撃を受け、ロボットは既にボロボロであった。

「このまま一気に終わらせてやる!!」

ソニックは叫んだ。

「く……く、くそ――!またしてもワシの計画を邪魔しおって――!!」

エッグマンはそう叫ぶが―――最早なす術がなかった。

 

 

 

 

その頃、ソニック達の居る場所より遥か上空に一匹のハリネズミが居た。

「……シャドウに似ているがシャドウじゃない。奴は一体何者だ……?まぁいい、どうやら奴はカオスエメラルドの力でパワーアップしたようだな。俺の力でちょっと遊んでやるか。」

 

スッ――

 

ハリネズミ――ダークは静かに片手をソニックに向けた。

 

 

そんなダークの姿に気づきもしないソニックは、エッグマンに最後に人差し指を立てた。

「覚悟しな、エッグマン!!!」

 

ドンッ!!

 

ソニックは一気に力を開放した。

「くっ、もはやここまでか……」

エッグマンは目を閉じた。

しかし、そのまま何ら変化が起こることはなかった。

「……?」

エッグマンは静かに目を開けた。

 

シュウウウゥゥゥゥゥ……

 

スーパーソニックの力が少しずつ弱まっていくのが分かる。

「ぐッ……ぐぐぐッ……!!!」

スーパーソニックは苦しげな面持ちだった。

「ソニック、どうしたの?」

テイルスがトルネードの操縦席から尋ねかけた。

「ぐっ……体が……動かないっ……!!」

息を荒くしたスーパーソニックは苦しそうに言った。

「えっ!?」

テイルスは思わず尋ね返した。

 

ニィィッ!

 

それを聞いたエッグマンの表情に笑みが浮かぶ。

「ホ―――ホホ――!!情けないのぅソニック!攻撃チャンスじゃ――!!」

 

ウィィィィン!

 

ロボットの片腕がゆっくり上がっている。

「やめろ――!!エッグマン!!」

 

ドンッ!ドンッ!!

 

ドガ――ン!!

 

テイルスがミサイルを放ち、見事ロボットに命中する。

「ぎゃあぁ――ッ!!」

 

ガシャ―――ン!!

 

ロボットは体制を崩した。

「くぅ~!邪魔な子ギツネめ~~!!」

エッグマンはギリギリと歯軋りしながら言った。

「大丈夫!?ソニッ―――ク?」

ソニックを振り返ったテイルスは驚いて声が出せなかった。

 

ソニックは頭を抱えている。

 

「ぐううッ!うおおおおおおおおおッ!!!!」

 

ビカ―――――ン!!

 

スーパーソニックの叫びと共にソニックの体から七つのカオスエメラルドが抜け、本来の青いハリネズミの姿に戻った。

「なぬッ!?」

ソニックと対峙しているエッグマンすら自らの目を疑った。

 

ドサッ!

 

ソニックは地に落ちその場に倒れた。

「ハァ―――ハァ―――」

ソニックは両手両足を地面に付けたまま荒呼吸をしている。

 

コォォォォッ

 

そして上空には異様な光を放つカオスエメラルドが浮かんでいた。

「何がどうなっておるのじゃ?!」

エッグマンがそう言った瞬間―――

 

ギュィィ――ン!

 

ズガァッ!!

 

カオスエメラルドは肉眼ではとらえられないほどの速さで凝結し、エッグマンのロボットを貫いた。

「やっ―――やっぱりこうなるのね……」

涙ながらに嘆くエッグマンのもとで

 

ドガ―――ン!!!!

 

ロボットは爆発した。

「のわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!」

エッグマンは遥か彼方に弾き飛ばされた。

 

 

「んなっ!?」

ようやく呼吸が整ったソニックは驚いていた。

 

―――なんだったんだ……?

 

そう思いながら分裂し七つに戻り、まとまらない動きで浮揚するカオスエメラルドに近寄った。

その瞬間――――

 

ビカァッ!!

 

カオスエメラルドが眩い光を放った。

「ッな!?」

ソニックは思わず足を止めた。

「ソニック、危ない!!」

 

ヒュンッ!

 

テイルスが叫んだ瞬間、カオスエメラルドの一つが猛スピードで突っ込んだ。

「のわッ!?」

 

バッ!

 

ソニックはギリギリでそれをかわした。

「くっ、SAFE!」

 

バッバッ!!

 

ソニックは大きくバックステップをし、カオスエメラルドから離れた。

「ど、どうなってんだ?」

 

コオオォォォッ――

 

異様な光を放ち続けるカオスエメラルドに視線を投げかけながらソニックは呟いた。

 

ヒュッ!

 

そして再び一つがソニックに襲いかかった。

「くっ!」

ソニックはまたもギリギリでかわした。

「くそ、何てスピードだ!」

 

バッ!

 

再び大きくバックステップをしながらソニックは苦々しげにそう呟いた。

「ソニック、乗って――!!」

 

グォォォオオ―――ンッ!!

 

トルネードがソニックに近づいてきた。

その時―――

 

ビカァァッ!!!

 

カオスエメラルドは再び強い閃光を放った。

「ま、マズい!!テイルス!来るな――!!」

危険を察しソニックは叫んだが――――――最早手遅れだった。

 

バキィッ!!

 

カオスエメラルドが再び肉眼で見えないほどの速さで凝結し―――――トルネードを貫いた。

「なっ!!?」

 

ヒュルルル―――

 

ソニックの叫びと共にトルネードは回転しながら墜落し、

 

ドガ―――――ン!!!

 

そのまま爆発した。

 

 

「テ、テイルス―――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!」

 

 

喉が潰れんばかりにソニックは叫んだ。

墜落した所から大きな黒煙がもくもくとあがっているのが分かる。

 

ドガァッ!!

 

「ぐあッ!!」

トルネードの墜落に気を取られている隙に、カオスエメラルドの一つがソニックの腹に猛スピードで容赦なく突っ込んだ。

「ぐっ!」

ソニックは腹を押さえながら片膝をついた。

あまりの激痛に一瞬頭が真っ白になった。

(……このままじゃやられる――――!)

ソニックがそう思った瞬間―――――

 

ビュンッ!!

 

「のわぁっ!?」

黒い影が突然現れ、ソニックの腕を掴んだ。

そのまま猛スピードでどんどんカオスエメラルドから遠ざかって行く。

「だ……誰だ?」

空いている方の手で痛みの取れない腹を押さえながら、痛みで目が霞みながらもソニックは自分の腕を掴んでいる者を見た。

ソニックの腕を掴みながら音速で走る……いや滑走する者の正体は―――

 

「お前は―――――シャドウ!?」

彼に瓜二つの黒いハリネズミ―――――シャドウ・ザ・ヘッジホッグだった。

「……………」

表情一つをも変えることなく、シャドウは無言で滑走し続けた。

 

バッ!!

 

シャドウは大きく跳躍し、エッグマンの基地から脱出した。

 

ストッ――

 

軽やかに着地し、そのまま再び滑走しはじめた。

その地を滑る音は、まるで氷の上を滑るアイススケートの様な音だった。

基地から大分離れた所でシャドウは徐々にスピードを落とし―――

 

ドサッ!

 

「おわっ!」

シャドウは乱暴にソニックの腕を離した。

ソニックはバランスを崩し地に倒れた。

「…………」

 

ドシュッ!

 

相変わらず無口のままシャドウは猛スピードでどこかに走り去り、あっという間に姿が見えなくなった。

「シャドウ……」

ソニックは立ち上がりシャドウの消えていった方向を眺めながらそう呟いた。

 

 

「……くッくッく……ハ―――ッハッハッハ!!!!」

上空からソニック達を見下ろしていたダークは突如高笑いをした。

 

「とうとう見つけたぞ……シャドウ・ザ・ヘッジホッグ!!!!!!!」

 

ドギュンッ!!

 

ダークは目にもとまらぬ速さでシャドウを上空から追跡した。

 

 


 
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