◆ 第7話 お家訪問 アリサ編 ◆
どうも、ぬこです。
突然だが、助けてくれ。周りをでっかいわんこに囲まれているんです。
すごく鼻息荒くして、こちらを見ています。マジで じゃれ付く 5秒前。
お分かりかと思いますが、ただいまバニングス家にお邪魔してるしだいです。
ご主人たちはぬこが囲まれてるのを尻目に優雅なティータイムをしていて、ぬこを助けようともせず微笑ましそうに見守っています。
ぬこが恨みがましい視線を送ってる間にもわんこは近づいてくる。
わんわんおwわんわんおww
馬鹿やってる場合じゃない! おい、こら! またこのパターンか!
うおおおおぉ!? そんな唾液だらけの舌で舐めないでぇ!?
「これこれ、お客様にお痛はダメですぞ」
そう言って、ぬこを抱き上げる執事さん。
ぬこの味方はあなただけです……
「いえ、これも執事のたしなみでありますゆえに。
お嬢様方のところにミルクを置いておきましたので、お飲みください。では、ごゆるりと」
完璧(パーフェクト)だ、ウォルター、もとい鮫島さん!!
というか、メイドとか執事の皆さんはぬこと会話できるのがデフォなの? 従者の固有スキルとかですか?
ま、とりあえずミルクをもらいに行きますか。
「あ、こっちにきたのね」
ええ、ようやくですよ。こっちにわんこたちを放ったご本人さん。
わんこたちになめられてべたべたになっちゃったじゃないか! どうしてくれるんですか、またお風呂じゃないか!!
「ふふ、わんちゃんたちもうれしそうだったね。普通 猫さんは犬を怖がるものなんだけど……」
「みぃ君だもん。アリサちゃんのうちの子が悪い子なわけないって分かってるんだよ」
「な、何を言ってるのよ!? 恥ずかしいセリフ禁止!」
アリサ嬢それはキャラが違うんじゃないか? 中の人的に。
それにしても、アリサ嬢もすずか嬢に負けず劣らずのブルジョアですなぁ。
話によるとかなりの大企業のしゃちょーさんの愛娘なんだとか。
普段は余りうちにいないんだけどねとか、平気そうに話してるけど微妙に寂しそうな顔をしてるのをぬこは見逃さない。
そして自分は空気の読めるぬこ! アリサ嬢のひざの上に飛び乗る。
「わっ、どうしたのよ、みぃ」
ふ、ここで再び見るポの出番だぜ!
ぬこは首をかしげて、じっと見つめている。
「ふふ、私を励まそうっていうの? 生意気ね~ ……でも、ありがとね」
そう言って優しくなでてくれるアリサ嬢。
皆さん、見ました? アリサ嬢がデレたよ!
さすがくぎゅ、他のツンデレとは年季が違うな!
上手く決まらなかったけど、これはこれで成功ですかね。このまま存分に愛でると良いよ!
ちなみに後ろは振り返らない、怒ってるご主人の顔なんか見えない。
「フフ、帰ったらお仕置きなの」
あーあー、聞こえない、聞ーこーえーなーいー
まったく、ぬこが出会ったころのご主人はどこに行ったのだ。
まぁ、今の方が遠慮がなくていいと言えばいいのかもしれないが。
それでも一応ご機嫌取りにアリサ嬢のひざを辞して、ご主人のひざの上へ!
「あ、もうっ、こんなことしてもお仕置きはなくならないんだからね?」
ふっ、そんな微妙ににやけた顔で言っても説得力なんてないんだからね?
もう一押しだな、ここで新技発動!
「にぅ」
へたりと耳を伏せて、情けない声を出す!
「にゃっ! うぅ、みぃ君それは卑怯なの」
クク、計画通り!(ニヤリ
これでお仕置きはないも同然だな!
ふはは、これでわが軍は後2週間は戦える。短いとか言うな。これでも長い方なんですよ。
ご主人の機嫌も直って胸をなでおろしたところで、こちらをうらやましそうな眼ですずか嬢。
……そんな顔されたら行くしかないだろ、jk
「あ、いらっしゃい」
そう言って、なでてくれるすずか嬢。おおぅ、ええのぉええのぉ。ふにゃんとだらけてしまいますよ、ぬこは。
たれパンダならぬ、たれぬこ。これはいける、ゆるキャラとしてひこにゃんから王座を奪い取れるに違いない!
「ふふ、やっぱりお仕置きなの」
しまった、ハニートラップか!?
こんな歳でハニトラとか魔性の女なのかすずか嬢は! すずか、恐ろしい子……!!
そんなこんなでご主人たちと戯れてその日は終わった。
ふむふむ、ご主人はお友達と良好な関係を築けた、と。
ぬこが心配するまでもなかったということだったわけですね。
なんだかんだで、この3人は似たもの同士のようだし、かなり相性いいと思うぬこであります。
気の会う友人は得難い宝物みたいなもの。
これからも、ずっと仲良くしていって欲しいですね。
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うん、わかってる。
何か言いこと言って終わらせようとしてるのは、現実逃避だってことぐらい。
それでも……ひと時でも安らぎを得られるなら、価値があることだと思うんだ。
「みぃく~ん?」
はい、今 逝きまーす。
ぬこ、これが終わったら、翠屋で働こうと思ってるんだ……
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サブタイトル試用 第2弾
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