あれから数日経ったのですが、アリサちゃんは基本的あの洋館に居る時はオリフィア姉妹と同じでメイド姿で接してきて、挙句の果てには学校でもそのような事をするものですから余計に私の疲れがたまっていました。
確かにアリサちゃんに任せましたけど、さすがに学校までやらされるときついです。すずかちゃんですら最初アリサちゃんがメイドみたいな口調をしていた時は唖然してその日はほとんど言葉が出てこなかったぐらいですからね。
その翌日にすずかちゃんから何かあったのかと私に問われましたが、この前アリサちゃんが私から距離を置いていた理由と同じで私に誠意を尽くすという事にしたようですと話して、すずかちゃんは納得しましたね。多分すずかちゃんは私に対して温泉みたいな事をしたのだろうと分かり、私が好き勝手にやらせているのでこれ以上は何も言わなかったですね。
そして今日はアリサちゃんもすずかちゃんもバイオリンの稽古のようですので、私は久しぶりに家でのんびり……っていうわけではなくて久し振りに御神流の鍛錬を先ほどまでお兄ちゃんとしていました。ここ数日は全くできませんでしたし、ちょうど暇だった今日を使って鍛錬をすることにしたのです。ちなみにアリシアちゃんはプレシアのデバイスが出来るまでこれと言って教えることも無くなりましたので自由に任せていますし。
とまぁ、今の時刻は夜の7時を回って私は鍛錬が終わって、風呂から上がって自分の部屋に戻ったところなのですが、私はそのままベッドに倒れます。久しぶりにお兄ちゃんと向き合いましたし、一度も負かすことが出来なかったので体中が痛みで悲鳴を上げています。さすがに致命傷は避けていると居るとしても、お兄ちゃんが相変わらず強い事には変わりありませんでしたね。まぁ、御神流に関しては戦う並みの力が付けばいいと思っている私ですし、お兄ちゃんに将来勝とうとまでは思っていませんのでね。
ベッドの横になって数分経ちますと、突然こんな時間帯に私の携帯が鳴り響きます。一体こんな時間帯に何かと思ってみますと、画面にはアリサちゃんからの電話だと思い、何かあったのかもしれないと思って私は電話に出ることにしました。
「アリサちゃん? 一体どうした――」
『な、なのは大変!! すずかが何者かによって攫われたの!!』
私がアリサちゃんに要件を聞こうとしましたが、アリサちゃんはそれを遮って私に話してきました。
その事に最初は冗談ではないかと思っていました。すずかちゃんが誘拐されるなんていう事は前の世界でなかったことでありますし、それは私にとっても驚いて動揺が隠せない事でした。どうしてこんなことになっているのか。魔法の事でしか前の世界と変えていないはずなのに、どうしてそれがすずかちゃんを誘拐する件と関係してくるのかと思ったのです。
だがすぐに私はある事を思い出しました。
アリサちゃんがどうして誘拐されるような世界になってしまったのかというのは私でもわからない。だけど――
「……結局、すずかちゃんが誘拐されたのは私のせいだという事か」
『なのは何を言ってるの? すずかが誘拐されたことがどうしてなのはが原因なのよ』
どうやら口に出ていたようですね。だけど、どう考えたって私のせいです。
今の世界で、前の世界と大きく変化させているのは私自身。未来からタイムリープしてきたというイレギュラーである私がいるせいで、すずかちゃんが誘拐されるという世界線へと私は変えてしまったのでしょう。多少の変化ならこのような事もなかっただろうでしょうが、私は大きく世界を変えてしまっているのだろうと私は思った。
だが、こうなってしまってはぐちぐちと言っている場合ではありません。すぐに動き出しませんと。
「それで、誘拐された場所は……分からないですよね?」
『さすがにね。相手の思考を読むのを応用して居場所を探ろうとしたけどさすがに動いているものにはまだ私には無理だったから』
「っとなると、自力で探すしかありませんね」
先ほどの痛みがまだ残っていますが、そんな悠長にしている暇ではないのですぐに出かける支度をします。部屋から出てすぐに階段を降りて玄関へと向かいます。
「それで、アリサちゃんは今何処に?」
『私も誘拐犯が来るまで向かって行った方向へ向かってる!! 魔法を表沙汰で使えないのがかなり辛いわね』
「それは仕方ありません。とにかく、霧がないかもしれませんがやらないよりはましですからね」
『分かった。でも一度合流しない? そうした方が良いかもしないし』
「そうですね。確かにそれで行きましょう」
私は玄関に着くと、すぐに靴を履いて家を出ようとします。そして玄関の扉を開けようとすると、背後から私を呼び掛ける言葉が聞こえてきました。
「なのは、こんな時間帯に何処へ行くんだ? そろそろ夕食の時間帯なのだが」
私は、お兄ちゃんの言葉を聞いて、玄関を開けようとしていた手を止めて、後ろに振り返ります。こんな事をしている場合ではないのに、どうしてこのブラコンはよりによって大変な時に呼び止めますかね。
いや、これは念のためお兄ちゃんたちにも知らせるべきなのでは? そうすればすずかちゃんを見つける可能性もありますし、今回の件に関して魔法は関係ない出来事ですからね。少し失念していました。
「今はそんなことを言っている場合じゃないの!! アリサちゃんからの電話が掛かってきて、すずかちゃんが誘拐されたって!!」
「それは本当なのか!?」
「うん、今アリサちゃんとは電話で繋がっているのだけど、とりあえず警察に連絡して!! 私は念のためアリサちゃんの所へ向かってアリサちゃんの無事を確認してくるから!!」
「分かった。しかし、なのは一人で大丈夫なのか? もしなのはの身に何かあったとしたら……」
あ~もう、このブラコンは!! 今はそんな悠長にしている場合じゃないのに!!
「それは大丈夫!! っていうか、それはお兄ちゃんが一番分かっているのじゃないですか?」
「……まぁ、そうだな。とりあえず俺は警察に連絡しておく。深追いはするなよ」
「それは分かってる!! じゃあ行ってくるね!!」
多分深追いについては約束を破るとは思いますが、私は玄関をのドアを開けて家に出て行き、アリサちゃんと一度合流することにしました――
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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